2022年8月12日にアメリカで公開された映画『エミリー・ザ・クリミナル』
日本では劇場公開されなかった、アメリカのクライム・サスペンス映画。
人生に行き詰まった1人の女性が、金欲しさに侵した罪。
次第に大きな犯罪に誘い込まれて行くー。

かなりのチキンがゆえ、犯罪とは程遠いbeersyです!
アメリカで公開され、評論家達からかなりの高評価を得た本作。
まさに本物のクライム・サスペンス!
1人の女性が犯罪者になって行く様が、リアルに描かれていますよ。
この記事では、映画『エミリー・ザ・クリミナル』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします!
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『エミリー・ザ・クリミナル』の評価&感想
- 感動度
- 4
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 4
- サプライズ度
- 4
- 話題性
- 4
2022年の映画がランクインされていて、なぜ?と思ったらアメリカのみの公開作品でした。
高評価ではあるものの、日本人ウケするかと言われるとどうだろう?
喧嘩っ早い性格のせいで失敗ばかりしている主人公・エミリーには、中々共感出来ないかもしれません。
(犯罪に手を染めるよりも、なんでも良いからしっかり働けと思う)
しかし、ひとつの作品の主人公として観るとなんだか応援したくなる…?不思議でならない!
それは彼女のブレない「芯」が、良くも悪くも真っ直ぐで曲がらないからなのかな…と思ったり。
あと、無骨な強さにも惚れ惚れしちゃいました。
本作は「闇バイト」「貧富の差」などの社会問題を提起している作品でもあり、エミリーが反面教師のようにも感じます。
また、彼女を演じているオーブリー・プラザの演技力は素晴らしいの一言。
アクション無し、難しいストーリーではないので、少々辛気臭いけれどサクっと観やすい映画でした!
以下より重要なネタバレを含みます。
『エミリー・ザ・クリミナル』のネタバレ
ダミーという闇バイト
エミリー・ベネット(演/オーブリー・プラザ)は、画家を目指す女性。
しかし美大の奨学金の返済に追われ、就職しようにも昔の犯罪歴(加重暴行罪)があって採用されない。
同じ美大卒の友人・リズ(演/メガリン・エキカンウォーク)が着々とキャリアを積んでいる中、個人事業主としてケータリングの配給の仕事をしながら、日々食い繋いでいた。
ーー
ある日エミリーは、勤務先の同僚・ハビエルから「ダミー・ショッパー」という仕事を紹介される。
それは盗んだクレジットカードで高額な買い物をし、品物を詐欺グループに渡すと報酬をもらえる…という犯罪だった。
「1時間で200ドル稼げる」そんな甘い言葉に釣られ、エミリーは悪事に手を染める。
無事に報酬を受け取り、グループの主犯格・ユセフ(演/テオ・ロッシ)からは「明日の昼は2000ドル稼げるぞ」と言われたが、流石に迷いがあった。
ーー
翌日、エミリーは配達途中に品物を落としたり、仕事を紹介してくれると言っていたリズから電話で「今は無理そうだった」と言われたりして苛立つ。
その時、昨日ユセフから渡された携帯に連絡が入り、ランチ時にも関わらずハビエルに配達を押し付け、指定された場所へ向かった。
今回は、偽造ブラックカードで高級車を購入するという危険な仕事のため「本当に安全?」と聞く。
ユセフは「無理強いはしない。君次第だ」と答えたが、エミリーは意を決してビルの中の一室へ向かった。
緊張しながらも、怪しいディーラーから高級車を買い取り、乗って逃げようとしたが、気付かれて殴られてしまう。
しかし持っていた催涙スプレーで相手を倒し、ユセフの元へ車を運んで「早く2000ドルを渡して!」と激怒した。
鼻血を出して過呼吸になったエミリーを見たユセフは「安全だと思ったんだ」と謝り、家まで送り手当をする。
エミリーが落ち着くと、彼は自分の夢が物件を買ってリノベーションし、賃貸マンションを経営する事だと語った。

ユセフは根っからの悪い人じゃないのかな?
クライム作品だと、犯罪者がつい良い人に見えてしまうのですが…。
かなり大胆な性格のエミリー。過去の犯罪歴は一体何があったのか。
カメラがエミリー寄りで表情を映すので、緊張感がありますね!
ユセフと闇バイトにのめり込むエミリー
翌日、エミリーは店長に呼び出され、昨日仕事を放り投げた事を咎められ「今週からシフトを減らす」と言われる。
「予告無しに外すのは規則違反よ」と食い下がるが、「君は個人事業主でうちの社員じゃない」と突っぱねられ、後が無くなりユセフに連絡を入れた。
そして偽造クレジットカードの作り方を教えてもらい、買った商品を自分で闇業者に売り捌く事に。
ユセフは、「自宅で取引しない事」「同じ店で2度の買い物はしない事」などと助言し、護身用のスタンガンを渡した。
しかし、ユセフのパートナーで従兄弟のカリルはエミリーが関与する事を良く思っていない様子で、ユセフは仕事を与えた事を秘密にしていた。
ーー
だいぶ仕事に慣れた頃、男女で来た業者に住所がバレてしまい襲われる。
儲けた金と、海外出張に行くリズから預かった犬を奪われてしまったが、息を整えてスタンガンを持ち相手の車へ。
まずは男にスタンガンを当てて倒し、女を脅してバッグから身分証を取り出す。
そして「こっちもあんたの住所は抑えた!分かったわね!?」と怒鳴り、連れ去られた犬を持ち帰った。
ーー
リズが帰国し、彼女の職場である広告代理店の帰国パーティーが行われる。
無事に犬を返したあと、リズは職場に空きが出たからと言って、面接の機会を設けてくれた。2人は抱き合って喜び合う。
しかし、煌びやかな世界でただ1人いたエミリーは居心地が悪く、ユセフを呼んだ。
そして恋人のふりをしていたが、お互いに惹かれ合い一夜を共にする。
夢を語り合い、この仕事はそれまでの辛抱だと言って慰め合った。

