2013年4月26日に公開された、映画『藁の楯』
少女暴行殺害で逮捕された、清丸。彼には、10億もの懸賞金が賭けられた。
福岡から東京への移送チームに、様々な困難が襲いかかる。
藤原竜也さんの作品には絶対の信頼を寄せているbeersyです!
今回は、過去一酷いキャラクターを見事に演じられていますよ。
この記事では、映画『藁の楯』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介します!
『藁の楯』の評価&感想
- 感動度
- 4
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 4
- 話題性
- 5
公開当時、名優揃いの衝撃作として話題になりました!
なんとなく「少女殺害」というお話が辛くて観ていなかったのですが、意を決して鑑賞すると…やっぱりしんどかったです;
とにかく、清丸が超の付くクズっぷりを見せてくれますよ。
ここまで来ると、もはや清々しいほど。
演技力の高い俳優さんばかりなので、それぞれの葛藤や苦悩が十分に伝わって来ました!
お子さんがいる人は、心に余裕のある時に見た方が良いかもしれません…。
以下より重要なネタバレを含みます。
『藁の楯』の主要キャスト
※役名(よみがな)/俳優名…キャラ説明
移送チーム
銘苅 一基(めかり かずき)/大沢たかお…警視庁警備部 警護課機動警護班のSP。警部補で、仕事に誠実。妻を亡くしている。
白岩 篤子(しらいわ あつこ)/松嶋菜々子…警視庁警備部 警護課警護第3係所属のSP。巡査部長。ずば抜けた能力を持っているが、シングルマザーゆえ出世街道には乗っていない。
奥村 武(おくむら たけし)/岸谷五朗…警視庁刑事部 捜査第一課の刑事。警部補。
神箸 正貴(かんばし まさたか)/永山絢斗…警視庁刑事部 捜査第一課の刑事。巡査部長。奥村と共に蜷川知香の殺害現場に立ち会っており、その遺体の凄惨さから、清丸に強い憤りを感じている。
関谷 賢示(せきや けんじ)/伊武雅刀…福岡県警察刑事部 捜査第一課の刑事。巡査部長。穏やかな人柄。
主な関係者
清丸 国秀(きよまる くにひで)/藤原竜也…8年前、7歳の西野めぐみという少女を殺害し服役。しかし仮出所から数か月後、蜷川知香を手にかけた。
蜷川 隆興(にながわ たかおき)/山崎努…元経団連会長。1000億円を超える資産家。孫娘の仇討ちをするべく、大金を賭け清丸殺害の幇助を行う。
大木(おおき)/本田博太郎…警視庁警備部 警護課警護第4係長。銘苅の上司、警部。清丸移送の警護を銘苅と白岩に要請した。
蜷川知香(にながわ ちか)…7歳で、蜷川隆興の孫娘。清丸に暴行を受けたのち、殴打され死亡。
『藁の楯』のネタバレ
10億円の懸賞金
世田谷区南松原の用水路で、7歳の蜷川知香ちゃんが遺体で発見された。
知香ちゃんには暴行された後があり、DNA鑑定の結果、容疑者は清丸国秀に絞られる。
清丸には8年前にも、当時6歳だった少女を暴行・殺害したという前科があった。
蜷川知香ちゃんの祖父は、総資産が1000億円超と言われる大物、蜷川隆興。
蜷川は「キヨマル・サイト」という専用ホームページを作り、動画で「自分は病気を患っているから、大金は紙屑と同じだ。清丸を殺した者に、10億円を支払う。条件は二つで、清丸に対する殺人罪等で有罪判決を受けた者。複数可。そして、国家の許可を持って清丸を殺害した者」と発表した。
ーー
清丸は、刑務所で出会った男に匿われていたが、懸賞金を知ったその男に殺されそうになり、自ら福岡県警に出頭。
48時間以内に、東京まで移送する事となった。
選ばれたSPは、警視庁警護課の銘苅、白岩。加えて警視庁捜査一課の奥村、神箸、そして福岡県警の関谷が同行する。
しかしその道のりは厳しい。
なぜなら、懸賞金を知った多くの人々が、清丸の命を狙っているからであった。
ーー
銘苅の妻は、飲酒運転のトラックに撥ねられ死亡していた。
それは、飲酒運転で事故を起こした前科者が、その後また無免許で飲酒運転をした末の事故だった。
それでも銘苅は、同じく前科者である清丸を守ると言う職務を、全うせねばならないと心に決めている。
人間の奥底にある、金への執着心が生々しく描かれていました。
どんな凶悪犯でも救ったり守ったりする、医師や警察官…本当に尊敬します。
誰が裏切り者か分からないので、このままずっとハラハラしそうですね!
