2025年10月17日にNetflixで公開された映画『グッドニュース』
韓国のアクション・コメディ・サスペンス。
東京から福岡へ向かう旅客機が、赤軍派のグループにハイジャックされ「平壌へ行け」と脅される。
そこで、日本に恩を売りたい韓国政府に呼び出されたのは、アムゲと呼ばれる名前の無い男だった。
1970年3月31日に起きた『よど号ハイジャック事件』をもとにした、フィクションムービー。
飛行機は数回しか乗った事がないbeersyです!
本作、韓国だけでなく日本の俳優さん達も出ているとの事で視聴。
よど号事件を調べると、より一層面白さが増しました!
この記事では、Netflix映画『グッドニュース』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします!
『グッドニュース』の評価&感想
- 感動度
- 4
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 4
- サプライズ度
- 4
- 話題性
- 5
1970年、実際に起きた「よど号ハイジャック事件」。
概要の説明は省きますが調べてみると、フィクションと謳っているわりにかなり一致していて驚きました!
特に、解決方法やハプニングが今では考えられないですし、「これウケ狙ってるよね?」と思うほど滑稽。
確かにコメディ映画になる要素がたくさんの事件でした。
当時はもちろん笑えなかったでしょうが、犠牲者が出ていないから今回笑いに出来た、という事も大きいでしょうね!
そしてこの作品を支えるのが、日韓どちらも錚々たる俳優陣。
お互いの事をディスるのもブラックジョーク止まりで、不快になる反日感が無かったので心から楽しめました。
あと皆さん日本語もお上手!韓国の方が無理やり日本人を演じてなかった点も好印象でした。
歴史的で感動的な、ネトフリらしいコメディを視聴出来たな…と大満足。
三谷幸喜監督作品が好きな方にもオススメです!
以下より重要なネタバレを含みます。
『グッドニュース』のネタバレ
ハイジャック
1970年3月31日。
東京・羽田空港から福岡・板付空港への旅客機「日本航空351便」が離陸した直後、謎の集団にハイジャックされる。
その集団の中には若い女性(山本奈衣瑠)や中学生(柊木陽太)が含まれていたが、彼らは「赤軍派」であると名乗った。
共産主義者同盟赤軍派とは、共産同系の日本の新左翼党派の過激な団体。
リーダーのデンジ(笠松将)は、日本の資本主義を破壊する事が目的だとし、パイロットを脅して北朝鮮の平壌に向かえと命じた。
犯人グループの中には、爆弾を身につけた男もおり、何かがあれば乗客もろとも飛行機を爆破すると言う。
しかしパイロットの久保(椎名桔平)は「航空経路が無いと分からないし、そもそも国交のない北朝鮮へ通信なしで着陸するのは無理。そしてこれは国内線だから燃料も足りないぞ。まずは」と言って毅然とした態度をとる。
実は燃料は足りるのだが、知識のない犯人達には分からないため、飛行機は一旦板付空港へ着陸した。
ーー
地上では、航空会社会長(橋爪功)を始め、運輸政務次官(山田孝之)、運輸大臣(佐野史郎)、自衛隊幹部(音尾琢真)などが集まり計画を練るが、特に良い案もなく少しの時間稼ぎをするだけ。
会長は「死者を出したら売り上げが下がる」と言い、何も出来ずに給油を開始した。
そんな中、飛行機内で心臓病の乗客が倒れ騒然とする。
犯人達は仕方なく、病人や老人、女性、子どものみを解放した。
一方、このニュースを聞きつけた韓国・ソウルでは、もしこのハイジャックが成功し、人質をとられた日本が北朝鮮に脅され経済支援を行うと、韓国のGDPが北朝鮮に抜かされるのではないかと懸念。
「事件解決に協力し、日本とアメリカに恩を売ろう」と企てた。
そこで、中央情報部長官のパク(リュ・スンボム)は、謎の男・アムゲ(某氏…名前を伏せたい時に使用する言葉/演:ソル・ギョング)を召集する。
ーー
米軍が開発したレーダー進入管制所のテスト「ラプコン」に合格したという、空軍中尉・保安団のソ・ゴミョン(ホン・ギョン)がアムゲに呼ばれ、協力するように命じられる。
ゴミョンは「高名」と書くため、アムゲは「高名になれるぞ!」と言いくるめた。
実は、ゴミョンの父親は朝鮮戦争で両足を無くし、ボロ屋住まいで酒を呑んでは褒美でもらった「大統領時計」を見せびらかす惨めな生活をしていたのだ。
そのため人一倍出世欲の強いゴミョンは、小汚いアムゲに嫌悪するが、アムゲは金浦(キンポ)空軍基地・ラプコンにも難なく入り込み、また「俺の仕事は報道されても俺の名前は出ない」と言うため、只者ではないと察する。
アムゲはゴミョンを使って、緊急周波数を使い351便に北朝鮮だと偽って交信し、負傷者を出す事なく韓国へ着陸させようと計画した。
突然日本の名俳優方が勢揃いしたので驚きました!!
コメディもお手のものの皆さん、真面目な顔して面白い事言うから笑っちゃいました。
哀愁漂うアムゲおじさんは一体何者なのでしょうか。
「実は強い」系っぽくてワクワクしかありません!
