2022年3月12日にWOWOWで公開された、ドラマ『正体』
原作は、2020年に発表された、染井為人の長編小説。
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身勝手な理由から夫婦を殺めた罪で、死刑判決を言い渡された鏑木慶一。
しかし彼は脱獄し、出会った人々を救って行く。
その正体は、殺人犯なのか、誠実な男なのか?
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- 鏑木慶一役:亀梨和也(『ごくせん』『野ブタ。をプロデュース』)
- 井尾由子役:黒木瞳(『白い巨塔』『失楽園』)
- 野々村和也役:市原隼人(『ROOKIES』『WATER BOYS2』)
- 安藤沙耶香役:貫地谷しほり(『女くどき飯』『ちりとてちん』)
- 監督:中田秀夫(『リング』シリーズ)、谷口正晃(『時をかける少女』)
永遠にKAT-TUNを応援したいアラフォーオバ、beersyです!
亀梨くんの作品とあらば、観なければ…という事で挑戦したWOWOWドラマ。
錚々たるキャスト陣にも惹かれました!
この記事では、ドラマ『正体』を鑑賞した筆者が、1話ごとに感想とネタバレ解説をご紹介します。(途中まではネタバレ無しなのでご安心を♪)
『正体』の評価&感想
- 感動度
- 4
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 2
- 話題性
- 5
数々のホラー作品を手掛けて来た中田秀夫監督、数々のドラマ作品を手掛けて来た谷口正晃監督のタッグ作品。
亀梨さんは、WOWOWのドラマは初主演です!歳を重ねるごとに、貫禄が出て来ましたね。
今回は、そんな亀梨さんのたくさんの変装姿が観られますよ。
悲壮感漂う演技も抜群で、冒頭の死刑判決を言い渡され号泣するシーンでは、ガッツリ心を持って行かれました!
また、周りのキャスト陣もスゴイ。
黒木瞳さん、上川隆也さん、貫地谷しほりさん、市原隼人さん、高畑淳子さん、堀田真由さん、温水洋一さんなどなど…。
みなさん演技派俳優なので、それぞれのストーリーにも引き込まれました。
しかし!!
ラストがかな〜り駆け足だったので、とにかく消化不良。せっかく見応えがあるのに、もったいない…。
全4話という事で、サスペンス要素を考察しながら…というよりは、サクっとヒューマンドラマを観る…といった雰囲気でしょうか。
ストーリーは「人間の心情」がリアルに描かれており本当に面白いので、原作も読んでみたいと思いました!
以下より重要なネタバレを含みます。
『正体』のネタバレ解説
エピソード1
2015年。
杉並区に住む夫婦の自宅に押し入った男が、通報を受け駆けつけた警官2人に逮捕された。
夫婦は刃物で刺されて即死。そばには夫の母親・井尾由子が泣きながら座っていた。
男の名は鏑木慶一。凶器はキッチンにあった包丁。
2017年の判決で死刑を言い渡されるが、移送中に逃走した。
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脱獄から33日。
慶一は「遠藤」と名乗り、目立たないよう帽子を被って、日払いの住み込み土木作業員として働いていた。
ある日、仕事仲間の平田(通称ヒラさん)が仕事中に怪我をしたが、会社は何も支払わない。
同じく仕事仲間の野々村和也が、慶一に「ヒラさんの当面の生活費を貸して欲しい」と相談すると、慶一は様々な知識を以て会社に見舞金を出させた。
そこから和也と慶一の仲は深まるが、ある日和也は、遠藤が「300万円の懸賞金がかけられている指名手配犯・鏑木慶一」なのではないかと気付く。
「両親を亡くし、養護施設育ちの鏑木は模範的な生徒であったが、会社が倒産し再就職先が決まらずお金に困っていた」
「日頃から被害者夫婦の家周辺をウロウロして、犯行に及んだ。同い年で成功している、被害者である夫を妬んだのだろう」
「特徴は、首のうしろにあるアザ」
このようなニュースや記事を見て、最終的に和也は遠藤が「鏑木」であると確信した。
そして金に目の眩んだ和也は、震えながら110番通報したが「指名手配犯の情報…いや、なんでもありません」と言って途中で電話を切った。
しかし、その様子を慶一が見てしまう。
和也は「何も言ってない」と言ったが、慶一は悲しそうな表情をしてすぐに姿をくらました。
和也からの通報を受け、不審に思った警察が作業員の寮に到着。
刑事・又貫は、鏑木と親しかった和也に尋問するが、和也は目を潤ませながら「あいつは無口だったから何も知らない。本当に人を殺したんですか?…あいつはいい奴です」と言った。
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脱獄から117日。
慶一は金髪・カラコンで変装をし、在宅ライターの「那須」と名乗って雑誌に寄稿していた。
そして、その雑誌の編集者・安藤沙耶香と出会う。
初回は、鏑木がなぜ犯行現場にいたのか、まだ何も明かされませんでしたね。
しかし非常に優秀な事は伝わって来ました。
…ただ、変装が甘いのが気になる。笑
亀梨さんのイケメンっぷりは、中々消せなそうです!!
