2023年8月25日にアメリカで公開された映画『リッキー・ヒル 奇跡のホームラン』
変形性脊椎症を患っている少年・リッキーが、夢に向かって諦めずに突き進む。
しかし牧師の父は、病気を心配し許す事が出来ないー。
リッキーは神への信仰と野球を両立し、マウンドに立てるのか。
マイナーリーグに在籍した野球選手「リッキー・ヒル」の実話をもとにした、スポーツ・ヒューマン・伝記映画。
伝記映画に心を打たれがちなbeersyです!
特にスポーツ選手の伝記映画は、苦労の連続なのに夢を追い続けていてパワーをもらえますよね。
本作は、大きなハンディを背負いながら奮闘する「リッキー・ヒル」のストーリーです!
この記事では、映画『リッキー・ヒル 奇跡のホームラン』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします!
『リッキー・ヒル 奇跡のホームラン』の評価&感想
- 感動度
- 4
- 脳トレ度
- 2
- 再鑑賞度
- 4
- サプライズ度
- 4
- 話題性
- 3
変形性脊椎症は、脊椎(背骨)が変形してしまい、痛み・運動障害を引き起こす疾患。
過度の負荷によるもので、激しい運動や加齢が原因となるそうです。
しかしリッキーは生まれながらにしてこの病を持ち、矯正具を必要とする生活を送っていました。
そんな彼が持った夢は「野球選手」。
それはそれは苦労するのですが、本作は「牧師の父親との確執」に焦点があてられており、神への信仰もテーマとされています。
この父親が腹の立つほど頑固なのですが、リッキーの想いが父を変えて行く…。
昔の話なので「父親が絶対的存在」という風潮は仕方ないのですが、この家族ずっと不憫だなと心苦しくなりました。
もちろん命に関わるのではないかという、心配な気持ちも分かるんですけどね。
そんな父親を演じるのは『デイ・アフター・トゥモロー』『僕のワンダフル・ライフ』のデニス・クエイド。
彼の圧倒的な演技力も相まって、イライラしてしまいました。笑
そしてリッキーを演じるのは、声優としても活躍しているコリン・フォード。
彼は増量し、リッキーのバッティングを研究して役に臨んだそうです。
また、劇中スカウトマンが数人出て来るのですが、その中にご本人が登場!
昔の自分を見守っているような眼差しが、とても印象的でした。
(ちなみに本作の制作総指揮も務めているそうです)
スコット・グレンや、ジョエル・カーターといった豪華俳優陣にもご注目。
スポーツ好きな方にはオススメの一作です!
以下より重要なネタバレを含みます。
『リッキー・ヒル 奇跡のホームラン』のネタバレ
野球への想い
父・母・母方の祖母・兄・妹と暮らしているリッキーは、変形性脊椎症を患い矯正器具を付けながら生活しているが、野球が大好き。
彼はいつも兄のロバート、妹のコニーに見守られながら、枝で石を打って練習に励んでいた。
父のジェームズは厳格な牧師で、献金をもらいながら貧しい暮らしをしており、野球選手を目指す息子が大怪我をしたり、人々の笑いものになって傷付く事を恐れ、夢を追う事に猛反対している。
それでもリッキーは隠れながら、こっそりと街の店のテレビで流れるプロ野球を観に行ったり、野球カードを集めたりして憧れを募らせていた。
ある日、リッキーが特大のホームランを打つと、遠く離れた車のフロントガラスに石が当たり割れてしまったため、謝りに行く。
すると車の持ち主の男性・レイが、「君がこんな遠くまで枝で石を飛ばしたのか。すごいな。“神童”という言葉を調べてごらん。君の足が治って野球選手になったら、応援に行くよ」と激励。
リッキーは益々野球が好きになったが、やはりジェームズは頑として認めなかった。
ーー
リッキーには両想いのガールフレンド・グレイシーがいた。
彼女の父親は酒乱で有名だが、グレイシーはリッキーを慕い「彼氏」と呼んでいる。
しかしある時、ジェームズが教会でタバコを吸うグレイシーの父親や、嚙みタバコで唾を吐きながら説教を聞きに来る住民に「やめて欲しい」と注意すると、彼らは激怒して一家を街から追い出そうとした。
