2024年11月1日に公開されたNetflix映画『いつか笑いあえるなら』
いつも怒ってばかりの母親、家庭を放置している父親、反抗期の娘とグルテン不耐症でやんちゃな息子。
バラバラになった家族を一つにするため、母のステラは家族旅行を計画する。
その真意とはー。
スウェーデンのハートフル・ヒューマンドラマ。
最近眉間の皺がものすごく増えたbeersyです!
公開後、ネトフリランキングからすぐにいなくなってしまったのですが、とても評価の良い作品。
ステラと自分が重なって、心が苦しくなりました…。(子供には優しくなれた)
この記事では、Netflix映画『いつか笑いあえるなら』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします!
『いつか笑いあえるなら』の評価&感想
- 感動度
- 4
- 脳トレ度
- 2
- 再鑑賞度
- 4
- サプライズ度
- 4
- 話題性
- 3
主演・ステラ役のヨセフィーヌ・ボルネブーシェが、監督と脚本を手がけた本作。
ほっこりファミリードラマかと思いきや!前半はとにかく苦しい。
ステラと同じく二児の母である筆者が観ると、共感し過ぎてえずきそうになりました…オェっと。
よくあるファミリードラマよりも、とってもリアルに描かれていると思います。
そして夫・グスタフのダメっぷりも凄まじい。
かなりイライラしてフラストレーションが溜まりまくりますが、先が読めてしまうご都合主義的要素は否めないものの、そこからのストーリー展開が最高でした。
ネタバレとなるためここでは詳しく書けませんが、育児に悩んでいる母達仲間達にぜひ観ていただきたい!!早速ママ友達に薦めるぞ!!
見終えたあとは優しい気持ちになれました。本当心に来る温かいドラマです。
以下より重要なネタバレを含みます。
『いつか笑いあえるなら』のネタバレ
ガタガタな家庭環境
ステラは、反抗期の娘・アンナと、イヤイヤ期でやんちゃな息子・マンネを育てる二児の母。
アンナは派手なファッションに身を包み、仲の悪い両親を毛嫌いしている。
マンネはセリアック病(グルテン不耐症)を患っており、食事を作るのも一苦労だ。
しかし夫でセラピストのグスタフは、職場の女性と不倫をしており家の事には全く手をつけない。
そして、日々育児に追われているステラに向かって突然離婚を切り出した。
ステラは「今は別れない。関係が修復したら考えてあげる」と強がるも、1人になって号泣する。
子供たちの幼い頃の写真を見返し、まだ幸せだった頃を思い出していた。
ーー
アンナはポールダンスを習っており、遠くで行われる大会に出場する権利を得る。
そこでステラは、家族で応援に行く事を計画し、全く乗り気でないグスタフを連れ出した。
まずは飛行機に乗り、義実家へ。
飛行機の中でも、マンネは大暴れでグスタフは何もせず、ステラは疲労困憊。
義実家に着くと、良好な関係のはずの義母に嫌味などを言われ、しかもグスタフと義母が言い合いを始めたため、さらに疲労感が増した。
翌日はホテルに泊まる事になり義実家を出発。ステラは、手を振って見送る義母を見つめた。
ーー
ステラは申し込みのため大会主催者と話しており、グスタフが子ども2人とガソリンスタンドに立ち寄る。
しかし不倫相手から電話が来たため、2人をスタンドの店内に置き離れたところで電話をしていた。
そしてステラが戻ると、マンネがいなくなっている。
幸い近くで見つける事が出来たが、子供より浮気相手を優先した事で言い合いになった。
「父親らしく振る舞って」と言われたグスタフは開き直り、「じゃあ笑顔でやってやるさ!!」と言って妙なハイテンションで車を出した。
筆者がえずきそうになったのはこのあたり。笑
最初にいきなり離婚を切り出され、トイレで泣くステラを見てあまりの辛さに顔をしかめました。
そして、ぐずってふざける子供を連れて乗る飛行機や電車…周りの目を気にして神経すり減るんですよね。
さらには義実家。
世代の違う人との子育ての仕方や価値観の相違、これで衝突してしまうとどうしようもない!
