2024年6月14日公開の映画『数分間のエールを』。
劇場で鑑賞した筆者が作品の魅力や見どころ、物語の展開をネタバレありで詳しく解説します。登場人物たちの心情や成長を描いたシーンやMVに関するストーリーを一緒に振り返りましょう。
※前半はネタバレ無し、後半は結末までのストーリーを感想・解説と合わせて紹介します。
どんな映画?おすすめポイントを紹介!
数分間のエールを
- 未体験
- 5
- 感情移入
- 5
- 再鑑賞
- 4
- サウンド
- 3
- 項目5
- 5
歌やモノづくりを通じて「人に何かを伝えたい」と思う人へのメッセージが伝わってくる映画!共感できる人も多いのは!?
評価は年間100作品以上を鑑賞する執筆者こでぃもの実体験をもとにしています。
ストーリー
MVを作り始めて夢中になる高校生の彼方(かなた)。始めたばかりで希望に満ちた彼を中心に、出会いから始まる物語はワクワクさせられます。
ひたむきな努力の成果や登場人物たちの考えも気になることでしょう。
演出
MVを通じて「応援したい」という思いが伝わってくる演出が見どころとなる作品!上記の動画のようにMVづくりの一部始終が描かれるのもポイントですよ。
完成したMVは映像も歌も素晴らしい!聞きどころ満載な映画なので演出と合わせてお楽しみください。
その作品ならではの切り口
フリー3DCGソフト「Blender」を主に使って制作したアニメーション映像は今作ならでは!独特かつ細やかな絵になっていて、学校生活やMVのシーンなどは他のアニメーション作品と違った良さがありますよ。
個人的には雨や水の反射する光の彩りが豊かだったのが印象的です!
おすすめポイント
映画館でMVを観る!という楽しみがおすすめポイント。青春を描くストーリーも見応えがあり、登場人物の心情が伝わってくることから、普段あまり映画を観ない人にもオススメできる作品。
独特なアニメーション&テーマなので、最初は驚く人もいるかもしれませんが、雰囲気などは予告動画と合わせて予習しておくと良いかもしれませんよ!
以下より重要なネタバレを含みます。
ネタバレありで解説!
彼方とMV
高校生の彼方(かなた)は、MVを作ることに夢中。初めは好きな歌に風景を組み合わせて作る程度でしたが、パソコンを買って本格的に作り始めていました。軽音楽部の中川から曲用のMVを頼まれ、なんとか作り進めていましたが…友人の外崎(とのさき)から心配されることも多かったのです。
彼方はアイディアを求めて街を歩き、雨が降る中でも写真を撮りました。すると、ストリートライブをする一人の女性に出会います。雨の中、彼女の歌を聴く人はいませんでしたが、彼方は歌に感動。動画を撮り、歌い終えた彼女に声をかけようとしますが…彼方の姿を見て女性は逃げるように去ってしまいました。
彼方がスマホで空などの景色を撮り、好きな歌と合わせたMVを作る様子は初々しい感じがしましたね。そのMVを動画サイトにアップし、コメントなどの評価があってやる気につながったようで…「誰かの心を動かすMVを作りたいと意気込む姿は応援したくなりました。
出会い
次の日、彼方は外崎に女性のことを話していると、新しい英語の先生が来て驚きます。織重 夕(おりえ ゆう)と名乗るその女性こそ、昨晩会った人だったのです。
彼方は夕先生にMVを作らせて欲しいと伝えますが了承は得られず…外崎から「最高のMVを作ってアピールしてはどうか」と言われます。
彼方は夕先生が大学時代に歌っていた動画を見つけ、その歌を元にMVを作成。何日も寝ずに作業したことで倒れてしまい、保健室に運ばれます。外崎はそのMVを夕先生に知らせ、彼方が起きた際にMVを見たと伝えました。そして、再来週の日曜にライブをすると言い、彼方は外崎と地下の店のライブへ。そこで『未明』を聴き、MVを作ることが決まったのです。
彼方は『未明』から青空や大きな塔などをイメージし、何日も作り込みました。そうして出来上がったMVを外崎に見せますが…彼の顔は浮かない様子。
彼方は構わず夕先生に見せると、彼女はMVを公開しないで欲しいと言いました。100曲目の歌であり、音楽の道を諦めた夕先生…彼方は彼女の心情に合わせたMVが作れなかったのです。
彼方は夕先生の歌に感動し、MVを通じて多くの人に魅力を届けたいと考えているようでしたね。MVだからこそ伝えられたり、何かを感じたりする人がいると思い、行動力につなげる姿は眩しさも感じました。
一方で、夕先生はどういった思いで『未明』を作り、ライブで歌ったのか…物語の大きな転換となっていきますよ。
思い
一方、外崎もまた悩みを抱えてました。絵のコンテストで賞をとってからは絵の道を歩もうと努力を続けていた…しかし、絵の道を諦めて大学受験のための勉強を始めていたのです。彼方は外崎の努力を知り、なんのためにMVを作るのか悩み始めます。
そうした中、軽音部のMVが完成し、中川たちが見ることに…バンドメンバーは彼方のMVに感動しました。中川は「彼方から最初にもらったMVはイメージと違った」と話しつつ、応援されてることが伝わってきたと言います。彼方はハッとし、夕先生に会いに行って「全ての曲を聞いて改めてMVを作らせて欲しい」と懇願。そうして彼方はMVを再作成したのです。MVを見た夕先生は教職を辞め、彼方に改めてお礼を言うのでした。
最後のシーンの夕先生は、それまでの雰囲気と違いましたね。彼方のMVが彼女を動かしたようですが…動画で何枚も何枚も新しい絵を書き続けていく演出は確かに響くものがありました。歌と合わせて懸命さが伝わってくる中、「拙くても」努めていこうとする様子はモノづくりなどに携わる人に響いたのではないでしょうか?
そんな彼方ですが、外崎が賞をとった絵を前に自身で描いた絵を破り捨てるという過去のシーンが印象的。認められた外崎に対する思いをハッキリ言ってしまい、外崎は静かにその言葉を聞く…こうした描写からも心情が伝わってくる見応えのある映画でした。
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バクマン。
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