2024年10月16日に公開されたNetflix映画『ジャスティス』
銀行強盗は、なぜ4人もの命を奪ったのか。
職を追われた元悪徳警察官は、犯人をどう追い詰めて行くのか。
ポーランドのサスペンス・ヒューマンドラマ。
火曜サスペンス劇場が大好きだったbeersyです!
ポーランドの映画は初体験でしたが、実話をもとにしたサスペンスという事で視聴しました。
犯人がじわじわと追い詰められて行く…予告通り、かなり暗い雰囲気が続く作品です。
この記事では、Netflix映画『ジャスティス』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします。
『ジャスティス』の評価&感想
- 感動度
- 3
- 脳トレ度
- 4
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 3
- 話題性
- 3
ポーランドの首都・ワルシャワで、2001年3月3日に発生した「クレディト銀行強盗事件」をベースにした作品。
事件内容は似ているものの、キャラ設定、事件後の流れなどはオリジナルとなっています。
激シブおじさまガダチ(演/オラフ・ルバシェンコ)が、徐々に犯人を追い詰めて行くサスペンス・ストーリー!
ずーーっと暗くジメジメした画面で、背景やファッションなどはノスタルジック…。
抑揚もほとんど無いので、眠たくなっちゃう人もいるかもしれません。
でも、犯人が最初に分かる『古畑任三郎』形式なので、犯人とガダチの攻防戦が観ていて面白い!
さらには、犯人のバックグラウンドも描かれているので、人物像がよく理解出来てかなり引き込まれます。
スカっとするタイプの映画では無く、救いようの無い終始どんよりする作品でしたが、とにかくガダチが魅力的なので、おじさま主演作品が好きな筆者はとても楽しめました!
以下より重要なネタバレを含みます。
『ジャスティス』のネタバレ
犠牲者が出た銀行強盗
1990年代、ポーランド。
共産主義が終焉を迎え民主化が進むこの国で、銀行強盗・殺人事件が勃発した。
元少佐・警官だったタデウシュ・ガダチは、政府高官から「民営化を進めている銀行での事件のため、メディアが騒ぎ出す前に強盗犯を逮捕して欲しい。期限は2週間よ。犯人を逮捕出来れば、あなたは警部補に復帰出来る」と提案される。
ガダチは、ソ連共産主義時代に秘密警察の少佐だったが、手段を選ばない方法で尋問等をしていたため、今は組織を追われた身。
以前ガダチに尋問・拷問をされていた者が、その後大統領・大臣となり、ガダチの事を恨みつつも能力を買って、今回の話を持ちかけたのだ。
ガダチは自分の人生をやり直すため、刑事のアレクサンドラ・ヤニツカと共に動き出した。
ーー
ヤニツカとガダチは、まだ血まみれの被害者が倒れている現場を捜査する。
被害は現金のみ、10万ズロチ(およそ380万円)。そして外貨も少し。
そして3人の女性銀行員(出納係)と、警備員のミエテクという男性が銃で殺されていた。
ミエテクは、その日カスペル・スルミヤク(演/イェンジェイ・ヒクナル)という警備員と交代し被害に遭っている。
銀行の支店長は、10月21日に警報機が誤作動し数回呼び出され、振り回されるのが嫌で修理まで警報器を切っていたと話した。
ーー
取り調べを受けたカスペルは、友人の宣言式のために交代してもらい、ワルシャワを10時25分に出てベソワに向かったと話す。
一緒にいた友人・バルテックとマレクも、彼と同じく出発時刻は10時25分だと明かした。
3人に関しては宣言式でのアリバイもあったが、ガダチは、警報機が誤作動を起こした21日のシフト表にカスペルの名前がある事に気付く。
さらに、3人ともがしっかりと同じ出発時刻を話したため、共犯である可能性が高いと考えた。
ーー
ガダチの推理は当たっており、カスペル達の3人は共謀して銀行を狙った。
金の一部は、すでにバルテックが使ってしまい、またガダチが疑いの目を向けて来た事によって、3人は焦り始める。
残りの金をドルとマルクに両替し、足がつかないように画策した。
銀行強盗をするにはかなりの少額なのに、なぜ人を4人も殺したのか?
カステル達は大規模な計画を立てられそうにないような…。
イケオジ・ガダチの勘が冴え渡る!!
