2025年2月4日に公開されたNetflix映画『ボゴタ 彷徨いの地』
破産してしまった祖国・韓国から遠く離れた街、コロンビアの首都「ボゴタ」へ移住した青年・クッキ。
父に「信じろ」と言われ着いて来たが、治安が悪い街での過酷な生活が待っていた。
それでも這い上がるべく、クッキは自らの意思で道を切り拓いていく。
ソン·ジュンギ主演の、クライム・ヒューマンドラマ。
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最近どっぷり韓国ドラマにハマっているbeersyです!
大人気俳優、ソン・ジュンギが主演という事で期待を胸に視聴しました。
評価はイマイチのようですが、筆者は見入ってしまいましたよ!俳優陣の演技力の賜物かな?
この記事では、Netflix映画『ボゴタ 彷徨いの地』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします!
『ボゴタ 彷徨いの地』の評価&感想
- 感動度
- 4
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 3
- 話題性
- 4
『ロ・ギワン』『太陽の末裔』『ヴィンチェンツォ』など、ネトフリ常連の俳優でもあるソン・ジュンギ。
端正なお顔立ちとピチピチのお肌、スラリとした長身を兼ね備えた俳優さんですが、本作ではリアルな苦労メイクが施され、未知の街で必死に生きて行く1人の青年を演じています。
ストーリーは、IMF危機に陥った韓国を脱出した一家が、犯罪の蔓延るコロンビアへ行き、クッキが裏社会でのし上がろうとする…というお話。
筆者はコロンビアに馴染みが無いので、リアルな街並みを見られた事が新鮮でした。
「結局何が言いたいかが分からない映画」との意見もあるみたいですが、それこそがクッキの人生であり「彷徨いの地」なのかもしれません。
クライム・サスペンスというよりは、ヒューマンドラマ寄り。
クッキが犯罪に加担して行くスリルはありますが、登場人物達の心情、葛藤などもしっかりと描かれているポイントが、韓国作品ならでは。
時に重く、切なく、時に爽快な展開が楽しめます。
また、随所に流れるラテンミュージックには、危険な街を「どうって事はない。ここがコロンビアだ」と納得させられるような気分に。
「ロ・ギワン」ほど辛くなくて、なんだか妙にハマる不思議な映画です!
以下より重要なネタバレを含みます。
『ボゴタ 彷徨いの地』の主要キャスト
- クッキ/ソン・ジュンギ(両親を大事にしている青年。根性と勇気、度胸がある)
- パク兵長/クォン・ヘヒョ(ボゴタの韓国人商人達を取り仕切るボス。クッキを目に掛ける)
- スヨン/イ・ヒジュン(パクの元で働く男。持ち前の明るさで信頼を得て、税関をパスさせる)
- ジェウン/チョ・ヒョンチョル(スヨンを慕うスヨンの部下)
『ボゴタ 彷徨いの地』のネタバレ
コロンビアの洗礼
1997年。
韓国が破産し、人々は路頭に迷った。
クッキ(演/ソン・ジュンギ)は、両親とともにコロンビアの首都・ボゴタに行く。
父・クンテ(演/キム・ジョンス)は、昔軍にいた時に命を救ったパク兵長(演/クォン・ヘヒョ)という男がいて、その男がボゴタで成功しているから助けてくれるはずだと言った。
しかし実際に会ってみると、パク兵長は「あんたのせいで死にかけたんだぞ!」と言って、クンテには感謝をしていない様子だ。
それでも見捨てず仕事を紹介をしてくれて、クッキは洋品店で働き始める。
一方クンテの母は縫製所で働き始め、クンテは工場を経営したが、赤字続きで身も心も荒んでいた。
コロンビアの治安は最悪で、クンテが強盗に遭ったり毎日のように銃声が聞こえたりして、クッキは最初怯えていたが、次第に慣れて行く。
ーー
2000年。
22歳になったクッキは、パクからどうやって成功したかを聞かされる。
除隊した彼は、金を注ぎ込んで女性用の下着を韓国で買い漁り、ボゴタに持ち込んだ。
韓国から服を輸入するが、そのためにはコロンビアの腐敗した税関とのコネが必要不可欠。
パクは義理の父が税関職員であり、韓国商人のリーダー格を務めていた。
最初は露店から始め、軌道に乗ると革命軍を避けて検問をパスし、商品を韓国から輸入する。
そして、ボゴタの権力者やカルテルと繋がりがある、コロンビア商業組合のトップ「アレハンドロ」と親友になった。
釜山港を出た船はブエナベントゥーラ港に入り、税関では儲けが出るように1%だけ申請する。
それがパクのルールであり、パクの雇われているリーダーのスヨン(演/イ・ヒジュン)が、税関の護衛達に賄賂を渡しつつ通行をパスさせる…という方法で輸入していた。
ーー
パクはクッキに、韓国から持ち込んだ服を積んだトラックを運転し、税関をクリアしてポゴタに運び込む仕事を与える。
それは今まで、スヨンが取り仕切っていた仕事だった。
クッキは陽気な男・ミゲルと共に、トラックを運転する。
ミゲルは人懐っこい性格でクッキを歓迎したが、スヨンは「パク兵長め、俺を信じていないのか?」と言って少々ご立腹になったものの、仕方なく受け入れる。
しかしその日はいざこざがあり、クッキは警察に捕まり殺されそうになったが、パクが国税庁のトップであるカルロスとハグして簡単に釈放された。
そんな風に、コロンビアは「できる事はない」が「できない事もない」国だった。
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こんなに司法が狂ってる事ある…!?