犯罪ではあるけれど、逞しく仕事をしているエミリー。
この気の強さと機転が聞く長所、本当にもったいない!他に何かあったんじゃないのかな。
ユセフと恋に落ちてしまい、もう後には戻れない感じ。
そして2人は「夢のため」と自分達の犯罪を正当化していますが、被害者はたまったもんじゃないですよね。
エミリーの決断
ユセフは、最愛の母親にエミリーを紹介する。
2人は普通の恋人同士のように過ごしていたが、そこへカリルが現れた。
母親が席を離れると、カリルはエミリーが店にいる防犯カメラの映像を見せ「同じ店で週に2回も買い物をしただろう。警察がこの動画を公開した。お前が捕まれば俺たちもヤバくなる。一夜限りの相手と言っていたのに…」と言いながらユセフを責める。
すぐに母が戻って来たためその場は荒れなかったが、ユセフは戸惑い、エミリーは「ヤレて満足か」と言われた事に憤慨していた。
ーー
エミリーはリズに職場を紹介され、辞めるスタッフから仕事内容を教えてもらう。
やっと正社員になれるかもしれない…そう思ったが、外に出ると鼻血を出したユセフがいて「カリルと揉めた。俺をグループから外し、報酬も払わない気だ。だから明日、組織の金と倉庫の商品を全て奪う。金は払うから手伝ってくれ」と言った。
「借金を返してから正社員になる」甘い誘惑ではあったが、エミリーは迷いつつ小さく頷く。
ーー
翌朝、エミリーは上司との面接へ。
しかし、実はそれが正社員では無くインターンの面接であり、5〜6ヶ月は無給だと言われる。
驚いたエミリーが「無給で人を雇うなんて馬鹿げている」と吐き捨てると、上司は「甘ったれね。あなたの居場所はないわ」と言い放ち、エミリーはリズにも激怒しながら部屋を出て行った。
そしてユセフと合流し、覚悟を決めて組織の倉庫へ向かうと、中はすでにもぬけの殻になっており、口座の金も全てカリルに奪われた後だった。
ユセフは絶望し、同じ店に行くというタブーを犯したエミリーさえも咎めて、悲観に暮れる。
しかしエミリーは「奴らに、私たちの方がヤバイと思い知らせるのよ!でなきゃ搾取されるだけ!」と言って、彼を鼓舞した。
そしてナイフや結束バンド、スタンガンなどを持ってカリルが潜伏している家へ向かう。
その車中で、ユセフが「君の加重暴行の原因は?」と聞くと、エミリーは「当時付き合ってた彼氏と喧嘩が絶えず、ついに通報された。もっとビビらせて黙らせれば良かった…」と明かした。
ーー
家の前に着くと、エミリーが宅配業者のフリをして、カリルの仲間の1人にスタンガンを当て拘束し、ユセフがその男のスマホを使って「車を乗っ取られた。外にいる」とメールを送る。
2人は、カリルの仲間達が全員外に行ったタイミングで2階にいるカリルの元へ向かったが、カリルは気付いており、突然後ろからユセフを殴り倒した。
エミリーも襲い掛かられたが、隠し持っていたナイフで脇腹を刺す。
そして金の在処を吐かせ、無事に回収した。
車に乗り込み、重傷のユセフを連れ病院に行こうとするが、彼は意識を失ってしまう。
しかも車の鍵が見つからず、パトカーのサイレンの音が近づいて来た。
悩んだ末、エミリーは金を持ち車を出て「ごめんね…」と呟く。
そして涙を流しながら、バス停へと歩いて行った。
翌日、エミリーのアパートに警察が突入するも、彼女は忽然と姿を消していた。
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ーー
海水浴客で賑わっている南米のビーチに、エミリーがいる。
彼女は創作活動を再開し、静かに暮らしていた。
しかし裏では、ユセフが行っていたクレジットカート詐欺組織の主犯格となっており、「1時間で200ドルを稼げます」と言って、ダミーを募っているのであった。

ラストは結構衝撃的!
ちょっと後味が悪いかもしれないけれど、これがエミリーという人間なんだろうな。
この偽造クレカ詐欺が、彼女にとっての「天職」となってしまったような。
救いようのないストーリーでしたが、なぜだかクセになる作品でした。
『エミリー・ザ・クリミナル』が好きな人にオススメのNetflix映画
映画『エミリー・ザ・クリミナル』が好きな人にオススメの、クライム作品をピックアップ。
ザ・キラー
マイケル・ファスベンダー主演、デヴィッド・フィンチャー監督作品。
暗くてじっとりとしたクライム映画なのに、クスっと笑えるシーンもある不思議な作品。
とにかく、名もなき主人公が素敵で魅力的です!
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