エピソード2
沙耶香と意気投合した慶一。
ネットカフェを転々としていたが、沙耶香の両親が遺した一軒家に住まわせてもらう事になった。
同居生活が始まってしばらくすると、慶一は自殺しようとしている男性・渡辺と遭遇する。
慌てて止めると、彼は弁護士でありながら痴漢のえん罪をかけられ、途方に暮れていたらしい。
痴漢された女子高生が「違った」と言ってくれたものの、現場の動画が拡散し収集が付かなくなったと言う。
慶一は放っておけず、沙耶香に渡辺のインタビュー内容を記事にする事を提案した。
沙耶香が記事を公開すると、かなりの反響が起きる。
週刊誌からも取材が入り、渡辺は人生をやり直すきっかけが出来たのだった。
渡辺は、慶一に「あなたは命の恩人です。これからは、自分のように、えん罪で苦しんでいる人達のために活動をして行こうと思います」と話す。
慶一は黙り込み、渡辺に「何か言いたい事がありますか?」と聞かれたが、何も言えなかった。
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ある日、沙耶香が家の門を開けようとすると、元交際相手がやって来た。
彼は強引に家に入り沙耶香を襲おうとしたが、慶一が止める。
通報される事を恐れた元彼は、沙耶香に「悪かった。もう会わない。でも、あの男は脱獄犯の鏑木に似ていないか?」と電話して来た。
沙耶香は「冗談言わないで」と突っぱねたが、鏑木の写真を検索すると非常に似ていたため愕然とする。
しかし、そのまま何も言わずに過ごしていたが、突然家に又貫と部下がやって来た。
市民から「安藤沙耶香が、鏑木に似ている男と同居している」という通報が入ったと言う。きっと元彼だろう。
沙耶香は慶一に「刑事が来てる。3分で帰らせるからクローゼットに隠れて!」と言って隠そうとする。
慶一は「知っていたんですね。信じて。僕はやっていない」と言って、沙耶香を抱きしめた。
沙耶香は頷き、刑事達を帰そうとしたが、又貫は強引に家に入りクローゼットを開けた。
暴れる又貫を沙耶香が必死に止めて「逃げて!」と言って慶一を逃す。
慶一は泣きそうになりながら沙耶香を見て、窓から逃走した。
翌日、脱獄犯・鏑木のニュースを観た沙耶香は涙し、同じ頃、ニュースを観た渡辺は厳しい表情で何かを想った。
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脱獄から365日。
慶一は目を一重にして変装し、今度は「久間」と名乗ってある宗教団体にいた。
そして、バイト先で3人の女性と出会う。
だいぶ慶一の性格などが分かって来ましたね。正義感が強く、勇気も持ち合わせている印象を受けました。
沙耶香は不憫でしたね…。いつか2人が恋人同士となる事を願っています!!
渡辺さんはキーマンとなりそう。
様々なヒーロー(糸村、西園寺、冴羽獠など…)を演じて来た上川隆也さんですからね!!
エピソード3
慶一は「久間」として、宗教団体・救心会にのめり込んでいる信代と接触し、信代の紹介で「カスガパン製造工場」に勤める事になる。
そこには、旦那の父親の介護をしている節枝、そして井尾由子の妹・浩子が勤務しており、2人も救心会に入会する事となった。
救心会に入会する際には、個人情報や家族の情報までをも細かく記入せねばならない。
そこで慶一は、救心会の事務所にボランティアとして潜り込み、浩子の入会申込書を盗み見て由子の情報を得た。
その浩子は「久間が鏑木に似ているんじゃないか」と節枝に話していたが、確信が持てず何もせずにいる。
また、世間では「鏑木を真似た」という模倣犯・足利がある夫婦を殺め、逮捕された事が話題となっていた。
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ある日、節枝が詐欺被害に遭ってしまう。
犯人は節枝の息子の名前や勤務先名など全てを知っており、まんまと騙されてしまったのだ。
そんな節枝に、慶一が「救心会は個人情報を裏ルートに売り、儲けている」という情報と、証拠がまとめられた書類を渡す。
そして「これを渡せば、きっと力になってくれるはずです」と言って渡辺の名刺を差し出した。
節枝と、一緒にいた浩子は「あなた、これを探るために入会したの?」と驚く。
慶一は「なりゆきです。お世話になりました」と言い残し、バイトを辞め自転車でどこかへと向かった。
その後、信代が慶一の正体に気付いてしまい、警察に通報する。
久間が鏑木だったと知った節枝と浩子は、驚きを隠せなかった。
一方、節枝から書類を受け取った渡辺は、久間の正体に気付き、安堵するような笑みを浮かべた。
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脱獄から526日。
慶一は片目に眼帯を付け、今度は「桜井」と名乗り、茨城県の老人グループホームにいた。
誠実な人柄の彼は、すでに老人達の人気者だ。
しかしそこで由子と再会するが、痴呆症の由子は何も気付かない。
眼帯を取って「あの夜の事を思い出してください」と話しかけるが、彼女はパニックを起こすだけだった。
その場面を、同じ職員の舞が見てしまう。
さらには、浩子が由子に面会しに来る事になった。
慶一は焦り、空いている部屋の窓から逃げ出した。
どんどん慶一の世直しが行われて行きます。
しかし、由子に「本当の事」を証言して欲しいのでしょう。
自らも危険な立場にありながら、弱者を放っておけない彼は根っからの弁護人だと思います!
