2023年9月9日「トロント国際映画祭」で初公開されたのち、 2024年9月6日に米国の一部の劇場で限定公開されたNetflix映画『喪う』(うしなう)。
厳しい映画批評家達から好評を得た、ヒューマンドラマ。
疎遠になっていた3姉妹が父の末期癌のため再会し、衝突しながら絆を深めて行く。

30秒のCMで泣ける涙腺最弱王のbeersyです!
公開直後から、評論家だけではなく視聴者からも高評価を得た作品。
兄弟、姉妹がいる人にはかなり刺さるストーリーです。
この記事では、Netflix映画『喪う』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします。
『喪う』の評価&感想
- 感動度
- 4
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 4
- サプライズ度
- 3
- 話題性
- 3
- 『ゴーストバスターズ』シリーズのキャリー・クーン
- 『アメリカン・パイ』のナターシャ・リオン
- 『アベンジャーズ』シリーズのエリザベス・オルセン
名俳優3人が、3姉妹として豪華共演を果たした本作。
それぞれのキャラと俳優達の個性がとてもマッチしており、キャスティングが最高だと思いました!
そのため、仲の悪い演技やそれぞれ苦悩する姿がとてもリアル。
「親の介護」という、自分もいつか通る道が軸となっているので共感しやすいです。
ストーリーに抑揚はさほど無いですが、憎めない3人が父のために奮闘する姿は感動的。
このようなヒューマンドラマは、やはり実力派の俳優さんが演じると深みが出ますね。
極端に性格がバラッバラの姉妹が、どう繋がって行くか少々ハラハラしながらも、最後にはじんわり温かい気持ちにさせてくれました!
時間が短いので、サクっと観たい方にオススメです。
以下より重要なネタバレを含みます。
『喪う』のネタバレ
再会
ケイティ、クリスティーナ、レイチェルの三姉妹が、末期がんで入院中の父・ヴィンセントについて話し合いをしている。
ケイティはヴィンセントが苦しまないよう、意識のある時に延命拒否の署名をしてもらう予定だったが、ヴィンセントと同居しているレイチェルはそれをしておらず揉めてしまう。
また、レイチェルは家事が出来ないため、家庭を持っているケイティとクリスティーナで、ヴィンセントの介護と家の中を整える事にした。
ーー
疎遠だった3姉妹はあまり仲が良くない。
ケイティとクリスティーナは母親が同じだが、早くに亡くしヴィンセントが再婚した。
その再婚相手もまた亡くなったが、連れ子だったレイチェルはヴィンセントと暮らしている。
クリスティーナは温厚な性格だが、しっかり者のケイティと、マリファナを吸いギャンブルをする自由奔放なレイチェルの仲は最悪で、突然同居する事になり互いにストレスが溜まって行った。

自分の親にも、そう遠く無いうちにこのような事が起きるだろうな…と思いながら、リアルなストーリーに釘付けになりました。
筆者も3人兄妹なのですが、幸い何かあると話し合う関係性です。
それでも意見が食い違う事はあって、これが疎遠となると大変だろうなと思いました。
しかも本作の3姉妹は、1人が血縁者ではない。
レイチェルがどのような人となりなのか、しっかり観て行きたいです。(個人的には彼女のハスキーボイスが好き)
衝突
ホスピス職員のエンジェルは、ケイティに「延命拒否の書類へサインさせる事には協力出来ない。でも、無理な延命を避けるなら、我々が緩和ケアをするので何かあっても救急には連絡せず、ヴィンセントには穏やかな最期を迎えさせてあげましょう」と言う。
すると、エンジェルが帰った後にヴィンセントの呼吸が荒くなり、3人で慌てたがなんとか持ち堪えて安堵した。
そしてケイティとクリスティーナは、訃報広告書の作成をし始め、父の生きた証を残そうとする。
ーー
レイチェルは、ボーイフレンドのベンジーを家に連れ込みスポーツ観戦をする。
生前、ヴィンセントと勝敗を賭けながら観ていたものだ。
しかしケイティは「こんな時に関係ない人を家の中に入れるなんて」と激怒。
また、家の中でマリファナを吸う事を禁じた。
その対応に、ベンジーは「これまでここに住んでパパの世話をして来たのはレイチェルだ!食事、入浴、薬の管理もしていた。彼女は特に姉妹の前では自己弁護をしない。パパは俺にも優しくして受け入れてくれていた」と反論する。
彼は、近所なのにほとんど来ないケイティと、遠方で顔さえ見た事のないクリスティーナが突然現れ、不信感を募らせていたのだ。
しかしケイティも彼の態度に腹を立て、ベンジーを追い出してしまった。
ーー
ケイティとレイチェルが言い合いになり、大喧嘩が始まってしまう。
ついにはクリスティーナも仲裁をやめ「2人とも大嫌い!幼稚な奴ら!!」と叫び激怒した。
その後頭を冷やしたクリスティーナは、「落ち着いて話そう」と言って3姉妹での話し合いの場を設ける。
しかしケイティは、実家の名義がレイチェルになっている事などを持ち出し、ねちねちと文句を言い溝は深まるばかりだった。

