2024年9月19日に公開されたNetflixドラマ『極悪女王』
幼少期より夢見ていたプロレスラーになった少女は、なぜ極悪女王になったのか?
ヒールレスラーとして確固たる地位を築いた、ダンプ松本の半生を描く。
企画・脚本・プロデュースを鈴木おさむが手掛ける、感動のヒューマンドラマ。
長年のプロレスファン、筋肉大好きbeersyです!
(好きなレスラーは葛西純、竹田誠志、佐藤耕平、エル・デスペラード、ASUKA、新崎人生、フジタ"Jr"ハヤト、あっ書ききれない)
ダンプ松本さんは残念ながら世代では無いですが、昔の動画を観てその見事な暴れっぷりに感銘を受けました!
待ちに待った本作、記事が長くなりそうですが気を付けます…。
※デスマッチゆえ流血シーンが多いですよ〜
この記事では、ドラマ『極悪女王』を鑑賞した筆者が、1話ごとに感想とネタバレ解説をご紹介します。(途中まではネタバレ無しなのでご安心を♪)
『極悪女王』の評価&感想
- 感動度
- 5
- 脳トレ度
- 4
- 再鑑賞度
- 5
- サプライズ度
- 5
- 話題性
- 5
待ってましたー!!!
全プロレスファンが待ち望んでいたのではないでしょうか。
運営側が強くてガチガチだった時代をぶっ壊した、ダンプ松本とクラッシュ・ギャルズ、女力道山・大森ゆかりの昭和55年組!
筆者はまだ生まれていませんでしたが、プロレスオタクの年下夫に、当時の全女(全日本女子プロレス)の凄さを教えてもらい…。
特にダンプ松本に関しては、大変な人生を歩んでいたと聞いていたので、今回伝記映画が制作されると聞いて歓喜でした!!
以前プロレス観戦した時に、極悪同盟が出て来た時の感動は忘れられません。
作中でも語られますが、「光るスター選手」っているんですよねほんと。
私の目には、ダンプ松本は未だ光り輝いて見えました。
そんなダンプさんをゆりやんが!!見事に!!!演じておられます!!!!
長与千種さんが現在運営している、プロレス団体「マーベラス」の現役選手が指導したというプロレスシーンも、そして胸に迫る演技力も素晴らしい。
また、クラッシュ・ギャルズ役の唐田さんと剛力さんも、太ももが仕上がってて驚きました。
皆さん相当なトレーニングを積んだのだろうな…と勝手に胸が熱くなって目頭も熱くなり。
受け身や難しい技、昔特有の動きや仕草など、どれほど動画をチェックしたのだろうと思うほど完璧で、本当に感動しました。
白熱の試合シーンは、本作イチの見どころです。流血もリアルで痛そうだった〜。
ヒューマンドラマとしてじっくり観られるので、プロレスを知らない人にもオススメです!
※でも流血には注意!!デスマッチは最高ですが!!
