2014年7月19日公開 映画『思い出のマーニー』。
スタジオジブリの長編アニメーション映画。
原作はイギリスの作家、ジョーン・G・ロビンソンによる児童文学。
身寄りがなく心を閉ざした少女・杏奈と、湖畔の屋敷に住む不思議な少女・マーニーが出会い、友情を深め杏奈が心を開いていく物語です。
今作は、2010年公開『借りぐらしのアリエッティ』以来4年ぶりの、米林宏昌監督の作品。
宮崎駿監督が一切関わっていないジブリ映画で、第88回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされました。
この記事では、映画『思い出のマーニー』のサントラから抜粋した18曲をシーン別にご紹介します。
※以下ネタバレ有り
『思い出のマーニー』で流れる曲とは?
オープニング
喘息を患っている杏奈が自宅で診療され、養母である頼子が医師に杏奈の療養について相談するシーン。
学校で馴染めず、ストレスを抱えている杏奈。暗い過去を背負い心を閉ざす、このような子は一定数いるので、大人がなんとかしてあげたくなりますね。
優しく流れるピアノが美しく儚い、少々悲しい楽曲。
杏奈が頼子の親戚の家へと旅立つシーン
杏奈が頼子の親戚の家へと旅立つシーンで流れた曲は、村松崇継の『杏奈の旅立ち』です。
療養のため、杏奈が海辺の田舎町へ向かうシーン。頼子が心配し、泣きながら見送ります。
この頼子は女優の松嶋菜々子さんが声優を務めており、優しく思い悩む母を見事に演じられていますよ!
離れる二人と田舎町を表現した、哀愁と愛が感じられる優しい楽曲。
杏奈が「しめっち屋敷」を見付けるシーン
杏奈が「しめっち屋敷」を見付けるシーンで流れた曲は、村松崇継の『しめっち屋敷』です。
町を散策していた杏奈が、湖畔(湿地)に佇む大きな屋敷「しめっち屋敷」を見付け、勝手に入るシーン。
心を閉ざしてはいるものの、杏奈の好奇心旺盛な子どもらしい様子に、少々安堵したシーンでもあります。
「流れる水」を表しているようなハープとフルートのメロディ。神秘的でヒーリング効果もありそうな楽曲です。
杏奈が屋敷に住む女の子の夢を見るシーン
杏奈が屋敷に住む女の子の夢を見るシーンで流れた曲は、村松崇継の『青い窓の中の少女』です。
屋敷の二階で、椅子に座り髪を梳かされている女の子の夢を見るシーン。
ここは作中数回出て来る重要なシーンです。美しい金髪しか見えず表情が分からないので、どんな子なのか?と期待感をそそられますね!
静かで優しいメロディですが、どこか切なく少々悲しい楽曲。
杏奈が信子と喧嘩をするシーン
杏奈が信子と喧嘩をするシーンで流れた曲は、村松崇継の『わたしはわたしのとおり』です。
短冊に書いた願い事の意味をしつこく聞かれ、杏奈が信子に「太っちょ豚!」と言い放つシーン。
太っちょ豚て!腹が立ったにしろ、中々に酷い言葉を発しましたね。
信子は杏奈とひとつしか違わないので13歳ですが、かなり大人の対応をしておりよく出来た子だと思いました。
ぐちゃぐちゃな杏奈の心情を表現した、哀愁のある旋律。サントラ次曲の「人形を抱いていた頃」も続けて流れます。
マーニーと杏奈が出会うシーン
マーニーと杏奈が出会うシーンで流れた曲は、村松崇継の『夢じゃないわ!』です。
杏奈が乗るボートが動かなくなってしまい、マーニーが助けに来るシーン。
会ってすぐに意気投合した、ちょっと似ている二人の友情と、深い色の月夜がとても素敵な演出でした。
神秘的で不思議なマーニーとの出会いを彩る、ピアノメインのゆっくりとした楽曲。
マーニーと杏奈が船に乗るシーン
マーニーと杏奈が船に乗るシーンで流れた曲は、村松崇継の『ボートの上の2人』です。
出会ってから次の日、一緒にボートに乗る二人。
映画「ゴースト/ニューヨークの幻」を彷彿とさせる、後ろからハグのような形で二人がオールを持って漕ぐ演出には、ドキドキしてしまいました!
少々早めの軽やかなテンポで、ハープの音色が美しい楽曲。
マーニーと杏奈がボート上で語り合うシーン
マーニーと杏奈がボート上で語り合うシーンで流れた曲は、村松崇継の『質問は3つずつ』です。
マーニーが持参した、ぶどうジュースとクッキーを食べながら語り合っているシーン。
恒例のジブリめし。杏奈がお世話になっている大岩夫妻のごはんも美味しそうですが、このジャムクッキーがとても美味しそう!
