2023年5月19日に公開された、映画『静かなるドン 後編(3、4章)』
1988年から2013年まで『週刊漫画サンデー』にて全108巻連載された、新田たつおの漫画(第42回日本漫画家協会賞大賞受賞)を原作とした、日本の映画。
全4話のエピソードが、2週連続で劇場公開されました。
後編では、坂本亡きあとの鬼州組内部抗争が描かれています。
全編は、ギャグ漫才のおもしろ任侠映画だと思いましたが、今回は少々ショッキングな描写があります。
極道の恐ろしい部分が描かれていますよ!
この記事では、映画『静かなるドン 後編(3、4章)』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介します!
『静かなるドン 後編』の評価&感想
- 感動度
- 3
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 4
- 話題性
- 5
前回、クリーンな極道をモットーにしていた静也。今回もその信念を貫こうとしますが…!!
全編は笑ってばかりいましたが、後編はだいぶシリアスな展開に。
変わらず、生倉と肘方のギャグは盛り込まれていますが、笑えるシーンは少ない印象でした。
極道社会に、平和は訪れるのか。
仁義を貫くという綺麗事だけでは、やっていけないのか。
自分とはかけ離れた世界のストーリーですが、静也の葛藤が痛いほど伝わって来ました!
以下より重要なネタバレを含みます。
『静かなるドン(第3章)』のネタバレ
静也の提案
鬼州組では、汚田の策略により、幹部達が投票して若頭の沢木が解任する事態に。
死んだ坂本の妻・龍子(演/内田慈)が新たな組長となったが、「龍子は何も言えへんただのお飾りや」と言って、新若頭に就任した汚田が裏で操ろうとしていた。
さらに汚田は、坂本が大事にしていた「仁義」は古臭いと考え、金儲けを主体とする鬼州組を目指す。
坂本を敬愛していた沢木は「どうしても坂本の意志を継ぎたい」と関連団体に頭を下げるが、すでに汚田が手を回しており協力する者はいなかった。
ーー
一方静也は、明美と一緒にいたいという想いが募り、鬼州組を潰して日本統一を成功させ、平和な極道社会を目指そうと決意する。
そして坂本の葬儀に乗り込み、龍子に「親子盃を交わしたい。こちらが子供で構いません。電話を受けて分かりました、あなたになら新鮮組を任せられる」と提案した。
その言葉に両者が騒然とする。
しかし汚田はニヤリと笑ながら「これまでの事は過去に流しましょうや、姐さん」と言って承諾した。
これは吸収合併と同じ事であり、新鮮組は無くなるどころが、坂本殺しの罪で殺されてしまうかもしれない。
いつも静也を庇っていた鳴戸も頭を抱え、妙に相談した。
静也の提案、さすがに酷いのでは…?
組員達の事を考えず、無理難題を言っているような気が。
とはいえ、彼の「真っ当に生きたい」という気持ちは理解出来ます。
どうすれば1番良いのか、とても難しい問題ですよね。
あの時、龍子は電話で、明美の場所以外に何を言っていたのでしょう?
龍子の決断
龍子が上京し、静也と話し合う。
彼女は、沢木に「私に汚田を止める力は無いんや」と言っていたが、静也の人となりに触れ、新鮮組を消す事に抵抗を感じていた。
また、龍子と沢木は同じ養護施設育ちで、姉弟のような関係だと明かした。
静也と話したあと、正式な会合までには数日の猶予があったため、明美が開催した個展に参加する。
すっかり仲良くなった3人は、居酒屋で親交を深めて行った。
一方沢木は、新鮮組に出向き鳴戸に「親子盃をやめてくれ」と頼む。
そこで鳴戸は、沢木が明美を攫った際、龍子が静也に居場所を教え「沢木は鬼州組を背負って立つ器の人間や。あの子には汚い事をさせたくないし、仁義を通して欲しい」と言っていた事を明かし、「自分で姐さんに話をつけな」と助言した。
沢木は龍子が泊まるホテルへ行き、汚い手を使って新鮮組を潰そうとした事、その結果、龍子に責任を負わせ汚田に権力を奪われた事を、土下座して詫びる。
そして「鬼州組を守れるのは姐さんしかいません!」と懇願した。
ーー
会合当日。
新鮮組、鬼州組の面々が集う中、龍子は親子盃を断ると発表した。
そして、自分は組長の座に居続けるつもりは無い事、また次期組長は沢木に任せるつもりであり、その沢木が親子盃を望んでいないので断る…と理由を述べた。
静也は「それが姐さんの決めた事なのですね」と言って微笑みながら頷き、龍子も笑顔で部屋から出て行く。
車に乗り込む龍子は、沢木に「これからはあんたに任せる」と言い、沢木は「龍姐、ありがとう」と言って頭を下げた。
龍子さん…勇気を出して、自分の意見を言えたのですね。
極妻ではありますが、明美と話している時の彼女のまなざしは、温かい母のような雰囲気でした。
でも、あくまで極道の世界。こんなにうまく収まるはずが無い…。
やはり汚田くらい汚くないと、この世界ではやっていけないのか?
