2004年11月20日公開 映画『ハウルの動く城』
スタジオジブリの長編アニメーション映画。
呪いで90歳の老婆にされた少女・ソフィーと、不思議な魔法使い・ハウルの、ファンタジー&ラブ・ストーリー。
イギリスのファンタジー小説『魔法使いハウルと火の悪魔』が原作ですが、宮崎監督が「戦争」を付け加え、大胆にアレンジしました。
この記事では、映画『ハウルの動く城』で流れる挿入歌26曲をそれぞれのシーン説明を踏まえてご紹介します。
※以下ネタバレ有り
『ハウルの動く城』で流れる曲
オープニング
ハウルの城が動いているオープニング〜タイトルシーンで流れるこの曲は、全編通して多々アレンジされながら使われる、メインテーマ曲です。
不思議な雰囲気のピアノの旋律から始まるのですが、一瞬「千と千尋の神隠し」のOPの曲にもに似ていると思いました!
ハウルの、お世辞にも綺麗とは言えない不気味な城が歩いているのを表現した、ピアノメインのどこか儚さもあるしっとりとした楽曲。
ソフィーが街を歩くシーン
ソフィーが街を歩くシーンで流れた曲は、久石譲の『陽気な軽騎兵』です。
軍の出陣式と思われるド派手なパレードで賑わう街に、ソフィーは全く関心を寄せず無表情で歩くシーン。
豪華に着飾った女性達と比べ、帽子職人として無骨に仕事を続ける地味なソフィーの人物像が、この描写だけでわかりますね!
出陣する軍隊を盛り立てる、華やかなオーケストラの楽曲。
ソフィーが軍人に絡まれているところを、ハウルが助けるシーン
ソフィーが軍人に絡まれているところを、ハウルが助けるシーンで流れた曲は、久石譲の『空中散歩』です。
ジブリ作品の中でも大人気の男子キャラ・ハウルを演じるのは、我らがキムタク。ハウルのナルシストな雰囲気にピッタリです。
色々言われていますが、やっぱりアラフォー世代はキムタクが好き!
最初から見どころ名シーンですが、この「空中散歩」は「人生のメリーゴーランド」(以下、テーマ曲と記載)をワルツ調にしたメロディーと、不気味な怪物に追いかけられるシーンの緊張感のあるメロディーの二曲で構成されています。
ソフィーが電車に乗り家に戻るシーン
ソフィーが電車に乗り家に戻るシーンで流れた曲は、久石譲の『ときめき』です。
妹のレティーと別れた後、物思いにふけりながら電車に乗っているシーン。
ですよね、あんな体験したらそりゃ心ごと持って行かれますよ…!
すでにハウルの魅力にドハマりしている様子のソフィーです。
「ときめき」はこのシーン20秒しか流れない、ピアノで演奏したテーマ曲です。
荒地の魔女がソフィーに呪いをかけるシーン
荒地の魔女がソフィーに呪いをかけるシーンで流れた曲は、久石譲の『荒地の魔女』です。
ハウルを追う荒地の魔女によって、ソフィーが90歳の老婆にされてしまうシーン。
まさか…と家を出たり入ったりする仕草や声など、リアルな老婆の演出にはどこか可愛らしさも感じられます。
荒地の魔女登場シーンのこの曲は、クラリネットで「デロデロデロ〜」と流れる、お化け屋敷のようなおどろおどろしい楽曲。
ソフィーが家を出て行くシーン
ソフィーが家を出て行くシーンで流れた曲は、久石譲の『さすらいのソフィー』です。
とんでもない呪いをかけられてしまったソフィーですが、鏡の中の自分に「大丈夫よおばあちゃん、あなた元気そうだし、服も前より似合ってるわ」ととても前向き!
肝が座っている素晴らしい女性である事がわかりますね。早くも、老婆のような物言いや仕草が板に付いています。
哀愁がありつつも途中からワルツ調のテーマ曲に変わるので、前向きに出発するソフィーの応援曲のようにも思えますね!
