2005年7月9日公開の映画『アルフィー』。
ジュード・ロウを主演にした1966年版のリメイク作品です。第62回ゴールデングローブ賞で最優秀主題歌賞を受賞しました。
舞台はニューヨーク。イギリス人プレイボーイのアルフィーは、リムジンの運転手をしながら、自由気ままに独身生活を楽しみます。毎夜違う女性と過ごすアルフィーでしたが、とあることをきっかけに自分の人生を見つめ直します。
映画『アルフィー』で流れた音楽13曲をご紹介します。
映画『アルフィー』で流れた曲とは?
親友マーロンの彼女ロネットが登場するシーン
Dave Stewart - Darkness Of Your Love
親友マーロンの彼女ロネットが登場するシーンで流れた曲は、Dave Stewart(デイヴ・スチュワート)の『Darkness Of Your Love』です。
Dave Stewartはイギリスのギタリストで、ミック・ジャガー率いるスーパーヘヴィのメンバーです。
つい出来心で浮気をしてしまった親友のマーロンは、最愛の人・ロネットに振られてしまいひどく傷ついています。ロネットは引く手あまたの魅力的な女性です。
夜中3時に酔っ払い、嘔吐しながら謝罪してもロネットは許さないだろう、とアルフィーはマーロンの行動に呆れながらもマーロンを慰めます。
アルフィーの言う通り、マーロンの行動は迷惑でしかないですよね。自分の不始末はしっかりと片付けてほしいものです。百年の恋もさめてしまいます。
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ロネットがマーロンのビールをテーブルに叩きつけるシーン
The Impressions - Woman's Got Soul
ロネットがマーロンのビールをテーブルに叩きつけるシーンで流れた曲は、The Impressions(ジ・インプレッションズ)の『Woman's Got Soul』です。
The Impressionsは1960年代・1970年代に活躍したドゥーワップ・グループです。1965年のアルバム「People Get Ready」に『Woman's Got Soul』が収録されています。
なんとかロネットとよりを戻したいマーロンは、アルフィーと一緒にロネットが働くバーへ行きます。怒りがおさまらないロネットは、マーロンのビールだけ乱暴に扱います。
一途に思うマーロンの姿を見たアルフィーは、一人の人を思い続けることに疑問を持ちます。アルフィーがマーロンを小馬鹿にしているように見えますね。
アルフィーのようにワンナイトを楽しむのもいいですが、とっかえひっかえで疲れないのかしら?なんて思ってしまいます。
私はアルフィーのように遊ぶことよりも、一人で読書しているほうが気楽で好きです。
ロネットとアルフィーが危ない雰囲気にのまれるシーン
The Isley Brothers - For the Love of You, Pt. 1 & 2
ロネットとアルフィーが危ない雰囲気にのまれるシーンで流れた曲は、The Isley Brothers(アイズレー・ブラザーズ)の『For the Love of You, Pt. 1 & 2』です。
アイズレー兄弟で結成された1960年代・1970年代のボーカルグループです。代表曲に1969年にヒットした「It's Your Thing」があります。
ビリヤードで遊びながら危ない雰囲気になっていくロネットとアルフィー。
アルフィーは親友のマーロンのことがよぎりますが、本心を誤魔化してしまいます。頭では手を出してはダメだとわかっているアルフィーですが、ロネットの魅力には勝てません。
映画『アルフィー』の中で最もロマンティックなワンシーンです。やってはいけないことほど魅力を感じてしまうのは、仕方のないことでしょうか。
ロネットが吐く煙草の煙が印象的です。煙草は好みませんが、映画の中の煙草がかっこよく見えてくるのは不思議です。
アルフィーが立ち直りを決意して一人でクラブに行くシーン
N.E.R.D. - Don't Worry About It
アルフィーが立ち直りを決意して一人でクラブに行くシーンで流れた曲は、N.E.R.D.(エヌ・イー・アール・ディー)の『Don't Worry About It』です。
N.E.R.D.はアメリカのヒップホップ・ロックグループです。2018年には日本で開催されるフジロック・フェスティバルに出演しました。
ロネットとの夢のような一夜が去り、マーロンの悩みも解決と思いきや、アルフィーが思い描いているようにはなりません。
少しだけ反省したアルフィーですが、気を取り直して一人で流行りのクラブに出かけます。
独りよがりなアルフィーが残念!それでもモテるアルフィーは、キザ男と陰で言われながらも女心をキャッチします。
どこまでも本能に忠実に行動するアルフィーにはあっぱれです!