誰が悪いとかでは無いですが、とても難しい問題です。
血縁関係が無くても「姉妹」という事実は一生ついて回る。
皆んなが仲良く出来るわけではないですが、父を想ってそばにいたいなら、思いやりは大切ですよね。
ケイティは嫌いになれないけれど、ベンジーも気の毒になりました。
衝突
3人には「母親を亡くしている」という共通点が見つかった。
今度はレイチェルも同席して訃報広告を書き、父の人生を振り返る。
ヴィンセントが元気な頃、映画などを観ては「人の死とはこんなものではない。本当に死を理解出来るのは、欠落を味わった時だけだ」と言っていた事を思い出し、「人の真価は生きている時にも分かる。どんな人間にもなれる」と理解した。
「お互いに違う人生を歩んで来たため、誤解が生じていた」と思い、少し打ち解けた3人。
その後、少しヴィンセントの意識が戻ったため、力を合わせて椅子へ移動させリビングで家族団らんのひとときを過ごした。
ーー
すると、ゆっくりしていたヴィンセントが突然起き上がり、3人への感謝の気持ちを語り始める。
レイチェルがどれだけケイティを想っていたか、クリスティーナは自分を超える親になってくれて嬉しかった…など。
そして「3人には自分の死を乗り越えて絆を深めて欲しい、自分を変えてくれた『愛』を知って欲しい」と優しく話す。
ヴィンセントは立ち上がって饒舌に話していたが…。それは、全て彼の妄想であった。
現実のヴィンセントは立ち上がる事も話す事も出来ず、最愛の3姉妹に見守られながら息を引き取った。
ーー
3人は、父がいなくなったリビングで呆然としている。
そして順番に、彼が最期に座った椅子に座りそれぞれの心で弔い、全員で身を寄せ合った。
「母の死」「父の死」を経験した3人の絆は深まって行き、抱き合って別れを告げる。
2人を見送り1人になったレイチェルは、いつものようにマリファナを吸いながら、父の事を想っていた。

文章にまとめると短いストーリーでしたが、ところどころに家の中の風景が映ったり、何も言葉を発しない「静寂」な演技が入っていたりして、3姉妹の心の中がしっかりと描かれていたように感じました。
でも、最後のヴィンセントの語りはいらなかったのでは…?
むしろ最後まで彼の姿を出さない方が、視聴者に訴えるものがあったのはないでしょうか。
3人が協力してパパをリビングに連れて来て感動的だったのに、一気に涙が引っ込んじゃいました。笑
けれど全体的には、演者の個性が光っていて、また終始柔らかい絵面と音楽で温かい気持ちになりました。
『喪う』が好きな人にオススメのNetflix映画
映画『喪う』のような、姉妹を題材にした映画をピックアップ!
三姉妹
韓国国内の主要映画祭で、多くの賞を受賞したヒューマンドラマ。
「愛の不時着」のキム・ソニョン、「オアシス」のムン・ソリ、「涙の女王」のチャン・ユンジュが3姉妹を演じています。
こちらの姉妹は、「喪う」よりももっとクセがスゴイ!
それでも、切っても切れない縁を大切に…と思える素敵な作品です。