2019年8月21日アメリカ公開の映画『レディ・オア・ノット』は、ブラックコメディ・ホラー映画。結婚初夜、伝統的な「かくれんぼ」に挑む新婦グレース。しかし、それは生死をかけた殺人ゲームだった…屋敷から逃げ延びるため、彼女は必死に戦います。皮肉たっぷりの展開とスリリングな演出が魅力で、監督はマット・ベティネッリ=オルピン&タイラー・ジレット。
この記事では、映画『レディ・オア・ノット』で流れた音楽のうち9曲をご紹介します。※この記事はネタバレを含みます
『レディ・オア・ノット』で流れた曲とは?
花嫁姿のグレースが式のための言葉を練習するシーン
Chuck Jackson - Love Me Tender
花嫁姿のグレースが式のための言葉を練習するシーンで流れた曲は、Chuck Jacksonの『Love Me Tender』です。
過去のワンシーンが終わると、グレースが誓いの言葉を呟いているシーンが始まります。ゆったりとした男性ヴォーカルの歌が流れる中、一点を見つめてうつろな感じが印象的。
カントリー風な音楽と共に「死がふたりを分かつまで」でと言いつつ、鏡を前にしている花嫁姿の女性…変人ばかりな族に対し不安そうとも思えますね。タバコを吸いつつ、新郎が部屋に入ってくることから雰囲気が伝わってきます。
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結婚式の撮影が始まるシーン
Jim Long - Symphony No.9 In D Minor Op.125: Molto Vivace
結婚式の撮影が始まるシーンで流れた曲は、Jim Longの『Symphony No.9 In D Minor Op.125: Molto Vivace』です。
結婚式のための写真撮影が始まり、有名なクラシック音楽が流れ始めます。活発な音楽と共に、アレックスの一家の会話が続きますが…手厳しい感じだったり、真面目な感じとは言えなかったり…。
それでも式が滞りなく進んでいくのは平和なのかなとも思えました。この時はね…。
ベートーヴェンの交響曲第9番 ニ短調 作品125、いわゆる「第九」の第2楽章 Molto Vivace は、エネルギッシュで躍動感あふれる楽章です。※上記の動画は他の演奏者によるものです
グレースが音楽室に入るシーン
Bridal Chorus
グレースが音楽室に入るシーンで流れた曲は、『Bridal Chorus』です。
アレックスは先に音楽室に向かい、グレースも広い屋敷を歩いて下に向かっていきます。アレックスは明日には家を出ていくと言いますが…そう話していると音楽室にグレースが到着。ピアノを弾いていた執事が結婚式のテーマを弾き始めました。ピアノだとおしゃれさがなお伝わってきましたね。
「Bridal Chorus(結婚行進曲)」は、リヒャルト・ワーグナーの楽劇 『ローエングリン』(Lohengrin, 1850年初演)の第3幕冒頭に登場する曲です。特に結婚式で新婦が入場する際の曲として世界的に有名で、「Here Comes the Bride(花嫁が来る)」として親しまれています。
グレースがベッキーに声をかけられるシーン
Mikhail Korzhev - Sonata No.7 In D Major, Op.10, No.3: Ⅲ.Menuetto Allegro
グレースがベッキーに声をかけられるシーンで流れた曲は、Mikhail Korzhevの『Sonata No.7 In D Major, Op.10, No.3: Ⅲ.Menuetto Allegro』です。
ベッキーに声をかけられたグレースは、アレックスや家族の大事さについて話しました。ベッキーはトニーに「アレックスを家に戻してくれた良い花嫁だ」と話したそうで…果たしてこの後の展開はどうなるのでしょうか?こうした会話の際に、クラシック音楽のピアノが弾かれていました。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第7番 ニ長調 作品10-3の第3楽章「Menuetto: Allegro」は、古典的なメヌエットの形式を持ちながらも、ベートーヴェンらしい独自のユーモアとリズムの遊び心が込められた楽章です。※上記の動画は他の演奏者によるものです