アルフィーがロネットの通院に付き添うシーン
Mick Jagger & Dave Stewart - Blind Leading The Blind
アルフィーがロネットの通院に付き添うシーンで流れた曲は、Mick Jagger & Dave Stewart(ミック・ジャガー&デイヴ・スチュワート)の『Blind Leading The Blind』です。
イギリスの著名ギタリストのMick JaggerとDave Stewartは、映画『アルフィー』の音楽を担当しています。
ストーリー終盤のマーロンとの再会でアルフィーが過ちに気づくシーンでも『Blind Leading The Blind』が使用されています。
大事な箇所に腫瘍が見つかってしまったアルフィーは、大人しく過ごすことに決めます。
神妙な面持ちで現れたロネットに喜びを隠せないアルフィー、二人の空気感の違いが重たいシーンです。
アルフィーは一夜の過ちが大きな問題に発展してしまい、戸惑い気味に無難な言葉を並べるだけ。
アルフィーが勇気を出してロネットに寄り添えば、アルフィーの心の片隅で望んでいるものが手に入ったのかもしれませんね。
クリスマスの夜に車を走らせるアルフィーのシーン
Mick Jagger & Joss Stone - Lonely Without You (This Christmas)
クリスマスの夜に車を走らせるアルフィーのシーンで流れた曲は、Mick Jagger & Joss Stone(ミック・ジャガー&ジョス・ストーン)の『Lonely Without You (This Christmas)』です。
Joss Stoneはイギリスのシンガーソングライターで、17歳でデビューしました。ヒットアルバムに2004年リリースの「Mind,Body&Soul」があります。
マーロンからの突然の別れに意気消沈するアルフィーは、クリスマスシーズンでも仕事に専念します。
アルフィー曰く「クリスマスからお正月までは恋人と仲良く、絶対別れてはいけない、独りで過ごすとむなしい」とのこと。
アルフィーらしい持論ですね。一人で過ごすクリスマスも悪くないと思いますが、クリスマスに仕事していると若干寂しさを感じます。
アルフィーがニッキーたちを乗せて車を走らせるシーン
The Beach Boys - Little Saint Nick
アルフィーがニッキーたちを乗せて車を走らせるシーンで流れた曲は、The Beach Boys(ザ・ビーチ・ボーイズ)の『Little Saint Nick』です。
The Beach Boysはカルフォルニア出身のロックグループで、サーフ調のポップなメロディーの楽曲を多くリリースしています。
ニッキーの魅力に負けたアルフィーは、ニッキーの連れを乗せてニューヨークの街を走ります。
いたずらな雰囲気のニッキーが最高に可愛いです!70年代風のヘアメイクがよく似合っていますね。
しっかりとニッキーの美脚度をチェックするアルフィーは相変わらずです。ほどよく肉づきのある太ももってセクシーですよね。
ニッキー役のシエナ・ミラーとジュード・ロウは、映画『アルフィー』での共演がきっかけで交際をはじめたそうです。破局したのが残念。
アルフィーがニッキーとパーティーに行くシーン
Ann Peebles - I Can't Stand the Rain
アルフィーがニッキーとパーティーに行くシーンで流れた曲は、Ann Peebles(アン・ピーブルス)の『I Can't Stand the Rain』です。
Ann Peeblesはアメリカのソウルシンガーで、1973年に『I Can't Stand the Rain』をリリースし人気を集めました。
車の中で盛り上がったニッキーとアルフィーは郊外のパーティーに行き、熱い視線を交わします。
持論通り、アルフィーはクリスマスシーズンを一緒に過ごす相手をゲットですね。
なんだかんだ言ってアルフィーの人生は、イージーモードな気がするのは私だけでしょうか。
アルフィーとニッキーが車の中でキスするシーン
The Uniques - Merry Christmas Darling (And A Happy New Year)
アルフィーとニッキーが車の中でキスするシーンで流れた曲は、The Uniques(ユニークス)の『Merry Christmas Darling (And A Happy New Year)』です。
1966年に結成されたThe Uniquesは、レゲエ・ハーモニー・ボーカルグループです。活動期間は短く、1969年に解散しました。
パーティーでいいムードになったアルフィーとニッキーは、車の中で盛り上がります。
自分の望み通りになったアルフィーは大満足です。
1966年の原作映画「アルフィー」の公開された当時のカルチャーをベースに、リメイク版を観ると案外アルフィーの行動も納得です。
アルフィーとリズがアブサンを楽しむシーン
The Buddy Rich Big Band - The Beat Goes On
アルフィーとリズがアブサンを楽しむシーンで流れた曲は、The Buddy Rich Big Band(バディ・リッチ・ビッグ・バンド)の『The Beat Goes On』です。