でも確かに、コネがあってコツを掴めば「なんでも出来る国」ではありそうですね。
パク兵長はまだ敵か味方か分からなくて、笑顔の裏に何かありそうで不気味。
ミゲルくんだけがオアシスだ…。
1区から6区へ
パクはクッキを気に入り「〝六道輪廻〟という仏教の言葉がある。ここは金持ちが来る6区だ。人は死ぬと業に応じて、どん底から空の上まで6つの世界をぐるぐる廻る。甥っ子よ、生き残るんだ。そして6区まで来いよ」と激励。
クッキは初めて「韓国に帰りたくない」と思い、ますます洋服を運び込む仕事に精を出す。
密輸の量は次第に増えて行き儲け始め、スヨンとも打ち解けて「兄貴」と呼んで慕った。
先輩のジェウン(演/チョ・ヒョンチョル)がヤキモチを妬くほどだ。
しかしある時、クッキはパクとスヨンの板挟みになってしまう。
それでも機転を利かせスヨン側に付いてうまく乗り切り、スヨンが売り出したダウンコートが大流行。
そしてスヨンはコネと信頼を得るため、売り上げの大部分をパクに渡すと、パクもご満悦となりクッキも責められずに済んだ。
彼らは金も送るようになり、マネーロンダリングをして大儲けする。
ーー
韓国の商人達が潤って、他は閑散としてしまい困ったアレハンドロは、カルロスにどうにかして欲しいと頼み金を積む。
すると直後、突然税関の護衛達の態度が豹変し、韓国の商人達の物流がストップ。
突然の事にパクが頭を抱えていると、1人が「ベネズエラには密輸品が溢れているから、なんとか国境のククタまで行けば…」と提案する。
だが、そこに行くまでには革命軍がウロついているためかなり危険だ。
皆んなが押し黙っていると、クッキが手を挙げ、商人達は金を預けて買い付けを託した。
しかし、大金を持っていると嗅ぎつけたクンテが銃を持ってクッキの部屋に現れ、揉み合いの末金の入ったバッグを奪って行く。
そして協力者の女強盗と共に車で逃走したため、クッキが後を追うと銃声が聞こえた。
すると、女が別の男のバイクに乗り金を持って逃走。
クンテは腹を撃たれ、そのまま死んでしまった。
葬儀には、スヨンとジェウンが来てくれて、「カルロスが差し押さえた商品をアレハンドロに横流ししたらしい」と教えられる。
腹を立てたクッキは商人達に金を返すべく、1人アレハンドロの倉庫へ向かい護衛を襲撃した。
するとそこへミゲル達のトラックが集まる。
パクが倉庫へ行くよう命じたのだった。
ーー
アレハンドロは怒り狂ってパクを脅し、殺し屋を使ってクッキを消そうとする。
パクは、殺し屋から逃げて来たクッキに「利益の半分を渡せばこの件は水に流せる」と言った。
しかしクッキは殺し屋に2倍の額を支払い、逆にアレハンドロを殺害。
そして動揺しているパクにも銃を向け「俺は生きて6区まで行くんだ」と豪語した。
その裏では、ジェウンがカルロスに「アレハンドロがどこから韓国の品を持って来たのかが明らかになるかもしれません。韓国人がコロンビア経済に貢献出来るよう、お力添えを」と脅し、金を積む。
クッキは無罪放免となり、父を殺した女強盗も殺し屋を使って抹殺した。
そんなクッキの行動をパクは黙認し、周りは彼を恐れるようになった。
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父の死をきっかけに、クッキが覚醒。彼は度胸という武器を持っていました。
それほど追い込まれたとも言えますが、ここから這い上がって行くのでしょう。
「おじさん」と呼びつつパクを突き放すシーン、でも殺さなかったのはやはりこれまでの恩があるからでしょうか。
根本的な性格は変わっていないんだろうな。
誰を信じる?