カルシファーとソフィーが話すシーン
カルシファーとソフィーが話すシーンで流れた曲は、久石譲の『魔法の扉』です。
不思議なカカシに誘われ、ハウルの城の中へと入り込んだソフィーが、火の悪魔・カルシファーと話すシーン。
カルシファーの声優は、立派な眉毛が特徴的な、俳優もこなす我修院達也さん。コミカルな独特の声がピッタリですよね!
ここでは「魔法の扉」の中盤から流れます。管楽器の迫力のあるメロディーや、フルートの軽やかなメロディーが楽しめる楽曲。
軍の船が出発するシーン
軍の船が出発するシーンで流れた曲は、久石譲の『陽気な軽騎兵』です。
ソフィーが街を歩くシーンでも使用されています。
ソフィーが、出口の変わる不思議な扉を見つめるシーン
ソフィーが、出口の変わる不思議な扉を見つめるシーンで流れた曲は、久石譲の『魔法の扉』です。
カルシファーとソフィーが話すシーンでも使用されています。
ハウル・ソフィー・マルクルの食事中に、荒地の魔女の魔法がかけられるシーン
ハウル・ソフィー・マルクルの食事中に、荒地の魔女の魔法がかけられるシーンで流れた曲は、久石譲の『消えない呪い』です。
食事の最中、ソフィーのポケットの手紙に気付いたハウル。テーブルに魔法陣のコゲを付けられるも、ハウルがさらなる魔法で消すシーン。
そんな事より、テッカテカのベーコンと目玉焼きの美味しそうな朝食に釘付けになりますよね…♪
ソフィーにかけられた「消えない呪い」をイメージした、「荒地の魔女」の不気味なアレンジ曲です。
ソフィーが城の掃除をするシーン
ソフィーが城の掃除をするシーンで流れた曲は、久石譲の『大掃除』です。
老婆になり動きも腰も悪かったソフィーが、生き生きと掃除を始めるシーン。
観ているこちらが気付かないほど自然に若返っているのが、さすがの演出ですよね!
いそいそと動き働くソフィーを表現した、ちょっとコミカルな楽曲。
ソフィーが窓を開け外を見るシーン
ソフィーが窓を開け外を見るシーンで流れた曲は、久石譲の『星の湖へ』です。
腰も伸び若返ったソフィーが、動く城からの眺めに感動し、カルシファーを褒めちぎるシーン。
この頃になると、マルクルが普通にソフィーに懐いていてキュートですよね!
ちなみにマルクルの声優は、俳優の神木隆之介さん(当時11歳)。「千と千尋の神隠し」の坊役でも活躍されていました。
ハウルの城のパレードのような、迫力のあるオーケストラが魅力的な楽曲。後半になるにつれバラードになって行きます。
ハウルがソフィーの寝顔を見るシーン
ハウルがソフィーの寝顔を見るシーンで流れた曲は、久石譲の『静かな想い』です。
ぐっすりと眠るソフィーの顔を、愛おしそうに見つめるハウル。心がぐっと掴まれるドキドキなシーンです。
若返ったソフィーの寝顔可愛いんですよね…。でもまだハウルの心の内がわからないのが、焦らされて神秘的で良き!
そんな琴線に触れる場面の「静かな想い」は、ピアノをメインにしたオーケストラを用いたテーマ曲の、ショートアレンジ版です。
ソフィーが雨の中泣いているシーン
ソフィーが雨の中泣いているシーンで流れた曲は、久石譲の『雨の中で』です。
ソフィーが掃除した事によってハウルの髪色が変化。それに絶望したハウルが「美しくなかったら生きていたって仕方がない」と闇の精霊を呼び出しドロドロに溶け、ソフィーが傷付き号泣するシーン。
以前女の子に振られた時も同じ状態になったらしいハウル、完璧じゃなくてちょっとアレなところもまた良き!笑
人間らしい一面が見られてほっこりするシーンでもありました。
ピアノの旋律が美しく、哀愁と、傘をさしに来たカカシのカブの優しさに満ちた楽曲。
ハウルがソフィーに、サリマンに会いに行って欲しいとお願いするシーン
ハウルがソフィーに、サリマンに会いに行って欲しいとお願いするシーンで流れた曲は、久石譲の『虚栄と友情』です。
戦争のために戦うのを辞めさせてもらえるよう、サリマンに言って来て欲しいとテンション高めにお願いするシーン。
出発するソフィーにハウルが指輪を付けますが、その近さにまたドキっとしてしまう!!分かってやってるな?
