2025年1月17日に日本で公開された映画『サンセット・サンライズ』
世界中がロックダウンした、2020年のコロナ禍。
リモートワークになった晋作は、大好きな釣りを堪能するためお試しで宇田濱町に移住する。
東日本大震災を乗り越えようとする地方の人々と、打ち解ける事が出来るのか?
楡周平原作の「サンセット・サンライズ」を原作とした、ヒューマン・コメディムービー。
- 監督:岸善幸
- 脚本:宮藤官九郎
- 主演:菅田将暉、井上真央

修学旅行で東北を満喫した事があるbeersyです!
でも、まさかあんな事になるとは思いませんでした。
今でもあの衝撃を思い出すと辛いので、視聴を迷いましたが…。
さすがはクドカン。シリアスになり過ぎず、それでいて想いのこもった作品でした!
この記事では、映画『サンセット・サンライズ』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします!
『サンセット・サンライズ』の評価&感想
- 感動度
- 5
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 4
- サプライズ度
- 4
- 話題性
- 5
2011年3月11日に起きた東日本大震災。
確かにそこまでの打撃を受けなかった都会の人間や、当時幼かった若い子にとっては、「過去」なのでしょう。
でもなんとなく、大人達も深刻そうにするから、タブーに感じているという人も多いのではないでしょうか。
本作はそんなセンシティブな要素と、全世界が振り回された、新型コロナウィルスのパンデミックをも題材としています。
筆者は都会側の人間ですが、3.11の事は未だに思い出すと辛いので観るのをためらいました。
しかし、宮藤官九郎さんが一歩踏み込んだ流石の脚本を書いてくれた!!
震災で大打撃を受けた宮城県出身、同時に第一線で活躍している人だからこそ書ける、説得力があるストーリーです。
東北の人に言ってはいけない事、都会人との確執、「ぶっちゃけた」会話を盛り込んでいて、リアルな内情を知れました。(宇田濱町は架空の町ですが)
そして、陰湿な悪キャラが出て来るのではなくて、晋作や百香含むどのキャラも本当に愛くるしくて憎めません。
さらには飯テロ映画としても楽しめる!!作中に出て来る料理や海鮮は何もかもが美味しそうで、酒が飲みたくてたまらん!…となるので注意。
演じている俳優陣も豪華ですし、とにかく心が動く作品でした。勇気を出して観て良かった…!
以下より重要なネタバレを含みます。
『サンセット・サンライズ』のネタバレ
憧れの田舎暮らし
2020年。
世界は新型コロナウイルスのパンデミックに陥っていた。
宮城県沿岸部の南三陸・宇田濱町の役所に勤める関野百香(井上真央)は、近年増え続ける「空き家問題」を任される。
そしてまず手始めに、自分自身も持つ空き家を賃貸に出そうと決意。
4LDK・家賃6万円でネットに投稿してみると、すぐさま返事が来て「ぜひ内見を!」と言われる。
百香は悩みやっぱりやめようとするが、その空き家にはすでに1人の男性が入ってはしゃいでいた。
彼の名前は西尾晋作(菅田将暉)。
東京に本社を構える大企業・シンバルの社員で、大の釣り好きだ。
宇田濱町の職員は、首都圏の人間と接触すると自宅待機を命じられるため、百香は過剰なまでに晋作から離れ除菌をする。
そして2週間だけ百香の空き家に住み、「食事等は届けるから自主隔離をしてください」と命じた。
ーー
しかし晋作は、どうしても釣りがしたくて海に行き、魚を釣り上げては歓喜していた。
晋作は帽子、マスクにサングラスをかけていたが、数々の目撃情報などから「百香の家に誰かが入った」と噂になる。
特に、居酒屋「海幸」の店主・倉部健介(通称:ケン/竹原ピストル)や、山城進一郎(山本浩司)、百香の同僚・平畑耕作(好井まさお)、高森武(通称:タケ/三宅健)からなる「モモちゃんの幸せを祈る会」の男達は、百香に寄って来る者に目を光らせていた。
また、晋作の家(百香の空き家)の隣の村山茂子は、晋作と物々交換を始め仲良くなって行く。
次第に噂は大きくなり、晋作の存在が公になると「百香が同棲している」という話が広まった。
ーー
自主隔離期間が終わり、百香は晋作を父・章男(中村雅俊)と住む家に誘い料理をふるまう。
晋作はその美味しさにただただ感動。
また、海幸にも顔を出すと、ケンが様々な料理を出した。
晋作は持ち前の明るさで、だんだん宇田濱町に馴染んで行く。