二人は質問をし合い親睦を深めますが、それは不思議な事に幻…。オーケトラ〜小さいピアノのメロディで、その儚さを表現しています。
マーニーと杏奈がダンスをするシーン
マーニーと杏奈がダンスをするシーンで流れた曲は、村松崇継の『あたしたちも踊りましょう!』です。
和彦と華麗にダンスをするマーニーを見て少々嫉妬気味の杏奈に、「あたしたちも踊りましょう!」とマーニーが声を掛けダンスをするシーン。
踊りながら曲を口ずさんでいますが、こちらはスペインのギタリストが作曲した「アルハンブラの思い出」というギター独奏。
哀愁のある美しいメロディですが、サントラではオーケストラを用いた壮大で明るいワルツアレンジされています。
↓「アルハンブラの思い出」
杏奈とセツが昼食の準備をしているシーン
杏奈とセツが昼食の準備をしているシーンで流れた曲は、村松崇継の『トマトを切りながら』です。
二人が畑でトマトを収穫し、それを切りながら杏奈のことや頼子のことを話しているシーン。
大岩さんご夫妻って、魔女宅のおソノさん以上に親切なキャラですよね!杏奈と大岩家の絆もまた深まっている様子を表現した、優しいピアノ独奏が流れます。
そしてジブリめしがここにも!大岩家の昼食は野菜と共に頂くおそうめん。シリアスな話をしていますが、美味しそうな絵面に癒されます♪
杏奈と彩香がマーニーの日記を読むシーン
杏奈と彩香がマーニーの日記を読むシーンで流れた曲は、村松崇継の『青い日記』です。
東京からしめっち屋敷に引っ越して来た、彩香が見つけたマーニーの日記を読むシーン。
この彩香は、女優の杉咲花さんが声優を担当しています。天真爛漫でキュートな感じがピッタリですね!
杏奈とマーニーの思い出が綴られている不思議な絵日記。マーニーは想像の人物と思い始めた杏奈にマッチした、少々悲しい雰囲気の楽曲が流れます。
マーニーと杏奈が再会するシーン
マーニーと杏奈が再会するシーンで流れた曲は、村松崇継の『キノコの森』です。
マーニーの存在が何なのかわからなくなって来た杏奈。薄暗い森で二人は再会しますが、なんだかおどろおどろしくて少々怖いシーンです。
この時点で筆者も混乱しましたが、マーニーの神出鬼没な感じが不気味に思えてしまい、まさかおばけなの?とゾっとしました;
ハープの優しい曲ですが、少々不穏さも感じられる楽曲。後半は壮大なオーケストラで感動的、明るくなります。
マーニーと杏奈がお互いの過去を打ち明けるシーン
マーニーと杏奈がお互いの過去を打ち明けるシーンで流れた曲は、村松崇継の『2人の告白』です。
杏奈のことをかなり感じ悪くてこじらせてる子だなぁと思っていたのですが、悲しい過去が明かされ、この性格形成に納得出来たシーン。
そりゃ幼くして身寄りが亡くなって、養母にお金が入っていると知ったら捻くれもしますよね。マーニーの過去も哀れなものでした。
心苦しくなるこのシーンでは、ハープをメインにした、ストーリーとは逆のヒーリング効果のありそうな優しい曲が流れます。
杏奈がマーニーの夢を見るシーン
杏奈がマーニーの夢を見るシーンで流れた曲は、村松崇継の『思い出のマーニー(アルハンブラの思い出)』です。
嵐の中サイロで眠る二人。杏奈が、夢の中でマーニーを和彦が助けている夢を見ているシーン。
しかしサイロは本当に不気味ですよね。こんなところに閉じ込められたら、そりゃトラウマにもなりますよ。
ここで流れる美しいハミングは、マーニーがおばあさんになった時の声優を務めた、歌手の森山良子さんです!柔らかく優しい歌声にウットリ。
マーニーと杏奈がお別れをするシーン
マーニーと杏奈がお別れをするシーンで流れた曲は、村松崇継の『最後のお願い』です。
嵐の中、二人が再会し「私を許して」と言うマーニーに「もちろんよ許してあげる、あなたが好きよ、マーニー」と永遠の友情を誓うシーンです。
杏奈の中の「なぜ私を置いて行ったの」という両親・祖母への思いを、やっとこの時に許せたのでしょうね。深い深いストーリーに感動しました。
涙が流れるこのシーンで流れる曲は、今作で一番の盛り上がりを魅せる壮大なオーケストラです。
久子がマーニーの話をするシーン
久子がマーニーの話をするシーンで流れた曲は、村松崇継の『久子の話①』です。
実は久子はマーニーの古くからの友人であり、それに気付いた杏奈と彩香が話を聞くシーン。
久子役の声優を務めるのは女優の黒木瞳さん。物腰の柔らかい、達観したキャラにピッタリ!
ようやくマーニーの謎が解けて行くシーンで流れるのは、ピアノメインで、フルートなどを使用した優しい雰囲気のオーケストラ。
マーニーの正体が明かされるシーン
マーニーの正体が明かされるシーンで流れた曲は、村松崇継の『久子の話②』です。
マーニーが両親のいない孫を育てるも、すぐに亡くなる…。実は、杏奈の祖母がマーニーであったことが明らかになったシーン。
不幸過ぎて不憫過ぎてなんとも心苦しく、それでいて深〜い愛情を感じる、そんなクライマックスでした。
不思議だったことが全てわかって目の前が開けたような、杏奈の心が完全に開いたこのシーンで流れるのは、感動的で壮大なオーケストラです。
エンドロール
エンドロールで流れた曲は、プリシラ・アーンの『Fine On The Outside』です。
プリシラ・アーンは、アメリカのシンガーソングライター。大のジブリファンで、縁があり今作の主題歌に抜擢。
最後は信子とも仲直りして、笑顔でマーニーのいた地を離れる杏奈。彩香と無口な十一じいさんが手を振っているのにも、グっと来ました!
「AhAh〜Ah,AhAh〜Ah」と歌うメロディが、映画の余韻にゆっくりと浸れる。今作の、神秘的で愛情に溢れた物語を美しく彩りました。
サウンドトラック
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