2025年10月24日に日本で、2025年11月7日にはNetflixで公開された映画『フランケンシュタイン』
アメリカのゴシック・ホラー。
一人の男が造り上げた「命」。その代償とはー。
イギリスの作家メアリー・シェリーの小説『フランケンシュタイン』を、ギレルモ・デル・トロ監督(『パシフィック・リム』『シェイプ・オブ・ウォーター』)が映画化。
ホラーは苦手、ゴシックは大好きなbeersyです!
本作、怖いのかな…と思いながら視聴しましたが、あまりのストーリーの深さに感動。
グロ多めなので薄目で観るシーンは多々ありましたが、ホラーが苦手な人にもオススメです!
この記事では、Netflix映画『フランケンシュタイン』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします!
『フランケンシュタイン』の評価&感想
- 感動度
- 5
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 5
- サプライズ度
- 5
- 話題性
- 4
悲劇のモンスターを描いた「フランケンシュタイン」、原作を実写化した本作。
恥ずかしながら筆者は原作を読んだ事がなかったのですが、モンスター自体に名前はなく、造り上げた博士が「フランケンシュタイン」だった事に驚きました。
(ネジとつぎはぎだらけの男がフランケンシュタインだと思っていた…)
残虐なシーンは多々ありますが、ホラーというよりも悲哀に満ち溢れた切ないストーリーです。
しかし本作は、モンスター側の背景・心情をより深く描いており、切なくも愛に溢れた仕上がりになっていました。
そのためホラーが苦手な方でも安心して観る事が出来ます。
ただ、グロシーンが非常にグロいので要注意!
特に、フランケンシュタインが様々な人体を使って人を製造するシーンは、ほぼ観られませんでした;
そこだけ気を付ければ素晴らしい作品なので、ぜひ多くの人に観ていただきたい!
キャストは、『スター・ウォーズ』ポー・ダメロン役や、CGアニメ映画版『アダムス・ファミリー』でゴメスの声優を担当したオスカー・アイザックがフランケンシュタイン博士役。
そして、ネトフリドラマ『キスから始まるものがたり』のノア・フリン役、ジェイコブ・エロルディがモンスターを演じています。
特殊メイクをしているのに、隠しきれないイケメン臭…。
このあたりも本作の魅力のひとつですよ!
以下より重要なネタバレを含みます。
『フランケンシュタイン』のネタバレ
第一部/ヴィクターの話
1857年、北極で船が氷に嵌ってしまい立ち往生していた。
アンデルセン船長は、氷を掘る船員達の疲弊を他所に「我々は極地点に行くんだ!」と鼓舞する。
絶望的な状況だったが、流氷一人の男性が横たわっている姿を発見し、保護した。
すると、近くで何か獣のような唸り声が鳴り響き、男性を船に運ぶと船員達は一斉に銃を構える。
そこに現れたのは大柄な人の形をした怪物で、銃撃するがびくともせず、船長がバズーカで倒すと海の中へ沈んで行った。
助けた男は瀕死の状態で、ヴィクター・フランケンシュタインと名乗り「あれは私が造りあげたんだ。もっと犠牲者が出てしまうから、私をあれの前に置いて逃げて欲しい」と訴える。
しかし船長が話を聞こうと宥めると、ヴィクターはとつとつと語り始めた。
ーー
ヴィクターは、高名な医師の父と、地位の高い家柄の母親のもとに生まれた。
父はヴィクターを後継者として育てるため、虐待しながら医学を叩き込んだ。
幼いヴィクターは母親だけが唯一の味方だったが、その母親が弟・ウィリアムの出産中に亡くなってしまう。
ウィリアムは笑顔を絶やさない明るい子に育ち、父親は溺愛していた。
塞ぎ込むヴィクターが「父が母を殺したのではないか」と思うと、その夜夢に守護天使が現れ「私は生と死を司る者になる。父親より高名な外科医になる」と啓示されたと考える。
そして父が亡くなり、ウィリアムが遠い親戚の元へ預けられると、ヴィクターは死人の部位を繋ぎ合わせ、蘇生するという研究に明け暮れる。
ーー
1855年、ヴィクターは実際に死人を動かす研究を披露した後、 エディンバラ王立外科医師会からは「不道徳だ」と追放されてしまう。
それでも、武器商人のヘンリック・ハーランダーだけは彼の研究に興味を示し、資金援助をすると申し出た。
