2004年11月5日に韓国で公開された、映画『7番房の奇跡』
知的障害者である父としっかり者の娘、そして周辺人物を巻き込んだ、切ないヒューマンドラマ。
興行収入914億ウォン、1,280万人以上の観客動員を記録し、大鐘賞では主演男優賞など4部門を受賞した傑作です。
30秒のCMで泣ける涙腺最弱王のbeersyです!
『私の頭の中の消しゴム』同様「絶対泣ける」と話題の名作。
号泣必至ですが、感動というよりは悔しい想いの残るストーリーでした。
この記事では、映画『7番房の奇跡』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします。
『7番房の奇跡』の評価&感想
- 感動度
- 5
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 5
- サプライズ度
- 4
- 話題性
- 5
韓国の映画館で数多くの人が涙した、感動のヒューマンドラマ。
大鐘賞や百想芸術大賞、文化芸能大賞など数多くの賞を受賞しました。
また、主演のリュ・スンリョンの演技が高く評価された事でも有名。
障害者でありながら、娘をただひたすらに愛する一人のパパを見事に演じています!
また、娘・イェスン役のカル・ソウォンの迫真迫る演技にも脱帽。もらい泣きしっぱなし。
同じような作品で『アイ・アム・サム』が挙げられますが、筆者的には本作の方が心がしんどくなりました。
でも、7番房の囚人達はほっこりさせてくれます。少々のコメディが入っていて救われました。
あまり書くとネタバレになってしまうので言いませんが、個人的にはかなり辛く切ない作品だったので、精神状態が良い時に再視聴したいです!
※ここからネタバレ感想↓↓
もちろん全体的には温かく、感動的な作りなのですが、主人公が巻き込まれる事件があまりにも胸糞過ぎて…。
そんな二人を「奇跡」と呼ぶのが、ちょっとしっくり来ない。
奇跡と言うならハッピーエンドが良かったよ。(というか勝手に幸せなラストが待っていると思ってた)
それでも絶対泣けるから、死刑にはしないで欲しかった!!…という筆者の願望でした。
以下より重要なネタバレを含みます。
『7番房の奇跡』のネタバレ
父と娘
1997年2月。
イ・ヨング(演/リュ・スンリョン)は、知的障害者であながら娘・イェスン(演/カル・ソウォン)を懸命に育てている父親。
交通整備の仕事をし、しっかり者のイェスンと支え合いながら、貧しいながらも幸せに暮らしていた。
ーー
もうすぐ小学生になるイェスンは、近所の店頭に飾られている、日本アニメのセーラームーンが描かれたランドセルを買ってもらうつもりだったが、給料日の前に売れてしまう。
ヨングは理解出来ず店で暴れるが、後日そのランドセルを背負った警察庁長官の娘・ジヨンが、「別の店で売ってるよ」と言ってヨングを連れ出した。
しかしその道中、突然ジヨンが死んでしまう。
ヨングが拙いながらも蘇生しようとしていると、それを目撃した人が通報し、ヨングは幼女の誘拐殺人・わいせつ罪で逮捕された。
もちろんヨングはなぜ捕まったのかが理解が出来ず、取調室で「イェスンに会いたい」と言い続けるが、警察が誘導尋問しソンナム刑務所へと送られた。
ーー
ヨングが送られた「7番房」には、5人の囚人がいる。
- ヤンホ(房長)暴力団員・密輸 43歳
- ボンシク 夫婦スリ 38歳
- チュノ 詐欺 38歳
- カン・マンボム 姦通 36歳
- ソじいさん 当たり屋 60歳
ヨングは手荒い歓迎を受けてしまうが、ある日別の囚人に刺されそうになったヤンホ(演/オ・ダルス)を助けた事で、仲間として認めてもらえた。
そして、外界や金で釣った看守達と繋がりのあるヤンホが、助けてくれたヨングに「何をして欲しい?」と聞くと、彼は「娘に会いたい」と言うので、5人で協力しイェスンを7番房に連れて来る事を計画する。
そして、イェスンがキリスト教の保育園にいる事を利用し、その保育園の聖歌隊が慰問に訪れた際、イェスンを7番房へ連れて来る事に成功した。
もう辛い!子どもが死んじゃうシーンに耐えられない今日この頃。
ヨングとイェスンの固い絆にも涙が止まらない!
