2017年8月19日公開の映画『ベイビー・ドライバー』
低予算コメディに定評のあるエドガー・ライト監督のハリウッド本格進出作品『ベイビー・ドライバー』。ミュージカル×カーチェイスの新感覚クライムアクションは瞬く間に評判となり、北米で1億ドル超え、日本では3億円超えとエドガーライト作品史上最高額の興行成績を記録しました。
この記事では、映画『ベイビー・ドライバー』で流れた音楽43曲をシーン毎にご紹介します!
『ベイビー・ドライバー』で流れた曲とは?
オープニングの強盗シーン
The Jon Spencer Blues Explosion - Bellbottoms
『ベイビー・ドライバー』のオープニングの強盗シーンで流れている音楽は、The Jon Spencer Blues Explosion(ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン、通称JSBX/ジョンスペ)の『Bellbottoms』という楽曲です。
90年代に絶大な人気を誇ったNY発ロックバンドJSBX、ツインギターとドラムによるスリーピースバンドで、ヒップホップやファンク、ソウルの影響を強く受けつつも、パワフルで破壊的なロックサウンドを貫く唯一無二の存在です。『Bellbottoms』はJSBXの3rd アルバム『オレンジ』(1994) の1曲目、90年代を代表する楽曲TOP200にも選ばれたヒット曲です。
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真っ赤なスバル インプレッサWRX(2006年型)が颯爽と現れ、懐かしいiPodクラシックwith Apple純正(有線)イヤホン…から再生されるのがJSBXの『Bellbottoms』。まさかのまるっと1曲5分半ノーカットで使ってくれる贅沢なオープニングです。
歌が入って来る瞬間、ベイビーのリップシンクとハンドルダンス(?)でアクセル全開になりますよね!緩急の付け方、ギアチェンジとサウンドのシンクロ…身震いするほどのカッコよさです!!
実はこのオープニングの車×リップシンクのアイディア、エドガー・ライト監督が初めて『Bellbottoms』を聞いた1994年頃に、頭の中に情景がパッと浮かんだそうです。そのアイデアは、のちに自身が監督した、Mint Royaleの『Blue Song』のMVの撮影で使ってしまい後悔していたとか…(映画公開当時、MVのパクリではないか?と話題になっていましたが、監督の過去作なんですね!)『Bellbottoms』リリースから20年…温め続けてようやく実現したのがこのオープニングシーンです!
Amazon Music Unlimited
タイトル&カフェのシーン
Bob & Earl - Harlem Shuffle
『ベイビー・ドライバー』のタイトル&カフェのシーンで流れている音楽は、Bob & Earl(ボブ&アール)の『Harlem Shuffle』という楽曲です。
1960年代に米LAで活動していたDUOグループ、ボブ&アール最大のヒット曲が『Harlem Shuffle』です。多くのアーティストにカバーされた名曲で、1986年にリリースされたThe Rolling Stonesによるサイケなカバーバージョンは、こちらも大ヒットを飛ばしました。
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『Bellbottoms』から途切れる事なく続けて流れてくるのがこの『Harlem Shuffle』です。トムとジェリーやスターウォーズのオープニングを彷彿させる、レトロなタイトルロゴとトランペットのファンファーレ!
そこからはまるでミュージカルのように音楽に合わせてベイビーが街中をノリノリで歩くようすが映し出されます。ビルから出てコーヒーショップに向かい帰ってくるまでの長回し…実はこのシーンの撮影に28テイク、時間にすると9時間を要したとか…。
この後『ウエストサイドストーリー(2001)』の主役に抜擢されることになるベイビー役のアンセル・エルゴート、流石のリズム感ですね!
ドクの事務所でお金を数えるシーン
Jonathan Richman - Egyptian Reggae
『ベイビー・ドライバー』のドクの事務所でお金を数えるシーンで流れている音楽は、Jonathan Richman(ジョナサン・リッチマン)の『Egyptian Reggae』という楽曲です。
1977年8月リリースの『Egyptian Reggae』はパンクロッカーのJonathan RichmanとThe Modern Loversがレゲエを独自解釈でアレンジした意欲作です。サビの銅鑼をはじめ、ユニークで掴みどころのないサウンドがウケ、1977年UKチャート5位、ヨーロッパを中心に大ヒットしました。
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ドクが札束を仕分けするシーンで流れるのがこの『Egyptian Reggae』です。1…2…1,2,3…のリズムで曲に合わせて札束を分けていくドク…札束が手元にあればぜひ真似したいですね!
札束を机に置く音やコーヒーを置く音、全てが心地よくASMRを聞いているような気分になります。エドガー・ライト監督、ものすごい音楽通なのは映画を見れば想像できますが、リミックスも趣味らしく、好きな曲に効果音を混ぜて聞くのが好きだそう。それでこんなに心地よい効果音なんですね…納得です!
エレベーターで駐車場に向かうシーン
Ennio Morricone - Secondo Intermezzino Pop
『ベイビー・ドライバー』のエレベーターで駐車場に向かうシーンで流れている音楽は、Ennio Morricone(エンニオ・モリコーネ)の『Secondo Intermezzino Pop』という楽曲です。
マカロニ・ウェスタンブームを牽引したひとり、Luciano Ercoli監督のデビュー作で、1970年・イタリア制作のサスペンス映画『Le Foto Proibite Di Una Signora Per Bene』オリジナルサウンドトラックからの引用です。
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ケヴィン・スペイシーをセンターに据えたエレベーターシーン…特に意味もない短いシーンなのに、シュールで印象に残るシーンのひとつですよね!
ここで流れるのが『Secondo Intermezzino Pop』。90年代渋谷系を彷彿させるテクノポップサウンドで、誰の曲なんだろう…と気になっていたのですが、まさかのモリコーネ師匠!こんなテイストもお手のものなんですね!キュートでポップ、お洒落な名曲です。
Ennio Morricone(エンニオ・モリコーネ)は『ゴッドファーザー』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』などで知られる映画音楽の巨匠です。映画好きでもそうじゃなくても彼の曲を聞いたことがないという人はいないのではないでしょうか。サントラ界の巨匠への敬意も忘れず、隠れた名曲を引っ張ってくるところに監督エドガー・ライトのこだわりを感じますね!
べイビーがキッチンでジョーの朝食を作るシーン
Googie Rene - Smokey Joe's La La
『ベイビー・ドライバー』、べイビーがキッチンでジョーの朝食を作るシーンで流れている音楽は、Googie Rene(グーギー・レーン)の『Smokey Joe's La La』という楽曲です。
『スタンドバイミー』のサントラやマイケル・ジャクソンのカバーで有名な『Rockin' Robin』 の作詞作曲で知られるLeon Renéの息子Googie Rene(グーギー・レーン)によるアメリカンポップなインスト曲です。1966年リリース。リズムカルなドラムに調子っぱずれのピアノ、うっすら聞こえてくる話し声が場末のパブを彷彿させる軽快な曲です。
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ベイビーの育ての親、ジョー(ジョセフ)が初めて出てくるこのシーン。音楽が重要なキーとなっている作品でありながら、ベイビーは消えない耳鳴りに悩まされていたり、ジョーは耳が聞こえなかったりと、耳に関する問題も多数出てくるのがなかなか考えさせられますね。
ちなみにジョーを演じたCJ・ジョーンズ、実際にろうあの俳優で普段から手話を使って生活しているそうです。オーディションでは聴覚に不自由のない俳優もいたそうですが、実際に手話が自分の言葉となっているCJ・ジョーンズにかなう者はいなかったとか。
『Smokey Joe's La La』に合わせてベイビーがピーナッツバターサンドを作るシーン。無意味な動きがとってもキュートで、ジョーとの仲の良さが非常によく伝わってくるほっこりシーンですね!