しんどくて、観るのをやめようかとさえ思いました…。
心境の変化
ホテルに着くと、アンナがグスタフに預けた荷物が無い事に気が付く。
大会用の衣装などが入った大切なバッグを、彼が空港に忘れて来てしまったらしい。
アンナは「パパは役立たずよ!私のことなんか何も知らないしどうでも良いのね!」と号泣、ステラも呆れ果てる。
グスタフはアンナを宥め衣装を買いに行き、そこでも変な物をチョイスして叱られるが、なんとか彼女が履きたい「ゴールドのホットパンツ」を用意しようと考えた。
その後、グスタフはステラに「君が僕のする事を全てやり直すしやらせてくれないから、子供の世話が出来なかった。その役目を貰えなかったから、子供達の事を知らない。君は自分が全て正しいと思っているし、全て自分でやらないと気が済まないんだ」と愚痴る。
そして「もっと正気を保って欲しい。人生は思うように行かない事もあるし、自分を通すのには限界があるんだ」と伝えた。
ステラは「…責任を放棄したら楽だわ。あなたがやって」と返し、話し合いは平行線を辿った。
ーー
翌日、アンナは大会の練習へ行き、ステラとグスタフは会場の飾り付けを手伝う事に。
そこでグスタフは、主催者女性の夫がサボりながら「とりあえず妻の言う事は聞く。しかし実はやっているフリをして何もしていない。頭を使っているんだ。僕も妻も幸せなら人生は楽だ。彼女を愛しているしね」と話しているのを聞き、なんとなく心に刺さりステラを見た。
すると彼女は、なんだか具合が悪そうにしている。
会場を出てトイレに行ったステラは、人知れず朦朧としながらモルヒネを飲んでいた。
グスタフはそんなステラに、珍しく優しく接するのだった。
ーー
大会の前夜祭が開催され、ステラ達も参加する。
グスタフがマンネの食事を忘れてしまい、ステラは「取りに戻るから車の鍵を」と言うが、グスタフは「これがまさに昨日話していた状況だ。君はマンネが空腹だと言うと世界が崩壊する。グルテンフリーのものを作れないか、店員に聞いてみればいい。もっと楽に考えてみて、自分を解き放つんだ」と諭した。
そこでステラは「…分かったわ、やってみる」と戸惑いつつもマンネを彼に任せ、酒を飲み思い切り前夜祭を楽しむ。
しかし、グスタフが目を離した隙にマンネがパンを食べてしまい苦しみ出した。
彼はすぐさま病院に連れて行き、事なきを得る。
アンナはステラが目立っている事に腹を立て「付いて来ないで欲しかった。人生をママに支配されていて嫌だ!」と泣き叫ぶが、ステラは「ママが間違ってたね。ごめんなさい。でも私は、私達は、あなたが何をしても応援するし誇りに思う。あなたの幸せが私の幸せ。だからそんなに怒らないで、もう耐えられない」と泣きながら伝えた。
母の涙を見たアンナはステラを抱きしめ「ごめんなさい」と言って和解し、一緒に帰り思い切り甘えた。
ーー
マンネがおもらしをしてしまったので、グスタフは彼が被っていたマスクを履き、自分のズボンを履かせて帰宅。
その格好に思わず笑ったアンナとステラ。
久しぶりに家族に笑顔の光が灯った。
しかしステラは、やはり体調が悪くフラつきながらモルヒネを飲む。
一方グスタフは幸せを再確認し「やっぱり家族を捨てられない」と、心からこの家族を愛している事に気が付いた。
そして不倫相手に別れの連絡を入れ、家族を裏切ったという罪悪感に襲われながらも、ステラともう一度やり直そうと思った。
グスタフが愛娘の大切な荷物を忘れてやーーっと「本当の幸せ」に気付きましたね。ダメ男だ…。
ただ、彼の「君は自分が全て正しいと思っている」という言葉は心に刺さりました。
確かに自分のルールを勝手に作って、良かれと思ってやっている事が、実は本人にとっては違う事なのかもしれない。