宮廷への階段を登るシーンまで流れた「虚栄と友情」は、軽やかな弦楽器の音色で小気味の良い楽曲。
ソフィーがサリマンに言い返すシーン
ソフィーがサリマンに言い返すシーンで流れた曲は、久石譲の『90歳の少女』です。
ハウルの母を装いサリマンに会いに行ったソフィー。ハウルを悪く言うサリマンに、そんな人ではありません!と言い返すシーン。
その時、見た目が老婆から元の姿に一瞬戻ります。ソフィーが心の中に「ハウルへの愛」を感じる時に戻る気がしますね!
菅弦楽器を使用した、迫力と優しさを兼ね備えている楽曲。
サリマンが魔法でハウルとソフィーを攻撃するシーン
サリマンが魔法でハウルとソフィーを攻撃するシーンで流れた曲は、久石譲の『サリマンの魔法陣~城への返還』です。
ソフィーを助けるため侵入して来たハウルに、サリマン先生がちょっと本気を出すシーン。
星の人型ような魔法は、美しいですが不気味でもあります。呪文を唱えているような歌声も、なんだかコワイ!
弦楽器の強弱が付いた激しいメロディーで、このシーンにマッチした緊迫感のある楽曲です。
ソフィーが、家に戻ったハウルに告白するシーン
ソフィーが、家に戻ったハウルに告白するシーンで流れた曲は、久石譲の『秘密の洞穴』です。
傷付き洞穴でうずくまる化け物の形をしたハウルに、ソフィーが「あなたを愛しているの」と告白するシーン。
つ、ついに言った!!と思いましたが、これは夢オチ。それでもかなりドキドキしました!
壮大なオーケストラにより奏でられる、哀愁のある美しい楽曲。
ハウルが引っ越しをしようと提案するシーン
ハウルが引っ越しをしようと提案するシーンで流れた曲は、久石譲の『引越し』です。
みんなで食事をしている際にハウルが引っ越しを提案、城の内部と不思議な扉をリフォームするシーン。
ソフィーのために部屋を作り、衣装を用意。突然ここからハウルの「ソフィーへの愛」が感じられるようになります。
おばあちゃんになった荒地の魔女が、とてもキュートなのも見どころ。しかし介護されているのが現実的。笑
まるで優雅なダンスタイムのような、可憐で美しい楽曲が流れます。
ハウルがソフィーを花畑に連れて行くシーン
ハウルがソフィーを花畑に連れて行くシーンで流れた曲は、久石譲の『花園』です。
「僕の秘密の庭さ」と言いながら、ソフィーを美しい花畑へ連れて行くシーン。
すっかり元の姿に戻っているソフィーですが、ハウルに「ソフィーは綺麗だよ」と言われ老婆に戻ってしまいます。
筆者もそうなのですが、長年自分のルックスにコンプレックスがあると、卑屈になってしまうんですよね;
実はここで両想いが確定していた、良い雰囲気の二人にピッタリな、優しくて愛のあるオーケストラ。
サリマンの手下から逃げるシーン
サリマンの手下から逃げるシーンで流れた曲は、久石譲の『走れ!』です。
戦争に行く軍艦を見ていると、サリマンの手下が襲って来るシーン。ハウルはまた化け物に変身し、飛び立って行きます。
しかしここでソフィーがやらされた空を走る魔法、とっても疲れそうですよね。笑
あげく扉に突っ込まされ、ソフィーはご立腹!
「走れ!」は、二人の愛が描かれたシーンから一転、迫力のあるメロディーが印象的な戦いを表現した楽曲。
老婆になった荒地の魔女とソフィーが、話をするシーン
老婆になった荒地の魔女とソフィーが、話をするシーンで流れた曲は、久石譲の『恋だね』です。
今や見る影も無くなった荒地の魔女・おばあちゃんが、ソフィーに「恋だね」と話しかけ、二人で恋愛トークをするシーン。
おばあちゃんになった魔女の優しい声も、美輪明宏さんが演じています。本当に多才!
