2022年6月24日に日本で公開された、韓国の映画『ベイビー・ブローカー』
「ベイビー・ボックス」(赤ちゃんポスト)に預けられた乳児を、善意で養子に出す2人がいた。
しかし、そんな2人を刑事が追う。
1人の赤ちゃんを巡り描かれる、ヒューマンドラマ。
第75回カンヌ国際映画祭で、主演のソン・ガンホが「最優秀男優賞」「エキュメニカル審査員賞」の2冠(韓国人俳優として初の快挙)を達成しました。
最近どっぷり韓国ドラマにハマっているbeersyです!
本作は、ちょっぴり切ないハートフルムービー。
「殺人の追憶」「パラサイト 半地下の家族」などでお馴染みソン・ガンホ、また良い味出してますよ!
この記事では、映画『ベイビー・ブローカー』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介します!
『ベイビー・ブローカー』の評価&感想
- 感動度
- 4
- 脳トレ度
- 4
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 3
- 話題性
- 5
韓国の有名俳優ソン・ガンホに加え、
長身のイケメン俳優カン・ドンウォン(「華麗なるリベンジ」「MASTER/マスター」)
韓国の国民的シンガーソングライター、イ・ジウン(活動名はIU、本作が映画デビュー作)
が出演している本作は、かなり高い評価を得ています。
1人の赤ちゃんを取り巻く人の愛、憎しみや妬みなど、様々な感情が描かれていて見応えたっぷり!
クライムストーリーですが、「本当の幸せ」は何なのか、改めて考えさせられました。
ラストは若干分かりにくいので、たくさんの考察もされています。
笑い有り、ほっこり出来て、でも少し切ない作品でした。
以下より重要なネタバレを含みます。
『ベイビー・ブローカー』の主要キャスト
※役名/俳優名(説明)
- ハ・サンヒョン/ソン・ガンホ(クリーニング店の優しい店主。捨てられた子どものために危険な裏家業をしている)
- ユン・ドンス/ン・ドンウォン(赤ちゃんポストのクールなイケメンスタッフ。自身も親に捨てられた過去を持つ)
- ムン・ソヨン/イ・ジウン(今回のキーマン。事情があり、乳児を赤ちゃんポストへ)
- アン・スジン/イ・ジュヨン(サンヒョンとドンスに目を付け、逮捕しようとしている)
- ウソン/パク・ジヨン(眉毛が薄いと言われるソヨンの息子。ぷくぷくで可愛く、本作の癒しキャラ)
『ベイビー・ブローカー』のネタバレ
乳児の人身売買
韓国の釜山。
土砂降りの雨の中、1人の女性が赤ちゃんを、教会に併設されている「赤ちゃんポスト」に置いて行く。
その施設の中には、青年男性ユン・ドンスと中年男性ハ・サンヒョンという人物がおり、赤ちゃんのカゴから「ウソン、ごめんね。必ず迎えに来るからね」と書かれた手紙を見つけた。
しかしドンスは「その気ゼロですね」と吐き捨て、サンヒョンはその赤ちゃんを連れて、自身が営むクリーニング店へ連れて行く。
実は、サンヒョンとドンスは、結託して赤ちゃんポストから乳児を連れ出し、子どもを望んでいる夫婦に売る人身売買を行っていた。
青少年課員の女性刑事であるスジンと後輩のイは、その疑惑があるサンヒョンを尾行し、現行犯で逮捕しようとしていた。
ーー
翌日、ドンスの予想は外れ、ウソンの母親であるムン・ソヨンが施設に現れて「赤ちゃんを返して欲しい」と申し出る。
しかし、ウソンが施設にいないと分かったソヨンは、警察に通報しようとした。
それを阻止したドンスは、こっそりサンヒョンの元へ連れて行き「養護施設で育つより、温かい家庭で育つ方が絶対に幸せだ」と言って、自分達が行っている「善意の人身売買」を説明する。
ソヨンは「正当化しないで。ただのブローカーでしょ」と再度通報しようとするが、サンヒョンに「多額の謝礼が出る」と聞かされ、結局ウソンを売ろうとしている夫婦を確かめようと、2人に付いて行く事にした。
ーー
取引相手の夫婦は、ウソンを見るなり「眉毛が薄い」「割引け」などとケチを付け、値引きを持ちかける。
それに「人の子の顔にケチつけやがって!」と激怒したソヨンが食ってかかり、交渉は決裂した。
その後再びウソンを連れた3人は、ドンスが育った施設へと向かう。
そこでドンスは「兄ちゃん」と呼ばれ慕われていた。
ーー
その夜、ソヨンとドンスが口論に。
「ワンオペは大変だからひとまず置いて行くだけよ」と言うソヨンに「迎えに行くという手紙を入れた母親が来る確率は、40人中1人だ」と厳しく言い放つ。
ソヨンは彼の境遇を知らず「ちやほやされて良い気になってる」と反論するが、サンヒョンから「アイツはここに捨てられていたんだ。突っかかるのも分かってやれ」と言われ、翌朝素直に謝罪した。
ソヨンは、親に捨てられた子どもの心の傷は深いのだと、改めて思った。
ーー
スジンは、なんとしてもサンヒョンとドンスを現行犯で捕まえるために、罠を仕掛けようとする。
ある夫婦に「不妊治療をしたもののうまくいかなかった」という演技をさせて、サンヒョン達をおびき寄せる作戦だ。
一方サンヒョン達は、スジンの罠だとは知らず、破格の値段で交渉して来たその夫婦に会いに行く。
その際、施設にいたヘジンが車に乗ってしまい、4人で向かう事になった。
しかし、夫婦と対面したドンスが不審に思い、罠に引っかかる事無くウソンは売られなかった。
人身売買にも転売屋がいるため、ドンスとサンヒョンの警戒心は強かったのだ。
確かに、しっかりとした里親のもとで子どもが過ごすのは良い事かもしれない。
でもそれが違法なら…?
