2024年3月1日に日本で公開された、Netflix韓国の映画『ロ・ギワン』
脱北し、親子で中国に住んだものの、彼らには様々な困難が降り注ぐ。
本当の幸せとは?難民が本当に手に入れたいものとは何なのか…?
作家チョ・ヘジンによる2019年の小説『ロ・ギワンに会った』をもとにした、ヒューマン・ラブストーリー。
最近どっぷり韓国ドラマにハマっているbeersyです!
あまり暗い映画は好みでは無いのですが、韓国映画の話題作は全て良作なので鑑賞してみました。
結果、ソン・ジュンギの圧巻の演技に魅了されましたよ!!
この記事では、映画『ロ・ギワン』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介します!
『ロ・ギワン』の評価&感想
- 感動度
- 4
- 脳トレ度
- 4
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 4
- 話題性
- 5
『太陽の末裔』『ヴィンチェンツォ』などで活躍している、韓国の有名俳優ソン・ジュンギ主演作!
筆者は『ヴィンチェンツォ』のイメージが強かったので、本作のようなズタボロの役には驚き。
なりふり構わず、必死で生きるギワンを見事に演じ切っていました。
舞台はベルギーですが、ロケ地はまさかのハンガリーだそう。
ストーリーはズ〜ンと重いですし、ギワンがとにかく不幸で不憫で過酷な状況下にいるので、気持ちがどんどん沈みます…。
後半はラブ展開が多めですが、コメディは一切無くとことんシリアス。
それでも、ラブの部分はひたむきな本当の愛が描かれており、その姿には美しささえ感じる事が出来ました。
そしてエンディングはスッキリするのでご安心を。
心が元気な時に観るのがオススメです♪
以下より重要なネタバレを含みます。
『ロ・ギワン』のネタバレ
母と子
正義感が強く、友人を殴っていた上司を止めた事で追われる身となり、脱北して中国に来たロ・ギワン(演/ソン・ジュンギ)と母親のオクヒ(演/キム・ソンリョン)。
伯父・ウンチョル(演/ソ・ヒョヌ)を頼ってオクヒは飲食店で働き、ギワンは身を潜めて暮らしていたが、ある日中国の公安に見つかってしまう。
そして逃げる途中で、オクヒが交通事故に遭い命を落としてしまった。
日頃よりギワン親子の事を気にかけていたウンチョルは、涙を流しながらギワンに大金を、そして偽造した韓国のパスポートを差し出し「お前の母親の遺体を病院に売った。これはお前の母親だ。ギワン、必ず生き延びろ」と言って抱きしめる。
ギワンは悲しみに暮れ、オクヒの遺体があった道路に残る血を拭き取りながら、号泣した。
ーー
ギワンはベルギーに入国し、脱北者として難民申請を受けようとしたが、身一つで出て来た彼の申請は難航し2ヶ月かかると言われる。
その間、極寒の中ギワンは、ゴミ箱をあさり、トイレで寝て、人種差別や暴力を受けながらも懸命に生きていた。
しかしある日、コインランドリーで眠ってしまうと、ベルギー国籍で韓国人女性のイ・マリ(演/チェ・ソンウン)に財布を盗まれてしまう。
彼女は防犯カメラにバッチリ映っていたためすぐに逮捕され、ギワンは「あの金は母親の遺体を売って得たんだ。形見の財布を返せ」と迫った。
ーー
実はマリはギャングに借金を返済しており、盗んだ財布はそのボスであるシリル(演/ワエル・セルスプ)に渡していた。
元射撃選手だったマリは、シリルが取り仕切る賭博射撃に利用されていたのだ。
マリはギワンをマンションに呼び、必ず財布を返すと言って、富裕層の父の名前「イ・ユンソン(演/チョ・ハンチョル)」を使って仕事を紹介する。
自分も母を亡くしたと言うマリは、ギワンに風呂を貸し、綺麗な洋服をあげた。
ーー