そして呼び寄せたウィリアム協力のもと、研究施設となる塔が完成。
その際ヴィクターは、ウィリアムが連れて来た、ハーランダーの姪で婚約者のエリザベスと出会い、彼女の美貌と知性に心を奪われてしまった。
そのエリザベスもまんざらでもない様子だったが、ヴィクターが誘いをかけると断るのだった。
アンデルセン船長の懐の深さには感服。
ヴィクターがどうして怪物を造り上げる事になったのか、ゆっくりと語られる事となりました。
彼は優秀だったのに、異質な外科医となってしまいましたが、原因は父親にあったようですね。
悲劇が悲劇を生んでしまった…。この負の連鎖は恐ろしいものです。
怪物の誕生
ヴィクターは、死体に電池を入れる場所を探していたが中々見つからず、ハーランダーが「成果を見せないなら援助を打ち切る」と言って痺れを切らす。
焦ったヴィクターは諦めかけたが、ついにその場所を突き止めた。
戦場から状態の良い死体を塔に運び込み、様々な部位を切り取っては元の死体に繋げて行く。
そして体が仕上がると丁度嵐が来たため、雷のエネルギーを利用し電流を流そうと計画した。
しかしハーランダーが、実は自分は梅毒に侵されており死が近いので、造った体に自分を入れて欲しいと懇願する。
ヴィクターは、梅毒は身体中に広がっているから無理だと答えるが、準備の邪魔をしようとしたハーランダーと揉み合いになり、ハーランダーが塔の穴から落ちて死んでしまった。
すると、雷が落ちて装置が作動。
実験は成功し、ヴィクターが造った死体は起き上がった。
その風貌は怪物だが、ヴィクターは陽を浴びる事や自分の名前を教える。
すると怪物はまるで赤子のように「ヴィクター…」と呟いた。
ーー
実験が成功した事に最初は喜んだヴィクターだったが、怪物の知能の発達は見られず覚えた言葉も「ヴィクター」のみだったため、次第に苛立つように。
かつて自分が父親にされていたように、怪物を叱責し怯えさせた。
しかし、怪物が誤って傷を作った際に手当てをしようとすると、みるみるうちに治って行ったため、ヴィクターは不気味に思う。
身体的能力も高そうだったため、身の危険を感じ塔の地下室に鎖で繋いで監禁した。
そんな時、音信不通のハーランダーを心配したウィリアムとエリザベスが、塔を訪れる。
ヴィクターはハーランダーの死を隠し、怪物を披露するが、エリザベスは怪物を魅力的に思い、密かに地下に行って交流し「私はエリザベスよ」と名前を教えた。
ーー
ヴィクターはエリザベスに「あれに近づくな」と警告するが、エリザベスは「監禁なんて可哀想。彼は純粋で美しい。神のふりをするほうが怪物よ」と言い返す。
彼はその言葉で嫉妬に駆られ、怪物を殴ると叱責したが、驚異的な力で反抗された。
恐怖を感じたヴィクターは、ウィリアムにハーランダーの遺体を見せ「あれが殺した。でも、あれの命は長くない」と嘘をつき、危険だからと言ってエリザベスと共に帰らせる。
そして塔じゅうにオイルを撒きながら、怪物に他の言葉を言ってみろと言うと、怪物は「エリザ…ベス」と呟いてヴィクターを驚かせた。
しかしヴィクターは火をつけ、一人で塔から脱出。
迫り来る火に怯えた怪物は、必死で「ヴィクター!」と叫ぶ。
ヴィクターはその叫びに心を痛め、塔に戻ろうとしたが爆発が起き、右足を失った。
ーー
ーー
ヴィクターが船長にそこまで話すと、怪物が船内にやって来て船長に襲いかかる。
しかし船長は怯む事なく「俺も彼も殺せ。彼の話は事実だったって事だ!」と叫んだ。
すると怪物は動きを止め「ひとりよがりな話を聞いただけだろう。では、私から見た話をしよう」と言って語り始めた。
エグくてほぼ観られないシーンがありました;
形成外科の先生って本当にすごい。(語彙力皆無)
物語がどう進むのかと思いきや、怪物側の話も始まって驚きました。
悪い子に見えないんだよな…。
第二部/怪物の話
爆発から逃れた怪物は、森の中で猟師家族の小屋を見つける。
そこには盲目の老人がおり、幼い孫に言葉を教えていた。
怪物は物置からその光景を盗み見て、言葉を覚えようとする。
そして次第に「この家族に入りたい。彼らの力になりたい」と思うようになり、彼らが困っている事があるとなんでも助けた。
家族はその不思議な現象を「森の精霊の助けだ」と言って感謝し、食べ物や衣服を供え始める。
ーー