エピソード4(最終話)
浩子と会わずに済んだ慶一。次の日は、普通に遅番勤務に入った。
舞は、由子に何かを言わせようとしている慶一の事が気になり、上司の四方田に由子の過去を聞き出す。
そして慶一の事を調べ、彼が偽名を使っている指名手配犯・鏑木だと確信した。
その事を四方田に伝え、通報するように頼むも思い直す。
しかし、すでに社長の佐竹が通報してしまい、又貫達が来ていた。
舞は慌てて慶一の元へ行き、警察が来ている事を告げる。
すぐに又貫が突入して来たので、慶一は舞を人質にとって施設に立てこもった。
そして、あの日何があったのかを舞に打ち明ける。
- 慶一はバイト終わりに悲鳴を聞き、家に入って被害者を介抱していた(その際に包丁を持ってしまった)
- 慶一は被害者宅から出て来た男(黒い服の若い男)を目撃していた
- 由子は、何度も警察に事実を話したが、認知症である事を理由に検察から脅され、慶一が犯人だと証言してしまった
- 慶一が被害者宅の周りにいたのは、由子が弾くピアノの音色が、亡き母のそれと似ており、懐かしくなって聞き入っていたためだった
由子との会話は、ボイスレコーダーに録音している。慶一は、これを世の中に公開し、えん罪を証明する事が目的だと言った。
舞は、想いを寄せていた彼を信じる事にした。
しかしそこへ、警察が突入。
慶一は窓から飛び降りようとしたところ、又貫に足を撃たれて落ち、逮捕されてしまった。
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舞は、仕事を辞めていた。
すると四方田から連絡があり、渡辺が集めた人物(和也、沙耶香、節枝、四方田)で結成された「鏑木慶一さんを救う会」に呼ばれた。
渡辺が皆んなを集め、それぞれ署名や講演会など、地道に活動しているらしい。
一方の慶一は、昏睡状態から脱し、渡辺に「救う会」の事を聞いたが「死刑判決は覆りません」と言って落ち込んでいた。
ボイスレコーダーの存在が揉み消されていたため、希望を失ったようだ。
そこで沙耶香は「私達はあなたの味方です」という旨の手紙を送り、彼を元気付けた。
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沙耶香は、「死刑が求刑された足利が、余罪について仄めかしている」という事実を掴む。
そこで渡辺と共に足利に面会し、「あなたの本を書きたいので、もっとネタが欲しい」と話しかけた。
すると足利は、声高らかに笑って「杉並区の事件」について触れた。
舞は、浩子の家にいる由子の元へ出向き、再度あの夜の事を聞き出した。
由子は、ゆっくりと思い出し、しっかりと話し始める。
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裁判が行われ、判決が言い渡される。
鏑木慶一は「無罪」となり、裁判官は恐怖に晒してしまった事を詫びた。
慶一の誠実な人柄が、たくさんの人々の心を動かし、真犯人(足利)を見つけ出したのだ。
慶一は泣きながら、傍聴席に向かって一礼をした。
…!?!?
裁判の話や、沙耶香とのラブなどもすっ飛ばされたので、心底驚きました。笑
原作とはだいぶ違うエンディングだそうです。
う〜〜ん、結果は分かりきっていましたが、最後が駆け足過ぎて非常に残念!!
韓流ドラマが好きな私には物足りませんでしたが、サクっと観たい人には良いのかもしれませんね。
キャストは最高で、内容は感動的でした!
…でも又貫がガッツリ絞られるとこ、観たかったなぁ。