名声のために
ゴミョンはパクに脅され、違法に351便を探し当てる。
一方、北朝鮮でも同様に、管制官のスペシャリスト(パク・ヘス)が緊急周波数を使ってコンタクトを取ろうとしていたが、その勝負にゴミョンが勝利。
何も知らないデンジ達は「北朝鮮が歓迎してくれている」と思い込み、ゴミョンの指示に従う事となった。
そして韓国・金浦空港では大慌てで「平壌順安(ピョンヤン スナン)空港」を模す作業が行われる。
アムゲは反共プロパガンダの映画監督(ユン・ギョンホ)を招き、配置する軍人や女性達にも変装させた。
見事飛行機を韓国に着陸させた事で、ゴミョンは褒め称えられる。
しかしその際、ゴミョンは「アムゲには住民登録番号がなく、元は北の傀儡(くぐつ)軍だった」と言う噂を聞いた。
パクの父親が将軍を務めていた時、捕虜にした傀儡軍の中に頭の良い男(アムゲ)がいたので、名前と戸籍を奪い昔からこき使っているらしい。
アムゲの思わぬ正体を聞き、ゴミョンは顔をしかめる。
ーー
地上では、北朝鮮のふりをしたアムゲ達がデンジ達を歓迎するが、デンジ達はその嘘を見破り降りて来なかった。
「嘘をついた者を連れて来い」と言われたパクはゴミョンのせいだとなすりつけ、ゴミョンが飛行機へ。
しかし、デンジはゴミョンが下っ端である事を理解しており、「この乗客が拘束されたのはお前の嘘のせいだ。爆発して全員死んだらお前のせいになるんだぞ」と、あえて怯える日本人達の顔を見せた。
さらにデンジは、自分の腹を同胞の女性に刺すよう命じ、わざと瀕死の重傷を負う。
そして「俺が死ぬ前に、翌日12時までに我々を北朝鮮に送らなければ、爆発させる」と脅し解放した。
ーー
日本から、運輸政務次官、運輸大臣がパク達のもとへ駆けつける。
そこへ戻ったゴミョンは、政務次官に「中の様子はどうでしたか。本当に爆破させそうな犯人達でしたか」と聞かれたが、昇進に目が眩み「いいえ」と答えてしまった。
一方アムゲはメディアを操作し、「人質の中に韓国人がいる」と報じさせる。
民衆がデモを起こすと、大統領夫人(チョン・ドヨン)が登場し「人質を解放すれば北朝鮮へ連れて行く」と言う文書に判を押した。
それを渡しゴミョンが説得しても犯人達は信じず、デンジは瀕死の状態のまま。
政務次官は何もしないパク達に憤り、「このまま見ているしかないのか」と言って祈り出す。
ゴミョンは自分の目で見た怯える人々を想い、タイムリミットギリギリで飛行機に向かって走り出した。
パク率いる韓国上層部と日本の上層部にはイライラしますね!
しかしデンジ達はかなり本気。でなければハイジャックなんかしないか…。
アムゲの過去やゴミョンの葛藤も描かれており、心苦しくなりました。
一方で、韓国の主役級の俳優さん達が登場しまくりでまたしても驚き&嬉しい!
ネトフリってやっぱり、色々な俳優さんがカメオ出演してくれるから面白い。
月
アムゲは、政務次官に近づき「祈っているだけでは何も変わりません。あの男のように行動しなければ」と言って空港を走るゴミョンを見せる。
そこで政務次官が飛行機に連絡を入れ、「人質の交換を要請する。自分が平壌へ一緒に行く」と伝えた。
犯人達は驚きつつも、デンジは走って転んだゴミョンに向かって「お疲れさん。オオカミ少年」と呟く。
皮肉にも、資本主義を否定していた共産主義者が、100名以上の乗客と政務次官一人に同じ価値を付けたのだった。
ーー
ーー
ハイジャック事件が犠牲者ゼロで解決し、ゴミョンはインタビューを受け、意気揚々と事件解決の顛末を語る。
するとアムゲが現れ「グッドニュースとバッドニュースを持って来た」と言った。
ゴミョンが悪い方から聞くと、デンジ達が持っていた銃や爆薬は全て偽物であり、乗客を殺すつもりは最初からなく、平壌に行けなければ自決するつもりだったと明かしたらしい。
デンジは北朝鮮で治療を受けて一命を取り留め、亡命する事に成功した。
また、パイロット2名と政務次官もまた、無事に帰国出来るとの事だった。
そしてグッドニュースは、今回の事件について、政府は関与しなかった事にするらしい。
先ほどのインタビューも、昇進も勲章も無くなったゴミョンは驚き、悔しくて失笑した。
するとアムゲが「月は月。名前は無くても俺らは存在しているし、認められなくても意味はある」と言って、綺麗な小箱を渡し去って行く。
ーー
同じ頃、日本ではパイロット2名と政務次官が空港に到着し、「英雄だ」と称えられている。
アムゲはパクから「ゴミョン(高名)」という名の住民登録カードを、褒美として受け取っていた。
ゴミョンがアムゲからもらった小箱を開けると、父が持っていたものと同じ「大統領時計」が入っている。
彼は広い滑走路でただ一人、時計を腕に付け空を見上げた。
最後に「月は月…」と自分に言い聞かせているゴミョンが、なんとも不憫でした。
けれど優秀なので、この後何かで表彰されていて欲しい…!と願わずにはいられません。
アムゲも「世に出なくても意味はある」と言っていましたが、やはり「高名」という名前を選んだ理由には、「世間に認められたい」といった想いがあったからなのではないでしょうか。
切ないエンディングでしたが、日本と韓国の対比が美しく、ジャズが流れておしゃれな演出でした!
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記憶にございません!
『グッドニュース』を見終えたあとなぜかこの映画を観たくなりました。(多分思い切り笑いたくなった)
豪華俳優陣がコミカルな演技をパワフルに発揮!
三谷幸喜監督ワールドで笑いたい日にぜひ。ちょっと感動もします。