オオカミ達が家族の営む農場を荒らし、猟師達は狩りに出るため、老人と女子供を街に避難させようとする。
しかし老人は「冬の間は一人で過ごしたい」と言って頑なに動かないため、家族は諦めて小屋から出て行った。
すると老人は「もう出て来ても良いぞ。森の精霊。君は私の友人だ」と怪物に話しかける。
怪物は彼の温かさに触れ、老人も優しく言葉を教えた。
そして怪物が「自分の出生に関して記憶がない」と悩んでいると、老人は「探して来なさい」と鼓舞する。
怪物が意を決してヴィクターの塔に戻ると、残された資料から自分がつぎはぎで造られた身であった事を知って愕然とした。
そしてヴィクターの屋敷の住所が書かれた紙を拾い、失意の中小屋に戻ると、オオカミ達が老人を襲っているのを発見。
怪物が追い払ったが、老人は亡くなってしまった。
しかもそこへタイミング悪く家族が戻り、怪物が老人を殺したと勘違いされ、追い払われてしまう。
怪物は銃で撃たれ倒れ込んだが、やはり蘇生してしまった。
ーー
あらゆる苦痛から逃れられる、「死」という手段を与えられなかった事に絶望した怪物は、創造主であるヴィクターに会いに行く。
そして屋敷に辿り着くと、ちょうどウィリアムとエリザベスの結婚式が行われており、部屋に一人でいたヴィクターに「伴侶を作って欲しい。永遠に死ねず、ずっと孤独は辛い」と願った。
しかしヴィクターは「それで子供を作るのか?私は多くの犠牲を払って正気に戻った。2度とお前のようなモノは造らない!」と突っぱねる。
怒った怪物がヴィクターを突き飛ばすと、音を聞いたエリザベスが駆けつけた。
倒れたヴィクターが銃を見つけ怪物を狙ったが、エリザベスが怪物を庇い、誤って彼女を撃ってしまった。
驚いたヴィクターは、駆けつけたウィリアム達に「あいつがやったんだ!」と嘘をつき、ウィリアム達が怪物に向かって行ったが、吹っ飛ばされてしまう。
怪物がエリザベスを抱き上げると、彼女は「私を連れて行って…」と言い、怪物は抱えたまま屋敷を去って行った。
ーー
ウィリアムは吹っ飛ばされた際に頭を打っており、瀕死の状態に。
泣きながら駆け寄って来たヴィクターに「僕はあなたの狂気が怖かった。あなたこそが怪物だ」と言って息絶える。
一方怪物は、洞窟の中でエリザベスを看取った。
そして怪物は、追って来たヴィクターの鼻を潰し「今日から私がお前の主人だ。殺さず永遠に血を流させる」と宣言。
怪物は北極へと向かい、ヴィクターも怪物を退治するためひたすらに追った。
その後ダイナマイトで殺そうとするも、やはり怪物は再生。そして今に至るー。
ーー
ーー
怪物の話を聞いたヴィクターは、彼の気持ちを理解し、彼の手を取り「すまなかった。私の人生は全て後悔でしかない。私の息子よ、許して欲しい」とやっと謝罪する。
そして「許す気持ちがあるのなら、こう思って欲しい。死ねないなら、生きる事が拠り所なんだと…。生きるんだ」と伝えた。
さらに「最期に名前を呼んで欲しい」と言われた怪物は、涙を流しながら「ヴィクター。あなたを許す。父よ、安らかに眠れ」と言って額にキスをする。
ヴィクターは安堵した表情で、旅立って行った。
ーー
船長は船員達に銃を下ろすよう命じ、怪物は船を降りて行く。
そして氷に挟まった船を押し出し、救って見送った。
船長は怪物を見つめたあと、沸き立つ船員達に「家に帰るぞ!」と号令をかける。
怪物は雪の上を歩き、かつて初めてヴィクターに教えてもらった時のように、陽を仰いで涙を流すのだった。
本当に悲劇でしかない、誰も幸せになれない、そんなストーリーでした。
それなのに残ったのは切なさと、温かさ…。
怪物が、盲目の老人にされたように、ヴィクターにも頭を撫でてもらった時の表情が、幸せそうでそれが救いでした。
彼の心はエリザベスが気付いたように純真無垢であり、だからこそ最期に父を愛せたのだろうと思いました。
なんかもう、人間が来ない森とかで動物と幸せに暮らして欲しい…。
『フランケンシュタイン』が好きな人にオススメの映画
映画『フランケンシュタイン』が好きな人にオススメの映画をピックアップ!
シザーハンズ
「造られた怪物」で切ない…と来たら、やっぱりこの作品を観たくなりました!
ティム・バートン監督の最高傑作、主演はジョニー・デップ。
今や「ストレンジャー・シングス」のイメージが強い、ウィノナ・ライダーのキュートな時代も堪能出来ますよ!
