2023年11月17日、Netflixにて公開されたオリジナル映画『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』
1963年、牧師のマーティン・ルーサー・キング・ジュニアらが20万人以上を集め、人種差別撤廃を求めた公民権運動「ワシントン大行進」。
この歴史的なデモは、ある一人の男がいなければ成功しなかったかもしれない。
その男の名前は「バイヤード・ラスティン」。
黒人であり同性愛者の彼は、様々な差別と暴力を受けながらも信念のもとに突き進んだ。
本作は、徹底した非暴力主義を貫いたバイヤード・ラスティンの伝記映画です。
- 主演:コールマン・ドミンゴ(エミー賞、トニー賞、オリヴィエ賞などにノミネート・受賞)
- 監督:ジョージ・C・ウルフ(全米監督協会賞受賞、5度のトニー賞を受賞)
- 脚本:ジュリアン・ブリース、ダスティン・ランス・ブラック
- 制作:Higher Ground Productions(オバマ元大統領夫妻が設立した制作会社)
人の人生って、知って行くと本当に面白い。様々な伝記映画を観て来たbeersyがオススメする本作!
キング牧師は知っているけれど、この人の名前は知らなかった人も多いのではないでしょうか?
心に響く、実話をもとにしたヒューマンドラマです!
この記事では、Netflix映画『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介します!
『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』の評価&感想
- 感動度
- 5
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 3
- 話題性
- 4
主演を務めるコールマン・ドミンゴの熱演、ヒューマンドラマを多く手掛けるジョージ・C・ウルフ監督がタッグを組んだ本作。
アメリカで大問題となった(今もなっている)黒人に対する人種差別については、かなり多くの作品がありますよね。筆者は伝記映画などで様々な闇を観て勉強して来ました。(記事の最後でオススメしています♪)
本作は、明るい曲や歌とともにストーリーが進んで行きダークな雰囲気はあまり無いので、割とポップにラスティンの事を知る事が出来ますよ!
それでも、彼のトラウマな過去や暴力を振るわれるシーンでは胸が苦しくなりました。
本当〜に様々な苦難が襲い掛かりますが、それでも信念を貫き通すラスティンの生き様には脱帽。
ラストには涙が溢れ、CMでさえ泣ける筆者は号泣してしまいました!
なぜそんな立役者が表舞台に立たなかったのか?
彼の人柄やことの成り行き、歴史的デモの裏にあった事実をわかりやすく描いているので、歴史が苦手な人にもオススメです!
以下より重要なネタバレを含みます。
『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』のネタバレ
大規模デモを行うために奔走する、バイヤード・ラスティン
1954年、最高裁が「人種隔離を違憲とする」判決をくだす。しかし現実は、まだ黒人差別が根強く続いている。
平和活動家であり同性愛者であるバイヤード・ラスティンは、差別が蔓延る世界を変えようと、人種差別撤廃を求め活動していた。
そして1960年、「バス・ボイコット」の先導者であるマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師に、5000人の黒人を連れて、LAで行われる民主党大会を妨害する計画を提案。
しかしパウエル議員などの妨害に合い、結局マーティンはデモを却下し、ラスティンをNAACP(全米有色人種地位向上協議会)本部から外した。
ー1963年。
「戦争反対者同盟」のリーダーとなったラスティンは、かのガンジーに倣い皆で意見を出し合って、ホワイトハウスに10万人を集めるという、二日間の大規模な行進(デモ)を企画。
ラスティンだけでは、ロイ・ウィルキンス率いる保守派に相手にされないため、公民権活動家のA・フィリップ・ランドルフ協力のもと説得しに行く。
それでも却下されるが、黒人先導師のメドガー・エヴァーズ、イライアス・テイラーの二人は賛同した。
しかしある日、ケネディ大統領の演説後、メドガー・エヴァーズが殺害される。
ラスティンは悲しむマーティンのもとを訪れ、二人は和解。マーティンはテレビで、国民に「ワシントンで行う平和的行進に参加を!」と呼びかけた。
ラスティンの人となりが描かれている前半。
マーティンとの関係性が茶目っけたっぷりに描かれていて、「キング牧師」のイメージがガラリと変わりました!
コメディたっぷりな描写なので楽しく観られますが、黒人の中でも派閥があったりして、差別撤廃を訴えるにも一筋縄では行かないのだな…と驚かされます。
立ちはだかる壁、ラスティンの過去
NAACPなどの幹部が集まり話し合いをするも、ロイが良く思わない。ラスティンを解任し引きずり下ろそうとする。
しかし、ランドルフも反発。なんとかラスティンを行進の監督代理にしようとする。
ロイは、警察にも手を回し行進を妨害しようと躍起になっており、ラスティンへの嫌がらせも多くなって、ケネディの弟やFBIまでもが敵となった。
さらに資金難などの理由から、行進は1日のみに短縮。それでもラスティン率いる同盟は、力を合わせて奮い立つのだった。
街での募金やチャリティーコンサートの甲斐あって、資金は順調に集まり、黒人警察官達の協力を得る。拳銃を持たない警備の訓練をするのであった。
7週間でほぼ全ての問題をクリアーしたかに思えたが、パウエル議員が「パセデナ」という地名を出した途端、ラスティンの表情が曇る。
実は、ラスティンは過去に、パセデナで同性愛者として有罪判決を下されていた。しかも、逮捕の際には警察から酷い暴行を受けていたのだ。
また、不倫関係となっていたイライアスの妻が妊娠し、彼から別れを告げられ「偽りの自分でいるのは良くない」と諭すが、イライアスは去って行く。
「黒人であること」だけでなく「同性愛者であること」で、二重の差別を受けていたラスティン。
その事実を知っても、同盟の皆は変わらず大行進に向けてせっせと準備していて、感動するラスティンの表情に感極まってしまいました;
でも、このことが公になってから、表舞台ではなく裏方に徹するようになったそうです。
マーティンとの友情、歴史上に残る大行進の成功
ラスティンは、過去のトラウマを掘り返され失意の底にいたが、マーティンはテレビで国民に「ラスティンこそがアメリカの民主主義に忠誠を誓っている人物で、行進の先導に彼ほどの適任者はいない」と語りかける。
「彼は自慢の友人です」という彼の言葉に、ラスティンは涙するのであった。
ーそしてついに行進当日。
次々と人々が訪れ、歌を歌い盛り上げる。
マーティンが教壇に立ち演説をし、集まった民衆の心はひとつとなった。
最終的にはなんと25万人が参加。米国史上最大の平和的抗議とされ、歴史上に残る偉業となる。
行進のあと、大統領が幹部達を呼ぶも、ラスティンは「ごみを拾いたいんだ」と言い公の場には行かなかった。
9ヶ月後には、人種、皮膚の色、性別、宗教、出身国による差別を撤廃する「公民憲法」が成立。
ラスティンは人生の伴侶を得て、亡くなるその日まで生涯を共にした。
そして、行進から50年を経て、オバマ大統領からラスティンに「大統領自由勲章」が贈られた。
ラスティンとマーティンの友情に涙腺崩壊!
デモの様子を観ながら涙を浮かべるラスティンの表情にも、色々な想いが込み上げて来て大号泣しました;
名誉よりも信念を選んだ、素晴らしい男性の知られざる物語。
きっと天国で、勲章を眺めながらタバコを吹かしているでしょうね!
『ラスティン:ワシントンの「あの日」を作った男』が好きな人にオススメのNetflix映画
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