1988年10月8日公開の映画『グッドモーニング, ベトナム』
『ダイナー』のバリー・レヴィンソン監督が、実在の米軍放送人気DJエイドリアン・クロナウアーに焦点を当て、音楽と共にベトナム戦争を描いた異色の戦争映画です。
エイドリアン役のロビン・ウィリアムズは、アカデミー主演男優賞とゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞を受賞しました。
音楽は『欲望という名の電車』(1951)『クレオパトラ』(1963)などを手掛け、15回アカデミー作曲賞ノミネートに輝いたアメリカの作曲家、アレックス・ノースが担当しました。
この記事では、映画『グッドモーニング, ベトナム』で流れた音楽30曲をご紹介します。
『グッドモーニング, ベトナム』で流れた曲とは?
オープニングシーン
Lawrence Welk - Around The World
オープニングシーンで流れた曲は、Lawrence Welkの『Around The World』です。
エイドリアン・クロンナウアは、AFN(The American Forces Network)のDJで、世界各地に駐留するアメリカ軍とその家族に、情報やエンターテイメントのサービスを提供することが任務です。
ここで流れている『アラウンド・ザ・ワールド(Around the World)』は、アカデミー賞5部門を受賞したアドベンチャー映画『八十日間世界一周』(1956)のテーマ曲で、世界中でヒットしたスタンダード・ナンバーです。
当時、音楽バラエティ番組「ローレンス・ウェルク・ショウ」の司会で絶大な人気を誇ったバンドリーダー、ローレンス・ウェルクの演奏が使われています。
エイドリアンが基地へ向かう間にカーラジオから流れる曲
Perry Como - Dream On Little Dreamer
エイドリアンが基地へ向かう間にカーラジオから流れる曲は、Perry Comoの『Dream On Little Dreamer』です。
『夢で恋すれば(原題:Dream On Little Dreamer)』は、ペリー・コモが1965年にリリースした曲です。
ペリー・コモは、ラジオやテレビをうまく活用しスターへの道をのぼりつめた人です。クロスビーやシナトラと並び、20世紀を代表する本格派のポピュラー・シンガーとして君臨しましたが、マフィアとの関係を嫌い、カジノでの公演を拒否し続けたことで、シナトラに比べスキャンダルの少ないクリーンな歌手として知られています。
1956年にアメリカの雑誌が実施した、若い女性を対象にした世論調査では、理想の夫ナンバーワンに選ばれたとか!
エイドリアンが局内で挨拶に回るシーン
Felix Mendelssohn - Song without words, Op.62 No.6 in A major “Spring Song”
エイドリアンが局内で挨拶に回るシーンで流れた曲は、Felix Mendelssohnの『Song without words, Op.62 No.6 in A major “Spring Song”』です。
放送局に到着したエイドリアンが、自分を呼び寄せてくれたテイラー将軍と、二人の上官、ホーク少尉とディッカーソン曹長に挨拶をするシーンです。
ここでは、19世紀ドイツ・ロマン派の作曲家メンデルスゾーンが作った無言歌集(Song without words)の第5巻より第6番『春の歌』のオーケストラバージョンが流れています。
無言歌集は、全8巻48曲からなるピアノの小品集で、その中でも一番知られている『春の歌』は、1842年に作られました。軽やかな装飾音が春風のような清々しさを感じさせる人気のある曲です!
エイドリアンのラジオ放送1回目の1曲目
Martha & The Vandellas - Nowhere To Run
エイドリアンのラジオ放送1回目の1曲目は、Martha & The Vandellasの『Nowhere To Run』です。
ガーリックに起こされ眠そうにしていたエイドリアンは、番組が開始するや否や「グッドモーニング、ベトナム!」と叫び、マシンガントークを炸裂させます。
『Nowhere To Run』は、60年代にモータウンから多くのヒット曲を生み出した女性コーラス・グループ、マーサ・アンド・ザ・ヴァンデラスの代表曲で1965年にリリースされました。
モータウンの専属ソングライター、ホーランド=ドジャー=ホーランドが書きプロデュースした曲で、タンバリンやドラムに加えて、スノーチェーンがパーカッションとして使われているそうです!