テレビのザッピングシーンその1
Billy Preston - You Are So Beautiful
『ベイビー・ドライバー』テレビのザッピングシーンで流れる挿入歌の1曲目は、Billy Preston(ビリー・プレストン)の『You Are So Beautiful』という楽曲です。
今回用いられたのは映画『ちびっこギャング (原題:The Little Rascals)』(1994)で、主人公のアルファルファがマドンナのダーラに小舟でラブソングを捧げるシーンです。アルファルファ役のBug Hall(バグ・ホール)が歌っています。
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ベイビーとジョー(ジョセフ)が並んで仲良くテレビを見るシーン、最初に映るのは映画『ちびっこギャング』のワンシーンです。このシーン、tiktokで見た事がある人もいるかもしれませんね!
素っ頓狂な声で「君は僕には美し過ぎる…」と歌う可愛い男の子…癒されます!
実はこのザッピングシーンに出てきた映画の台詞、ベイビーが作品内で全て引用しているんです!『ちびっこギャング』の台詞は、ダイナーで初めてデボラと話した時、デボラに注文を聞かれ、「You are so beautiful」と引用しています。(19分〜)
注文を聞かれたのに、口説くと言うのもキザな感じがしますが、『ちびっこギャング』からの引用だと知ると、ベイビーらしくてキュートに思えてきますね!
テレビのザッピングシーンその2
Hans Zimmer and Heitor Pereira - The Original Five
『ベイビー・ドライバー』のテレビのザッピングシーンで流れる挿入歌の2曲目は、Hans Zimmer(ハンス・ジマー)とHeitor Pereira(ヘイター・ペレイラ)による『The Original Five』という楽曲です。
メリル・ストリープ主演のラブコメ『恋するベーカリー (原題:It's Complicated)』(2009)の為に作られたサウンドトラックです。映画音楽界の巨匠ハンス・ジマーと『ミニオン』シリーズのサントラで知られるヘイター・ペレイラの共同製作となっています。
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ちびっこギャングの次に映るのは『恋するベーカリー』、メリル・ストリープが離婚した元旦那との関係や自分の人生を見つめ直す2009年の人気ラブコメ映画です。『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『ライオンキング』の曲で知られるHans Zimmer(ハンス・ジマー)によるサントラが流れています。
音楽と共にテレビでは、ジョン・クランスキー演じるハーレイが『They grow up so freaking fast, Don't they?(子供達は直ぐにデカくなるよな?)』というシーンが映し出されました。このセリフは、50分〜強盗予定の郵便局の偵察に行かされたベイビーが窓口の女の人と話すシーンで引用されています!
ベイビーには焦ると自分の言葉で話せない、という傾向があるみたいですね…。映画のセリフを覚えてる方がすごい気がしますが、そこは趣味のサンプリングで鍛えられているのかもしれません!
テレビのザッピングシーンその3
Randy Newman - Randall's Attack
『ベイビー・ドライバー』テレビのザッピングシーンで流れる挿入歌の3曲目は、Randy Newman(ランディ・ニューマン)の『Randall's Attack』という楽曲です。
観ての通り、『モンスターズ・インク』(2001)からのワンシーン、アカデミー歌曲賞を受賞した『君がいないと』…ではなく、『Randall's Attack』という別のオリジナル曲です。
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『恋はベーカリー』の次に映ったのは『モンスターズインク』、サリーが透明になったランドールに攻撃されているクライマックスのシーンです!
マイクがサリーに向かっていうセリフ『You and I are a team. Nothing is more important then our friendship.(俺たちは相棒同志、友情を守りたいんだ!)』、このセリフは52分〜ドグがベイビーに『友達だろ?』と言った時の返事として、一度引用しています。しかし、終盤ベイビーがドグに向かってもう一度引用しようとした時には遮られ、「モンスターズインクのセリフはやめろ!」と、ちゃんとツッコまれていましたね!(1時間36分〜)
モンスターズ・インクの中では割と感動的なシーンなのですが…今回はちょっとしたネタとしてサンプリングされてますね!
テレビのザッピングシーンその4
David Fincher - Fight Club
『ベイビー・ドライバー』テレビのザッピングシーンで映る最後の映画はDavid Fincher(デヴィッド・フィンチャー)の映画『ファイト・クラブ』(1999)です。
ここでは音楽は流れてきませんが、The Chemical Brothers(ケミカル・ブラザーズ )が提供した楽曲が大ヒットしました。
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『モンスターズインク』の次に映ったのは『ファイト・クラブ』、エドワード・ノートン演じる主人公の男がブラッド・ピット演じるタイラーに初めて会ったシーンです。ブラッドピットはカッコイイものの、BGMがないのが残念です…。デヴィッド・フィンチャー作品のサントラは重々しいハードなインスト曲が多いのが特徴です。
ブラッド・ピットがエドワード・ノートンに向かって言うセリフ「How's that working out for you?(得したか?)」は、ベイビーがJ.D.の首のタトゥーを見たときに引用しています(22分〜)。
ベイビーがサンプリングネタをリミックスするシーン
Kid Koala - Was He Slow?
『ベイビー・ドライバー』、ベイビーがサンプリングネタをリミックスするシーンで流れている音楽は、Kid Koala(キッド・コアラ)の『Was He Slow』という楽曲です。
カナダ出身のDJ Kid Koala(キッド・コアラ)が『ベイビー・ドライバー』のために作曲したオリジナル曲です。ドグ役のケヴィンスペイシーのセリフ「Was He Slow?」を実際にサンプリングしてリミックスしています。
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ベイビーがドグの声をサンプリングして、それを元に曲を作るシーン…今はもっとハイテクな機械があるのかもしれませんが、こうやって作るのか!と知れてとっても楽しかったです!
※以下ネタバレあり!
このサンプリング癖?が盗聴と思われ、後々トラブルの元になるわけですが、まあ当然ですよね…。カセットで録音しているのが怪しいですし…でもSONYの製作映画だということを考えると、胸が熱くなります!なんて言ったって、元祖ウォークマンといえば昔はSONYでしたからね…年齢的に考えてもエドガー・ライト監督はウォークマン世代でしょうし…!
ボーのダイナーでベイビーが聴いている音楽
The Beach Boys - Let's Go Away For Awhile
『ベイビー・ドライバー』のデボラが働くボーのダイナーでベイビーが聴いている音楽は、The Beach Boys(ビーチ・ボーイズ)の『Let's Go Away For Awhile』という楽曲です。
ビーチボーイズの最高傑作と言われる1966年のアルバム『Pet Sound』の中のインスト曲です。ビーチボーイズのベーシスト兼ボーカル、リーダーにして作曲・プロデュースも自ら行うブライアン・ウィルソン自身が最も気に入っているという名曲です。
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アメリカンダイナー…良いですよね。アメリカに住んでる人からしたら、ただの24時間営業の喫茶店みたいなものなのでしょうが、映画に出てくるダイナーはどれもポップで魅力的です!