ギワンは、紹介所の男性・キムが偽造した書類を生肉工場に提出し、朝鮮系中国人のフリをして住み込みで働く事になった。
そこで、朝鮮系中国人の女性・ソンジュ(演/イ・サンヒ)を紹介され、世話になりながら仕事をし始める。
その後、マリは賭け射撃に勝利してなんとか財布を取り戻し、ギワンの元へ返しに行く。
すぐ帰ろうとするマリを呼び止めたギワンは、ソンジュに色々借りつつ料理を作り、温かい食事をふるまった。
マリは、ユンソンが母の安楽死に同意したのだと知って、生きる意味を失い荒れていたのだ。
ギワンが懸命に、必死に生きているシーンは心がえぐられるような思いでした。とにかく寒そう…。
血も涙も無い、神様なんていない、本当の難民の人はこのような事を思うのでしょうか。
マリは実家が裕福そうですが、何か深い事情がありそうですし、シリルがこのまま引き下がるとは思えなくて怖い。
この国で生きるために
中々脱北者だと信じてもらえないギワンの難民申請。支援金詐欺を疑われているのだ。
四苦八苦していたが、ソンジュがギワンの言葉を朝鮮なまりだと見抜いていたため、法廷で証言する事になった。
しかしその後、ベルギー人に絡まれて、向こうが勝手に怪我をしたものの、その動画が拡散され警察に捕まってしまう。
中国に強制送還されそうになるが、マリがユンソンを使って助けた。
しかしユンソンは、ギワンに難民申請に強い弁護士を紹介し「もう娘には近付かないでくれ」と牽制して去って行った。
ーー
後日、ユンソンに紹介してもらった弁護士をつけたギワンの、難民申請についての裁判が始まった。
やはり、母の死体を売ったという証拠や、身分証が無いため難しい。
そこで証人として、キムとソンジュが出廷したが、2人とも「彼は朝鮮系中国人です」と証言した。
2人に裏切られ、難民申請が降りなかったギワンは、皿洗いの仕事をしつつトイレで眠る生活に戻る。
するとソンジュがギワンの元へ来て、「キムさんに、文書偽造を隠す代わりにビザの延長をすると言われた。娘の手術代がいるから断れなかったの。でも結局嘘を付かれて中国に強制送還される事になったから、ただ謝りたかった。本当にごめんなさい」と言って頭を下げた。
ギワンは許す事が出来なかったが、パトカーに乗り込むソンジュの姿を見送った。
ーー
マリはシリルに命じられるまま、ゲルトという客がマリに高額を賭けた試合に出る。
しかし思い直し、わざと試合に負け「自分の居場所へ戻る」と言って店を後にした。
ユンソンの自宅では、マリの母を偲ぶ会が行われている。
ギワンは弁護士の部屋でこの招待状を見たため駆けつけ、手伝いをしていた。
するとマリが現れ、「なぜ死んだ人のためにパーティーをするの?」と言って会場をメチャクチャにする。
ギワンが追いかけてマリのマンションに行くと、マリはベルギー人の男性とドラッグを打っていた。
ギワンは男を追い出してドラッグを奪い、マリが暴れたため一気に口に入れる。
驚いたマリがギワンに解毒剤を打ち介抱すると、目覚めた彼は「クスリをやめろ。俺が何度でも同じ方法で君を止めるよ」と言った。
2人は惹かれ合い、一緒に暮らす事になった。
ソンジュの気持ちもわかりますが、許せないギワンの気持ちも分かるような気がします。
心から信じていた人に裏切られると、どんな理由を述べられても許す事は出来ないかもしれません。
送還前に謝りに来たソンジュは、自分がスッキリしたかったのかもしれませんが、ギワンの事を本当に可愛がっていたのだろうなぁ。辛い。
マリはシリルに思い切り背を向けますが、この人がそんなに大人しい人物とは思えない…。
ラストに何をして来るのか、心配です。
本当に欲しかったもの
英国の脱北者団体が、ギワンを支援してくれる事になりまた裁判が行われる。
すると、突然ソンジュから手紙が届いた。
彼女は中国に帰った後、昨年の新聞を隅々までチェックしたらしい。