エイドリアンのラジオ放送1回目の2曲目
The Beach Boys - I Get Around
エイドリアンのラジオ放送1回目の2曲目は、The Beach Boysの『I Get Around』です。
映画では、サイゴンの街の様子や、ラジオを楽しむ米兵の様子が映し出されています。
『I Get Around』は、ザ・ビーチ・ボーイズが1964年にリリースした曲で、バンドとして初の全米1位を記録しました。6thアルバム『オール・サマー・ロング』の収録曲です。
ザ・ビーチ・ボーイズは、1961年にカリフォルニア州ホーソーンで結成されたロックバンドです。批評家から最も高く評価され、商業的に成功を収めたバンドの1つで、世界中で1億枚以上のレコードを販売しています!
エイドリアンのラジオ放送1回目の3曲目
Wayne Fontana and The Mindbenders - Game Of Love
エイドリアンのラジオ放送1回目の3曲目は、Wayne Fontana and The Mindbendersの『Game Of Love』です。
『Game Of Love』は、マンチェスターで結成されたビート・バンド、ウェイン・フォンタナ&ザ・マインドベンダーズによる1965年の曲で、全米1位、全英2位を記録しました。
ベトナム戦争時、米軍は志願兵制度と徴兵制度を併用していました。必要兵力に満たない場合、18~25歳の男性が年長から順に徴兵される仕組みで
、これに該当する人は、不確実性の中、26歳の誕生日を待つことしかできなかったそうです。
映画のモデルになったエイドリアン氏は、徴兵を待つ代わりに自ら入隊、メディア業務を選択し、最終的には米軍放送のスペシャリストになりました。
ガーリックがエイドリアンをジミーの店に連れて行くシーン
Ray Conniff - Smoke Gets In Your Eyes
ガーリックがエイドリアンをジミーの店に連れて行くシーンで流れた曲は、Ray Conniffの『Smoke Gets In Your Eyes』です。
『煙が目にしみる(Smoke Gets In Your Eyes)』は、1933年に上演されたブロードウェイミュージカル『Roberta』 の為に、ジェローム・カーン(作曲)とオットー・ハルバック(作詞)が作った曲です。
1933年にガートルード・ニーセンが録音したものがオリジナルで、その後ナット・キング・コール、ザ・プラターズなど沢山のアーティストにカバーされ、ジャズのスタンダード・ナンバーになり世界中で愛され続けています。
ジミーの店で流れている曲
The Marvelettes - Danger Heartbreak Dead Ahead
ジミーの店で流れている曲は、The Marvelettesの『Danger Heartbreak Dead Ahead』です。
ジミーはかなり個性的なベトナム人で、米軍兵士行きつけのバーを経営しています。店では、マーヴェレッツが1965年にリリースした『Danger Heartbreak Dead Ahead』が流れています。
アフリカ系アメリカ人の女子学生によって結成された、マーヴェレッツは、デビュー曲『プリーズ・ミスター・ポストマン』(1961)で知られているグループです。
デビュー曲は、遠く離れた場所で暮らす恋人からの便りを待ちわびている心情を歌ったもので、ベトナムに軍隊を派遣し始めていたアメリカでは大ヒットし、その後ビートルズをはじめ様々なアーティストにカバーされています。
エイドリアンが英会話で教えるフレーズの曲
The Angels - My Boyfriend’s Back
エイドリアンが英会話で教えるフレーズの曲は、The Angelsの『My Boyfriend’s Back』です。
エイドリアンは、一目惚れしたトリンを追いかけて米軍が主催する英語教室にたどり着きました。賄賂を握らせ、教師に成りすましたエイドリアンは、スラングたっぷりの授業を行います。
『私のボーイフレンド(原題: My Boyfriend’s Back)』は、アメリカの3人組ガール・グループ、エンジェルスが1963年にリリースした曲で、60年代前半のアメリカン・ポップス黄金期を代表する曲の一つとされています!