長くなりそうなのでこれくらいにしておきます…。
以下より重要なネタバレを含みます。
『極悪女王』の主要キャスト
(役名/演者/説明)
全日本女子プロレス(選手)
- ダンプ松本(松本香)/ゆりやんレトリィバァ(心の優しい長女。ジャッキー佐藤に憧れ、プロレスラーになりたいと思う)
- 長与千種(長與千種)/唐田えりか(クラッシュギャルズ。線が細く苦労したが、得意の空手を使ったプロレスで活躍する)
- ライオネス飛鳥(北村智子)/剛力彩芽(クラッシュギャルズ。デビュー後、新人王や全日本ジュニア王座などを獲った実力派)
- 大森ゆかり/隅田杏花(のちのダイナマイト・ギャルズ。香と同期で、女力道山と呼ばれるようになる)
- ジャガー横田/水野絵梨奈(不遇の時代を過ごすが、メキシコ遠征後に開花する)
- ブル中野/中野恵子(のちの極悪同盟。香が目をかけている後輩)
- クレーン・ユウ、マスクド・ユウなど(本庄ゆかり)/えびちゃん・マリーマリー(香と同期で共にデビル軍団にいたが、のちにレフェリーに転向する)
- ジャンボ堀(堀あゆみ)/安竜うらら(のちのダイナマイト・ギャルズ。香の先輩で、ゆかりに一目置く)
- デビル雅美/根矢涼香(デビル軍団。香にヒールを教えた先輩レスラー)
- ジャッキー佐藤/鴨志田媛夢(ビューティー・ペア。長身の人気レスラー)
- マキ上田/芋生悠(ビューティー・ペア。引退マッチで現役引退を余儀なくされる)
全日本女子プロレス(運営)
- 松永高司/村上淳(松永兄弟の三男で、社長→会長になる)
- 松永国松/黒田大(松永兄弟の四男で、「ジミー加山」としてレフェリーを務める)
- 松永俊国/斎藤工(松永兄弟の五男で、全女をテレビのゴールデンで放映させようと奮闘する)
- 阿部四郎/音尾琢真(興行プロモーター。のちに極悪レフェリーとなる)
『極悪女王』のネタバレ解説
エピソード1
一人の少女は、当時大人気を博したビューティ・ペアに憧れ、そしてプロレスのリングに上がる事を夢見る。
しかし彼女が実際になったのは「極悪同盟のダンプ松本」と呼ばれるヒールレスラーだった。
ーー
1974年。
ぷくぷくに太った香と妹の広美は、母・里子と3人暮らしだが、たまに父・五郎が大きなダンプカーに乗って、金をせびりに来る。
しかも五郎は外に女と子どもを作り、事もあろうか子どもに「香」と同じ名前を付けていた。
それを知った香は五郎を殺したいほど憎み、雨の中彷徨い、そして見付けたのが「全日本女子プロレス」の工業だった。
ーー
1979年。
香はビューティ・ペアを推している学生になり、新聞配達をして里子を助けつつ生活していたが、里子が近所のパン屋から就職の話を持ってくる。
しかし香は、女子プロレスラーのオーディションを受けようとしていたのだが、言い出せなかった。
そんな中、ビューティ・ペアが喧嘩別れをし「敗者引退マッチ」が行われる事に。
いつものように香が観戦しに行くと、焼きそば屋のおじさんにオーディションを進められるが、「私はパン屋になるんです」と伝える。
しかしおじさんは「好きなように生きた方が良いよ」と言ってニコッと笑った。
その後香は、推しであるジャッキー佐藤の勝利と、マキ上田の引退を見届けた。
ーー
香はパン屋で働き始めるが、偶然会った五郎の不倫相手に「アイツは追い出した。妻子がいるのを知らなかったんだ。私が言うのもなんだけど、自分勝手に生きた方が良いよ」と言われ思い立ち、女子プロのオーディションへ走った。
するとそこには焼きそば屋のおじさんがいて「全日本女子プロレス社長・松永」と書いてあり驚く。
そして厳しい身体検査が行われ、香は見事に合格した。
パン屋から逃げた事で母に怒られると思ったが、快く応援してくれて、プロテストを受けるための過酷なトレーニングが始まった。
ーー
全女は、松永高司、松永国松、松永俊国の三兄弟が運営しているプロレス団体。
男、酒、タバコの3つは厳禁という、硬派な団体だ。
香はトレーニングに励んだが、初めてのプロテストで合格したのは、北村智子と大森ゆかりのみ。
その後、あまりのキツさに辞める者が後を絶たなかったが、香と長与千種は何度も落ちつつ努力を重ね、そのうちに意気投合して親交を深めて行く。
ーー
千種は親が借金して蒸発し、親戚中をたらい回しにされ、金の無いまま練習を続けていた。
香もまた、家に戻って来た五郎と揉めて帰れなくなり、2人でリングの下で寝泊まりをし始める。
香は五郎に勝てなかった悔しさから涙を流し、千種と共に「うちら、強くなるしかないね」と言って、諦めない事を決意した。
そして迎えたプロテスト。
香と千種の試合は白熱し、「バカにすんな!」と言い合いながらものすごい攻めを観せた。
松永兄弟はその迫力に押され、息を飲んで2人を見届けた。
父親のせいで、酷い日々を送っていた姉妹…。
そんな中で観たプロレスは、一筋の光だったのでしょうね。
ビューティー・ペアの時代の動画、観てみようと思いました。
観る者を惹きつけ勇気を与える、そんなレスラーは今でも多く存在しています!
