2024年5月10日に日本で公開された、映画『不死身ラヴァーズ』
好きになった人と両想いになると、なぜか相手が消えてしまうー。
『ちょっと思い出しただけ』などの松居大悟監督が、高木ユーナさんの原作コミックを読み、10年以上に温めて制作した渾身のラブストーリー。
主演は、本作が初の映画単独主演となった見上愛さん。
主題歌・劇伴は、ソロプロジェクト・スカート(シンガーソングライター澤部渡さん)。
甘酸っぱい初恋を、とうの昔に忘れたbeersyです!
本作、青春ラブストーリーかファンタジーなのかと思って観ましたが、う〜ん難しい分類でした;
しかし、終始真っ直ぐな主人公・りのを応援したくなります!
この記事では、映画『不死身ラヴァーズ』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介します!
『不死身ラヴァーズ』の評価&感想
- 感動度
- 4
- 脳トレ度
- 5
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 3
- 話題性
- 4
ドラマ、映画、CM出演など多岐に渡り活躍している見上愛さん、初の単独主演!
劇中ではバンド時代の腕を活かし、ギターの弾き語りを披露しています。
ネトフリシリーズ『恋愛バトルロワイヤル』が面白かったので、佐藤寛太さんとの共演は嬉しいものでした。
しかしストーリーは、一筋縄ではいかない展開…。
前半は頭がこんがらがって、観るのがしんどくなってしまいました;
ですが、中盤からはストーリーが大きく変わって行くので、グっと惹きつけられます。
根本的には青春ラブストーリーなのですが、もっと深く考察し甲斐のある脚本でした。
サクっと観ようと思うと疲れるので、ちょっと気合を入れて鑑賞する事をオススメします!
以下より重要なネタバレを含みます。
『不死身ラヴァーズ』のネタバレ
消える甲野じゅん
長谷部りのは幼少期、病に臥せっており命の危険を感じていたが、その時に出会った同い年くらいの男の子「甲野じゅん」に花を渡され手を握ってもらい、元気を取り戻した。
りのは彼が命の恩人だと思い、ベッドを飛び出して探しに行く。
ーー
高校生になったりのは、陸上部に甲野じゅんがいる事を知る。
一生懸命アプローチし告白すると、じゅんは「俺も好きです」と返答してくれた。
しかしその瞬間、じゅんの姿は跡形もなく消えてしまう。
男友達の田中や、周りの友人の記憶からも消えているようで、りのは理解できずに戸惑っていた。
しかしその後、何度も同じ事が繰り返し起きてしまう。
軽音部、車椅子に乗った病人、クリーニング店店主。
じゅんは様々な人物に生まれ変わって何度もりのの前に現れるが、そのたびにりのが想いを伝え、やがて両思いになると消えて行くのだ。
田中にその事を伝え「何か知ってるの?」と聞くと、「知らないのはお前だけだよ」と意味深な事を言われた。
ーー
大学生になったりの。
田中はその大学を落ちてしまったが、たまに忍び込んではりのの話し相手になっている。
するとまたしても、今度は大学生になったじゅんが現れた。
新歓パーティーが行われ、りのも参加すると、じゅんが「スマホが見当たらない」と言い出して一緒に探し始める。
りのが「データは大丈夫なの?」と聞くと、じゅんは「毎日クラウドに保存してる。思い出を忘れたくないんだ、今日という日はもう一生来ないから」と呟いた。
その後りのがスマホを見付け渡すと、じゅんは摘み取った花を渡し「ありがとう」と言って照れくさそうに笑った。
ーー
翌日、大学でりのがじゅんに話しかけると、りのの名前や昨日の事を覚えていない様子。
するとじゅんは、「6歳の時の交通事故の後遺症が再発して、寝ると記憶が消えてしまう病気なんだ」と明かした。
仲良くなった人に翌日話しかけられても、つい他人行儀になってしまうため、中々友達が作れないらしい。
「それって、思い出が作れないって事だよね」と考えたりのは、じゅんの家に行き母親に「事情を聞いたので、毎朝迎えに来ます」と伝えた。
そして翌朝から「おはよう!私長谷部りの」と自己紹介し、帰りには必ず「大好きだよ」と書いたラブレターを渡し始める。
二人の距離は次第に縮まり、じゅんの記憶の中にりのの存在が根付いて行った。
前半、訳が分かりませんでしたが、なんとか付いて行こうと必死でした。
見上愛さんのキュート&パワフルなお芝居に助けられた…。
じゅんの病気は理解出来ましたが、りのも何らかの障害を負っているのかな?