このシーン、一瞬ですがまったりほっこりしていて、筆者的に大好きなシーンです。
テーマ曲のピアノバージョンがしっとりと流れ、激しいクライマックスの最中にホッとさせてくれました。
マルクルがソフィーに「行かないで」と抱きつくシーン
マルクルがソフィーに「行かないで」と抱きつくシーンで流れた曲は、久石譲の『ファミリー』です。
ソフィーの母親が登場し、ソフィーが城を出て行ってしまう事を懸念したマルクルが、行かないでと泣きつくシーン。
マルクルは強がっていても幼い男の子なんですよね。(設定上は10歳前後だそう)
ソフィーを母親のように慕っている様子に、子を持つ親としてはグっと来るものがありました。
優しいフルートの音が二人を包み込む、温かく柔らかな楽曲。
城に、爆弾やサリマンの手下が襲って来るシーン
城に、爆弾やサリマンの手下が襲って来るシーンで流れた曲は、久石譲の『戦火の恋』です。
空襲警報が鳴り響き、城にも爆弾が!さらにはサリマンの手下まで襲って来て、全体的にピンチなシーン。
そんな中、助けに来たハウルがソフィーに「ようやく守らなければならないものができたんだ、君だ」と、キムタクにしか許されんセリフを言います。
ハイご馳走さまです。臆病でどちらかというとダメ男のハウルが、成長した瞬間でしたね。
ソフィーはいつの間にやら(髪の毛の色以外)少女の姿に戻っていました。
バイオリンの上下する激しいメロディーが迫力満点。後半は神秘的なテーマ曲が流れ、めまぐるしいシーンを見事に表現しています。
みんなで城から脱出するシーン
みんなで城から脱出するシーンで流れた曲は、久石譲の『脱出』です。
ハウルを守るためソフィーが指揮をとり、マルクル・カルシファー・荒地の魔女おばあちゃん・カブと共に城から脱出するシーン。
城ごと崩すという大胆な手法ですが、ソフィーの「あのひとは弱虫がいいの」というセリフには、ハウルのダメなところも全て愛しているのが分かり、胸を打たれました!
「戦火の恋」に続きバイオリンメインのメロディーが特徴的ですが、静かながらも不気味で緊張感のある楽曲です。
カルシファーが城を再建するシーン
カルシファーが城を再建するシーンで流れた曲は、久石譲の『ソフィーの城』です。
ソフィーの髪を食べたカルシファーが、再度城を作り上げ動かすシーン。
おだてるとなんでも言う事を聞くカルシファー。単純でチョロいところしか観ていませんが、本来は人の言う事は聞かない悪魔。
しかし最初に出会った時から、すんなりと火の悪魔であるカルシファーを操るソフィーこそ、天然魔女なのではないか?と思いますね!
テーマ曲を伝統的なパレード曲のようにした、明るくテンポの良い楽曲。
ソフィーがハウルの過去を見るシーン
ソフィーがハウルの過去を見るシーンで流れた曲は、久石譲の『星をのんだ少年』です。
ハウルがどのようにしてカルシファーと契約してしまったのか、ソフィーが少年時代のハウルを見るシーン。
実はハウルの少年時代に、二人は一瞬出会っていたのですね!そしてハウルはずっとソフィーを知っていたと。
さすが宮崎監督。とてもうまくまとめられた伏線回収、クライマックスでした!
ここでは、オーケストラとシンセサイザーの音色が、神秘的な雰囲気を表現しています。
エンディング
エンディングで流れた曲は、倍賞千恵子の『世界の約束~人生のメリーゴーランド-エンディング-』です。
ラストは、立派に再建された城でハウルとソフィーがキス。
カルシファーも戻って来て、みんな一緒に暮らして幸せになりましたとさ…というハッピーエンド。
戦争がメインの割と激しい作品でしたが、ジブリには珍しいラブラブなセリフやキスシーンが観られて大満足でした!
ソフィーの声を全て演じた倍賞千恵子さんが、エンドソングを担当。
作曲は久石譲さん、作詞は「千と千尋の神隠し」でエンドソングを歌った木村弓さんが担当しました。
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