エピソード2
ついに千種がデビューを飾る。
一方、未だデビューがいつになるか分からない香は、プロモーターの阿部四郎と一緒に全女の宣伝カーを運転していた。
同期の香、千種、トモ、本庄あかり、大森ゆかりは寮に入り、共同生活を始める。
そこへ来たジャッキー佐藤は「私はプロレスに誠実じゃなかった。本当はマキちゃんが残るべきだったよね。会社をねじ伏せるには、スターになるしかないよ」などと助言した。
ーー
阿部が高司に話を付け、ついに香のデビュー戦が行われる。
その相手はモンスター・リッパーという超ヒールレスラー。
彼女の暴れっぷりに付いて行けない香は、見事に負けてしまった。
そんな中、先輩レスラー・ラブリー米山達による、千種へのいじめが始まる。
当時のプロレスは空手などの打撃が御法度であったにも関わらず、耐えきれなくなった千種は蹴りを使ってしまい、さらに先輩達と険悪になった。
その後、突然蒸発したはずの両親が現れたが、千種は許す事は出来なかった。
香は、なぜか千種と共にラブリー達に仲間外れにされる。
そこで二人は、阿部からもらったホテルのビュッフェへ行き、ディスコにも行って禁じられている酒を飲んだ。
香は、クラブで踊る千種が眩しく見えた。
ーー
一方、ジャッキー佐藤の人気が低迷し、松永兄弟は新たなスターを見出そうとする。
現状、国松が育てた横田の実力が群を抜いていたが、高司はもう一度ジャッキーを輝かせるため、二人の試合を組みギリギリでジャッキーに勝たせようと考えた。
そしてジャッキー佐藤vs横田の試合が横浜で行われたが、横田が勝ってしまう。
実は俊国が横田に「上が詰まってたら新しいスターは生まれない。お前がジャッキーに引導を渡して来い」と囁いていたのだ。
どうしてもゴールデンのテレビ放映権を取り戻したい俊国と、あくまでプロレス興行を貫きたい高司とで意見が食い違う。
結局ジャッキーは引退を決意し、リングから去って行った。
そして横田は「ジャガー横田」、トモは「ライオネス飛鳥」と名付けられ、新たなスターとして打ち出される事となる。
ーー
トモは千種に髪を切ってもらい、「ライオネス飛鳥」としてのデビュー戦で千種と戦う事になった。
しかし心の折れた千種は、トモとの試合を最後に全女を引退しようと決意する。
二人は「自分らしいプロレスをしよう」と言って、千種は封印していた得意の空手を解き放ち、トモも今までとは違う激しいガチ試合をしようと約束する。
ーー
後楽園ホール。
香はセコンドに立ちながら、2人の勇姿が会場中を湧かせているのを目の当たりにする。
ハイキックなどの空手技、ジャイアントスイング、そしてバックドロップなどが炸裂し、第3試合ながらものすごい歓声が沸き起こった。
両者ダウンを乗り越え、最終的にはライオネス飛鳥が勝利したものの、千種にも多くの拍手が贈られる。
2人は手を繋ぎ、互いを称え合った。
その2人を見て奮い立った香は、俊国に「私はプロレスがしたいんです!私にプロレスをさせてください!!」と詰め寄った。
1983年のライオネス飛鳥vs長与千種。
クラッシュ・ギャルズ誕生のきっかけとして、有名な試合だそうですね。
毎年1月4日には、お隣の東京ドームで今でも新日本プロレスのビッグイベントが開催されているので、プロレスファンにとっては大事な日です!