どこを見渡しても敵か味方か分からない、危険すぎる任務
清丸は、銘苅達に「本当に僕を守れるんですか?」と言って発狂する。
すでに数回、殺されそうになっているからだ。
暴れる清丸を見た医師が、看護師に鎮静剤を打つよう指示するが、銘苅は看護師が注射器に何かの薬を入れたのを見逃さなかった。
看護師は、カリウムを入れ毒殺しようとしたのだ。
清丸を守った銘苅達だったが、今度は移送のための飛行機の整備士が細工を施しており、逮捕されたとの一報が入る。
そこで、5台の護送車を用意し、無数のパトカーで周りを固めて移送する事になった。
しかしその警察官達すらも敵になる恐れがあり、銘苅達は外を注意深く見ていた。
ーー
ダミーが4台あるにも関わらず、清丸を乗せている護送者が狙われる。
危険物を乗せたトレーラーが突っ込んで来たり、機動隊委員を装った二人組に撃たれたりと、銘苅達は危険にさらされた。
しかし、当の清丸本人は楽しそうに笑い、悪態を付く。
神箸は特にその顔が気に入らず、食ってかかるが、銘苅と白岩に止められた。
ーー
護送車での移送も断念せざるを得なくなった銘苅達は、清丸を新幹線で運ぶ事にした。
7号車を封鎖したが、それもキヨマル・サイトに上げられてしまう。
「この中に内通者がいる…」
5人は、疑い合ったが真相は分からず、清丸はその光景を見て楽しそうに笑っていた。
ーー
しばらくすると、ヤクザが銃で襲って来る。
銘苅達も銃で応戦したが、神箸が負傷してしまった。
彼は、人間のクズである清丸の警護を最後まで疑問に思い、また母の事を想いながら息を引き取った。
ついに死者が出てしまった。胸が張り裂けそうになる辛いシーンですね。
永山絢斗さんの死に際の演技がリアルで、号泣してしまいました;
疑心暗鬼
新幹線は新神戸駅に到着し、乗客達が避難する。
すると、刃物を持った男が少女を人質にし「清丸を出せ!」と言って、新幹線の外にいた銘苅と関谷を脅した。
説得を試みるも、男は少女を刺そうとしたため、関谷が咄嗟に引き金を引き男は即死する。
少女は無事だったが、関谷は事情聴取のため連行されてしまった。
残った銘苅、白岩、奥村は、他の刑事や機動隊達を新幹線から追い出し、車掌に「このまま東京へ行け」と命じた。
ーー
ノンストップで行けば、一時間半で東京に着くとひと息付いた時、新幹線が急停止する。
車掌が現れ「7キロ先に、誰かが意図的に置いた障害物があり、これ以上進めません」と伝えた。
銘苅達は清丸を連れ新幹線を降り、夜通し歩いて道路に出る。
途中、通りかかった車を停め強引に乗り込んだ。
しかしその運転手は、最初の被害者である西野めぐみちゃんの父親で「なぜこんな奴を守るんですか!」と言いながら襲いかかる。
白岩は、銘苅に「我々の位置情報は漏れていて、清丸が殺されるのも時間の問題。コイツが殺されるとしたら、この人が1番ふさわしいと思いませんか?」と言うが、銘苅は父親を殴って静止した。
ーー
奥村は、スマホをいじっていた白岩を疑うが、白岩は子どもにメールを送っていただけだった。
そこで不審に思った銘苅が奥村の手首を調べると、マイクロチップが埋められており、彼が蜷川の手下だったと判明する。
蜷川は警察の上層部も動かす力があり、奥村は「清丸は全く反省していない。生かしておくと後悔するハメになる」と強く言い放った。
銘苅が大木係長に連絡すると「奥村から『清丸が銘苅と白岩を人質にし、逃亡している』という情報を流されたため、清丸に射殺命令が出た」と言われる。
実は大木も公安と繋がっており、銘苅と娘のいる白岩をわざと清丸の護衛に就けたのだった。
病気の子どもがいる大木も公安の男も、やはり蜷川からの誘いを大金で引き受けたらしい。
「すぐに最寄りの警察署へ連れて行け!」と言われた銘苅は、それを断り電話を切った。
ーー
銘苅と白岩は、今度は清丸をタクシーで移送する。
その女性運転手は、他の市民と違って懸賞金にはあまり興味がないようだ。
そして「検問だらけだからこうしよう」と提案してくれ、運転手は車を降り、白岩がタクシー運転手に扮し、銘苅は乗客のフリをし、清丸はトランクに隠れた。
検問は乗客を乗せたタクシーには甘いらしく、見事に検問を突破する。
しかしその道中、清丸は2人に「僕が捕まったら、母ちゃんに分けてください。親孝行していないから…」などと身勝手な事を言った。
本作で唯一懸賞金に目が眩まなかった市民、タクシー運転手の由里千賀子。
演じている余貴美子さん、良い味出していますね!!
