2022年8月26日に公開された、映画『異動辞令は音楽隊!』
刑事一筋30年のベテラン刑事が、異動辞令を言い渡された。
その行き先は…音楽隊!?
警察活動の広報課「警察音楽隊」に焦点をあてた、ハートフル・ミュージック・コメディムービー。
主演:阿部寛(『トリック』『テルマエ・ロマエ』シリーズ)
監督:内田英治(『ミッドナイトスワン』『全裸監督』)
阿部寛さんの作品も間違いない、と思っているbeersyです!
コメディからシリアスから、なんでも出来る俳優さん。
ドラマ『トリック』で大ファンになりましたが、今回はドラムを叩く役という事で期待値爆上がりです♪
この記事では、映画『異動辞令は音楽隊!』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介します!
『異動辞令は音楽隊!』の評価&感想
- 感動度
- 3
- 脳トレ度
- 2
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 5
- 話題性
- 5
本作の見どころは、キャスト陣のオーケストラ!
内田監督の「演奏シーンの吹替はなし」「手元だけの吹替も一切なし」という方針のもと、皆さん未経験ながら仕事の合間を縫って猛特訓されたそうです。
ちなみに成瀬の娘役の見上愛さんは、中高からバンド活動をしていたそうで、今回はエレキギターを弾いた動画をオーディションに送り、採用されました。
迫力のある真剣な演奏シーンはもとより、成瀬の葛藤や苦悩、またサブキャラ達の抱えている気持ちなども存分に感じられ、感情移入がしやすかったです。
ストーリーは予想しやすく、正直驚く事などは一切なかったですが、この単調さが観やすさにも繋がっているのではないでしょうか。
阿部ファンだけではなく、音楽が好きな人はぜひ観てみてください♪
以下より重要なネタバレを含みます。
『異動辞令は音楽隊!』のネタバレ
鬼のベテラン刑事
この道一筋30年のベテラン刑事・成瀬司(阿部寛)は、ぶっきらぼうな性格や口の悪さと、手段を選ばない捜査方法を強行する事で、周囲から敬遠されていた。
そんな成瀬の担当している地域では、老人を狙った「アポ電強盗」が多発している。
まず警察官を装い電話をかけ、現金のありかを聞き出す。そして宅配業者を装って家の中に侵入し、老人を殴って口を塞いで金を盗む、という酷い手口だ。
成瀬は、5年前に取り逃してしまった男がこの犯罪グループの頭だと推測し、知り合いの半グレ・西田(高橋侃)を問い詰める。
しかし西田は口を割らず、その勝手な行動に部下の坂本(磯村勇斗)もやり過ぎだと非難した。
ーー
成瀬は私生活もうまく行っていない。妻とは別れ、母・幸子(倍賞美津子)は少々痴呆気味。
元妻と暮らす一人娘の法子(見上愛)は、祖母の様子が心配で食事時などに手伝いに来ていた。
しかし「高校の文化祭におばあちゃんと来る」という約束を成瀬が忘れており、同様の事を何度もされた事から、「もうどうでもいい」と心を閉ざし着信拒否をしてしまう。
法子は、自分が所属するバンドの演奏を観て欲しかったのだ。
成瀬は「もう一度やり直させてくれ」と謝罪したが、「もう2度と連絡して来ないでください」と言われてしまった。
ーー
成瀬に、さらに不幸が続く。
本部長の五十嵐(光石研)に呼ばれ、異動を命じられたが、その移動先が「音楽隊」と言われて愕然とした。
その理由は、ハラスメント対策室に「成瀬から精神的圧迫を感じている」という投書があったからであり、また「君は昔和太鼓を叩いていたのだろう?」と言われる。
確かに成瀬は幼い頃和太鼓を習っていたが、刑事一筋でやって来た彼には辛い異動だった。
前半は、成瀬という男の紹介動画のようでした。周りに敵しかいない!