好きな気持ち
りのとじゅんは、友達に誘われてオールでカラオケに行く事に。
「寝なければ良いんだよ!」と盛り上がっていたが、じゅんは部屋の外の階段で眠くなってしまった。
りのは「寝てもいいよ。大好きだよ。夢の中まで迎えに行くから」と囁く。
するとじゅんは目を覚まし「俺も好きだよ」と言ってキスをした。
りのは涙を流しながら「消えないで…」と呟き、じゅんを自宅まで送り届けた。
夜中にまどろんだじゅんは、スマホに撮ったりのの写真を見て「長谷部さん…」と言って号泣する。
ーー
翌朝、大学は休みだったがりのはじゅんの家に来た。
するとじゅんは消えておらず笑顔で出迎え、りのは安心して喜ぶ。
そのまま海岸や思い出を辿るデートをし、将来について語るが、その話も何度もしているため、りのはついに心が折れてしまった。
しかし田中に鼓舞され、じゅんの家に戻るとじゅんはいなくなっている。
探し回っている途中で、クリーニング店で消えたはずの先輩・花森と会い、「消えたのはりのちゃんだよ」と言われて驚く。
さらに、陸上部のじゅん(大学生のじゅんとは違う)とも偶然再会し、「あの時のお前は重かったなぁ。付き合うのが大変だった」と言われ、愕然とした。
じゅんがスマホを握り締め、ベッドで号泣しているシーンにはグっと来ました。
好きな人を忘れちゃうの、辛いよね。それでも楽しそうなデートが出来て、ホッとしました。
しかし、花森さんの話が全くわからず付いていけない…。
このあたり、初見では理解出来ず、何回か考えながら観返しました;
消えないで
立て続けに消えた人物に会い、りのは全てを思い出した。
りのは幼少期に出会った「甲野じゅん」を想うあまり、別人と恋人同士になって破局するたび「自分は〝甲野じゅん〟を見付け出し、両想いになったら相手が消えてしまった」と脳内で記憶を変換していたのだ。
それぞれ別れる理由がりのにとって辛いものだったため、自己防衛をしていたらしい。
しかし、りのと出会い、猛アプローチを受け付き合ったそれぞれの「じゅん」達は、必ず何かを得ている。
陸上部の甲本じゅんは、仲間達と共に陸上を本気で続ける事を決意出来た。
軽音部の近藤は、元カノへの想いに気付く事が出来た。
車椅子に乗った田野倉は、介護士への想いに気付き告白をした。
クリーニング店のカズは、亡き妻の思い出を大切にするようになった。
りのにとっては、全て「甲野じゅん」との思い出になっていたが、彼らは大切な思い出だった。
ーー
ショックを受けたりのは倒れてしまい、田中が救急病院へ連れて行く。
目を覚ますと、いつもの「甲野じゅん」がいて花を握らせ「前にもあげた事、覚えてる」と言って微笑んだ。
そして「りのさん、消えないで」と声を振るわせると、りのはじゅんを抱きしめながら「うん、もう消えないよ」と言って笑った。
その後、大学ではまたしても記憶を失ったじゅんが、りのに「すみません、別れてください」と言う。
しかしりのは「うん、分かった。そして、また付き合ってください!」と言ってニコリと笑う。
教室内の学生達は盛り上がり、じゅんも戸惑いつつ照れくさそうに笑った。
ーー
おばあさんになったりのが、鼻唄を歌いながら花を愛でており、じゅんにもらった花は押し花にしていた。
すると庭に、若かりし頃のりのとじゅんの姿が。
二人ははしゃぎながら抱きしめ合い、とても幸せそうだった。
理解するのが難しかったですが、りのがじゅんを心底愛しているのが伝わって来ました。
りのは、いつまでも子どもの頃の記憶の「じゅん」を追っており、どんなに成長してもそこだけ変わらないのは、大人がドン引きするほど執着しているのだと思います。(辛口だけど…)
次の日に忘れられちゃうなんて、中々キツイ事をおばあさんになるまで?続けたようですし、狂ったように想わないと無理でしょうね。
じゅんは「後遺症の再発」という事でしたが、一時でも治った事は無かったのかなぁ。
表向き「不変的な愛(ピュアなラブストーリー)」裏を返せば「恐ろしく強い執着(サイコパス的なストーリー)」。
それは、りのを献身的に支える田中くんにも当てはまるような。
「恋愛」について達観している彼ですが、誰かと幸せになっているといいなと心から願います!
原作コミックスは、「りの」と「じゅん」が逆パターンらしいので、読んでみようと思いました。
『不死身ラヴァーズ』が好きな人にオススメの映画
映画『不死身ラヴァーズ』のような、「記憶」を題材とした作品をピックアップ!
私の頭の中の消しゴム
記憶を失って行く恋人を愛せますかー?韓国映画の中でも屈指の名作!
古い作品ですが筆者はDVDを持っていて、何度観て何度泣いた事か分かりません。
泣けるラブストーリーを観たい方にオススメです!