そして、ギワンの母の死亡記事を見付けて、そのコピーを送ってくれたのだ。
これでギワンの難民認定のハードルが下がり、マリと共に笑みを浮かべる。
しかし、2人が裁判所の前で脱北者団体と話していると、マリにシリルからの電話がかかって来て「すぐに来ないと彼氏の頭を吹っ飛ばす」と脅される。
近くには銃を持った護衛と車が来ており、マリはギワンに悟られないよう「忘れた事があったから、家に帰ってるね」と言って去って行った。
ーー
ギワンの裁判は順調に進んで行く。
ソンジュが送ってくれた新聞には母の顔写真も載っており、ギワンの供述の裏付けが取れそうだ。
しかし、マリを待っていたギワンは、マリの後ろに不審な車が停まっていた事を思い返す。
そこで裁判の途中で飛び出し、マリの元へと走って行った。
ーー
マリを取り戻したシリルは、またしても賭け射撃をさせようとするが、ゲルトが「マリはお前にはもったいない」と言って奪おうとする。
シリルは、ゲルトを恨むオランダ人に「アムステルダムで賭博店を開く支援を約束された」と言い、ゲルトと護衛達を全員銃殺した。
すると、そこにギワンが現れ乱闘になる。
しかしシリルは銃撃戦で自分も負傷していたため倒れ込み、その隙に2人は逃げる。
その後シリルは、別の組織に殺された。
ギワンはマリに「危険だから国外に逃げろ。お父さんに電話して、旅券とお金の用意をしてもらうんだ」と言う。
マリは「せっかくあなたと出会えたのに」と言うが、ギワンは「俺はこの国に住む権利も出る権利もない。でも、強くなって必ず君を見付け出す」と約束した。
そして、ユンソンが2人の元に到着し空港へ向かう。
マリは「お父さん、今までごめんなさい」と伝え、ユンソンも「ロ・ギワンは良い青年だ。ごめん」と言った。
実は、マリの母親は不治の病に倒れ、自ら安楽死を申し出ていた。
「母親が娘を残して死を選んだ事、それを父親が承諾した事を隠して欲しい…そうすれば、あの子は母の死に責任を感じなくて済むわ」と言っていたのだ。
マリとユンソンは和解し、別れを告げた。
その後、ギワンは泣くマリを慰めながら、空港内の広告を見て「2人でマダガスカルへ行こう。そして、あの変な木を見るんだ、いいね?」と言って笑わせる。
2人は再会を誓って別れた。
ーー
ギワンはやっと難民に認定され、国に住む権利を得たのちレストランで働いていた。
「どんな困難人もくじけず、この国に住む権利、必要最低限の権利を得たけれど、この国から出るとそれを失ってしまう。」
「それでも、この険しい道を最初からまたやり直そうと思う。」
「やっと気付いた。本当に欲しかったのは、この国から出る権利だ。」
ギワンは片道切符で飛行機に乗り込み、マダガスカルヘ向かう。
強い日差しの中進んで行くと、そこにはマリがいて、抱きしめ合った。
ギワンはマリと出会って、本当に欲しかったものは国に住む権利では無く、国を出てマリとの愛を育む事だった。
ギワンの確固たる信念、強さには脱帽です。
そしてシリル。殺される前にマリの居場所を言わなかったシーンから、彼もマリを愛していたんだなと複雑な気持ちに。
ただ、最後まで彼が一体何なのかよくわかりませんでした。マリがしていたという借金も謎…。
マダガスカルで再会した2人、ユンソンともまた一緒に暮らせたらいいな。
『ロ・ギワン』が好きな人にオススメのドラマ
映画『ロ・ギワン』のような、北朝鮮にフィーチャーした作品をピックアップ!
愛の不時着
韓国ドラマの金字塔!
思わぬ形で北朝鮮に不時着してしまった財閥令嬢と、北朝鮮の軍人の困難ばかりなラブストーリー。
ラブコメなので、ロ・ギワンのダークな感じに疲れちゃった人にオススメ。
長いですが、観終えた後の達成感は最高です!!
Netflixドラマ『愛の不時着』をネタバレ解説!南と北。究極に難しい愛を貫く事は出来るのか?
続きを見る