2014年10月10日全米公開、2015年4月17日、日本で公開された映画『セッション』(原題: Whiplash)
『ラ・ラ・ランド』の監督として知られるデイミアン・チャゼルが自身の体験を元に脚本を執筆、監督した『セッション』。第87回アカデミー賞では、脚色賞・作品賞を含む5部門にノミネートされ録音賞、編集賞を受賞、J・K・シモンズが助演男優賞を受賞しました。
この記事では、映画『セッション』で流れた音楽13曲をご紹介します。
『セッション』を聴く
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『セッション』で流れた曲とは?
ニーマンが下校するシーン
Justin Hurwitz - Overture
ニーマンが下校するシーン で流れた曲は、Justin Hurwitzの『Overture』です。
深い夜、まだまだ明かりのともる練習室とNYの街並みが映し出されるこのシーンで、この『Overture(序曲)』が流れます。ニーマンが通っているシェイファー音楽院は、NYに実在するジュリアード音楽院がモデルだと言われています。
ジュリアード音楽院は名だたる音楽家はもちろん、ジェイミー・フォックスやアダム・ドライバーなど数多くの映画人を輩出している歴史ある音楽大学です!
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ニーマンが帰宅するシーン
Chester French - Black Girls
ニーマンが帰宅するシーンで流れた曲は、Chester Frenchの『Black Girls』です。
映画の音楽を担当したジャスティンとデミアン監督がハーバード大学の学生だった頃に在籍していたバンドの音楽が使用されています。クレジットの表記ではこの曲が流れているらしいのですが、公式音源では一致する箇所はなさそうでした。どなたか詳細をご存知の方はコメントください!
授業のシーン
Justin Hurwitz - Nassau Band Rehearsal〜Studio Band Eavesdrop
ニーマンがライアンのサブとして授業を受けるシーンで演奏している曲や、ニーマンが隣のクラスを除いた時に演奏されている曲のメドレーです。デミアン・チャゼル監督の『ララランド』でもタッグを組み、アカデミー作曲賞を受賞した作曲家ジャスティン・ハーウィッツ。『ララランド』の前作にあたる今作品でも素晴らしい挿入曲の数々を作り出してくれましたね!
作中では切れ切れでしか演奏されませんが、サントラではその合間も演奏されているので是非聞いてみてください!
ニーマンがニコルをデートに誘ったあとのシーン
Dana Williams - Keep Me Waiting
ニーマンがニコルをデートに誘ったあとのシーンで流れた曲は、Dana Williamsの『Keep Me Waiting』です。
良い事があったついでに、彼女に声をかける…こういうところがまだ10代っぽい若々しさと瑞々しさが出ていて良いですよね!Dana Williamsはアメリカのシンガーソングライターで、父のDavid Williamsはマドンナやマイケル・ジャクソンのセッションギタリストです。
フレッチャーのクラスで学生達が演奏する曲
Hank Levy - Whiplash
フレッチャーのクラスで学生達が演奏する曲は、Hank Levyの『Whiplash 』です。
映画の原題にもなった『Whiplash』、意味は「鞭打ち症」です。この曲は作曲家ハンク・レヴィが1973年に作曲したジャズ/ビックバンドの名曲です。トランペッターで作曲家でもあるドン・エリスのアルバム『Soaring』に収められています。
デミアン・チャゼル監督の通ったプリンストン高校はビックバンドの強豪校として知られ、そこでジャズドラムを学んだ経験が今作に生かされているそうです。この『Whiplash』は、デミアン監督が当時一番苦手な曲だったと、インタビューで語っています。
ニーマンが直前に自動車事故を起こしたオーバーブルック・ジャズ・コンテストで演奏したのもこの曲です。
ニーマンとニコルのデートシーン
Justin Hurwitz - When I Wake
ニーマンとニコルのデートシーンで流れた曲は、Justin Hurwitzの『When I Wake』です。
ピザ屋デートのシーンで、ニーマンがBGMが良いと褒めた曲です。ジャッキー・ヒルの『When I Wake』という曲で録音された日にちまで暗記しているという音楽オタクっぷりを披露しますが、この曲は映画オリジナルでジャッキー・ヒルというジャズプレイヤーも存在しません。
フレッチャーがショーン・ケイシーについて話すシーン
Justin Hurwitz - Casey's Song
フレッチャーがショーン・ケイシーについて話すシーンで流れた曲は、Justin Hurwitzの『Casey's Song』です。
ショーンよりと書かれたCDを流しながらフレッチャーがOBのトランペッターショーンについて話すシーンで流れた曲が『Casey's Song』です。オリジナル曲の中でもトランペットが際立って美しい曲ですね。
ショーンはウィントン・マルサリス(Wynton Marsalis)のバンドでトランペットを吹いていたという設定でした。ウィントン・マルサリスは作中でも何度か登場する「リンカーンセンター」にあるJALC(ジャズ・アット・リンカーン・センター)の芸術監督を勤めている著名なジャズトランペッターです。そこから、ショーンがいかに素晴らしいトランペッターだったのかがわかりますね…。
ニーマン達が徹夜まで演奏させられるシーン
Juan Tizol - Caravan
ニーマン達が徹夜まで演奏させられるシーンで演奏する曲は、Juan Tizolの『Caravan』です。
エリントン楽団のトロンボーン奏者ファン・ティゾールが作曲したジャズの名曲『Caravan』、映画後半のメイン曲でもあります。吹奏楽の人気曲でもありますね!
