2023年11月23日公開の映画『首』は、北野武監督ならではの描き方が見どころの作品。
戦国時代の「本能寺の変」を中心に描き、織田信長(役:加瀬亮演)や羽柴秀吉(役:ビートたけし)などの動向が気になりますよ。
どんな映画?おすすめポイントを紹介!
首
- 未体験
- 4
- 感情移入
- 2
- 再鑑賞
- 3
- 予測不可
- 4
- サウンド
- 4
歴史上の出来事を北野武監督が描くとこうなるのか!と驚きも多い作品!恐ろしさもある当時の模様にハラハラします!
評価は年間100作品以上を鑑賞する執筆者こでぃもの実体験をもとにしています。
ストーリー
本能寺の変の前後の基本的な流れは知っていたので、戦いの際に登場人物たちがどう考えていたのかが見ものでしたね!
織田信長に対する秀吉、光秀、家康などの動向は特に気になりましたが…甲賀の忍、百姓といった者たちのストーリーもおもしろかったです。
演出
ちょっと血生臭い演出が多くて「あぁ…」という気分に!北野武監督なので身構えていましたが、「首がたくさん」という演出はやっぱり凄まじいですね!
信長や光秀の濃い描き方も当時の状況をリアルに表していたのかな~とも思いました。演出の凄さはある意味、高評価化もしれません!
音楽
尺八などの和楽器を使ったBGMや音楽が良かったなと!また、祈祷をするために踊るシーンもあるのですが、音楽と共に凄さを実感できますね。
ラストにかけて信長が能を見るシーン?があるのですが、その際の和楽器や「ダンっ!」と足をしっかり鳴らすシーンも印象に残ります。
おすすめポイント
北野武監督の他作品が好きな方には特におすすめの今作!また、歴史が好きな人は、見ごたえのあるシーンも多いと思いますよ。
ショッキングな描写が所々にあるので、目を背けながら見たい人はレンタル・配信を待つのもアリかな!
当時の歴史の流れや、基本的な登場人物について知らないと話の流れが難しく感じるかも…なので、公式サイトなどで登場人物を予習しておく方がおすすめで、映画を見た後に史実を調べるのも良いかもしれませんね。
以下より重要なネタバレを含みます。
ネタバレありで解説!
信長と村重
荒木村重(あらき むらしげ)は織田信長に仕えてきたが、褒美が摂津だけであることに不満を抱いたのが物語の始まり。親しかった明智光秀は村重をいさめましたが…ついに村重は謀反を起こしました。すぐさま制圧されますが、信長は光秀が彼をかばって逃がしたのではと考えます。
逃走した村重は曽呂利新左衛門(そろり しんざえもん)に捕まり、千利休の元に連れていかれ、その報を受けた光秀は彼を匿います。曽呂利と行動を共にしていた百姓の茂助は羽柴秀吉のように出世したいと考え、曽呂利と共に仕える相手を変えていきました。
村重と光秀の関係から、信長に対する謀反までの展開は映画冒頭にして驚きが多かったですね。演出などは北野武監督ならではというシーンも多かったと思います。
曽呂利と茂助の成り上がりの様子から、忍びらしい行動も見どころの一つ!彼らが笑わせてくれるシーンも良かったです。
秀吉の策略
魔王と呼ばれていた信長の仕打ちはひどいものがありましたが、「息子の信忠に跡目を継がせる気はない」と言って光秀たちは跡目を狙って仕え続けます。しかし、事態は変わっていくことに…甲賀の抜け忍だった曽呂利は秀吉の命を受けて里を訪ね、信長が息子に送った書状を入手。秀吉は弟の秀長と側近の黒田官兵衛と共に内容を確認しますが…そこには信長が跡目を譲るのは息子だと書かれていました。
官兵衛はその書状と曽呂利からの情報を踏まえて、光秀や徳川家康に信長と敵対するよう仕向けようと考えます。曽呂利は光秀が村重を匿っていることを知らせていたのが要因に一つでした。
信長は四国の毛利勢を攻め落とそうとしている秀吉を急がせ、一方で光秀に強く当たります。それを見た秀吉は光秀に書状の内容を伝え、信長に謀反を起こさせようと考えました。
また、官兵衛の発案の元、家康に光秀たちの動向を知らせつつ「天下を取らせてほしい」と頭を下げる秀吉…こうして信長との敵対が始まります。
秀吉を演じるビートたけしは、百姓上がりという雰囲気がよく現れているなと感じましたね。
弟を演じる大森南朋は、秀吉を「兄者」と呼んで慕いつつ、無理難題を言われてもサラッとかわす感じが良かったです。
黒田官兵衛を演じる浅野忠信はとても頼もしい!足を悪くしていなければ戦場での活躍も見れたかもなと思いつつ、3人の掛け合いが楽しかったなと思いました。
最期
家康は服部半蔵と本多忠勝に守られ、戦場では影武者を用意。信長の刺客に命を狙われたり、呼び出された際には食事に毒を盛られたりします。光秀は家康の暗殺に失敗したため、信長は彼を殺そうとしますが…「お慕いしていました」という言葉を聞いて殺すのを止めた…こうした中、本能寺で事件は起きました。
光秀は口の上手い村重を亡き者にし、信長のいる本能寺を焼き払って信長の首を探します。しかし、信長は従者の弥助に首をはねられており、首は見つからないまま…こうした中、秀吉は一連の報せを受け、内心では笑いながら光秀討伐のために動き始めました。
急いで四国との戦いを終わらせた秀吉は軍と共に姫路へ。そして、光秀は甲賀の忍びなどに狙われつつ山に逃げましたが、茂助を前にして観念して自ら首を斬ります。茂助は首を持ち帰ろうとしましたが、追剥のような輩に襲われて殺されました。秀吉は光秀が死んだか、持ち帰られてくる首を見やりますが…死んだ証拠が見つからず荒れた姿を見せるのでした。
家康は鯛を振る舞われて食事しているかと思われましたが…食べたフリをしていたのはさすがですね。信長や光秀の不穏な空気を悟ったのでしょうが、普段からの観察力が活かされていた気もしました。
そんな彼に仕える服部半蔵も頼もしい!影武者をすぐに用意したり、家康を確実に守ろうとしたり…主従関係の良さも伺えます。
信長の最期はまさかの展開となりましたが…光秀の最期も踏まえて、描き方が見どころだったなと思いました。
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アウトレイジ シリーズ
日本の暴力団内部の抗争、権力争い、裏切りをテーマにした北野武監督による映画。主人公は大友組の組長(ビートたけし)で、彼を中心に展開する複雑な人間関係や抗争が描かれています。物語は、日本国内のヤクザ組織だけでなく、政界や海外勢力との関連も絡めて進行していきます。
見どころは、群像劇の展開、過激なバイオレンスシーン、リアルな権力闘争ですね!血生臭さはヤクザならではという感じがします。
また、各キャラクターの深みある描写は、北野武監督ならではの演出・物語が反映されているのがポイントでしょう。
レジェンド&バタフライ
2023年1月27日公開の映画で、織田信長(木村拓哉演)とその妻・濃姫(綾瀬はるか演)を主人公にした壮大な歴史ドラマ。この物語では、政略結婚により結ばれた信長と濃姫の関係が、当初の不和から次第に強い絆へと変わっていく過程を描いています。
木村拓哉の演技が良い!信長の15歳から49歳までの人生を描く中、成長していく様子から「魔王」と呼ばれる所以に納得できる展開が見どころですね。
濃姫との関係性の変化も見逃せないポイントで、本能寺の変の最期は色々と考えさせられることでしょう。