2025年10月3日公開の映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、監督ポール・トーマス・アンダーソンによる作品。元革命活動家のボブ(演:レオナルド・ディカプリオ)は娘ウィラ(演:チェイス・インフィニティ)と過ごしていましたが、軍人のロックジョー(演:ショーン・ペン)に追われることに…仲間らに支えられ、父と娘はそれぞれ行動を起こします。
ワン・バトル・アフター・アナザー
- 未体験
- 5
- 感情移入
- 2
- 再鑑賞
- 2
- 予測不可
- 5
- サウンド
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レオナルド・ディカプリオ演じるボブの懸命さと頼りなさそうな感じがリアル!娘に頑張れと言いたくなりました
評価は年間100作品以上を鑑賞する執筆者こでぃもの実体験をもとにしています。
『ワン・バトル・アフター・アナザー』は人気?どんな人が観ている?
土曜の午後の回で映画を見ると、男性のお客さんが多かったですね。席の埋まりは半分ほどで、「静かな緊張が続く人間ドラマ」を見たい人が多いのかもと思いました。派手なアクションよりも、人物の表情や沈黙、選択の瞬間に焦点を当てた演出が好きな人が楽しみやすいのではないでしょうか。
レオナルド・ディカプリオの演技を追うファンや、社会の分断や葛藤を描く作品を好む人にもおすすめですね。
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以下より重要なネタバレを含みます。
『ワン・バトル・アフター・アナザー』をネタバレありで解説!
ボブとペルフィディア
レジスタンス組織に所属するボブは、仲間たちとともに「フレンチ75」というグループの活動に参加していました。彼らは移民収容施設の人々を解放するため、強行手段も問いません。その活動の中で、ボブは黒人女性のペルフィディアと出会い、やがて恋人どうしになります。
二人は活動を続けながら娘を授かりますが、ペルは出産後も活動にのめり込んだ…そうしたある日、資金調達のために銀行を襲撃し、ペルフィディアは逮捕されます。
彼女は警察のロックジョーと司法取引し、仲間の情報を渡して証人保護プログラムを受けました。ペルフィディアの仲間たちは次々に逮捕・射殺される中、ボブは娘を連れて「バクタン・クロス」へ。新しい生活を始めます。

ペルフィディアがロックジョーと初めて会ったのは、移民収容施設でしたね。彼女の強気な態度に惹かれたのか、ロックジョーは事件の後もペルフィディアに執着…爆弾事件などを起こす彼女を止めるのではなく、ホテルに呼び出すとは驚きでした。
そんなペルフィディアとボブですが、仲が良かったですね。娘ができてからはペルフィディアが嫉妬しまったようで…ボブが懸命に赤ん坊を見るのは応援したくなりました。
ウィラ
16年後。ボブ名前を変えながら娘のウィラを育てていました。ボブは不安を紛らわせるため酒や薬に溺れ、ウィラは彼の教えを守りながら世話をします。ある日、ウィラは友人と一緒に学校のダンスパーティーへ。すると、ボブのレジスタンス仲間のデアンドラが彼女に声をかけ、「危険が迫っている」と言ってウィラを学校から連れ出しました。
同じ頃、ボブにレジスタンスからの電話が入ります。娘と合流しようとしたボブは、家の地下トンネルから脱出しますが、その直後にロックジョーの部隊が家を急襲。ボブは催涙ガスの影響を受けつつその場を離れます。
ロックジョーは、ウィラがペルフィディアとの間に生まれた自分の娘ではないかと疑い、事実だとしたら都合が悪かった…そのため彼は執念深くウィラを追います。一方ボブは娘の通っていた道場を訪ね、センセイに助けを求めました。センセイは移民支援や避難活動に関わっており、仲間を助けていたのです。ボブはレジスタンスと連絡をとり、合流場所である修道院の場所を確認しました。