ジャズドラマーのBuddy Richが率いるビッグバンド。Buddy Richは1960年代・1970年代を中心活動しました。
すっかりリズの虜になってしまったアルフィーは、アブサンと共にリズとの甘いひと時を存分に楽しみます。
私はアブサンと聞くと危うい妖艶な印象を持ちます。アブサンを作りアルフィーとアブサンを楽しむリズの様子は、年を重ねた肉感的な色気が際立っています。
リッチでセクシー、若い女性にはない大人の余裕感があり、頭の良いリズにアルフィーが夢中になるのも頷けます。
『The Beat Goes On』が収録されているアルバム「Big Swing Face」は、聴いていてワクワクするようなリズミカルな曲が多く、作業BGMにおすすめです。
アルフィーがジュリーに新しい恋人がいることを知って落ち込むシーン
Mick Jagger & Dave Stewart - Let's Make It Up
アルフィーがジュリーに新しい恋人がいることを知って落ち込むシーンで流れた曲は、Mick Jagger & Dave Stewart(ミック・ジャガー&デイヴ・スチュワート)の『Let's Make It Up』です。
『Let's Make It Up』は、映画『アルフィー』のオリジナルソングで、サントラに収録されています。
風邪で弱気になっているアルフィーは、街中で準彼女だったジュリーを見つけ、偶然を装ってジュリーに声をかけます。
逃した魚は大きかったのかアルフィーの行動に気まずさを隠せません!アルフィーのご都合主義もほどほどに。
アルフィーの行動で『Let's Make It Up』の歌詞が悲しいほどにチープに聞こえてしまいました。
アルフィーが去った後のアダムとジュリーの会話がすごく気になります。
アルフィーが泣いているウィンに話しかけるシーン
The Righteous Brothers - Unchained Melody
アルフィーが泣いているウィンに話しかけるシーンで流れた曲は、The Righteous Brothers(ザ・ライチャス・ブラザーズ)の『Unchained Melody』です。
『Unchained Melody』は1965年にリリースされましたが、1990年の映画「ゴースト/ニューヨークの幻」で使用され大ヒットしました。
ジュリーとの再会で落ち込むアルフィーは、車を借りようと会社へ向かいます。
社長のウィンは妻が家を出てしまい悲しみに暮れて、アルフィーに泣きつきます。
映画の冒頭では奥さんをぞんざいに扱っていたウィンですが、いなくなって初めて奥さんの大切さを実感したのでしょう。夫婦といえどもお互いにリスペクトし合うことは大事なことですね。
ゴーストではとてもロマンティックな曲でしたが、映画『アルフィー』での『Unchained Melody』は安っぽいラブソングになってしまうマジック。
『Let's Make It Up』といい『Unchained Melody』といい、皮肉のきいたユーモアセンスに拍手です。
エンディング
Mick Jagger & Dave Stewart- Old Habits Die Hard
エンディングで流れた曲は、Mick Jagger & Dave Stewart(ミック・ジャガー&デイヴ・スチュワート)の『Old Habits Die Hard』です。
『Old Habits Die Hard』は、映画『アルフィー』の主題歌で、映画のために特別に書き下ろしされました。
自由を謳歌しているアルフィーですが、自由は対価が付くもの。
自分の中で譲れないものは何かを決めて、割り切って生きていくのも人生です。頑張れアルフィー。
エンディングのフォトショットが写真集のようにかっこいいので、ぜひじっくりと眺めてください。
Mick Jaggerが作業している様子が断トツでかっこいい!
筆者の感想
映画『アルフィー』はジュード・ロウの魅力満載、チャーミングな笑顔やイギリス英語を楽しめる1本です。またジュード・ロウ演じるアルフィーのメンズファッションは、今見てもスタイリッシュなコーディネートなので、メンズファッションのお手本にしたい映画ですね。
ストーリーは好き放題やってきたモテ男の自省録となっています。ゲラゲラ笑いながら観るコメディ映画というよりも淡々と物語が進む中でクスッと笑うようなライトなコメディ映画です。若い頃のジュード・ロウを堪能したい方、ちょっと趣向が変わったラブコメディー映画を観たい方におすすめな作品です。
アルフィーほどモテる人は稀かと思いますが、自由な生活を送る人なら胸が痛くなるようなシーンが多いのではないでしょうか。アルフィーの生き方を見ていると、結婚していても、結婚していなくても、結局はないものねだりということがよく分かります。
アルフィーの残念なところは、最後まで自分の都合の良いように言い訳して終わるところですね(そこがプレイボーイの可愛いところですが)。
アルフィーを取り巻く女性たちは、アルフィーが思っているよりもしたたかに生きています。
家庭や愛に縛られない自由な人生を語り尽くしているアルフィーが、親友を失って深く傷ついたり元カノの息子との時間を惜しんだりする姿を観ていると、腹をくくりなさい!とお説教したくなる私がいます。