ヒル家は引っ越しを余儀なくされ、リッキーはグレイシーと別れる事になってしまう。
ーー
一家が路頭に迷っていると、ある老夫婦が助けてくれる。
するとその夫が、弟が住んでいるテキサス州ボウイの教会には、牧師がいないからどうかと仕事を紹介した。
しかしそこは「誰も行きたがらない教会」であり、教会も隣接する家もボロボロ。
それでもヒル一家は、藁をもつかむ思いでその場へ行った。
ーー
リッキーがロバートと共に、野球をしている子ども達に「入れて欲しい」と声をかけると、ピッチャーの男子がリッキーの矯正具を見て「ロボットじゃないか」と言ってあざ笑う。
リッキーは「君の球を打ったら入れてくれ」と挑戦し、二球空振りをしたものの、窮屈な矯正具を壊して痛みをこらえ、三球目で見事なホームランを打って見せた。
悔しがったピッチャーは「お前は使い物にならない!」と約束を破り唾を吐き捨てるが、監督はリッキーのバッティングを見て感心する。
実はその監督は、以前リッキーに車のフロントガラスを割られたレイだったのだ。
しかし、彼のチームに入るためには親の承諾書が必要で、リッキーとロバートはサインを偽造する。
それはすぐにジェームズにバレてしまったが、レイはヒル家へ行き「私は牧師を13年務めていたから、奇跡がどんなものか知っています。リッキーは奇跡です。どうか彼の才能を奪わないでください」と説得した。
そしてリッキーは「僕は神様と野球どっちもとる。神様が僕に才能を与えてくれたんだ」と力説し、ジェームズを悩ませる。
ここまで説得されても首を縦に振らないジェームズに、ずっとイライラ。
大怪我を心配するのは分かりますが、どうしても「牧師を継がせたい」という自分の気持ちが先行しているような気がします。
信心深いのは良い事だけれど、「子どもにとっての本当の幸せ」を見失ってはいけないなと考えさせられました。
巡って来たチャンス
1973年。
高校生になったリッキーはバッファローズというチームで、打率四割を超える野球選手となっていた。
変わらずジェームズは反対していたが、リッキーは他の家族やレイの協力のもと、夢へと突き進む。
するとそこで、幼い頃離れ離れになったグレイシーと再会。
彼女もまた、未だ父親との確執はあるようだが、リッキーの事は想い続けていた。
ーー
リッキーには実力があるもののスカウトが来なかったため、レイがスカウトマンを呼び寄せる。
するとリッキーは期待に応え、スカウトマンの前で実力を発揮し大活躍。
グレイシー、ロバート、コニーは大喜びで彼の成功を確信した。
しかし、またしても彼に悲劇が襲い掛かる。
球を取ろうとして飛び出ていたスプリンクラーにつまずき、大怪我をしてしまったのだ。
医師は、リッキーの足の腱が断裂しており、再び歩けるようになるか分からない事、さらに変形性脊椎症が進んでおり、背骨の骨年齢が60歳にまで老化していると説明。
今後も老化は止められず、また足の怪我には多額の手術代が必要となるー。
ジェームズは心配しながら「若いうちに野球を辞められて良かった。まだやり直せる。神の試練なんだ」と言うが、リッキーは次々と自分に襲い掛かる困難を呪った。
しかし、事情を知った街の人々が手術費の募金に協力。
レイも多額の費用を捻出し、彼がトライアウトを受けられるようジェームズを説得した。
それでもジェームズは首を縦に振らなかったが、影ではこっそり足首の怪我の勉強をする。
リッキーは祖母の協力も得て手術をしたが、状態は思ったより悪く、医師から「トライアウトには間に合わない」と言われてしまった。
ーー
諦めかけたリッキーを、グレイシーが支える。
さらに、危篤状態となった祖母がジェームズに「あなたは立派よ。でも、息子の夢を諦めさせないで」と助言。
祖母は最期までリッキーの成功を信じながら亡くなった。
その後リッキーはギプスを取り、時々くじけそうになりながらも、ロバートと共に練習に励む。