かくれんぼのために準備するシーン
Headquarters Music - The Hide & Seek Song
かくれんぼのために準備するシーンで流れた曲は、Headquarters Musicの『The Hide & Seek Song』です。
ル・ベイル様がゲームを決めてくれる…そうして「かくれんぼ」のカードを引いたグレース。彼女が隠れることになり、執事はレコードをかけ始めました。「ゲームする?」と英語の歌が流れ、古風でありながら不気味さを感じさせるメロディーが特徴的。
屋敷中に音楽が流れる中、家族は武器を手にとっていくという恐ろしいシーンが…果たして何が始まるのか、心して見守りましょう。※この曲は映画のラストで呪いで家族が次々に爆発していく際にも自動で音楽がかかります
屋敷の外に出たグレースが車に助けを求めるシーン
The Soft White Sixties - No 1 Like U BB
屋敷の外に出たグレースが車に助けを求めるシーンで流れた曲は、The Soft White Sixtiesの『No 1 Like U BB』です。
子供に手のひらを撃たれ、釘が刺さり、ひどい目に遭うグレース…それでも北側の柵にたどり着き、なんとか外へ!走ってくる車からハイトーンな歌声が聞こえてきましたね。
グレースは助けを求めましたが、「何やってんだ!?」と怒鳴られて車は行ってしまった…罵詈雑言を叫ぶグレースですが、すぐ後ろには追っ手がやって来ているのでした。
この曲はファンクやロックの要素が融合したグルーヴ感あふれるサウンドが特徴。ソウルフルな歌声とキャッチーなメロディーが魅力で、聴くだけで自然と体が動くようなエネルギッシュな一曲です。
車を走らせるグレースが助けを求めるシーン
Bossa Noches
車を走らせるグレースが助けを求めるシーンで流れた曲は、『Bossa Noches』です。
車に乗った執事はグレースを発見!そのまま彼女を捕まえようとしますが、グレースは抵抗…命がかかってるので容赦はしません。男の首を絞めていき、倒れた隙に車を奪って走らせます。
グレースは車に搭載された「トリップセーフ」を起動し、ジャスティンと会話をしますが…車を止められてしまって窮地に陥るのを見守りましょう。
この曲はビル・ル・セージ(Bill Le Sage)が作曲した楽曲。ボサノバのリズムとジャズの要素を融合させた、リラックスした雰囲気のインストゥルメンタルです。
執事が車でグレースを運ぶシーン
Pyotr Il'yich Tchaikovsky - 1812 Overture, Op. 49
執事が車でグレースを運ぶシーンで流れた曲は、Pyotr Il'yich Tchaikovskyの『1812 Overture, Op. 49』です。
グレースを捕えて意気揚々な執事!屋敷に連絡をし、悠々と音楽を駆けあがら車で戻ります。曲の最後の盛り上がりのパートを大音量で流し、片手で指揮するような動きをしつつ大笑い…。
スティーヴンはグレースが起きたことに気付かず、攻撃を受けたため車が横転することになります。グレースは無事でしたが、ダニエルがやって来て危機はまだ終わっていないことに気付かされるのでした。
屋敷が燃える中グレースがゆっくり外に出るシーン
Stereo Jane - Love Me Tender
屋敷が燃える中グレースがゆっくり外に出るシーンで流れた曲は、Stereo Janeの『Love Me Tender』です。
儀式から生き延びたグレース…家族たちが爆発四散して血まみれになっていましたが、それまでのできごともあって動じていませんでしたね。そのまま燃え盛る屋敷を背に、ゆっくり歩いていく際にロックな音楽が流れました。
女性ヴォーカルの力強い歌が印象的で、グレースがタバコに火をつけるのも合わせて壮大なラストとなったと思いました。警察に「何があった?」と聞かれ、「家族の行事」と答えるグレース…そのままエンディングとなりました。