明らかに警察に闇がある事件ですが、7番房の5人はギャグ要員として盛り上げていただきたいです。
事件の真相
感動の再会を果たしたヨングとイェスンだったが、神父が倒れてしまいたった30分でお別れする事に。
ヤンホ達は「嫌だ」とグズる二人を説得し急いだものの、イェスンは7番房に取り残されてしまった。
その後皆んなで協力し合い、刑務官の目を盗み生活をしていたイェスンだったが、数日後に保安課長のチャン・ミンファン(演/チョン・ジニョン)に見つかってしまう。
イェスンは保育園に連れ戻され、ヨングは懲罰房へ異動させられたが、残った5人は協力者の看守達と一蓮托生なため、そこまでの罰は受けなかった。
しかし、騒ぎを聞いた他の囚人が暴れ出し、自分も父親に会いたいと叫び火を放つ。
その火事にミンファンが巻き込まれてしまうが、ヨングが助け出して一命を取り留めた。
入院先でそれを聞いたミンファンは、危険を顧みず炎の中から自分を助けてくれたヨングを、幼女を誘拐殺人、そしてわいせつをする悪人だとは思えなくなる。
ーー
ショックを受けたイェスンは何も食べられなくなり、入院してしまう。
保護している警官は「もう面倒見きれません。地方の施設で政府の助けをもらってください」とサジを投げたが、イェスンはミンファンに「遠くへ行きたくない。刑務所に入れてください」と涙ながらに訴えた。
心を打たれたミンファンは、全ての責任を負うと言ってイェスンを7番房に入れ、独自に事件の再調査をし始める。
実は、ミンファンの息子・ジヌクは、ミンファンが大事にしていた受刑者に殺されており、この事件を他人事とは思えないのだった。
当時の担当刑事であるパク班長に話を聞くと、ジヨンが警察庁長官の娘という事で、1週間で事件を解決しろと上から言われたと言う。
そして陳述書を見せてもらうと、明らかにヨングの字では無いと気付いた。
ミンファンは、意を決して長官に再調査を申し出る。
さらに、やる気のないヨングの国性弁護士に「彼はこれを書けるほど賢くない」と言って陳述書を見せ、無実を訴えた。
ーー
ヨングの最後の公判日が決まった。
それに向けて、7番房の仲間達はヨングの証言を聞き実験をしながら、事件の真相を追う事に。
そして、事件当日は極寒だったため地面が凍結しており、ヨングが転んで目を離した隙に、ジヌクも自分で転んだのでは無いかと推測する。
「ジヌクは転ぶ瞬間、咄嗟に目の前にあった屋根の上から垂れていた紐を掴んだところ、運悪く重しのレンガが結ばれており、ジヌクの額に落ちて来てしまったのでは?」
「ランドセルを背負った状態で背中から倒れると、後頭部に強い衝撃が来る」
「いずれにせよ、絞殺はおかしい」
また、ヨングがジヌクのズボンを脱がせたのは血液の循環を助けるためであり、彼に救命の知識がある事も判明。
ここまで分かって来たものの、うまく受け答えが出来ないヨングは、5人の手を借りて毎日供述の練習をする。
受刑者達の嘆願書も用意し、証拠や解剖結果を刑事が捏造したと訴えようとした。
ーー
しかし公判直前、長官から「罪を認めないと、娘を同じ目に遭わせる」と脅されたヨングは怖くなる。
そして尋問の際、練習した事が全て飛んで「僕がやりました。イェスンを助けて」と供述してしまった。
ミンファンが「違うだろ?なぜお前が謝るんだ!」と傍聴席から叫んだが、結局ヨングには死刑判決が下された。
いや、長官…。ミンファンに「私も息子を殺されました」と訴えられ、改心したのかと思ったら。
直接手は下していないけれど、発端となったヨングを憎む事で「娘の死」から逃れたい気持ちも分かりますが。
障害者を利用した刑事達の中に、良心のある者はいなかったのでしょうか。
ミンファンは息子を殺されたのに、冷静にヨングの事を見ていて凄い。これぞ警察の鑑ですね。
えん罪の証明
ミンファンや7番房の5人は為す術もなく、ヨングと普段通りの日々を送る。
イェスンはミンファンが面倒を見るようになり、ヨングと面会しつつ幸せに暮らしていた。
しかし非情にも、ヨングの死刑執行日が決定される。
それは12月23日で、奇しくもイェスンの誕生日なのであった。
ーー
年に一度刑務所で行われる、イベントの日がやって来る。
7番房の5人はヨングのために、他の囚人達にも協力してもらって、その日までに大きな気球を作り上げた。
そして当日、ヨングとイェスンは気球に乗り込み、空を飛びながら夕焼け空を愛おしそうに見つめる。
もはやミンファンや看守達も、二人の仲を見守っているのであった。
ーー
12月23日。
7番房では、少し早めのクリスマスマーティー兼、イェスンのバースデーパーティーを始めた。
ヨングは、念願だったセーラームーンのランドセルをイェスンにプレゼントし、娘と過ごす最期の時間を楽しんだ。
7番房に温かい時間が流れるが、死刑執行の時間がやって来る。
二人は号泣して抱き合い、何度も別れを惜しみながら離れた。
刑務所内にはヨングの「助けてください!ごめんなさい!」という声が鳴り響き、誰もが下を向いて悔し涙を流した。
ーー
ミンファンに引き取られて養子となり、成長したイェスン(演/パク・シネ)は、弁護士を目指していた。
それは、最愛の父であるヨングの無罪を晴らすためだった。
署長となったミンファンも手を尽くし、模擬裁判に臨む。
7番房の5人は出所後、それぞれ新しい道を進んでいたが、証人としてイェスンに協力した。
ーー
イェスンが7番房で見て来た事を明かし、皆んなが見守る前で無実を証明する。
検察からの証拠は乏しく、また責任能力などについても問われた。
そして、裁判の判決は無罪となる。
イェスンは見事に父の無念を晴らし、雪が舞う空を見上げた。
そこには、あの日のように気球に乗ったヨングと幼い頃のイェスンがいて「愛してる!バイバイ!」と言いながら微笑んでいた。
この結末で「無実になって良かったね」とはどーーーしても思えず、モヤモヤしっぱなしです。
イェスンはやっと決着を付けられて、どうやらスッキリしたみたいで良かったのですが、当時の長官も刑事も私は許せないよ…。
ヨングの悲痛な訴え、イェスンの泣き叫ぶ声が頭から離れませんでした。
しかしながら、このラストだからこその切なさ、やりきれなさ、問題提起などが深く描けたのかもしれません。
素敵な作品ではあったので、挫けず再鑑賞してみようと思います!
『7番房の奇跡』が好きな人にオススメのNetflix映画
映画『7番房の奇跡』のような、泣けるNetflix映画をピックアップ!
ロロ・アンド・ザ・キッド
筆者の中で、「王道で泣ける映画」の仲間入りを果たした感動作!
孫を想うじいちゃんが下した決断、主演二人の素晴らしい演技力。
フィリピン映画ですが、のめり込んでしまいました!
熱く語っていますので、こちらの記事もぜひご一読いただけたら嬉しいです♪