レトロなダイナーらしく、60年代のヒット曲が流れているんだなぁ…と思っていたのですが、ベイビーがイヤホンで聴いていたっていう設定のようですね!
『Let's Go Away For Awhile』が盛り上がってきたところで、ダイナーにデボラが歌いながら入ってきます。デボラの歌をサンプリングしようとベイビーが急いでイヤホンを外すと『Let's Go Away For Awhile』からデボラの歌にフォーカスが移ります。
音の混ざり具合が絶妙で…編集技術に脱帽です!!
レコードを買って帰るシーン
Carla Thomas - B-A-B-Y
『ベイビー・ドライバー』のベイビーがデボラに曲名を教えてもらいレコードを買って帰るシーンで流れている音楽は、Carla Thomas(カーラ・トーマス)の『B-A-B-Y』という楽曲です。
『Walking the Dog』のルーファス・トーマスを父にもち、メンフィスのソウル・クイーンとして知られるカーラ・トーマスの1966年のヒット曲『B-A-B-Y』。ソウルの名曲ラブソングとして今でも幅広い年代に愛されています。
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デボラとベイビーが初めて話すシーン、ダイナーに出勤してきたデボラが口ずさんでいるのがこの『B-A-B-Y』です。もちろんベイビー、慌てて録音してます!
ちゃっかりデボラと仲良くなり、曲の題名を聞いてレコードを買って帰るシーンからカーラ・トーマスによるオリジナルver.が流れ出します。上機嫌でリップシンクするベイビーに困惑するジョーが、スピーカーを触って一緒に音楽を楽しむ描写がステキです!
デボラ役リリー・ジェームズのピュアで澄んだ歌声を聴いた後に流れる本家カーラ・トーマスのちょっとしゃがれたキュートな歌声、その対比がまた良いですね!
新しい強盗チーム顔合わせのシーン
KASHMERE STAGE BAND - KASHMERE
『ベイビー・ドライバー』の新しい強盗チーム、顔合わせのシーンの音楽は、KASHMERE STAGE BAND(カシミア・ステージ・バンド)の『KASHMERE』という楽曲です。
『KASHMERE』は、1968年から数年間、世界中のファンクシーンに旋風を巻き起こした現役高校生によるファンクバンドKASHMERE STAGE BAND(カシミア・ステージ・バンド)の代表曲です。
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ドグの電話で呼び出され、新しい犯罪チームメンバーを紹介される場面でベイビーが聴いているのが『KASHMERE』です。長めのドラムイントロからクールに入ってくるホーンセクション、The FUNKなサウンドです!
KASHMERE STAGE BAND(カシミア・ステージ・バンド)は、米・テキサスにあるカシミア高校の学生達がクラブ活動の一貫として始めた大所帯バンドです。クオリティの高さに世界中が驚き、当時行われたヨーロッパツアーや日本ツアーも大盛況だったそうです。
高校生でこのグループ感、さすがファンクの本場ですね!
作戦会議のシーン
The Dave Brubeck Quartet - Unsquare Dance
『ベイビー・ドライバー』の作戦会議のシーンで流れている音楽は、The Dave Brubeck Quartet(デイヴ・ブルーベック・カルテット)の『Unsquare Dance』という楽曲です。
代表的なウエストコーストジャズアーティストとして知られるデイヴ・ブルーベック。今ではジャズ・スタンダードとして有名な5/4拍子のジャズの名曲『Take Five』も彼の代表曲です。『Unsquare Dance』も7/4拍子と変わった拍子感の曲で、過去にはフィギュアスケーターの小塚崇彦選手がSP曲として使用し話題となりました。
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ドグが地図を書き終わり、作戦会議が始まるシーンで『KASHMERE』から流れるように移り変わる曲がこの『Unsquare Dance』です。クラップ音(手拍子)が小気味よく、変拍子なのを忘れて踊り出したくなりますね!
ドグが地図を指差しながら熱く説明してるのですが、どう見ても音楽を楽しんでいるベイビー…ジェレミー・フォックス演じるバッツがチラチラ見てるのがちょっと可愛いですね。
予告編(International Teaser版)で最初に流れてくる音楽もこの曲です!ちょっと人を舐めた感じがあるベイビーの態度にマッチしている気もします!
現金輸送車を襲撃するシーン
The Damned - Neat Neat Neat
『ベイビー・ドライバー』の現金輸送車を襲撃するシーンで流れている音楽は、The Damned(ダムド)の『Neat Neat Neat』という楽曲です。
イギリス三大パンクロックバンドと言われたThe Damned(ダムド)、1977年にリリースされた衝撃的な1st アルバム『Damned Damned Damned(邦題:地獄に堕ちた野郎ども)』のオープニングトラックがこの『Neat Neat Neat』です。
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現金輸送車を襲撃するシーン、テンポよく小ネタが挟まれているエドガー・ライト節全開のシーンですね!
マスクについて簡単に解説すると、ドグはホラー映画『ハロウィン』の殺人鬼ブギーマン(マイケル・マイヤーズ)が被っているマスク(ハロウィンマスク)を用意しろと言ったのですが、タトゥーだらけのアジア系メンバーJ.D.が、マイヤーズ違いでコメディ映画『オースティンパワーズ』で人気を博したコメディアン、マイク・マイヤーズのハロウィン(仮装用)マスクを用意してしまった、という流れです。本当は各自がマスクを用意したら、一人だけ間違えてしまった…という流れにしたかったらしいのですが、ブギーマンマスクの使用許可が降りなかったそうです。残念…。
セックス・ピストルズ、クラッシュと並んで英国三大パンクロックバンドと評されたThe Damned(ダムド)。メンバーを変えつつ現在も精力的に活動しています。ベイビー、襲撃の時間管理に曲を使ってるんでしょうね、予定外のことが起きると曲を巻き戻すのが面白いですね!
襲撃後のコーヒー買い出しシーン
The Foundations - Harlem Shuffle
『ベイビー・ドライバー』の襲撃後、再びベイビーがコーヒーを買い出しに行くシーンで流れている音楽は、The Foundations(ファウンデーションズ)の『Harlem Shuffle』という楽曲です。
日本でも人気を誇ったThe Foundations(ファウンデーションズ)は、60年代後半のイギリスで、西インド諸島・スリランカ・イギリス出身の8人により結成されたR&Bバンドです。1998年公開の映画『メリーに首ったけ』のサントラとして『Build Me Up Buttercup』が使われたことでリバイバルヒットしました。今回使用された『Harlem Shuffle』は Bob&Earlのカバーです。
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冒頭のタイトルシーン、ドグの事務所で報酬を分配する前にベイビーがコーヒーを買い出しに行っていましたよね!ベイビー、再びお使いに行かされています。
ここでまさかの冒頭と同じ『Harlem Shuffle』が流れるのですが、今度はオリジナルでなくThe Foundationsによるカバーver.です!オリジナルに比べると少しアップテンポでポップな感じに仕上げてありますね。
The Foundationsはイギリスのバンドなので、イギリス出身のエドガー・ライト監督が最初に聴いた『Harlem Shuffle』はこっちだったのかもしれませんね!それにしても大ヒットしたThe Rolling Stonesのカバーver.を使わないところにこだわりを感じます。
ベイビーが廃車処理場を後にするシーン
The Commodores - Easy
『ベイビー・ドライバー』ベイビーの過去が明かされるシーン、映画後半でベイビーが逮捕されるシーンで流れている音楽は、The Commodores(コモドアーズ)の『Easy』という楽曲です。
ライオネル・リッチーが所属していたことでも知られるThe Commodores(コモドアーズ)。もともとは1967年にファンクバンドとしてデビューしましたが、1977年にリリースしたバラード『Easy』が大ヒットしたのをきっかけに、ファンク路線からポップ、AOR路線へと方向性を変えました。『Easy』はバラードの名曲として知られ、Faith No MoreやSky Ferreiraなど、様々なアーティストによりカバーされています。
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汚れ仕事を任されてしまったベイビー…iPodとの出会いやお母さんとの思い出を回想しながら廃車処理場でたち尽くしたあと、iPodで選ぶ曲がThe Commodores(コモドアーズ)の『Easy』です。
ちなみに、回想シーンで途切れ途切れに流れる曲はベイビーのお母さんがこの『Easy』をカバーしているものです。(後からフルバージョンで出てくるので、そちらで詳しく解説いたします!)