最悪の事態
龍子は帰宅しようとしたが、汚田の指示で手下達に拉致される。
新鮮組はピンチを乗り切った事で沸いていたが、今回龍子の説得に失敗した手下の首が組の前に置かれており、龍子が拉致された事を知った。
静也は龍子を助けに行こうとするが、振り回され続けている生倉や肘方達は、もう付いて行こうとはしなかった。
そして静也、鳴戸、猪首、祐輔(演/小西貴大)の4人だけで救出に向かう。
しかし時すでに遅し、龍子は殺されその遺体は無惨にもバッグに詰められていた。
放心状態の静也の元に、沢木達が駆けつける。
龍子の遺体を見た沢木は激昂し、静也達に襲いかかった。
実は、これは汚田の考えたシナリオであり、静也達と沢木達で殺し合いをさせて、自分は次期組長の座を狙おうと準備していたのだ。
抗争になる寸前で静也達はその場から逃げたが、この残酷な結末に静也は酷く落ち込んだ。
ーー
汚田は、計画がうまく行った事でウキウキしていた。
しかし突然沢木が現れ「誰が糸を引いていたのか、考えたら全て分かった」と言いながら、汚田に有無を言わさず射殺する。
そして組に戻ると険しい表情で、「お前ら…全面戦争だ」と言い放った。
一方静也は、普通に出社するものの、色々な感情が湧き上がり震えが止まらなかった。
いやもう本当に最悪の事態となりました。
龍子さんの殺され方が結構エグくてツラ…!!袋詰めって。
ここで静也がブチ切れて暴れて、全編のように無双状態になるのかと思いましたが、そんな元気も無くなってしまったようです。
彼からしたら、自分のせいで…となりますよね。
でも、なんとなく龍子姐は、こうなる事は予想していたのでは?と思います。
観ているこちらもしんどくなるラストでした。
『静かなるドン(第4章)』のネタバレ
さらなる悲劇
「新鮮組と鬼州組の抗争は激化し、新鮮組の組員だけではなく一般人にも死傷者が出ている。しかし新鮮組は反撃せず、沈黙を貫いている。」というニュースが日本中を駆け巡る。
一方で、明美は文化庁の若手アーティスト部門に選ばれ、ニューヨークへ行く事に。
静也は仕事に没頭し、龍子の死から逃れようとしていた。
痺れを切らした生倉や肘方など多くの組員が抜け、戦闘力は10分の1ほどになったが、それでも沢木は「全てを奪ってから、近藤のタマをとる」と言って攻撃の手を緩めなかった。
ーー
そんな中、ついに静也の運転手をしていた祐輔が家族もろとも殺される。
早く抗争を終わらせたい警察は「無理心中」として処理し、第一発見者の静也に「さっさと降伏しろ」と言った。
静也はさすがに黙っていられなくなり、鳴戸と猪首と共に、沢木達鬼州組が潜伏する東京のアジトを潰すと決意。
組員が減っており勝ち目は無いと分かっていたが、「死にに行くぞ」と言って覚悟を決めた。
静也にイライラし過ぎて胃が痛くなって来た。
祐輔のフラグが立ったので覚悟はしていましたが、妻子まで殺されるとは…。しかも子どもはお誕生日。
なぜここまで引っ張った?「もう誰も傷付くのは見たくない」って、どの口が言う?