カステルという男
事件が起こる1ヶ月前。
カステルの両親は亡くなっており、妹のエヴァは養護施設に入れられていた。
エヴァを養うためカステルは必死に金を稼ごうとしていたが、施設はエヴァを里親のもとへ送ってしまう。
それでもエヴァを取り戻すべく、金が必要で犯罪に手を染めてしまうのだった。
ーー
ガダチは盗聴器を仕掛け、違法捜査にも見える方法でカステルを探る。
すると、彼の母親は農場経営をしていたがローンに追われ、銀行の借金取りに苦しめられ自殺した事が判明した。
そしてエヴァの事も知ったガダチは、カステルに「お前が人を殺したと妹に話そうか。きっと嫌われて、2度と会ってもらえなくなるぞ」と脅す。
カステルはマフィアのボスにガダチを殺すよう依頼するが、ガダチはマフィアと繋がっているため、小芝居を打ってカステルに自供させる。
その後ガダチに倒された彼は「証拠や凶器はあるのか?アリバイも崩せていないだろう」と強気に出るが、ガダチは「すぐに見つける。お前はボロを出すだろう」と言った。
ーー
ガダチ達は、カステル達が車でベソワに向かう途中大回りをし、違反切符を切られていた事を知る。
彼らはそれでアリバイ作りをしようとしていたらしい。
そして宣誓式を行なったカステル達の友人(徴収兵)の元を訪れると、カステル達は宣誓式の朝には帰宅していたと言われ、さらに燃やしたゴミの中から銀行の監視カメラのビデオテープの残骸を発見した。
ガダチはさらに揺さぶりをかけるため、バルテックに被害者の遺体写真や、被害者の家族の想い出を撮ったビデオテープを送りつけた。
ーー
バルテックは怯え、罪の意識に苛まれ、カステルに「もう無理だ。自首する」と伝え、ガダチに電話をしてから警察署に向かう。
しかしその前にカステルが阻止し、抱きしめて慰めたが、結局バルテックを自殺に見せかけて殺してしまった。
さらに、それを糾弾したマレクをも刺殺する。
そして「正当防衛だった」と言いながら、自ら警察署に現れた。
う〜わ全部親友になすりつけた。
それほどまでに妹を思うなら、もっと必死に仕事をすれば良かったのに…。
養護施設にも彼女にも「数年待ったのに何も変わっていない」と言われている点から、何をやってもうまくいかない救いようのない男なんだろうな、と推測出来ますね。
しかし、この時代のポーランドで生きて行く事も、中々厳しい事だったのかもしれません。
悲しい結末
カステルは「全てマレクが計画した事だ。バルテックは耐えきれずに自殺したし、俺は殺さそうになった」と自供する。
確固たる証拠がないため、彼はすぐに釈放された。
しかしガダチは銃の出所を突き止めるため、再び軍の元へ行った。
宣誓式の前日の夜間担当の徴収兵に話を聞くと、彼は銃を無くして探したが、翌日の朝は無かったのに昼前に戻って来ていた…と打ち明ける。
しかも弾が無くなっており、処罰が怖くて黙っていたらしい。
ーー
事件の全貌。
カステル達は、ミエテクだけを殺して金を奪って逃走しようとしたが、すでに金は回収されており10万ズロチのみしか得られなかった。
しかも、偶然バースデーパーティーをしようとしていた女性達が来てしまい、目出し帽を被り彼女達を脅して逃げようとする。
しかし、ついバルテックが「カステル」と話しかけてしまったため、彼らは女性達を殺さざるを得なくなってしまったのだ。
…全てが明るみとなり、警察が6人を殺害したカステルを捕えに行く。
ガダチは、彼がエヴァの元へ向かったのだろうとすぐに分かった。
ーー
やはりカステルはエヴァの新しい家にいて、パズルをしていた。
ガダチだけが部屋に入り「時間だ」と優しく声をかける。
カステルは観念したように立ち上がり、泣きじゃくるエヴァと抱き締めあった。
そして両手を挙げて外に出たが、銃を取り出すそぶりを見せたため警察によって銃殺される。
彼の手には、ひとかけらのパズルが残っていた。
ーー
合併と民営化を実現させた銀行は、ポーランドを代表する銀行となった。
ヤニツカは昇進したが、ガダチは結局裏切られ、犯罪歴のある一般人として生きる事に。
しかし彼は悟ったように、ヤニツカに「私は母も家族も失望させて来たが、唯一得意な事がある。人の本性を見抜く事だ。なぜなら、誰しもが私と同じ偽善者だから…」と話す。
その後1人になり、ゆっくりとどこかへ電話をかけた。
カステルは6人も殺した凶悪犯ですが、ただただ運の悪い男だったため、なんとも言えないやりきれなさ…哀れみの感情を誘う男でした。
残念なイケメンなのが、またしんどい。エヴァちゃんには逞しく育って欲しい。
そしてガダチが最後に電話したのは、お孫ちゃんだろうか。可愛い声に癒されました。
これからは、良きおじいちゃんとして慎ましく生活していくのだろうと予感させる、スッキリはしないけれどちょっと温かくなるエンディングでした。
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