エドガー・ライト監督によれば、ベイビー役の候補はアンセル・エルゴート(Ansel Elgort)の他に、ジョン・ボイエガ(Star Warsシリーズ)ローガン・ラーマン(ウォールフラワー)などがいたそうですが、最終的にはアンセルが提出したオーディションテープが決めてとなったそうです。その内容が、このコモドアーズの『Easy』に合わせてアンセルがリップシンクとダンスを披露したもので、感銘を受けた監督は『Easy』を作中に入れることに決めたと話しています。
ベイビーがデボラとダイナーで話すシーンのBGM
Barbara Lewis - Baby I'm Yours
『ベイビー・ドライバー』ベイビーがボーのダイナーを訪れデボラと話すシーンで流れているBGMは、Barbara Lewis(バーバラ・ルイス)の『Baby I'm Yours』という楽曲です。
1965年にリリースされたBarbara Lewis(バーバラ・ルイス)のミリオンセラー曲『Baby I'm Yours』。クリント・イーストウッドとメリル・ストリープによる恋愛映画『マディソン郡の橋』で使用されたことで有名です。
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傷ついた心に癒しを求めるべくベイビーが向かったのはデボラのいるダイナー、にやけたベイビーの表情が甘酸っぱいですね!
デボラが話し始める瞬間に、Barbara Lewisの歌声「Baby, I'm Yours(ベイビー、私はあなたのもの)」が被さるのがベイビーの願望のようで…好きなポイントです!片耳にイヤホンを入れっぱなしのベイビー…ベイビーが聞いているのかダイナーのBGMなのか判別つきかねますが、個人的にはベイビーの選曲だったら良いなと思います!
映画前半のダイナーシーンでデボラが歌っていたCarla Thomas(カーラ・トーマス)の『B-A-B-Y』もそうでしたが、高い声がチャーミングなデボラのシーンでは、低くて甘い黒人女性シンガーの歌声がとてもしっくりきますね!
ベイビーに名前を教えたデボラが歌う曲/コインランドリーから帰ってきたベイビーがリップシンクするシーン
Beck - Debra
『ベイビー・ドライバー』、ベイビーがデボラに名前を尋ね、デボラが歌う曲は、Beck(ベック)の『Debra』という楽曲です。このあとのコインランドリーのシーンが終わった後、家に帰りるシーンでも流れます。(一瞬映るレコードは『Debra』が収録されている『Midnite vultures』です。)
アメリカを代表するオルタナ・ロックシンガー(ベック)。1993年に発表した 『Looser』で全米に衝撃を与えました。ラップからファンク、ブルースなど様々なジャンルをミックスした独自の音楽は追随を許さず、プリンス亡き現在、唯一無二のアーティストと言われています。
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ベイビーが(ようやく)デボラに名前を尋ねるシーン、「デボラって歌があったよね!」と話を振ったベイビーに「BeckのはDebra、私はDebbra」とデボラが伝え、歌います。
Beck(ベック)の曲の中でもプリンス風味が強いと言われるセクシーな名曲『Debra』。「君とはスーパーで会ったよね、君に夢中だけど君の妹も良いよね、名前はデボラだっけ?」というような内容の歌なので、「結局はデボラの歌」ではない…とデボラは拗ねています。可愛いですね!
コインランドリーのシーン
T.Rex - Deboraarobed
『ベイビー・ドライバー』のコインランドリーのシーンで流れている音楽は、T.Rex(ティーレックス)の『Debora』(Deboraarobed版)という楽曲です。
グラムロックの王者、T.Rex(ティーレックス)。ボーカル兼ギターのMarc Bolan(マーク・ボラン)のカリスマ性で知られ、デヴィッド・ボウイと張り合う大スターでしたが、1977年9月16日、恋人の運転する車で事故に遭い、29歳の若さで帰らぬ人となりました。
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拗ねるデボラに「もうひとつデボラという曲があるよ!」と言ってベイビーが教えた曲がT.Rexの『Debora』です。ダイナーを出て、コインランドリーのシーンで回る洗濯物と一緒に流れてきます!
ダイナーのシーンで、ベイビーがT-Rexを「トレックス」と言うシーンがあり、気になったので調べたのですが、「今までほとん人と音楽の話をして来なかったから、発音がわからなかった」という意味があるのでは…?と英語圏の考察サイトには書かれていました…なるほど。
版権の関係なのか、サントラ版にはT-Rexの『Debora』が収録されていますが、映画内で使われているのは改名前Tyrannosaurus rex時代の『Deboraarobed』です。かなりアレンジが変わっているので、映画内で流れた曲を聴きたい方はご注意を!
ピザ配達のシーン
The Incredible Bongo Band - Bongolia
『ベイビー・ドライバー』のピザ配達のシーンで流れている音楽は、The Incredible Bongo Band(インクレディブル・ボンゴ・バンド)の『Bongolia』という楽曲です。
The Incredible Bongo Band(インクレディブル・ボンゴ・バンド)の『Bongolia』は1973年にリリースされた『Bongo Rock』の中の一曲です。ヒップホップのサンプリング元ネタアルバムとして有名で『Bongolia』はケミカル・ブラザーズの『Get Up on It Like This』やファットボーイ・スリムの『The Sound of Milwaukee』に使われています。
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ジョーに「運転技術を生かして、人を笑顔にする仕事をしたらいい」と言われてベイビーが思いついたのがピザの宅配!確かに爆速で届きそうですよね!
『Bongolia』は1973年にリリースされたアルバム『Bongo Rock』の中の一曲です。ヒップホップのサンプリング元ネタアルバムとして有名で『Bongolia』はケミカル・ブラザーズの『Get Up on It Like This』やファットボーイ・スリムの『The Sound of Milwaukee』に使われています。もはやヒップホップ/DJ界では知らない人がいないくらいの古典ネタ『Apache』もこのアルバムに収録されています!
サンプリング好きのベイビーにぴったりの音楽ですね!