彼自らが敵を作っているような状況ですね。
それにしてもアポ電強盗は本当に酷い。このような犯罪は本当に無くなって欲しいと願うばかり。
やる気のない音楽隊?
音楽隊の事務所は、警察署内ではなくバスで向かった先の田舎町、しかも老朽化した建物の中にあった。
予算が少なく練習場は借りられないため、隣の教会を使用しているらしい。
そこには個性的なメンバーがいた。
- 沢田高広(酒向芳)…指揮者、広報課。穏やかで皆んなをとりまとめている。
- 来島春子(清野菜名)…トランペット、交通課。バツ1のシングルマザー)
- 北村裕司(高杉真宙)…サックス、自動車警ら隊。刑事志望だったが、ヘマをして降ろされてしまった)
- 国沢正志(板橋駿谷)…チューバ、北村と同じ自動車警ら隊。唯一、楽しそうに演奏をしている)
- 広岡達也(渋川清彦)…パーカッション、交通機動隊員。ツッパリ、ロックンロール大好き)
成瀬はパーカッションを担当する事になり、広岡に教えてもらいながら嫌々練習を始める。
来島はそんな成瀬の態度を気に入らず、衝突を繰り返した。
ーー
数日経った頃、テレビでまたしてもアポ電強盗が起きたとのニュースが入った。
成瀬は急いで刑事課に戻るが、坂本に「もうここの人間ではないんです」と言われてしまう。
成瀬は「悪かった」と落ち込みながら部屋を出て行き、真犯人だと推測している男の写真を破り捨てた。
その後、市民向けのフェスティバルが開催され演奏したが、他のメンバーも失敗が多く、成瀬もメチャクチャにしてしまう。
観覧席にいた知事からは、税金の無駄遣いだと言われてしまった。
しかし、音楽隊のファンでよく観に来ているという老婦人・村田ハツ(長内美那子)だけは「あなたのドラムには勇気をもらえるわ。頑張ってね」と成瀬に笑顔を見せた。
クセのある音楽隊のメンバー。
広岡役の渋川清彦さんは趣味・ドラムだそうですが、他の皆さんは初心者!
この時の、ちょっとまだうまくない演奏をするというのも難しかったのではないでしょうか;
心をひとつに
夜、成瀬がお好み焼き屋に立ち寄ると、そこは偶然にも来島の実家だった。
彼女は忙しい時、一人息子を母に預けているらしい。
成瀬は来島に「話しませんか」と言われ飲み始めたが、やはりウマが合わず早々に店を出てしまう。
しかし、その際警察手帳が入った上着を忘れてしまい、来島が届けに来た。
誇りだった警察手帳を忘れるとは…と成瀬が落ち込んでいると、来島は「ミスをしたなら周りがカバーすれば良いんですよ。音楽と一緒です」と言って、慰めた。
そして成瀬は心を入れ替え、ドラムの練習を始める。
さらに、これまで威圧的な態度を取って来た事を、音楽隊の皆んなに謝罪した。
メンバーの心はひとつになって行く。
ーー
成瀬が近所のスタジオでドラムの練習をしていると、バンドメンバーを連れた法子と偶然居合わせる。
他のメンバーが「見てみたい」と言うので、成瀬は覚えたてのドラムを披露した。
すると、法子達はそのスティックさばきに驚き、セッションを始める。
成瀬は、音楽によって娘との絆を取り戻したのだった。
ーー
音楽隊の演奏はうまく行き始めたが、知事の機嫌を取ろうとした五十嵐が、経費削減のため音楽隊を廃止するという通告を出す。
沢田や来島が食い下がるが、「次の定期演奏会が最後だ」と言われてしまった。
愕然とする音楽隊のメンバー。
そんな中来島は、「ごめんなさい。実は育児との両立が難しく、私は音楽隊の除隊届けを提出していたんです」と告白した。
誰もそれを責めはしなかったが、皆んなこの隊が無くなる事に落ち込んでいた。
ーー
そんな中、またしてもアポ電強盗が起こってしまう。