親友二人の勇姿を観たダンプさんにとっても、忘れられない1日となったのでしょう。
エピソード3
ライオネス飛鳥と千種はタッグを組み、それまではタブーとされていた空手を取り入れ「今までに無かった激しい試合」をするようになる。
これが新たなスタータッグ「クラッシュ・ギャルズ」の誕生であった。
全女に客の入りが戻ってきたものの、テレビ局の臼井は「確かにすごいけどゴールデンという程じゃない。何かが足りないんだよなぁ」と言う。
そこで俊国は、ジャガー横田とデビル雅美を組ませようとするが「クラッシュ・ギャルズの噛ませ犬にはなりたくない」と2人に断られてしまった。
次に俊国は「父親を殺そうと思った」と言う香と、負けん気の強い本庄をヒールレスラーへ転向させようと思い付く。
そして、デビル雅美の指導のもと、2人はヒールレスラーとしてのノウハウを叩き込まれる事に。
怪我をさせない程度の凶器を使い、相手を流血させるのが鉄則だと教わった。
ーー
クラッシュ・ギャルズは歌手デビューも果たし、ビューティ・ペアをも超える人気を博した。
そして全女の試合に、デビル雅美率いる「デビル軍団」が登場する。
香と本庄も加わり、ヒールとしてのデビュー戦(vsビューティ・ペア)が始まった。
デビル雅美は本領を発揮し、千種の額を流血させるが、心根の優しい香は躊躇してしまい、ヒールレスラーとしてのプロレスが出来ない。
デビルにこっぴどく叱られ、千種に「ごめんね、大丈夫?」と恐る恐る聞いたが、千種はいつも通り「うちら親友やろ」と普通に接してくれた。
しかし香は、千種との距離を感じ始める。
そんな時、新人の中野恵子が、千種の雑誌記事を読み泣いていたので内容を聞くと、香と二人で行ったはずのディスコに「一人で行った。私は同期と打ち解けられず親友もいなかった。孤独だったけれど、それを救ってくれたのは飛鳥だった」と偽りの話が載っていて、大きなショックを受けた。
ーー
1981年、愛知県岡崎市の興業。
メインイベントはジャガー横田・ラブリー米山vsクラッシュ・ギャルズ。
ブック(台本)ではジャガー達の勝利だったが、ジャガー横田は「クラッシュ・ギャルズとブック無しでやらせろ」と言う。
自分には実力はあるが、華が無いと言われているのを知っており「クラッシュの引き立て役にはなりたくない、本気で戦いたい」と申し出た。
もちろん俊国達は首を縦に降らなかったが、横田はトモに「ブックなしで来ていいよ。千種にも言っておいて」と伝える。
千種はトモの話を聞かなかったが、横田の攻撃を膝で受け「ブック破り」をし、大歓声の中クラッシュ・ギャルズが勝利した。
試合後、激怒したラブリーは横田に詫びろと千種に迫るが、千種は「嫌です」と言い、トモは「今客を呼んでるのはクラッシュ・ギャルズだから、先輩達がリングを降りたらどうですか」と言い放つ。
トモは国松から「調子に乗るな!」と怒られたが、2人はそれでもめげずに「全女を変えたい」と言って笑い合った。
ーー
香は高司達に呼ばれ、「千種に買いてもらったサイン色紙を、お前の父親が売って『クラッシュギャルズに会わせる』と吹聴しているらしいぞ」と聞かされる。
どうにかしろと言われた香は実家に行くが、離婚すると言っていたはずの里子と広美は、病気になったという五郎の肩を持ち、あげく里子には「ろくに顔も見せないで偉そうな事を言うな」と言われてしまった。
香はパニックを起こし、広美と揉み合った際に部屋の壁が崩れ落ち、ダンプカーの上に落ちてしまう。
その後消息を絶ってしまい、全女スタッフはため息を付いていた。
ーー
デビル軍団とクラッシュ・ギャルズが試合をしていると、突然、金髪になり奇抜なメイクをした香が乱入する。
千種を鎖で絞めるその顔は恐ろしく、会場中が恐怖に陥った。
クラッシュ・ギャルズだけではなく、デビル雅美をも吹っ飛ばした香を見た阿部は「ダンプみてぇだ…」と呟いた。
そしてリングに上がり、血だらけになった千種の髪の毛を掴むと会場中から「帰れ」コールが沸き起こる。
しかし香はロープに跨り「黙れ!ガタガタ言う奴はぶっ殺すぞ!」と叫んでニヤリと笑った。
香が激怒して実家に行くシーン、ゆりやんにダンプさんが憑依しているようでゾクゾクしました。
心の優しい人が本当にキレると、こうなるのか…。
親友や家族にまで裏切られ、ダンプ松本が誕生しました。
そして、ジャガー横田もこんな苦労をしていたのかと驚き!