物おじしないZ世代!晋作のように人懐っこい子が多いんですよね。
するっと周りの人と馴染むこの才能があるからこそ、大企業に採用されたんだろうな…。
コロナ禍の百香の対応は、「あったな〜」と懐かしく思いました。お金にも菌が…というのは、未だに気にしてしまいます。
また、「幸せを祈る会」そして茂子さん、町内スピーカーの重蔵おじいちゃん。
おせっかいなんだけれど温かさがあって、ほっこりしました。
空き家の有効活用
山に入ればクマが出る。足りないものがあれば山や海で採る。近所で分け合って生活する。
そんな田舎暮らしをしていた晋作の噂を聞きつけ、シンバルの社長・大津誠一郎(小日向文世)が「リモートワークが広がりつつある今、地方の空き家を賃貸にすれば人の分散に繋がる」
「空き家問題も解決すれば役所も助かるし、貸す側は持て余した家が収入となるし、借りる側は安く田舎暮らしが出来る。これは新ビジネスに繋がるよ」と提案。
晋作は突然の話に戸惑っていた。
ーー
茂子から「あの家に住むという事は、大変な事なんだよ」と教えられた晋作は意を決し、章男に百香の過去の事を聞く。
実は百香は、章男の長男と結婚し子供2人に恵まれていたが、3人と実家までもを東日本大震災の津波で亡くしていた。
晋作が住んでいる家は、百香の家族が住んでいた家だった。
ーー
しばらくすると茂子が突然亡くなった。
すると、葬式に大津が現れ、百香に直接「空き家活用ビジネスをやりましょう!」と持ちかける。
空き家問題に悩んでいた百香も承諾し、晋作と共に町中の空き家の点検をした。
ーー
茂子の息子が東京から戻り、空き家の話を一度は受けるが、思い出に触れるうちに「やっぱりこの思い出を無くしたくないから、一年に1〜2回帰ります」と断ろうとする。
そこで晋作は「部屋の中の物はこのまま貸し出して、ご家族が戻られる際には数日お返しする…というのはいかがでしょう」と提案。
茂子の息子は「そんな事が出来るなら。管理もしっかりとお願いします」と笑顔を見せた。
しかし、点検により空き家をA〜Cランクに分けられた事で住民が揉め始め、「百香は西尾に騙されてるんじゃないか」という意見が出る。
一方、宇田濱町の対応が遅いため、シンバルの晋作の同僚達も苛立ち「被災地の人って、やってくれて当たり前みたいな節ありません?」などという暴言も飛び出した。

茂子おばあちゃんの亡くなるシーンは号泣。辛かったですが、老人が亡くなる事への「慣れ」のような雰囲気を感じました。
地方に限らず、もっと年を取ったら慣れて行くものなのかしら…。
百香の過去も、想像するだけで辛くて吐きそう。10年以上経っても、前を向きたくても向けないと思う。強い女性だ。
東北の人々の想い
ケンは、百香の同僚である仁美(池脇千鶴)に「祈る会、このまま祈るだけでいいの?」と言われ、「こじれた時は芋煮だ!」と言って芋煮会を開催する。
晋作は、その会に自分の同僚達と共に参加した。
しかし、そこでまた言い合いになり、百香は「夫が建てた家を貸しただけなのに、なんでこんな辛い思いをしなきゃならないの」と嘆く。
晋作は「俺は、空き家問題も周りの事も、ついでに震災の事ももうどうでもいい!ただ百香さんが好きなだけ!過去を大事にするのは悪い事じゃない。だた、震災の話しになると、俺ら外の人間はどうしたらいいか分からなくなって…」と思いの丈をぶちまけた。
するとケンが「今まで東京の人は、東北の事なんて見てなかったでしょう。でも震災のあと、東京の人がたくさん来て、今まで見てなくてごめんねって顔してた。有り難かった。コロナで人は減っちゃったけど、旨いご馳走も綺麗な景色も逃げないから、たまに見に来てくれればいい。ご馳走用意して待ってるから」と訴えかける。
そこにいた皆んなが涙を浮かべ、最後は温かい芋煮を楽しみながらいただいた。
ーー
数ヶ月後、茂子の家のリフォームが完成し、息子達にリモートで報告すると「母ちゃんの思いを、西尾さんが生き返らせてくれた」と大喜び。
空き家プロジェクトは上々だったが、大津は晋作に「君は4月からは本社勤務だ。バリバリ働いてもらうよ!」と辞令を出し、百香も「ちょうどもうすぐで丸一年です。賃貸の更新はしないですよね」と言った。
しかし晋作は「しません!」と慌て、勢い余って「百香さんと結婚してここに住みたいのに」と言ってしまう。
百香は激しく動揺し、それでも晋作は「結婚してください!」と言うが、「私は結婚は2回目、子供産むなら3人目!あなたが気にしなくても私は気にする!」と言って断った。
プロポーズに失敗した晋作は東京に戻り、本社でバリバリ働く。
百香は変わらず、役所で空き家運用を担当する事になった。
ーー
ーー
コロナ禍が落ち着き、感染症部類が5類に引き下げられる。
それぞれの日常を送っている中、百香はまた自分の空き家を賃貸に出した。
すると、以前と同じ文章で「内見させてください!」と連絡が入る。
急いで空き家に戻ると、そこにはあの時のように晋作がいた。
百香はその胸に飛び込み、とびきりの笑顔を見せる。
ーー
晋作は、百香と結婚はせず章男の養子になる。
章男は重蔵に「どういう事だ?」と言われたが「3人が自分の事を考えた結果、このようになったのでお構いなく!」と返答し笑った。
晋作は章男を「お父さん」と呼び、船で漁に出かけるのだった。

あまり色恋ストーリーはいらんなぁと思っていたので、このラストには納得しました。
百香の立場で考えたら、まだまだ家族の事を引きずるでしょうし。
養子というのも、晋作が次男だからこそ出来る事ですし、そこはご都合主義という事で。笑
個人的に、ケン役の竹原ピストルさんが最高にハマり役で、河原のシーンも心から感動しました!
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マンジャーレ! ~ノンナのレストランへようこそ~
実話をもとにした、超〜飯テロ映画。
都会から島にやって来た男性が、シェフを雇わずノンナ(おばあちゃん達)の料理を提供するレストランを開く。
おばあちゃん達が作る料理に釘付けになります!!