それを大きくなった子どもが知ったら…?
そもそも、育てられないなら産むべきではなかった…?
中々難しい問題ですね。こればっかりは、未来にならないと分からない。
ウソンの出生の秘密
実は、ソヨンは売春婦として働いており、あるヤクザの男の子ども(ウソン)を出産した。
そしてウソンを取り上げられそうになり、男を殺したらしい。
男の妻は、手下を使ってウソンを探しており、引き取って育てようとしている。
スジン達は、その事をソヨンに伝え「サンヒョン達を捕えるのに協力してくれれば、助ける事が出来る」と交渉した。
ーー
ソヨンは、サンヒョン達に刑事の計画を打ち明ける。
自分達の車にGPSが付けられている事を知り、電車で移動を始めた。
しかしソヨンは、自分達の居場所をスジンに伝える。
ウソンを売って良いものかと、葛藤しているようだ。
ーー
次に会ったソウルのユン夫婦は、死産という辛い経験をしたばかり。
とても感じが良く、心からウソンを可愛がっている様子だった。
「この夫婦なら、安心してウソンを売る事が出来る」
全員そう思い、最後のひとときを遊園地で過ごし、記念にプリクラを撮った。
そしてサンヒョンは、ソウル在住の別れた妻のもとで暮らす娘と会ったが、元妻が妊娠している事、「もう会わないで」と言っている事などを聞き、自分の存在は不要なのだと気付かされた。
ーー
その夜中、ソヨンはスジン達と会っており、それに気付いたサンヒョンはウソンを連れて行こうとする。
ソヨンに想いを寄せ始めていたドンスは、「ソヨンは俺達を刑事に売ったら、やり直せるのかな」と呟いた。
サンヒョンは「そうだな」と答えつつ、ドンスとヘジン、そしてウソンと共に外に出る。
しかしそこへ、ソヨンが殺した男の妻に雇われた暴力団員が、ウソンを奪いに来た。
サンヒョンはドンス達を先に夫婦の元へ行かせ、その暴力団員に「俺と4000万ウォンの仕事をしよう。もう俺はドンス達には必要ない」と言った。
中盤では、ソヨンの苦しい胸中が描かれていました。
「産む前に殺すのと、産んでから捨てるのと、どちらの罪が重いの?」
相当悩んで産んだのだと思います。
また、サンヒョンの娘ちゃんは新しい妹が出来るそうで。
パパの事を嫌いではなさそうですが、きちんと頼って幸せになって欲しい!
それぞれのその後
ドンス達がユン夫婦と取引きをしていると、スジン達が他の刑事達と共に突入し、逮捕状を見せる。
結局、ソヨンは自首したのだ。
それを知ったドンスは、笑みを浮かべながら素直にウソンをスジンに引き渡し、連行されて行く。
一方サンヒョンは、バスターミナルのような場所にいて「ソウル都心のモーテルで、釜山の暴力団員が殺されているのが発見され、部屋から4000万ウォンが見つかった」というニュースを呆然としながら聞いていた。
ーー
ウソンは、スジン夫婦に引き取られすくすくと育っている。
執行猶予中のユン夫婦とも会っており、可愛がられていた。
事件からは3年の月日が経ち、ソヨンは出所しガソリンスタンドで働いている。
そんな中、スジンはドンス、ソヨン、ヘジンに「ウソンの未来について皆んなで考えたいので、釜山のスカイランド前の公園で会いましょう」という連絡をした。
サンヒョンは未だ行方不明のままらしい。
ーー
仕事を終え、急いで公園へ向かうソヨンの姿を、クリーニング店の車が追いかける。
その車には、遊園地で皆んなで撮ったプリクラが飾られていた。
サンヒョンは暴力団員を殺してしまったのか?もしくは、雇われ先に殺されたのか…?
そしてラスト、クリーニング店の車に乗っていたのはドンスなのか?サンヒョンなのか?
謎が残ってスッキリしませんでしたが、筆者はウソンを守るためにサンヒョンが暴力団員を殺してしまい、逃亡し、最後はドンスがソヨンを見守って、その後合流したのでは無いかと思いました。
というか、きっといつかは皆んなで合流出来るよね、と思いたい!
ふわっとした終わり方ですが、観る人に委ねられた部分もあるのかな?
これまで以上に家族を大事にしようと思いました!!
『ベイビー・ブローカー』が好きな人にオススメの映画
映画『ベイビー・ブローカー』のような、家族をテーマにした映画をピックアップ!
そして父になる
第66回カンヌ国際映画祭「審査員賞」を受賞し話題となった名作。
子どもを取り違えられた、二つの家族の葛藤を観ていると心苦しくなりますが、どこまでも温かい「家族愛」を感じられる映画です!