デボラをベイビーが車で迎えに行くシーン
The Detroit Emeralds - Baby Let Me Take You (In My Arms)
『ベイビー・ドライバー』のデボラをベイビーが車で迎えに行くシーンからディナーデートのシーンのあいだ流れている音楽は、The Detroit Emeralds(デトロイト・エメラルド)の『Baby Let Me Take You (In My Arms) 』という楽曲です。
The Detroit Emeralds(デトロイト・エメラルド)は、米アーカンソー州出身の兄弟を中心に結成されたR&Bボーカル・グループです。1972年リリースの『Baby Let Me Take You (In My Arms) 』はBillboard Hotチャート24位、年間ランキングではTop95を記録した大ヒット曲です。
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ピザ配達で稼いだお金で、車を買ったベイビー!このシーンにしか映らないのですが、 76年型 リンカーン コンチネンタル (Mark V Collectors Series)です…カッコいい。作中で唯一のクラシックカーです!
一度耳にすると忘れられないお洒落なリフから始まる『Baby Let Me Take You (In My Arms) 』。こちらも聞き覚えがある方がいらっしゃるかもしれませんね!『Bongolia』同様、サンプリングの元ネタとして有名な曲のひとつです。ジョー・バドゥンやイージー・Eの曲で使われています。
デート後、車内でのシーン
Unloved - Cry Baby Cry
『ベイビー・ドライバー』、ディナーデートの後、ベイビーとデボラがキスするシーンで流れている音楽は、Unloved(アンラブド)の『Cry Baby Cry』という楽曲です。
『Cry Baby Cry』は2016年リリースUnloved(アンラブド)のデビューアルバム『Guilty of Love』に収録されています。BBCの人気サスペンスドラマ『キリング・イヴ』シリーズのサントラを手がけたことで有名です。『Cry Baby Cry』もドラマ内で使われました。
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ドグに脅され元気がないベイビーと察して元気づけようとするデボラ、車内で流れるのはUnlovedの『Cry Baby Cry』です。
作中ではインスト部分しか流れないよう上手くカットされているのですが、「気持ちを伝えたら受け取ってくれる?」「あなたの気持ちは受け取れない、壊してしまいそうで…」など、ちょうどベイビーの胸中と重なるような歌詞の歌となっています。切ないですね。
それにしても『BABY』って単語は本当にたくさんの曲で使われているものですね!みなさんもお気付きかもしれませんが、デボラとベイビーのシーンで流れる曲は全て『BABY』が題名につくんですよ!
ドクがベイビーを迎えに来たシーン
Alexis Korner's Blues Incorporated - Early In The Morning
『ベイビー・ドライバー』、ドグが郵便局の襲撃の下見をする為にベイビーを車で迎えに来たシーンで流れている音楽は、Alexis Korner's Blues Incorporated(アレクシス・コーナー・ブルース・インコーポレイテッド)の『Early In The Morning』という楽曲です。
1965年にリリースされた『Early In The Morning』。Alexis Korner's Blues Incorporated(アレクシス・コーナー・ブルース・インコーポレイテッド)はその名の通り、ブリティッシュブルースの父と言われるアレクシス・コーナー率いるイギリスのブルースグループです。
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デートから帰った翌朝、ベイビーを爽やかに車で迎えに来てくれるのはドグです…『Early In The Morning』ぴったりの選曲ですね…。
ドグ役ケヴィン・スペイシーの貫禄っぷり影に隠れてしまっていますが、個人的にここの効果音×音楽のリミックスが心地よくて好きなんです!カーテンを開ける音やクラクション、ドアを閉める音までタイミングバッチリで地味に快感を覚えます!
演奏しているブルース・インコーポレイテッドは60年代イギリスの音楽シーンに重要な影響を与えたグループです。ライブ毎に若いミュージシャンがサポートとして出演していたそうですが、その中にはThe Rolling Stonesのチャーリー・ワッツやブライアン・ジョーンズ、Creamのジャック・ブルースなどもいました。…錚々たる面々ですね!
ベイビーがデボラに電話するシーン
Steve Miller Band - Threshold
『ベイビー・ドライバー』のベイビーがダイナーで仕事中のデボラに電話をかけるシーンで流れている音楽は、Steve Miller Band(スティーヴ・ミラー・バンド)の『Threshold』という楽曲です。
サイケなリバーブや電子音が特徴のアメリカン・フォークロック・バンドSteve Miller Band(スティーヴ・ミラー・バンド)。『Threshold』は最盛期の1977年10枚目のアルバムとしてリリースされた『ペガサスの祈り(Book of Dream)』のオープニングトラックです。
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ドグの仕事を辞めたつもりだったのに、脅されるままもう一度郵便局の襲撃をしなくてはいけなくなったベイビー。デボラの声が聴きたくて電話をかけるシーンのBGMがSteve Miller Band(スティーヴ・ミラー・バンド)の『Threshold』です。
さすが音楽オタクのエドガー・ライト監督、こんなにさりげなくスティーブ ミラーを使うなんて…『2人で高級車に乗ってあてもなく走りたい』というベイビーのセリフに情景や深みを感じさせてくれる奥行きのあるサウンドです。ちなみに、『Threshold』リリース時の邦題は『飛翔』です。
サントラvol.1には収録されていませんが、『ベイビー・ドライバー』のサントラvol.2にはしっかり収録されています!
郵便局襲撃前の作戦会議シーン
Handsome Boy Modeling School - Holy Calamity (Bear Witness Ⅱ)
『ベイビー・ドライバー』の郵便局襲撃前の作戦会議シーンで流れている音楽は、Handsome Boy Modeling School(ハンサム・ボーイ・モデリング・スクール)の『Holy Calamity (Bear Witness Ⅱ) 』という楽曲です。
『Holy Calamity (Bear Witness Ⅱ) 』は1999年にリリースされたハンサム・ボーイ・モデリング・スクールの1stアルバム『So... How's Your Girl? 』に収録されています。グループのコンセプト上、大々的にクレジットされていませんが、feat. DJシャドウの名曲です。
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作戦会議に参加する為、ベイビーがドグの事務所に向かうシーン、エレベーターが開いた瞬間から『Holy Calamity (Bear Witness Ⅱ) 』が流れ出します。ノリノリの掛け声から始まる曲なので、最初バッツ役のジェイミー・フォックスの声かと勘違いしてしまいました!!(ちなみにジェイミー・フォックス、今作では披露していませんが、ラッパーとしての活動もしています!)
ハンサム・ボーイ・モデリング・スクールは『Gorillaz』や『Deltron 3030』で知られる大物hip-hopプロデューサー Dan the Automator と『Stetsasonic』『De La Soul』で知られるPrince Paulによるコラボレーション企画です。RZAやDJシャドウを「生徒」に見立ててコラボしている…という非常に面白いコンセプトになっています!
郵便局襲撃作戦会議のシーン
David McCallum - The Edge
『ベイビー・ドライバー』の郵便局襲撃作戦会議のシーンで流れている音楽は、David McCallum(デビッド・マッカラム)の『The Edge』という楽曲です。
イギリス出身の名俳優デビッド・マッカラムは1960年代にヒットしたTVドラマ『0011ナポレオン・ソロ』シリーズや『NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班』のドナルド・"ダッキー"・マラード役で知られています。
そんな彼が名プロデューサーデヴィッド・アクセルロッドを迎えて製作した名曲がこの『The Edge』(1967)です。
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郵便局襲撃に向けて作戦会議をするシーン、ダーリン&バディ、バッツと役者が揃ったところで聞こえてくるのがデビッド・マッカラムの『The Edge』ギターイントロです。
このイントロ、Dr. Dre『Next Episode』を聴いたことある方はピンと来ますよね!Dr. Dreが1999年にリリースした『Next Episode』のサンプリング元ネタが『The Edge』です。これを機に、サンプリング鉄板ネタとして『The Edge』は一躍有名になりました。
作戦会議終了と共に、印象的なホーンが鳴り響く曲のラストがボリュームアップされ…そのまま次の曲『Nowhere To Run』になだれ込みます!!