今やバラエティに出るお母さんですが、ものすごい強さを持ったレスラーでした。
エピソード4
1984年。
香はヒールレスラー「ダンプ松本」として頭角を現す。
チェーンなどを使いながらクラッシュ・ギャルズを攻撃しており、阿部四郎は悪徳レフェリーとして、あからさまにダンプ寄りの采配をした。
会場中は大ブーイングの嵐、「帰れ」コールは止まらない。
デビル雅美にも「お前らみたいなクラッシュ・ギャルズの太鼓持ちにはなりたくねぇんだよ」と悪態をついて大乱闘になり、デビル雅美はデビル軍団を解散した。
ーー
その後香は、大森と共に「極悪同盟」を立ち上げる。
ベビーフェイス・レスラーとの交流を絶ち、アンチからの壮絶な、カミソリなども仕込まれている誹謗中傷の手紙を壁に貼って、「極悪同盟は罵詈雑言を喰って生きるんだ」と言った。
民衆の敵となった香の実家は、「死ね」「ダンプ殺す」などといった落書きを描かれる。
イタズラ電話が鳴り響き、広美は付き合っていた彼氏に振られ、金髪にしタバコを吸う不良となって家出した。
五郎は病気で車に乗れなくなり、ダンプカーを手放す。
大家にも引っ越せと言われ、途方に暮れていた。
ーー
大ブーイングとは裏腹に、ダンプ松本が出場する試合は実入りが良い。
臼井は「ゴールデン行けるかも」と言ってニヤリと笑い、松永兄弟は浮かれた。
一方トモは「こんなの全女の試合じゃない。私はプロレスがしたい」と言うが、千種は「芸能活動もプロレスも全部含めてクラッシュギャルズの仕事だと思う。極悪同盟が凶器を使ったとしても、その分うちらが輝ける」と言って意見が対立してしまう。
そんな中、松永兄弟は全女のトップを決める「ジャパン・グランプリ」を開催する事に。
優勝者は、メキシコの遠征に行ったジャガー横田が持つWWWAベルトに、武道館という大舞台で挑戦する権利を得られる。
ーー
テレビのゴールデン枠でジャパン・グランプリが始まると、ダンプ松本は悪事の限りを尽くし順調に勝ち星を上げて行く。
前評判通り、千種と飛鳥もそれぞれ勝ち上がって行った。
しかしその最中、大森はついに香を見限りタッグを解消する。
そこで香は、自分の付き人だった中野の髪を剃り「ブル中野」として生まれ変わらせ、タッグを組む事に。
そして変わらず血生臭い試合をし、決勝進出を決めた。
ーー
千種は俊国に「武道館はうちしかおらん。飛鳥とジャガー横田さんの試合で、お客さんは喜ぶ?」と言い、ブックを作らせ自分が勝ち上がろうとする。
しかし飛鳥はその話に屈する事なく、王道プロレスで千種に勝利し、決勝進出を決めた。
そして迎えた決勝は、ライオネス飛鳥vsダンプ松本となり、実力の差を見せつけ飛鳥が優勝。
裏では香が怒り狂い、千種を攻撃しながら「なんで勝ち上がって来ねぇんだよ!ボコボコにしてやるのに!」と叫んでいた。
臼井は「全女は数字よりも実力を重視する事にしたんですね。地味な武道館になったな」と残念がるが、俊国が「社長、大阪は俺に任せてくれ」と言って、揉めているダンプ松本と千種を見つめた。
民衆からの敵意。嫌われ役をするのは簡単な事ではありません。
罵詈雑言を真正面から受け止めるヒールレスラーも、最強だと思います。
プロレスって勝ち負けだけじゃない、客の感心を持って行けるのが一流レスラー。
それでも、ダンプさんの心の中は蝕まれていた事でしょうね。
エピソード5
1985年。
大阪城ホールのメインイベントは、長与千種vsダンプ松本の「敗者髪切りデスマッチ」に決定。