ドラマー三人が深夜2時までフレッチャーから「Faster!(もっと速く!)」や酷い罵声をあびながら爆速で叩くシーンはこの映画の見どころの一つでもあります。曲のテンポに合わせて観てるこちらの心拍数も上がっていきますね…!
ニーマンが作中で動画を見たりしている名ドラマー、バディ・リッチによる音源はラストシーンのYouTubeリンクから聴く事ができます!
フレッチャーがバーでピアノを弾くシーン
Justin Hurwitz - Fletcher's Song In Club
フレッチャーがバーでピアノを弾くシーンで流れた曲は、Justin Hurwitzの『Fletcher's Song In Club』です。
優しいおじさん風のフレッチャー…目が笑ってない気がして、むしろ怖いですね。ニーマンの密告により、音楽大学を追われた事が示唆されています。いくらなんでも、やっぱりあそこまで厳しい指導だと、クビになるんですね…。
フレッチャー役のJ・K・シモンズは、この名演でアカデミー助演男優賞を受賞しました!
ニーマンとフレッチャーがバーで会話するシーン
Stan Getz&Miles Davis - Intoit
ニーマンとフレッチャーがバーで会話するシーンで流れている曲は、Stan Getz&Miles Davisの『Intoit』です。
ジャズ界の天才Miles Davis(マイルス・デイヴィス)とイパネマの娘のテナーサックス奏者Stan Getz(スタン・ゲッツ)ボサノバの名曲「イパネマの娘」のテナーサックス奏者の共演作『Intoit』が流れています。
マイルス・デイヴィスは『カインド・オブ・ブルー』『ビッチェズ・ブリュー』などの名アルバムを残したトランペッターです。ここで彼の曲を使うことからも、ジャズ界へのリスペクトが感じられますね!
バーで会話するシーンの2曲目
Nicholas Britell ft. Justin Hurwitz - No Two Words
ニーマンとフレッチャーがバーで会話するシーンで流れた2曲目は、Nicholas Britell ft. Justin Hurwitzの『No Two Words』です。
バードの相性で知られるチャーリー・パーカー、作中ではシンバル奏者にシンバルを投げられた話が引用されていましたね。(実際は投げつけられたのではなく、床にシンバルを投げられたそうです。)
綺麗なピアノが印象的な『No Two Words』はいオリジナル曲です。ジャスティン・ハーウィッツと同じく映画音楽作曲家でピアニストのニコラス・ジョナサン・ブリテルがコラボした作品です。ちなみに、題名になっている『No Two Words』は「Good Job」のことでしょうね…!
ニーマンがカーネギーホールで失敗するシーン
Juan Tizol - Caravan
JVCジャズフェスティバルの1曲目、『Whiplash』と聞いていたのに、周りが違う曲を弾く…フレッチャーの復讐シーンで使われたのは映画オリジナル曲の『Upswingin’』です。実はこの曲、ニーマンが最初にフレッチャーのクラスを覗いた時に練習していた曲なんです!
上記YouTubeリンクからは映画内で使われた演奏を聴くことができます。曲全体を聴きたい方は、授業のシーンのメドレーで聴くことができますよ!
ニーマンが勝手に演奏しだすラストシーン
Buddy Rich - Caravan
ニーマンが勝手に演奏しだすラストシーンで流れる曲は、Juan Tizolの『Caravan』です。こちらはニーマンが憧れているドラマーBuddy Rich版の音源です。映画内の音源は ニーマン達が徹夜まで演奏させられるシーンでご紹介しています。
父親とハグしたあと、舞台に戻り因縁の曲、『Caravan』を演奏し始めます。
『Upswingin’』からの『Caravan』…お互いに復讐だったはずが、音楽を通して同じものを見ている素晴らしいラストシーンですね…。言葉で説明できない、カタルシスのようなものがあります。
筆者の感想
『ラ・ラ・ランド』ではキラキラした世界と二人のすれ違いを色鮮やかに作り上げてくれたデミアン・チャゼル監督と作曲家ジャスティス・ハーウィッツ。『セッション』では、薄暗くて埃や汗の匂いがしそうな映像とJ・K・シモンズの鬼っぷりで独特の世界を見せてくれました。
「音楽っていいな!」なんて生優しいものではなく、辛さと厳しさにフォーカスしているのに…ラストの爽快感は類を見ないですね!
人を選ぶ映画ではありますが、吹奏楽やスポーツなど、なにかしらを死ぬ気でやったことがある人には刺さる映画だと思います。
今作品でジャズやビックバンドに興味が出た方は、ぜひチャーリー・パーカーやマイルス・デイヴィスの名演も聴いてみてください!
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サウンドトラック
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