白岩さんが良きママだという事が分かりましたが、何か良からぬフラグが立ったような気が…。
衝撃の結末
車内でラジオを付けていると、清丸の母が自殺を図り死亡した…というニュースが流れる。
遺書には「国ちゃん、母の命にかえてお頼み申します。もう、人様を傷付けないでください」と書かれていたらしい。
清丸は泣き崩れ、見かねた銘苅は「少し休憩しよう」と言って車を停めた。
ーー
銘苅に、蜷川から着信が入る。
泣いている清丸を拘束している縄を、白岩が受け取った。
蜷川は「清丸を殺してくれたら、20億でも30億でも支払う。私はあの男を殺したいだけだ。君が妻を殺した犯人を殺したいなら、私が請け負おう」と交渉する。
銘苅は「なぜ関係ない人を巻き込む?あんた狂ってるよ…」と返答した。
白岩は、只事ではない様子の銘苅を見て心配する。
その一瞬の隙をついて、清丸が落ちていた鎖で白岩を攻撃し、銃を奪った。
銘苅が電話を切って振り向くと、白岩が倒れており、清丸は笑っている。
白岩は、銃で撃たれてしまったのだ。
彼女は、瀕死の状態で「すみません、油断しました…。3年生、キャッチボールの約束…」と子どもの事を呟きながら、息を引き取った。
銘苅は激昂し、清丸を殴りまくる。
それでも笑みを浮かべる清丸に散々煽られ、銘苅は「妻のお腹の中には子どもがいた。事故を起こした犯人を殺そうと思った。お前を守っていた5人の中で、1番お前を殺したかったのはこの俺だ!!」と言い放った。
ーー
警視庁に銘苅が到着する。結局彼は、清丸を殺していなかった。
「清丸を渡せ。お前の任務は終わった」と迎える大木に「蜷川が10億円の殺害依頼を取り消さない限り、清丸はいつか殺される。それでは、移送チームがやって来た事が無駄になるし、命を懸けて守った白岩達に申し訳が立たない。私が蜷川を説得します」と言って、誰にも清丸を渡さず蜷川を見た。
車から出て来た蜷川と対峙した銘苅は、自身の想いも交えて説得を試みる。
しかし蜷川は、杖に仕込んだ刀で清丸を殺そうとした。
即座に銘苅がそれを制すると、蜷川は膝から崩れ落ち茫然とする。
これで終わった…かに思えたが、それを見た清丸が落ちていた刀を拾い、蜷川に襲いかかった。
しかし、銘苅が蜷川を庇って刺されてしまう。
清丸は「すっげぇ…」と呟いて、周りの警官達に取り押さえられた。
銘苅は救急車で運ばれ、蜷川は殺人教唆の疑いで逮捕された。
ーー
清丸に、死刑判決が下される。
裁判官に「何か一言ありますか」と訊ねられた彼は「後悔していますね。どうせ死刑なら、もっとやっときゃよかったなって」と言って笑った。
ーー
白岩の息子が、誰かを待っている。
その前に現れたのは、回復した銘苅だった。
2人は手を繋ぎ、歩いて行く。
最後の最後までクズだった清丸。
死刑となりましたが、彼を裁く事は、ここまで死者を出すほど必要な事だったのでしょうか。
関谷に撃たれた市民、神箸、白岩。優秀な警官を失い、1人の子どもの母が尊い命を落としました。
う〜ん考えさせられる。
でも、最後銘苅だけ生きてくれたのが救いでした。
残された白岩の息子くん、強く逞しく生きて行って欲しい!!
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悪の教典
衝撃の問題作!!
「バトル・ロワイアル」ぶりにこんな胸糞学園もの映画を観た気がします。
伊藤英明さんが演じる蓮実のクズっぷりも、清丸並みにイラっとしますよ!