ダンプは報道陣の前で鶏の丸ごと肉の首を切り「髪だけじゃなく息の根も止めてやるよ!」と叫んだ。
臼井は高司に頭を下げ、「ゴールデンでの髪切りデスマッチに上層部が難色を示した。千種はドラマとかもあるし、千種が勝つようブックを作ってくれ」と頼む。
香は1千万という報酬を提示され、ブックでの敗戦をあっさり承諾した。
ーー
しかし試合が始まると、ダンプが千種の得意技を奪う「掟破り」をしたり、結局ハサミを使ったりして荒れまくる。
すると千種もブチ切れて、一斗缶で香を殴り始めた。
しかし凶器となればダンプ松本の独壇場。
千種は血だらけになりつつもギブアップせず、飛鳥がタオルを投げ入れたがそれを拾っては投げ返した。
最終的にパイプ椅子で殴られダウンした千種は、自分を見下ろしているダンプを見ながら朦朧とする。
そのままレフェリーの10カウントで起き上がる事が出来ず、試合はダンプ松本の勝利となった。
そして阿鼻叫喚の地獄絵図の中、ダンプがバリカンで千種の髪を刈る。
その凄惨な結末に、観客やテレビの前の視聴者も涙を流した。
ーー
のちに伝説となったその大阪城ホールの試合は、視聴率20%を記録。
しかしその代償は大きく、局に苦情が殺到し、トヨテレは全女のプロレス放映を打ち切った。
しかし高司は香に「打ち切りになるくらい日本中を湧かせたんだ。これからも暴れて稼いでもらうぞ」と発破をかける。
一方、丸坊主になった千種。
飛鳥が声をかけるも「心配してるふりして、坊主になった私を見たいだけ」と言って塞ぎ込んでしまう。
飛鳥は「練習不足で、香に何の技もかけられなかったじゃん!もっと練習しなきゃ」と励ますが、千種は「ほっといて」としか言い返せなかった。
ーー
1986年。
新しく立ち上がったプロレス団体「ジャパンプロレス」で、ジャッキー佐藤が復帰すると発表。
高司は「恩を仇で返しやがって」と怒るが、千種とダンプ松本という二枚看板の人気は衰えていなかった。
ある夜、香が練習場へ行きリング下を覗くと千種の姿が。
2人は久しぶりに、昔のように寝転びながら、それぞれの想いを語り合った。
「ただ、強く生きるため。強くなるためにプロレスをする」
以前話した約束を再確認した。
その後、香は「ダンプ松本を引退する」、千種は「ジャパンプロレスに参戦する」と、それぞれ会社に相談せず自分の気持ちを発表する。
ーー
そして、後楽園ホールでダンプ松本の引退試合が行われる。
クラッシュギャルズがロープを上げ、ダンプを迎え入れた。
ダンプは変わらず千種にフォークを差し、一斗缶やパイプ椅子を振り回して、敵も味方もなりふり構わず攻撃する。
試合は無効試合となったが、飛鳥がマイクで「お前がやりたかった試合はこれかよ!?」と叫んだ。
ダンプは涙を浮かべながら「来い長与!お前とは敵同士じゃ終われないんだ!一緒に組んでやるぞ!本当のプロレスを見せてやる!」と叫んで、ダンプ松本&長与千種vs飛鳥&大森みゆきという夢のタッグ戦が始まった。
正攻法で戦うダンプ松本に沸く会場。
それぞれの想いを胸に、彼女達しか出来ない伝説のプロレスを観せつけた。
壮絶な髪切りマッチ、そして夢の引退試合。
当時のプロレス界の厳しさと、そこで芽生えた固い絆、友情が深く描かれており、最後には涙が流れました。
ダンプさんは、今でも「女子プロレス界を盛り上げたい」という信念のもと、芸能活動と並行しつつプロレスラーとして活躍しておられます。
極悪同盟が入場した際、会場内がグイっと持っていかれるカリスマ性は健在!
これからも生涯現役で、無理なく続けて行って欲しいです。