2008年。
クッキはソウルへ行き、青瓦台(チョンワデ)の名誉卒業証書を持ってボゴタに戻って来た。
彼はビシっとスーツを着こなしていて、ボゴタに来た頃の面影は皆無だ。
しかし国内では「密輸防止法」なる法律が作られ、密輸商人達は追い出されるかもしれない窮地に立たされている。
韓国商人達は大規模なデモを行い警察部隊と衝突したが、多数の怪我人と逮捕者が出た。
クッキは合法なショッピングモールを建設しようと考えており、カルロスに働きかけ拘束を待ってもらう手筈だったが、カルロスは「もう手に負えない」とそっぽを向いた。
スヨンに詰め寄られたクッキは、かつてスヨンが「南米中を虜にするショッピングモールを作る」と言っていたので「俺たちの夢だったろ?」と説得しようとする。
しかしスヨンは「俺の夢がどうして俺たちの夢になったんだ!?」と激怒し、離れて行った。
一方パクは、重い糖尿病を患っていた。
その後クッキは商人達にショッピングモールの計画を伝え、差し押さえられた店の分を保証すると持ちかける。
それでもスヨンを筆頭に、商人達は断固として反対した。
ーー
スヨンはクッキの車に爆弾を仕掛け、殺そうとする。
鍵を開けようとしたクッキは吹き飛ばされたが、幸い無事だった。
暗殺に失敗したスヨンはクッキからの報復に怯え、知り合いの医師で闇宝石商の家に隠れ、海外に逃亡しようとする。
するとクッキから電話が来て「俺はやってない」と言うと、クッキは「兄貴はやってない。爆発は俺が自分でやった。暗殺を仕掛けたのに生きていたから、もう怖がって誰も俺を狙う事はない。兄貴は元いた場所に戻っていい」と優しく話した。
しかしスヨンは情けをかけられた事に激昂し「偉そうに!どこまでも馬鹿にしやがって。怖がるだって?お前も、お前のお袋さんも俺が殺してやる!!」と叫ぶ。
すると、医師がスヨンに鍼を刺して動けなくし「やれやれ。同胞なのに地球の裏側まで来て何をやってるんだか…」と呟いた。
スヨンはその場に倒れ込む。
クッキは先回りし、その医師をも味方に付けていたのだった。
ーー
クッキのもとにパクが現れ、2人で死んだスヨンを埋める。
クッキは以前スヨンから貰った高級時計を見つめ、彼の笑顔を思い出していたが、その時計を盛り上がった土の上に投げ捨てた。
そして、防弾仕様のパクの車で山道を走った。
ーー
2人は「地球上で生き残るのはゴキブリ(ラ・クカラーチャ)だ」などと雑談をしながら走っていると、パクがトイレだと言って車を降りる。
すると突然バイクが近づき、車の中にいるクッキに向かって銃を放った。
しかし窓は割れず、クッキは訳が分からず怯えた。
パクはその男に向かって「防弾仕様だと言っただろう?知らなかったのか?」と言いながら、外から車内のクッキに電話をかける。
そして「出る杭は打たれるが、お前は出過ぎた。コイツはアレハンドロの長男だ、挨拶しろ」と言って窓を開けた。
長男が銃をクッキに向けた瞬間、クッキが2人に向かって発砲。
その銃は、以前スヨンが「持っていろ。いつか必ず必要な時が来る」と言って渡したものだった。
パクは「すごいな…」と言って微笑みながら倒れる。
さらにもう一発放ってパクの息の根を止めたクッキは、山の上から街を見下ろし「フゥ…」とため息をついた。
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最終的にパクに裏切られ、自分が殺した兄のような存在だったスヨンに貰った銃で、叔父のような存在のパクを消す。
この悲しい結末からは、クッキの「覚悟」が伝わって来ました。切ない…。
コロンビアでは自分を信じ、このように生きて行くしかない。
築き上げた信頼を疑いながら、彷徨い続けながら。
彼が今後どうなったかは分かりませんが、ハッピーでは無いのだろうな、お金があってもずっと孤独なのだろうな、と思いました。
『ボゴタ 彷徨いの地』が好きな人にオススメの映画
映画『ボゴタ 彷徨いの地』が好きな人にオススメの、クライム映画をピックアップ。
ベイビー・ブローカー
『そして父になる』『万引き家族』など多くのヒット映画を手がけて来た、是枝裕和監督が贈る韓国映画。
「赤ちゃんポスト」を違法に営む男性2人と、そこで出会う人々のお話です。
ハートフルなクライム作品で、観た後は切なさと温かさに包まれました!