エイドリアンがジミーの店にツアンを連れてきたシーン
Wilson Pickett - In The Midnight Hour
エイドリアンがジミーの店にツアンを連れてきたシーンで流れた曲は、Wilson Pickettの『In The Midnight Hour』です。
『In The Midnight Hour』は、サザン・ソウルを代表するシンガー、ウィルソン・ピケットの最初の大ヒット曲で、1965年にリリースされました。
ピケットがこの曲を書いたとされるテネシー州メンフィスのロレイン・モーテルは、アフリカ系アメリカ人向けの高級宿泊施設で、60年代には、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリンなど有名ミュージシャンも宿泊していたそうです。
プールを2階に配置する、車でアクセスできる部屋を作るなどの配慮がなされていましたが、1968年遊説に訪れたキング牧師はこのモーテルのバルコニーにいるところを銃撃され亡くなりました。
エイドリアンがジミーの店で米兵と喧嘩をするシーン
The Vogues - Five O’Clock World
エイドリアンがジミーの店で米兵と喧嘩をするシーンで流れた曲は、The Voguesの『Five O’Clock World』です。
エイドリアンは、ツアンを侮辱した米兵と殴り合いの喧嘩をしてしまいます。
『Five O’Clock World』は、ペンシルバニア出身の米・ボーカルロックンロールグループ、ヴォーグズが1965年にリリースし、全米4位を記録したヒット曲です。
この曲は、シカゴの大手ラジオ局WLSが独自集計したチャートでは1位を記録しています。選曲・宣伝の他に新しい音楽を紹介したりするラジオパーソナリティが、ポピュラーミュージック界に大きな影響力を持つようになってきたことがわかりますね!
エイドリアンのラジオ放送2回目の1曲目
The Searchers - Sugar And Spice
エイドリアンのラジオ放送2回目の1曲目は、The Searchersの『Sugar And Spice』です。
『Sugar And Spice』は、英国リヴァプール出身の四人組バンド、サーチャーズが1963年にリリースした曲で、2ndアルバム『Sugar and Spice』に収録されています。
この曲は1964年に、ドイツ語バージョン『Süß ist sie』と、フランス語バージョン『C’est De Notre Age』もリリースされていて、全てサーチャーズが歌っています。聴き比べてみると楽しいですよ!
エイドリアンのラジオ放送2回目の2曲目
The Castaways - Liar Liar
エイドリアンのラジオ放送2回目の2曲目は、The Castawaysの『Liar Liar』です。
曲の合間にホークが入ってきて、エイドリアンのお天気ジョークを批判するシーンです。
『Liar Liar』は、1963年に結成されたミネソタ出身のロックバンド、ザ・キャスタウェイズ(The Castaways)が1965年にリリースした曲です。
1988年には、「ブロンディ」のボーカリストとして世界中で人気を博したデボラ・ハリーが、映画『愛されちゃって、マフィア』のサウンドトラックのために録音し、ミュージックビデオも作られました。
エイドリアンのラジオ放送2回目の3曲目
James Brown - I Got You (I Feel Good)
エイドリアンのラジオ放送2回目の3曲目は、James Brownの『I Got You (I Feel Good)』です。
ホークが部屋から出て行き、エイドリアンがノリノリで踊るシーンです。
映画のモデルになったエイドリアン氏は、1965年、米軍ラジオのニュースディレクターの任務に着くため、サイゴンに向かいました。
しかし、到着直後に、午前6時から始まる朝の番組の司会者の枠が空いたため、その番組を引き継ぐことになったそうです。リスナーを叩き起こすかのように元気な挨拶「Goooooood morning Vietnam!」はこうして生まれ、映画のタイトルにも採用されたとか!