武器調達に向かう車内のシーン
Martha And The Vandellas - Nowhere To Run
『ベイビー・ドライバー』の武器調達に向かう車内で流れている音楽は、Martha & The Vandellas(マーサ&ザ・ヴァンデラス)の『Nowhere To Run』という楽曲です。
マーサ&ザ・ヴァンデラスは60年代モータウンを代表する女性R&Bボーカルトリオです。David Bowie & Mick Jagger やVan Halenなど多くのアーティストにカバーされた『Dancing in the Street』のオリジナル版を歌っていることでよく知られています。
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前曲『The Edge』ラストにかぶさる『Nowhere To Run』のドラムイントロでドライブが始まります。
『Nowhere to run to, baby Nowhere to hide (どこにも逃げられないよ、ベイビー…どこにも隠れられない)』という歌詞か繰り返されるこの曲、バディとダーリンの危険な思惑やバッツのクレイジーさが明らかになる車内シーンにぴったりの音楽ですね…。
ちなみに、このシーンで乗っている車は1994年型 Cadillac Deville(キャデラック・ドゥビル)です。他のシーンの車と比べると地味ですが、夜の薄暗い灯りの下だと渋みが増しますね!
武器ディーラーとの戦闘シーン
Ray Davies & The Button Down Brass - Tequila
『ベイビー・ドライバー』、武器ディーラーとの戦闘シーンで流れている音楽は、Ray Davies & The Button Down Brass(レイ・デイヴィス&ボタン・ダウン・ブラス)の『Tequila』という楽曲です。
ファンキーなトランペット奏者として知られるRay Davies(レイ・デイヴィス)と彼が率いるブラスバンドによる『Tequila』のカバーです。
Ray Daviesは映画『エクソシスト』のテーマ曲や『フレンチコネクション』のテーマ曲で知られています。(キンクスのフロントマンのRay Daviesとは別の方です。)
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バッツに「ヤバかったら逃げるから、ファンキーな曲を聞いとけ」と言われてベイビーかセレクトしたのが『Tequila』です。散々ベイビーの事を文句言っている割に、ベイビーの事をよくわかっていますね…!
陽気なラテン音楽といえば、テキーラ!!というくらい有名なこの曲、オリジナルはThe Champs(チャンプス)による演奏です。
Ray Davies ver.は、イントロといいドラムソロがとってもクールで人気なのですが、音源が手に入りにくい事でも有名でしたので、サントラに収録されたのは朗報ですね!!
バッツが戦闘に持ち込んでからのシーンは、そのままMVにしても良いくらい音楽と映像の切り替えがリズムカルで見応え満点です!
バッツが車内ラジオで流す音楽
Run The Jewels - Run The Jewels
『ベイビー・ドライバー』のバッツが車内ラジオで流す音楽は、Run The Jewels(ラン・ザ・ジュエルズ/RTJ)の『Run The Jewels』という楽曲です。
ラッパーのKiller MikeとEl-Pによるスペシャルグループ、ラン・ザ・ジュエルズ。2020年代を代表するヒップホップグループになると言われています。『Run The Jewels』は2013年のデビューアルバムに収録されています。
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テキーラ!!で武器ディーラーのアジトをはちゃめちゃにしたバッツたち、重々しい車の空気の中でバッツがラジオで流したのがRun The Jewelsです。いかにもバッツが好きそうな曲ですね!
Run The JewelsのKiller Mike、実はちゃっかりカメオ出演もしています!ベイビーとデボラ、ディナーシーンでドグに呼び出される場面、ドグが談笑している右にいる相手がKiller Mikeです。暗いので見逃してしまいますよね!(ちなみに、反対側にいるのはBig Boiです!)
バッツの一声でデボラが働くダイナーに寄るシーン
Sam & Dave - When Something Is Wrong With My Baby
『ベイビー・ドライバー』のバッツの一声でデボラのいるダイナーに寄るシーンで流れている音楽は、Sam & Dave(サム&デイブ)の『When Something Is Wrong With My Baby』という楽曲です。
『When Something Is Wrong With My Baby (邦題 僕のベイビーに何か?)』は、60年代ソウル/R&Bシーンを代表するデュオ、サム&デイブの2ndアルバム『Double Dynamite』(1967)に収録されたバラードの名曲です。
サム&デイブの愛称にしてアルバム名になったダブル・ダイナマイトの言葉の通り、ソウルフルでダイナミックな歌声が特徴です。
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鼻のきくバッツが休憩に寄ろうと言ったのはデボラの働くダイナー、嫌がるベイビーに何かを察し、無理矢理に寄らせます。レコードの映像後、ベイビーの姿が見えて一瞬笑顔を見せたデボラの心情を歌うかのように「When something is wong with my baby (私のベイビーになにかが起こった時…)」と挿入歌が流れてきます。
キュートであどけない表情が多かったベイビー、デボラを巻き込みたくない気持ちやこんな仕事をしているところをデボラに見られたくないという気持ち…そんな複雑な気持ちが緊張感ある表情に翳りを落とし、胸が締め付けられます…。
ベイビーがダイナーをあとにするシーン
Brenda Holloway - Every Little Bit Hurts
『ベイビー・ドライバー』のベイビーがダイナーをあとにするシーンで流れている音楽は、Brenda Holloway(ブレンダ・ハロウェイ)の『Every Little Bit Hurts』という楽曲です。
1946年に米・カリフォルニアで生まれたブレンダ・ハロウェイ。この時代にしては珍しく、モータウンに来る前にLAで活躍していました。1964年モータウン移籍後にリリースされた『Every Little Bit Hurts』は全米チャート13位を記録した大ヒット曲です。優雅で気品のある歌声が特徴です。
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バッツがデボラに絡み始めたシーンで、ダイナーで流れている曲が『前の曲』から『Every Little Bit Hurts』に静かに変わります。その後バッツをなんとか押さえ込んだベイビーがデボラに代金とメモを渡すシーンで、ソウルフルでエモーショナルなサビがはっきり聞こえてきます。
『Every Little Bit Hurts』は、彼の心変わりに傷付いた女心を歌ったバラードの名曲です。ブレンダ・ハロウェイの気品ある歌い方とサビで漏れ出る感情の高まりが、終始言葉を交わす事がないベイビーとデボラの心情を表しているようですね…。
ベイビーがドグの事務所を抜け出そうとするシーン
Boards Of Canada - Ready Lets Go
『ベイビー・ドライバー』のベイビーがドグの事務所を抜け出そうとするシーンで流れている音楽は、Boards Of Canada(ボーズ・オブ・カナダ)の『Ready Lets Go』という楽曲です。
エレクトロニカ界で最も注目され続けているボーズ・オブ・カナダはスコットランド出身のデュオグループです。『Ready Lets Go』は2002年リリース『Geogaddi(ジオガディ)』にファーストトラックとして収録されています。
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ダイナーでデボラに『午前2時に…』とメモを渡したベイビー、約束を果たそうとこっそり抜け出そうとしたところで流れるのがこの『Ready Lets Go』です。エンジン音のような振動の中響く電子音が緊張感を高めます。
ボーズ・オブ・カナダは知る人ぞ知るエレクトロニカルミュージック界のミステリアスなデュオグループです。スコットランドの大地を想像させる神秘的で豊かなサウンドに、サイケな要素が加わった独自の音楽が特徴です。
伝説的アルバム『Geogaddi』のオープニングトラックをここで使うなんて…音楽オタクのエドガー・ライト監督らしいですね!