で、結局は勝ち目のない戦争になってしまったし。考えが浅はか&酷過ぎる!!
妙さんも母親として、何もしないのがおかしい。愚痴ばかりで申し訳ありません!!
静也が起こした行動の代償
明美は、静也のそばにいた祐輔が、暴力団の組員だという事を無理心中のニュースで知る。
そこでやっと静也の正体が分かり、「どういう事?どこまでが嘘だったの!?」と家まで聞きに行った。
静也はサングラスを取り「秋野さんとの事は全部嘘です。遊んでました。ヤクザなんで」と言って車に乗り込む。
明美の静止をふりほどき、たった一人で鬼州組のアジトへ向かった。
ーー
鳴戸と猪首は、静也に薬を盛られ寝てしまっており、静也が抜け出した事を知らなかった。
妙が「総長が捕まって処刑されるらしい。早く助けに行け!」と命じる。
鳴戸は、生倉と肘方に「総長を助けるために来てくれ」と懇願し、鬼州組に行った。
ーー
静也は何人もの鬼州組組員を倒したが、最終的に捕まってしまう。
沢木に「争いをなくして平和をもたらしたいんだ。そうしないとヤクザの居場所がなくなる」と訴えるが、沢木は「お前がこの争いの火種なんだよ。お前が起こした行動が、新鮮組の内部紛争を起こし、龍姉や何人もの組員を殺してるんや!!」と言って聞く耳を持たない。
そんな中、鳴戸達が到着し全面戦争が勃発する。
しかしやはり新鮮組の兵隊が少なく、かなり劣勢であった。
沢木さん、至極真っ当なご意見ありがとうございます。
こんな事になっても、静也についていく鳴戸と猪首が不憫でなりません。
鳴戸さんのほうが総長に向いているのでは??
新たな目標
生倉と肘方が登場し、鳴戸達を援護する。
しかし、肘方が車に引火させてしまい、近くで大爆発を起こしてしまった。
明美は、スマホの速報で「大爆発!暴力団同士前代未聞の抗争か?」というニュースを読んで、静也が戦い始めたのだと気付いた。
ーー
拘束を解いた静也は、日本刀を持った沢木と対峙する。
激闘の末、負傷しながらも静也が沢木を倒した。
外では鳴戸達がほとんどの鬼州組組員を倒しており、パトカーのサイレンが聞こえて慌てて逃げる。
病院に運ばれた静也の元に明美が来たため、猪首が「坊ちゃんはカタギの仕事が大好きで、あなたの事も心から愛していました」と伝えた。
ーー
目を覚ました静也は、明美に向かって「嘘を付いていてすみませんでした。大好きです」と告白する。
明美は涙を流しながらキスをし、静也の絵を描いてアメリカへと旅立った。
静也は表向き「交通事故に遭った」と説明し、出社する。
明美を想いながら、また個性的なデザインをして仕事に励んでいた。
ーー
生倉と肘方達が戻って来た新鮮組では、今回のピンチは切り抜けたものの、鬼州組の次期総長候補の海腐(かいふ)が出所して来た…という話が出て戦慄する。
すると静也が現れ、「新鮮組の新たな目標は、他の組を全部潰して、俺らが日本統一をする事だ!」と宣言するのであった。
遅い…遅いよ静也…。無駄な血がたくさん流れてしまった第4章。
生倉&肘方コンビのギャグも、笑えなくなってしまうほど祐輔の死がショックでした;
沢木は死んでなさそうですが、その後どうなったのか?
海腐という男はどんな恐ろしい人物なのか?
明美は去って行ったので、静也にはきちんと新鮮組に向き合って欲しいと思います!
『静かなるドン』が好きな人にオススメの映画
映画『新宿スワン』のような、アウトローな作品と言えばこちら!
新宿スワン
ヤクザ映画とはちょっと違いますが、こちらも原作コミックが大ヒットを記録し、ドラマ・映画化されました。
実在したスーパースカウトマンの、ギャグたっぷりな映画です♪