リッキーにとって、家族や監督が支えとなっていますね。
「心から信じてくれる人」がいる人は、本当に幸せだと思います。
リッキーを幼い頃からずーーっと支え続ける兄・ロバートは最高の兄ちゃんじゃないか、と感動。
ストーリーはジェームズやグレイシーがメインですが、ロバートも素晴らしい人格者です。
夢を掴むために
トライアウト当日。
リッキーの打撃は良かったが、怪我のせいで走る事が出来ず、スカウトマンから「君は打てるけれど走れないから無理だ」と言われてしまう。
そこで彼は「それなら、打席では全球ホームランにします」と宣言。見事に成功したが、結局選ばれなかった。
リッキーは諦めきれず、レジェンドスカウトマンのレッド・マーフに「僕は最高のバッターです」と掛け合う。
するとレッドは「君の怪我は、メジャーではチームに金がかかるから向いていない」としながらも、「でも君の事は気になる。明日の試合で君を両チームの指名打者として出す。そこでダメだったら他の夢を探せ」と提案した。
その話は瞬く間に街に広がり、多くの人が球場に駆けつけると意気込む。
それでもジェームズは頑なに応援しようとしないため、長年黙っていた妻のヘレンが大爆発。
「あの子は歩けないと言われたのに走った。手術には耐えられないと言われたのに生きている。一体いくつ奇跡を起こせば気が済むの!あの子は奇跡の子なのよ!!」と一括した。
ーー
トライアウトの試合当日。
プロに近いレベルの高い試合となり、投手の剛速球に驚いたリッキーだったが、なんとかヒットを打つ。
その時ジェームズは、礼拝で「私は自分勝手だった」と、教徒達の前で反省の弁を述べていた。
リッキーはレッドからプレッシャーを受けながらも、なんと10打席10安打という記録を打ち立てる。
するとレッドは、オールスターにも選ばれたメジャーリーガー、ジミー・ハマーを呼んで対決させた。
ーー
空振り、ファウルと続き、リッキーの脇腹にデッドボールが当たってしまう。
リッキーがあまりの痛さにうずくまっていると、レッドが「一塁へ行け。10打数10安打、もう実力は十分にわかった」と伝えた。
しかしリッキーは「嫌です。これはトライアウトです」と言って打席に立つ。
レッドは呆れた表情でジミーのもとに戻り、「次に当てたらお前は終わりだ」と囁いた。
すると会場にジェームズの姿が。
直後リッキーは、ジミーの球をとらえホームランを打つ。
ジェームズは涙を流し、リッキーも父の姿を見て涙しながら塁を周った。
レッドは「やれやれ」といった表情で、少しほほ笑む。
試合が終わり、リッキーとジェームズは誰もいない球場で寄り添う。
ジェームズは、息子の肩を抱きながら「私も変わらないといけないな。神は、私たちをどうする気なのかな」と言って笑った。
ーー
ーー
リッキーは、1975年6月にモントリオール・エクスポズと契約。
結婚を経て4年間プレーしたが、1979年、背骨の状態の悪化に伴い野球と別れを告げる。
そして現在はリトルリーグの監督と、ゴルフの指導をしているそうだ。
サクセスストーリーではありますが、リッキーの自分を信じる気持ちと周りの人達の協力、そして並々ならぬ努力が実った結果だと思いました。
ジェームズの反対も、神から与えられた試練であり、頑固なジェームズが自分を顧みるきっかけともなりましたね。
しかし野球選手としては短命で、実際のリッキーは映画のストーリー以降もかなり悩み苦労されたそうです。
劇中、レッド・マーフに「彼だよ」と話しかけたスカウトマンがご本人でしたが、2025年現在も自力歩行し、活躍されていると知って安堵しました!
『リッキー・ヒル 奇跡のホームラン』が好きな人にオススメの映画
映画『リッキー・ヒル 奇跡のホームラン』が好きな人にオススメの映画をピックアップ!
42 ~世界を変えた男~
こちらで何回もオススメしている名作!
今は亡きチャドウィック・ボーズマンと、レジェンド俳優のハリソン・フォードが共演しています。
差別に真っ向から戦い世界を変えた野球選手。心を打たれ、勇気をもらえます!!