ダーリンがカセットを聞いて言うセリフ
Gwen Stefani - Hollaback Girl
『ベイビー・ドライバー』のダーリンがカセットを聞いて言うセリフの音楽は、Gwen Stefani(グウェン・ステファニー)の『Hollaback Girl』という楽曲です。
世界的シンガーのグウェン・ステファニー。『No Doubt』のボーカルとして活躍中の2004年『Love.Angel.Music.Baby』でソロデビュー、世界中で700万枚のセールスを記録しました。
代表曲のひとつである『Hollaback Girl』は4週連続Billboardチャート1位を記録、またデジタル配信音源で史上初の100万ダウンロードを達成しました。
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サントラに収められているグウェン・ステファニー a.k.a.グウェン姐さんの『Hollaback Girl』。どこで流れていたのかと思いきや…歌詞が引用されていましたね!
ベイビーの『Was he slow?』を聞いたダーリンが笑いながら言うセリフが「This shit is bananas. B-A-N-A-N-A-S」、Hollaback Girlのサビです!(bananasは英語のスラングでクレイジー・イカれてる、といった意味があります。)
グウェン姐さんの大ヒット曲『Hollaback Girl』、曲はもちろんPVも凝ってるので、この機会に是非観てみてください!
『デボラ』のカセットを再生されるシーン
Kid Koala - Debora
『ベイビー・ドライバー』ドグの事務所にて『デボラ』のカセットを再生されるシーンの音楽は、Kid Koala(キッド・コアラ)による書き下ろし楽曲です。
『Was he slow?』に続き、世界的DJキッド・コアラが書き下ろした映画オリジナル曲『Debora』。Ninja Tune所属のキッド・コアラ『ショーン・オブ・ザ・デッド』『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』など、エドガー・ライト監督映画の映画音楽を数多く制作していることでも知られています。
近年では『NUFONIA MUST FALL』『The Storyville Mosquito』などの体験型ショーのクリエイターとしても注目を集めています。
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デボラの声をサンプリングしてベイビーが自作した『Debora』。心地よいビート感に浮遊感のあるサウンドが心地よく、デボラへの恋心が伝わってきますね!
ベイビー自作曲を実際に作曲したのは、あの世界的DJキッド・コアラです!『Your Mom's Favorite DJ 』(2006)『12 Bit Blues』(2012)など、革新的で自由なスタイルの楽曲で知られています。予測不能なのに、独特のビート感と高揚感が味わえる、中毒性のあるサウンドが魅力ですね!
『ベイビー・ドライバー』サントラvol.2には『Debora』の他にも作中のセリフをサンプリングしたオリジナルリミックス曲などが収録されています!
郵便局襲撃シーン
Blur - Intermission
『ベイビー・ドライバー』の郵便局襲撃シーンで流れている音楽は、Blur(ブラー)の『Intermission』という楽曲です。
オアシスと並んで90年代ブリットポップを牽引したUKロックグループ、ブラー。名盤と名高い2nd アルバム『Modern Life Is Rubbish』の7曲目『Chemical World』の後に入れられた隠しトラックが、この『Intermission』です。
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クライマックスに向けて怒涛のインスト名曲ラッシュです。まず最初は郵便局襲撃の時に通り雨で晴天の中雷が鳴る変な天気の中ベイビーが聴いている『Intermission』。晴れ間とワイパーのミスマッチ、そこで流れ出す調子っぱずれのピアノの音が不穏な空気をもたらします。
さすが、ブラー!と言いたくなる隠れた名曲、リフをリピートする度に楽器が増えテンポアップしていきます。(テンポアップと共にワイパーの速度もあげるのがニクいですね!)、テンポアップして音楽がはちゃめちゃになるラストで…キレたベイビー、まさかの行動に出ます…!
警察から逃走するシーン
Focus - Hocus Pocus
『ベイビー・ドライバー』の警察から逃げるシーンからダーリンが撃たれるシーンの間で流れている音楽は、Focus(フォーカス)の『Hocus Pocus (邦題 悪魔の呪文) 』という楽曲です。
オランダを代表するプログレッシブ・ロックバンドFocus(フォーカス)。卓越した技術力と意表を突いたサウンドで一世を風靡しました。
『悪魔の呪文』の邦題で知られる『Hocus Pocus』は1973年世界各国でチャート入りした大ヒット曲です。また、2010年W杯中に流れたナイキのCMの影響で再びチャート入りし、リバイバルヒットを遂げました。
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バッツを殺したベイビー、もう逃げるしかありません!逃走シーンで流れるのが『Hocus Pocus』です。長尺のアクションシーンをダレさせない、最高の選曲です!サイレンの音や女性の話し声、銃声までもが計算し尽くされ、リミックスver.と呼んでも良いくらい曲として仕上がってますね!
※以下ネタバレあり!
車を盗んだベイビー、同じく車で逃げようとしていたダーリン&バディと運悪くぶつかってしまい、逃げ場を塞いでしまいます…追い込まれたとわかり、最前線に自ら出ていく二丁マシンガンのダーリン…痺れる最期ですね…。
紫の車を奪って逃げるシーン
Golden Earring - Radar Love
『ベイビー・ドライバー』逃走中におばあさんが乗っていた紫の車を奪って逃げるシーンで流れている音楽は、Golden Earring(ゴールデン・イヤリング)の『Radar Love』という楽曲です。
1961年にオランダで結成されたプログレッシブ・ロックバンド、ゴールデン・イヤリング。70年代からメンバーチェンジ無しで最前線を走り続けてきましたが、2021年フロントマンでギタリストのGeorge KooymansがALSと診断されたことを理由に解散を余儀なくされました。
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ダーリンが殺されてしまい、警察とバディに追われる事になったベイビー…紫の車で走ってきたおばあさんに銃を向け車を奪います。この紫の車は1989年型 シボレー・カプリスです…ギラギラした深い紫がクールで良いですよね!
ただ、84年型の車にiPodをつなげるわけもなく…ラジオいじって流れる出すのが1974年リリースされたゴールデンイヤリングの大ヒット曲『Radar Love』です。演奏するゴールデン・イヤリングはオランダ発のロックバンドですが、イギリスやアメリカ、スペインで大人気だったそうです。
リズムカルな軽めのドラムに主導権を握る渋いベースライン、ファンキーな歌声の『Radar Love』、今聴いても全く古さを感じさせませんね!