『I Got You (I Feel Good)』は、ジェームス・ブラウンが1965年リリースし、彼の最高のチャートを記録した曲です。曲の最初と最後のブラウンの叫び声は、ヒップホップやダンスソングで何度もサンプリングされているそうです。
映画館の入り口で、トリンがエイドリアンに歌って聞かせる曲
Peter, Paul and Mary - Puff The Magic Dragon
映画館の入り口で、トリンがエイドリアンに歌って聞かせる曲は、Peter, Paul and Maryの『Puff The Magic Dragon』です。
「知っているアメリカの歌は?」というエイドリアンの質問に答えてトリンが歌うのは、米・フォーク・トリオ、ピーター・ポール&マリーの『パフ(原題:Puff, the Magic Dragon)』です。1963年にリリースされ全米2位を記録したヒット曲で、日本では童謡として親しまれています。
「Puff the Magic Dragon」は、ベトナム戦争時、地上支援を目的にアメリカ空軍が開発した局地制圧用攻撃機AC-47を指す言葉としても使われていました。というのも、轟音とともに現れ、低空から弾丸や炎を吐き出す様が「ドラゴン」に似ていたからだそうです…。
エイドリアンがトリンと映画を見に行くシーン
Frankie Avalon - Beach Blanket Bingo
エイドリアンがトリンと映画を見に行くシーンで流れた曲は、Frankie Avalonの『Beach Blanket Bingo』です。
映画館で上映されているのは、ビーチ・パーティー映画『Beach Blanket Bingo』(1965)です。映画内で流れている曲は、主演のアイドル歌手フランキー・アヴァロンが歌っています。
1963年に公開された映画『Beach Party』が予想外にヒットしたことから、ビーチパーティーという映画のジャンルが生まれました。この映画は世界的にヒットを記録し、日本でも1964年に『ビーチ・パーティ/やめないで、もっと!』というタイトルで公開されています。
『Beach Party』のヒットを皮切りに、サーフィンとビーチカルチャーに焦点を当てた若者向けの作品がシリーズ化され、次々と作られたそうです!
エイドリアンのラジオ放送3回目で流れる曲
Adam Faith - It’s Alright
エイドリアンのラジオ放送3回目で流れる曲は、Adam Faithの『It’s Alright』です。
『It’s Alright』は、英国のロックンロールティーンアイドル、アダム・フェイスが、ブリティッシュ・インベイジョンの最盛期の1965年にリリースし、全米トップ4を記録した曲です。
50年代から英国の国民的人気歌手とし人気を博していたアダム・フェイスは、60年代半ば、ビートルズの台頭でその人気に翳りがみえはじめ、その後は、俳優業、経済ジャーナリストとして活動していたそうです。
エイドリアンが緑のスーツを着たジミーと話すシーン
Georgie Fame and The Blue Flames - Yeah Yeah
エイドリアンが緑のスーツを着たジミーと話すシーンで流れた曲は、Georgie Fame and The Blue Flamesの『Yeah Yeah』です。
ニクソン副大統領のインタビュー編集の仕事を終えたエイドリアンがやっと食事にありつけるシーンです。
お店で流れている曲は、60年代のロンドン・モッズシーンを代表するボーカリストでオルガン奏者、ジョージー・フェイムが1965年にリリースした『Yeah Yeah』です。全英1位を記録しました。
キューバ出身のコンガ奏者、モンゴ・サンタマリアが1963年にリリースした『Yeh-Yeh』がオリジナルです。
ツアンがエイドリアンを店の外に誘い出すシーン
The Grass Roots - Ballad of a Thin Man
ツアンがエイドリアンを店の外に誘い出すシーンで流れた曲は、The Grass Rootsの『Ballad of a Thin Man』です。
ジミーの店で新聞を読みくつろいでいたエイドリアンを、ツアンは「トリンが会いたがっている」と言い、外に誘い出しました。その直後、店は爆破されてしまいます…。
『Ballad of a Thin Man』はボブ・ディランの曲で、1965年にリリースされた6thアルバム『追憶のハイウェイ 61』に収録されています。邦題は『やせっぽちのバラッド』です。
ここでは、覆面バンドとして1966年にデビューしたロックバンド、グラス・ルーツが1965年にリリースしたバージョンが使われています。
ホーク少尉の放送前の準備シーン
The Beach Boys - Don’t Worry Baby
ホーク少尉の放送前の準備シーンで流れた曲は、The Beach Boysの『Don’t Worry Baby』です。
ホーク少尉が、エイドリアンのピンチヒッターを務めることになりました。
心配する部下たちのアドバイスは、彼には届いていないようですね。
『Don’t Worry Baby』は、アメリカのロックバンド、ビーチ・ボーイズが1964年にリリースしたアルバム『シャット・ダウン・ヴォリューム2』に収録されている曲です。
この曲の歌詞は、カーレースに参加したことを後悔している男の視点から語られています。彼の告白に対して、彼女がこの曲のタイトルフレーズで彼を慰める、という歌です。
ホーク少尉のラジオ放送での1曲目
Lawrence Welk and Myron Floren - Kit Kat Polka
ホーク少尉のラジオ放送での1曲目は、Lawrence Welk and Myron Florenの『Kit Kat Polka』です。
『Kit Kat Polka』は、ローレンス・ウェルクが1956年にリリースしたアルバム『Music For Polka Lovers』の収録曲です。
音楽バラエティ番組「ローレンス・ウェルク・ショウ」の司会を長く務めたローレンス・ウェルクは、番組内で、オーケストラがポルカやワルツを演奏する時には「シャンパン・レディ」と称される女性ボーカリストとダンスをすることが定番とされていたそうです!
