2025年10月10日公開の映画『トロン:アレス』は、監督はヨアヒム・ローニング。主演はジャレッド・レト、共演にグレタ・リー、ジョディ・ターナー=スミスが出演します。戦闘用プログラムのアレスが、“現実世界”へ送り込まれるという設定のSFアクションです。AIと人類の境界が薄れゆく近未来を描き、アレスが変化していく…一方で人間側の対立にも注目です。
トロン:アレス
- 未体験
- 4
- 感情移入
- 3
- 再鑑賞
- 3
- 予測不可
- 3
- サウンド
- 5
光のバイクが夜の街を駆け抜け、音楽が鼓動のように高鳴るシーンが多かった!映像とBGM、そして電脳世界の演出が見ものでした
評価は年間100作品以上を鑑賞する執筆者こでぃもの実体験をもとにしています。
『トロン:アレス』は人気?どんな人が観ている?
土曜の午後に映画館に足を運びましたが、雨の影響もあってか観客席は半分に満たない埋まり具合でした。SF映画ファンも多かったのですかね。吹替で見て、映像美や役者の演技をじっくり見れましたよ。
『トロン:アレス』は、3作目ともあって特に映像表現と世界観の完成度が高い!電脳世界と現実が交錯するという設定は新しいサイバーワールド体験に思えますね。前作『トロン:レガシー』までのファンや、AIやテクノロジーを題材にした作品を好む層におすすめしやすいです。
以下より重要なネタバレを含みます。
『トロン:アレス』をネタバレありで解説!
イヴ
ENCOM社を率いたケヴィン・フリンが残した研究により、電脳世界(グリッド)と現実世界をつなぐ技術が発展。その後も技術の発展が続く中、競合のディリンジャー・システムズは軍事利用を目論んでいました。
そうした中、ENCOMのイヴ ・キムは、亡き妹の研究を追い、「永続メモリー」の所在を探します。この技術があれば、デジタル構造体を現実世界に留めることができる…古い研究データを頼りに、3か月にわたってイヴは捜索。一方で、ディリンジャー・システムズの代表ジュリアン・ディリンジャーも、同じ技術を探しており、軍用AI兵士の安定化に使おうとしていたのです。

イヴが妹のことを時折思い出していまいしたが、妹は悪性腫瘍によって亡くなってしまったようですね。妹を思い出すことや、イヴ自身がどのように考え、行動していくのが見どころの一つでした。
ジュリアンは施設内に要人を招き、複数のレーザーから兵器が組み上がっていく様を紹介!3Dプリンターとはまた違った感じで組み上がっていく様子がおもしろかったです。
アレス
ジュリアンは試行錯誤の末、高度なAI兵士「アレス」を開発。アレスは戦闘能力に優れ、破損しても再生成しますが…現実世界に転送後、29分経過すると崩壊してしまいます。そのため、永続メモリーを探す中、イヴ が発見したことを突き止めました。ジュリアンはアレスとアテナに彼女を追わせ、イヴ を電脳世界へ転送させたのです。
イヴ からデータを抽出しろとジュリアンから命令を受けるアレス。しかし、アレスは人間的な感情を持ちはじめており、命令に背きました。アレスはイヴを救うと決意し、彼女と共に現実世界へ。転送後、アレスはイヴと共にENCOM社の古いパソコンのある部屋に向かいます。

イヴ は永続メモリーを入手して仲間と連絡を取りながらバイクで会社へ!その際に駐車場へアテナをおびき寄せ、自分のバイクをぶつけるのが凄かったです。
続いて追ってくるアレスは29分経過したことで消えましたが…ジュリアンのヘリコプターが現れてレーザーを受けたことで電脳世界に転送されてしまいましたね。
決着
イヴ は仲間の助けを借り、旧型レーザーを起動。アレスを古いパソコン内の電脳世界に送りました。そこにアテナの襲来が重なり、狙われていたイヴは会社から離れることに…仲間たちはその間にジュリアンの会社をオフラインにするために奔走します。
一方、アレスはフリンのプログラムと出会い、彼との会話を重ねた後、現実世界に戻ります。現実に留まれるようになったアレスはイヴ を助けに向かいました。追い詰められたイヴ はアレスに助けられ、彼が戦って時間を稼ぎます。イヴ の仲間がオフライン化に成功したことでアテナは消失。警察に追い詰められたジュリアンは、現実から逃げるように電脳世界に身を移しました。
イヴは永続メモリーの技術を社会のために生かすことを誓い、ENCOMで再度活躍しました。アレスは自由を求めて世界の各地を回り、物語は終わります。

アレスが運転する車で(ホンダのシビックでしたね)イヴと会話を重ねるシーンが良かったです。「これからもできることがある」とアレスに諭されたイヴ…最後のシーンで彼女が永続メモリーの技術を人のために役立てていて安堵しました。
アレスはジュリアンに使い捨てとして扱われていたり、イヴを調べた際に彼女の人間らしさに触れたりしたから変化していったのかなと思いました。
アクションは、バイクや武器の軌跡が光の残像として“実体化”するのが見もの!夜の街に赤いラインが走る絵は映画館の大画面向きでした。
『トロン:アレス』に関連する作品ならこちらもオススメ!
『トロン:アレス』に関連する以下の2作品もおすすめ!
トロン:レガシー
監督はジョセフ・コシンスキー。主演はギャレット・ヘドランド、共演にオリヴィア・ワイルドが出演します。青年サムは、幼い頃に失踪した父ケヴィン・フリンの行方を追い、父の研究室で謎の信号を受け取ることから物語が進みます。
突然光の渦に包まれたサムは電脳世界(グリッド)転送されますが…父が創造したプログラムについてや謎の女性の登場など予測不可能なドラマが描かれます。

黒をベースにネオンカラーのように白や青色が輝く電脳空間を、光のバイクが疾走するシーンが見どころ!青と黒のコントラスト、ガラスのように反射する路面、そしてスピードに合わせて流れる電子音など2010年の作品とは思えない魅力がありますよ。
ドラマとしても親子の絆を中心に見応えがあります。完璧を追った父と、自由を求める息子という親子の関係性を見守りつつ、『トロン:アレス』までの物語として見るのはいかがでしょうか。
トランセンデンス
監督はウォーリー・フィスター。主演はジョニー・デップ、共演にレベッカ・ホール、ポール・ベタニー、モーガン・フリーマンが出演します。
AI研究者ウィルが瀕死となり、妻は彼の意識を量子コンピュータへアップロードするのが物語の始まり。ネットワーク上の“彼”は急速に成長していく中、人類の安全と倫理が対立します。

思想系サスペンスとして、「人間性とは何か」を考えさせられる作品!妻エヴリンの“信じたい”という想いが、ウィルの変化とともに揺れていくのが見どころですね。AIと人のはざまを感じさせるかもしれません。
ジョニー・デップの演技は抑えられた静けさの中に温度があり、デジタルの中に残る“人間の声”を感じさせることでよう。AIの危うさを考えさせるため『トロン:アレス』と見比べても良いかなと思いました。