ジョーを施設に預けるシーン
R.E.M. - New Orleans Instrumental No.1
『ベイビー・ドライバー』、ジョーを施設に預けるシーンで流れている音楽は、R.E.M.(アール・イー・エム)の『New Orleans Instrumental No.1』という楽曲です。
R.E.M.は1980年 米・ジョージアで結成されたオルタナティブ・ロックバンドです。8thアルバム『Automatic for the People』は全世界で1,500万枚以上のセールスを記録しました。
『New Orleans Instrumental No.1』は、そのミリオンセラーアルバムに収録されています。
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ジョーに危険が及ぶ事を恐れ、施設に預ける事にしたベイビー。ジョーの好きな事や好きな食べ物を録音するシーンで流れるのがR.E.M. の『New Orleans Instrumental No.1』です。
ベイビーとジョーの会話は手話で交わされるので、とっても静かなシーンなんですよね。寂しい気持ちを抑えつつ交わされる二人の静かな会話、滲み出る想いに胸が苦しくなります。
『New Orleans Instrumental No.1』が収録されたアルバム『Automatic for the People』は死をテーマにした重厚感ある一枚で、R.E.M. の最高傑作とも言われています。そんな傑作のインスト曲をこんなシーンで使われると…思わず涙がこぼれてしまいます…。
バディがダイナーで待ち構えてるシーン
Barry White - Never,Never Gonna Give You Up
『ベイビー・ドライバー』のバディがダイナーで待ち構えてるシーンで流れている音楽は、Barry White(バリー・ホワイト)の『Never,Never Gonna Give You Up』という楽曲です。
セクシーでソウルフルなR&Bシンガー、バリー・ホワイト。1974年リリース『Love’s Theme(邦題:愛のテーマ)』Billboardチャート1位獲得を皮切りに、ラブソングの帝王として君臨し続けました。
大ブレイク直前の1973年、ポップ・チャート7位を獲得したシングルが『Never,Never Gonna Give You Up』です。
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バディがデボラの働くダイナーで待ち構えていたシーン、流れるのはベイビーが聴いている『Never,Never Gonna Give You Up』です。バリー・ホワイトの甘い声が緊張感を増させる中、バディがイヤホンを片耳借りて『何があっても君を諦めない』という歌詞を口ずさみます…。ダーリンに対する想いが、ベイビーへの憎しみに変わるシーンです。
愛するダーリンを失って、気が触れそうなバディの胸の痛みとデボラを守りたいというベイビーの真っ直ぐな気持ち…その真っ直ぐさがまたバディを刺激してしまうんでしょうね。見方を変えたら切ないシーンです…。
赤い車をカージャックして逃げるシーン
Young MC - Know How
『ベイビー・ドライバー』ベイビーとデボラが赤い車をカージャックするシーンで流れている音楽は、Young MC(ヤング・エム・シー)の『Know How』という楽曲です。
1990年『Bust a Move』でグラミー賞を受賞したラッパーYoung MC。『Know How』は『Bust a Move』と共にデビューアルバム『Stone Cold Rhymin'』に収録されています。
インテリでクリーンなリリックが特徴です。
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二人で逃げる事にしたベイビーとデボラ、通りかかった車をハイジャックします。クールな赤い車は…2015年型 ダッジ チャレンジャーSRT ヘルキャット(Dodge Challenger SRT Hellcat)、707馬力を誇るモンスターカーの登場です!
ちなみに車に乗っていたのはThe ATL twins (アトランタ・ツインズ) 、映画『スプリング・ブレカーズ』にも出演しています。
ドライバーの仕事をしてるのは知ってたものの、ベイビーのドライビングテクは知らなかったデボラ…助手席で目を丸く口をポカンと開けてる表情がキュートです!
ベイビーとバディ駐車場での対決シーン
Queen - Brighton Rock
『ベイビー・ドライバー』のベイビーとバディ、駐車場での対決シーンで流れている音楽は、Queen(クイーン)の『Brighton Rock』という楽曲です。
世界中で2億枚以上の音楽作品セールスを記録したイギリスの伝説的ロック・バンド、クイーン。『ボヘミアン・ラプソディ』『We will Rock You』『Don't Stop Me Now』など数々の名曲を残しました。
2018年には伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』が公開され、フレディ役のラミ・マレックが主演男優賞を受賞しました。
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ベイビーとバディがドグの事務所下の駐車場で対決するシーンで流れるのはクイーンの『Brighton Rock』です。郵便局襲撃の打ち合わせが始まる前にベイビーとバディが仲良くイヤホンで聞いていた曲でしたよね。
車での対決シーン、ブライアン・メイの超絶技巧ギターソロが効いてますね!クイーンでエンジン全開のバディ…最恐ですね。
ベイビーが逮捕されるシーン
Sky Ferreira - Easy
『ベイビー・ドライバー』ベイビーが逮捕されるシーンで流れている音楽は、Sky Ferreira(スカイ・フェレイラ)の『Easy』という楽曲です。
廃車処理場でベイビーが聴くThe Commodores『Easy』をベイビーの母役で出演しているSky Ferreiraが映画の為にカバーしたオリジナル曲です。歌手・女優・モデルとしてマルチに活躍するスカイ・フェレイラ、透き通るような声とセンスの良さが魅力で、これからのアメリカ女性シンガー界を牽引していく存在と言われています。
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デボラが運転する車中、耳鳴りの音で曇った耳に聴こえてくるのはお母さんが歌う『Easy』です。(廃車処理場のシーンではThe CommodoresによるオリジナルVer.を聞いていましたね。)バディに耳元で拳銃を打たれ耳が聞こえにくくなっているベイビーが、ジョーのようにスピーカーを触り音を確認するシーン、細かいですが音楽に対する愛情がよく描かれていて、良いシーンですよね。
※以下ネタバレあり!
「I’m easy like Sunday morning (日曜の朝のように穏やかな気持ち)」という歌詞がぴったりくる、のどかで穏やかな一本道です。穏やかな曲調のバラードですが、実は女の子に別れを告げる歌なんです。『俺たちに明日はない』のような逃避行、歌詞の通りにベイビーが去っていくことで終わりを迎えます。
ベイビー出所シーン
Simon & Garfunkel - Baby Driver
『ベイビー・ドライバー』のベイビーが出所するシーンで流れている音楽は、Simon & Garfunkel(サイモン&ガーファンクル)の『Baby Driver』という楽曲です。
『サウンド・オブ・サイレンス』『スカボロー・フェア』で有名なサイモン&ガーファンクルは60年代を代表するフォークDUOです。『Baby Driver』はグラミー賞最優秀賞を受賞したアルバム『明日に架ける橋』に収録されています。
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出所後、デボラがオープンカーに寄り掛かりベイビーを待っているシーンからエンドロールで流れるのがこの『Baby Driver』です。モノクロからカラーに移り変わっていく様がとても美しいですね。
サイモン&ガーファンクルにしては珍しいロックンロールな1曲、「みんな僕のことをBABY DRIVERと呼ぶんだ」と気取って語る男の子の歌です。「この曲から映画の題名を取った」とエドガーライト監督が話していました。"BABY"が大人になるまでがよく描かれていましたね!嬉しい事に監督、既に続編の脚本は執筆したそうなので、またいつかベイビーに会えそうです!
筆者の感想
『ラ・ラ・ランド』(2017)の熱狂の嵐が吹き荒れるなか発表されたエドガー・ライトの新作はカーアクション feat. MUSICといった新感覚ミュージカルアクションでした。
予告編を観た時の衝撃をまだはっきりと覚えています!カーチェイスや銃撃戦、全ての映像が心地よく『音ハメ』されていて…公開が待ち遠しかったです。
本編はもちろん期待を裏切らない爽快感溢れる作品でした!ベイビーの耳を通して届けられる名曲の数々、hip-hopにオールディーズ、小ネタ的インスト曲と音楽へのリスペクトと偏愛が伝わります。映画を観終わったら、サントラを聴きながらアクセルをふかしたくなること間違いなしです!
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