デアンドラがウィラに声をかける際に、レジスタンス専用の機器や愛言葉を使っていたのが印象的。ウィラはボブから教わったことを覚えているのに対し、ボブはレジスタンスに電話した際に合言葉を忘れてしまって四苦八苦するのが対照的だと思いました。
ロックジョーは秘密結社に入るため、黒人女性と交わったことを闇に葬り去りたいようでしたね。この秘密結社は、白人至上主義的なカルトとして描かれていたようで、影響力が大きく、ロックジョーは是が非でも入りたそうにしていたのが印象に残ります。
ロックジョー
ボブは警察に捕まりますが、センセイの仲間によって救出され、車で修道院に向かいます。その頃、ロックジョーは修道院に到着。ウィラを拘束し、DNA検査をした結果親子であるとわかります。ロックジョーは証拠隠滅のため、ウィラの抹殺を決意…賞金稼ぎにウィラを引き渡しました。
賞金稼ぎは子どもを殺すことに抵抗を感じ、彼女を逃がします。一方でロックジョーは秘密結社の追っ手に撃たれ、車ごと真っ逆さまに…追っ手は次にウィラを追いました。車で逃げるウィラは機転を利かせ、追っ手を奇襲。射殺したところにボブが現れ、2人は車でその場を離れました。
死んだと思われたロックジョーは生きており、ケガを治した後に秘密結社へ。組織は彼を仲間にしようとはせず、密かに処分します。
ボブはウィラに母からの手紙を渡し、やがてウィラは、母のようにレジスタンスの活動に身を投じていき、物語は終わります。

ウィラは起伏のあるまっすぐな道を利用することを決意!車を停車させて離れると、追っ手の車がぶつかるという流れはハラハラしましたね。レジスタンス用の合言葉を返せなかった追っ手が撃たれる一連のシーンはウィラの凄さが伝わってきました。
ロックジョーは顔の半分が治りきっていないのが怖かったですが…秘密結社に入れたと思いながら安楽死のようにさせられたのが印象に残ります。
たくましいウィラとスマホを使い始めたボブは今後もしっかりと生きていくのかなと思いました。
『ワン・バトル・アフター・アナザー』に関連する作品ならこちらもオススメ!
『ワン・バトル・アフター・アナザー』に関連する以下の2作品もおすすめ!
マッドマックス:フュリオサ
監督ジョージ・ミラーによる『マッドマックス』シリーズの最新作です。アニャ・テイラー=ジョイが若き日のフュリオサを演じ、暴力と支配に覆われた荒廃世界を生き抜く姿を描きます。
故郷から奪われた少女フュリオサは、復讐と帰還を誓い、暴君ディメンタス(演:クリス・ヘムズワース)の軍団と対峙。砂塵の荒野と要塞都市を舞台に、エネルギーと自由を巡る争いを描きます。

灼熱の荒野を舞台に、追撃と反撃が絶え間なく続くサバイバル大作。撮影では実際の車両アクションにこだわったとのことです。巨大改造車が疾走する砂漠での追走戦は、スピードと執念のぶつかり合いが見ものですよ。フュリオサの冷静な判断と無言の決意などもお見逃しなく!
抑圧と自由、奪う者と抗う者の構図が明快なのも見どころ。『ワン・バトル・アフター・アナザー』の“逃れられない追跡の緊迫感”と響き合う感じや、困難にも立ち向かう女性の演技が楽しめる一作です。
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
実在事件をもとにし、監督マーティン・スコセッシによる歴史犯罪ドラマを描く作品。1920年代のオクラホマ州で、油田を得た先住民オセージ族が連続して殺害される事件を背景に、欲望と支配の連鎖を描きます。
白人の青年アーネスト(演:レオナルド・ディカプリオ)は、オセージの女性モリー(演:リリー・グラッドストーン)と結婚し、一族の財産を狙う陰謀に巻き込まれていきます。

静かな緊張に満ちた人間ドラマが見どころとなる映画!広大な平原と油田地帯を舞台に、権力者の邸宅や法廷、儀式といった場面や社会の構造という名の暴力を肌で感じさせますよ。
アーネスト・バークハート演じるレオナルド・ディカプリオは、弱さと欲望を併せ持つ複雑な男を繊細さが伝わってきますね。家族の愛や社会的なサスペンスの描き方が『ワン・バトル・アフター・アナザー』を思い出すかも、と思いました。