被害者は、音楽隊ファンの村田ハツであり、しかも初めての死亡者となってしまった。
怒り狂った成瀬は事故現場へ行き、「なぜ罪もない老人ばかりを狙うんだ!!!」と泣き崩れる。
ハツが眠る安置室では、音楽隊が優しい音色を奏でて見送った。
坂本は、成瀬の様子を見て考え直し、以前成瀬が執拗に迫った西田の家へ行き、ついに自白をとる。
やはり西田は、犯罪グループの頭の事を知っていたのだ。
坂本は成瀬に、テープで繋ぎ合わせた犯人の写真を見せて「申し訳ありません。コイツが本星でした。先輩の力が必要です」と言いに行く。
しかし成瀬は、「明日は演奏会だ。あとは頼んだぞ」と言って、犯人の検挙を坂本に託した。
死んじゃいそうとは思っていましたが、ハツさん別に死ななくても良かったんじゃ…。
しかも死因が拘束による窒息死なんて…あまりにもむごい。
本作で1番嫌だった、辛かったシーンです。この捜査一課無能過ぎる。
同じ警察官として
翌日。
フェスティバルが行われている会場で、ピエロ達が現れ、子供向けに行進を始める。
そこでは、坂本の発案で、捜査一課による西田を使ってのおとり作戦が行われていた。
すると突然、成瀬がピエロの仮面を取り「犯人はアイツだ!」と、一人の杖をついた老人に向かって叫ぶ。
実は、おとり作戦には音楽隊も協力しており、メンバーが次々に姿を現した。
老人は激しく抵抗するが、音楽隊や捜査一課の面々により見事に確保される。
その瞬間の動画がSNSで瞬く間に拡散され、音楽隊は脚光を浴びた。
ーー
その後音楽隊は、坂本が覆面パトカーを鳴らして先導し、渋滞を抜け定期演奏会会場に辿り着く。
会場では、SNSの動画を見た知事が「これがバズると言うんだろ?すごいじゃないか」とご満悦に。
五十嵐は掌を返し「音楽隊は、市民との架け橋ですから…」と返答。「彼らの雄志を観ましょう」と言って、音楽隊の存続が決定した。
ーー
来島は、成瀬に「先輩と最後のセッションですね。子どもが大事なのですが、本当は両立したかった」と言って、涙を流した。
成瀬は「音楽はどこでもやれる。君がそう教えてくれた」と言って、微笑む。
来島もニコリと笑って、他のメンバーと共に舞台へと向かった。
ーー
成瀬も舞台へ行こうとすると、坂本が現れる。
坂本は泣きながら「ハラスメント対策室に、先輩の事を投書したのは自分なんです。俺は先輩を売ったんです。ごめんなさい…」と謝罪した。
成瀬は微笑み「お前は間違ってなかった。俺は音楽隊でお前は刑事。同じ警察官同士、セッションすればいいんだ」と言って、舞台へと向かった。
法子や幸子、来島の母と息子など、様々な人で観覧席が埋まる中、警察音楽隊の楽しい演奏が始まった。
ラストはスッキリ終わりましたが、ハツさんの事を引きずる筆者です;
やっぱり怪我だけにしておいて、演奏会には来て欲しかった…。残酷過ぎる…。
あと最後に驚いたのは、犯人役がなんと小沢仁志さんだったという事!
やけに動きの良いご老人だと思いましたが、全然分かりませんでした!!
ハツさんを弔いながら、再鑑賞しようと思います。(しつこい)
『異動辞令は音楽隊!』が好きな人にオススメのNetflix映画
映画『異動辞令は音楽隊!』のような、コメディたっぷりの音楽映画と言えばこちら!
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もはや王道の映画ですが、泣けて笑えてアクター達の演技に感動する代表的な作品です。
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