エイドリアンが局内で髭を剃るシーン
Herb Alpert & The Tijuana Brass - Acapulco 1922
エイドリアンが局内で髭を剃るシーンで流れた曲は、Herb Alpert & The Tijuana Brassの『Acapulco 1922』です。
エイドリアンの停職が解かれたことをガーリックが伝えにくるシーンです。
『Acapulco 1922』は、米トランペット奏者のハーブ・アルパートのデビューアルバム『The Lonely Bull』の収録曲で、1962年にリリースされました。
ハーブ・アルパートの作品は、ニッポン放送の深夜ラジオ番組「オールナイトニッポン」のテーマソング『ビター・スウィート・サンバ』や、昭和の人気番組「欽ちゃんの週刊欽曜日」で披露された『ティファナ・タクシー』など、日本のメディアでも多く使われていたので、聞いたことがあるという人も多いと思います!
ベトナム人とエイドリアンが食事をしているシーン
The Silhouettes - Get A Job
ベトナム人とエイドリアンが食事をしているシーンで流れた曲は、The Silhouettesの『Get A Job』です。
ガーリックとツアンが二人揃ってエイドリアンを探しにくるシーンです。
『Get A Job』は、1956年に米・フィラデルフィアで結成されたドゥーワップ/R&Bグループ、ザ・シルエッツが1957年にリリースした曲で米国の R&B チャートとポップ チャートの両方で1位を記録したヒット曲です。
歌詞は、職を失った男性の、緊張状態にある家庭での苦悩が明るく描かれています。
ホーク少尉のラジオ放送での2曲目
Lawrence Welk and Myron Floren - Hot Time In The Old Town Tonight
ホーク少尉のラジオ放送での2曲目は、Lawrence Welk and Myron Florenの『Hot Time In The Old Town Tonight』です。
この曲は、1896年にアメリカで作られたポピュラーソングです。20世紀初頭、アメリカ軍のバンド演奏で人気となり、それ以降軍隊で広く演奏され、アメリカのファイトシーン、スポーツシーン、政治の場面でもつかわれるようになりました。
ここでは、1曲目と同じローレンス・ウェルクの番組「ローレンス・ウェルク・ショウ」のメンバー、ジョー・アン・キャッスルの演奏が使われているようです。
…映画ではこの後、エイドリアンの復職を求める電話や手紙が殺到していましたね。
エイドリアンが復職後の放送で流す曲
Louis Armstrong - What A Wonderful World
エイドリアンが復職後の放送で流す曲は、Louis Armstrongの『What A Wonderful World』です。
『この素晴らしき世界(What a Wonderful World)』は、1967年にルイ・アームストロングがリリースした曲です。作曲したボブ・シールは、ベトナム戦争を嘆き平和な世界を夢見て、この曲を書いたそうです。
この曲の録音では、レコード会社の社長ラリー・ニュートンがアームストロングの演奏に不満を訴え、作曲者と口論になった結果、社長を外に締め出しレコーディングは終了したそうです。英国では第1位のヒットを記録しましたが、社長が曲のプロモーションを拒否したアメリカでは不振に終わりました。
20年後、映画『グッドモーニング、ベトナム』で使用されて米国でも人気を博し、再リリースされたシングル盤は世界的に大ヒットしました!