どの口が言う?お前がそれ言う?とイラっとしましたが、一理あるのでステラも言葉を失ったのでしょうね。
でも、ステラモルヒネ飲んでるじゃんよぉ…もう長く無いじゃん…。
そっち系のストーリーになるのか〜と、またしても辛くなりました。
母という存在
大会当日、緊張しているアンナを笑わせるグスタフ。
ショーが始まると、ステラは涙を流しており、グスタフは妻の手を握った。
アンナは主催者の息子・ガブリエルと共にショーを盛り上げ、素晴らしいパフォーマンスを成功させる。
結局優勝者はガブリエルとなったが、アンナは彼と親しくなり、そして達成感に満ちていた。
会場にはグスタフの母も来ており、「セリアック病の事は検索したから大丈夫よ。たまには2人の時間を過ごして」と言って、マンネを預かる。
アンナはガブリエルとお祝いをする事になり、ステラとグスタフは2人きりとなった。
ーー
グスタフは、ステラが子供を構うばかりで、自分を見てくれなくなり寂しかった事、次第に自分の居場所が無くなり、役立たずだと思っていた事を打ち明ける。
そして、ステラを、家族をたくさん傷付けた事を謝罪した。
一方ステラは、家族のためにどれだけ自分を犠牲にして来たかを知って欲しかった事、いつも怒ってばかりでごめんなさいと、本当の想いを伝え合った。
やっと和解した夫婦。その日は、何も考えずに2人きりの時間を楽しむ事に。
久しぶりにキスを交わし、同じベッドで眠りについた。
翌日の夜、グスタフは再度ステラに気持ちをぶつけようとする。
しかしステラは、「もう遅いわ。よく聞いて、私は癌を患っているの。でも大丈夫よ」と明かした。
ーー
ーー
ステラは抗がん剤の影響で髪が無くなった。
しかし家族はひとつになり、子供たちも病室を訪れては母に甘えている。
しばらくして、ステラはこう語った。
ーー
母親の使命は、ダメだと分かっていても〝大丈夫だ〟と言う事。
愛する人が去るよりも、愛する人から去る方が辛い。
自分がいなくなったら、子供たちは責任を感じてしまうのでは?
母親のいない生活を乗り越えて行けるのか?
夫は1人で子供の世話を出来るのだろうか?
病を明かす事で、夫は自分を憐れみ、間違った理由で一緒にいる事になるのではないか?
全ての事が怖かったけれど、今なら分かる。
子供達も、夫ももう大丈夫だと。
私はもうすぐいなくなるけれど、もう怖くは無い。
ーー
そう語った彼女は、のちにこの世を去った。
ーー
ーー
グスタフがアンナに「ポールは持った?ホットパンツは?急いで」と声をかけ慌ただしく動いている。
アンナは「うるさいわね、持ったよ」とぶっきらぼうに返事をしながら、外へ出て行く。
外にはグスタフの母が車を付けており、「9時間乗るけど大丈夫?」と後ろに乗ったグスタフ、アンナ、マンネに声をかけている。
グスタフはしっかりと全員のシートベルトを締め、一呼吸したのち「大丈夫だ」と言って微笑んだ。
グスタフもそうだけれど、アンナは母への態度にかなり後悔したのではないでしょうか。
綺麗にまとめられていましたが、そこだけが心配でした。
でも、人生って後悔の連続だよな…こういう事もアンナには必要だったのかな、とも思ったり。
悲しい結末でしたが、ステラが身体を張って伝えたかった事が理解出来ました。
ちょっと肩の荷を下ろして、周りに頼って、日々頑張っているお母さんが笑顔でいる事が、家族にとっての1番の幸せなのでしょうね!
『いつか笑いあえるなら』が好きな人にオススメの映画
映画『いつか笑いあえるなら』が好きな人にオススメの、家族をテーマにした作品をピックアップ。
コーダ あいのうた
「ろうあの親を持つ子供」という意味のコーダ。耳の不自由な家族を支え、通訳係の少女が夢を見つける…。
ゴールデングローブ賞やアカデミー賞を受賞した、感動大作!家族の温かい絆が痛いほど伝わって来ますよ。