車が横転する前のドライブシーン
Vince Guaraldi - Cast Your Fate To The Wind
車が横転する前のドライブシーンで流れた曲は、Vince Guaraldiの『Cast Your Fate To The Wind』です。
ヴィンス・ガラルディ(Vince Guaraldi)は、サンフランシスコ出身のジャズピアニストです。世界中で愛され続けるスヌーピーのコミック『ピーナッツ』のTVアニメの音楽を60年代〜70年代にかけて担当していました。
『Cast Your Fate To The Wind』はヴィンス・ガラルディが作ったジャズ・インストゥルメンタル曲で、アルバム『Grammy Award for Best Original Jazz Composition』(1962)に収録されています。この曲は、1963年にグラミー賞最優秀オリジナル・ジャズ作品賞を受賞しました。
ここでは、英国のイージーリスニンググループ、サウンズ・オーケストラルが、1965年にリリースしたバージョンが使われています。
ツアンがエイドリアン達を救出するために車を走らせるシーン
Them - Baby Please Don’t Go
ツアンがエイドリアン達を救出するために車を走らせるシーンで流れた曲は、Themの『Baby Please Don’t Go』です。
『Baby Please Don’t Go』は、1935年にビッグ・ジョー・ウィリアムズによって広められた伝統的なブルースです。
第二次世界大戦後、さまざまなアーティストがこの曲を録音し、50年代初頭頃には、ブルースのスタンダードとして知られるようになりました。
その後、1965年、19歳のヴァン・モリソンがフロントマンを務めていたR&Bロックバンド、ゼムがアップテンポなロックアレンジでリリースしたバージョンがヒットし、ロックのスタンダードともなりました!
エイドリアンが英語教室の生徒達とソフトボールをするシーン
The Rivieras - California Sun
エイドリアンが英語教室の生徒達とソフトボールをするシーンで流れた曲は、The Rivierasの『California Sun』です。
『California Sun』は、ニューオーリンズ出身のR&Bシンガー、ジョー・ジョーンズが1961年にリリースした曲です。
ここで使われているのは、インディアナ州サウスベンドで結成されたロックバンド、リビエラズが1963年にリリースし、全米5位を記録したヒットバージョンです。この曲のリリース直後、バンドのメンバー数名が海兵隊に入隊しました。
トリンがエイドリアンに別れを告げにくるシーン
The Beach Boys - Warmth Of The Sun
トリンがエイドリアンに別れを告げにくるシーンで流れた曲は、The Beach Boysの『Warmth Of The Sun』です。
『The Warmth of the Sun』は、ビーチボーイズの曲で、メンバーのブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴが作りました。1963年11月22日のケネディ大統領暗殺事件がきっかけで作られたバラードで、アメリカ全土に広がっていた喪失感を象徴する1曲とされています。
邦題は『太陽あびて』で、1964年にリリースされたアルバム『シャット・ダウン・ヴォリューム2』に収録されています。
エイドリアンが「別れのメッセージ」で歌う曲
Frankie Laine - Rawhide
エイドリアンが「別れのメッセージ」で歌う曲は、Frankie Laineの『Rawhide』です。
エイドリアンが歌った「ローレン、ローレン、ローレン」は、日本でも吹替版が放送され人気を博した西部劇テレビシリーズ『ローハイド』のテーマ曲で、シカゴ出身の歌手で俳優のフランキー・レインが歌っています。
米CBSで1959年から1966年まで放送されていた『ローハイド』は、南北戦争後のアメリカ西部を舞台に、カウボーイ達の仕事「ロングドライブ(牛の大群を引き連れ旅をすること)」での様々な出来事が描かれたドラマです。
映画のモデル、エイドリアン氏は1966年にサイゴンを去りましたが、その後のDJ達も「Good Morning, Vietnam」というフレーズを使い続けたそうです!