2024年5月17日に日本で公開された、映画『ミッシング』
幼女失踪事件を軸に、家族愛と報道のあり方を描いた社会派ストーリー。
主演:石原さとみ
監督:田恵輔
子ども二人の育児に毎日奮闘しているbeersyです!
「誘拐」と聞いただけでゾっとしますが、話題作なので視聴しました。
そして驚いたのが、主演の石原さとみさん。
こんな演技力を秘めていたのか…と、本当に最高の俳優さんだと感動しました!
この記事では、映画『ミッシング』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介します!
『ミッシング』の評価&感想
- 感動度
- 5
- 脳トレ度
- 5
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 5
- 話題性
- 5
いつもツヤッツヤで眩しい美しさを持つ石原さとみさん。
本作では、幼い娘が失踪し錯乱する母親を演じています。
その役作りは徹底しており、ボディーシャンプーで髪を洗って傷ませ、肌を荒れさせボディラインを崩し、そして爪に至るまで完璧に「華」と消したそうです。(チャームポイントの唇もガッサガサ!)
監督は「現場に〝石原さとみ〟はいなかった」と仰っていますが、まさにその通り!!
この映画には、ただ必死に娘を探す母と父しかいません。
夫役の青木崇高さんもボッサボサで、錯乱状態の妻のため自分は気丈に振る舞おうとしている、そんな父親を演じていました。
そしてもう一人の主人公と言える、報道記者役の中村倫也さん。
彼の、信念と向き合いつつも苦悩や後悔をする、そんな精神状態の男性をカメレオンのように演じていました。
ストーリーに関しては、ずーーっと辛いです。
ハッピーなシーンがほとんど無いのよ…。だから再視聴はあまりしたくない…。
でも何故か、優しい音楽と絶妙なライティングにより、温かさを感じられるんですよね。
後半になるにつれ、暗い中にポッと灯るマッチの小さな火のような、親切な人の温もりに安堵します。
ずっしり重いテーマで、世間の怖さに心臓がバクバクする感情と、それでも「人間ってそれだけじゃないよね」と思わせてくれる、素晴らしい作品でした!
※石原さんの作品に対する想い、ぜひ観てみてください↓↓
以下より重要なネタバレを含みます。
『ミッシング』のネタバレ
娘の失踪と誹謗中傷
沙織里は、夫の豊とともに行方不明となった娘・美羽を探す日々を送っている。
毎日ビラを配り情報提供を呼びかけるが、次第に報道が少なくなり、風化して行くのが耐えられず、地元テレビ局の記者である砂田を頼って取材を受けていた。
ーー
美羽がいなくなった日、沙織里は2年ぶりにアイドルのライブへ行っており、その間は子守りを弟の圭吾に任せていた。
いつもは圭吾が自宅まで送るが、その日は自宅まで300mの近距離だという事もあって、美羽は一人で帰宅。
帰宅した豊が美羽がいない事に気付き、圭吾に連絡を入れるが返信が無く探し回る。
そして、沙織里が帰宅した夜10時頃に捜索願いが出された。
ーー
事件が報道されるとSNSでの誹謗中傷が始まり、沙織里は「アイドルのライブばかり行き、育児放棄をしている母親」と書かれ、直前まで一緒にいた圭吾が犯人だと決めつける内容などが書かれる。
空耳が聞こえたり、道ゆく子どもが美羽に見えたりと、追い詰められた沙織里は、冷静な豊との温度差に苛立ち責め立てた。
しかし、もちろん豊も傷付いており、街中で子どもを見ては涙し、職場など様々な場所にビラを置いてもらい情報を得る努力をしていた。
一方、砂田のテレビ局宛てに、「夕方帰宅したと言っていた圭吾の車が、夜中に帰宅していた」という情報が寄せられる。
スタッフが調べると、近隣の防犯カメラに圭吾の車が映っており、また彼の同級生の話によると、圭吾は昔壮絶ないじめに遭い、精神科に通っていた時期があったと判明した。
砂田は、中傷に悩む沙織里に協力し、事実だけを報道しようとするが、上層部から「視聴率を上げるために世間を煽るような取材をしろ。弟が怪しいからもっと突っ込むように」と命じられる。
砂田に「再度弟さんの取材をさせて欲しい」と言われた沙織里は「また弟を吊し上げにしたいんですか?」と拒否するが、すぐに思い直して「やっぱり何でもします!助けてください」と半狂乱になりながらお願いした。
圭吾はうんざりしていて拒否するが、沙織里のものすごい剣幕に負け、渋々取材を受ける。
ーー
砂田が圭吾に、なぜ豊からの連絡を無視したのかを追求すると、圭吾は小さい声で「違法カジノに行っていたんです」と明かした。
それを聞いた局長は、砂田に「弟が犯人じゃ無いなら、『無責任な大人の行動で子供が危ない』という趣旨の番組を作れ」と命じる。
砂田は、沙織里達へのさらなるバッシングを懸念し、「せめて、沙織里さん達のロングインタビューを受けた後、何を報道すべきか考えてからにさせてください」と言って頭を下げた。
カッサカサの石原さんに驚き。でも我が子がいなくなったらこうなるよな。
周りが失踪の事を、軽く見ているように感じてしまうのも仕方のない事ですが、豊にとっても辛いですよね。
「共倒れしてはならない」と思っているのでしょう。
離婚とかにならないといいなぁ…。
報道の影響力
インタビューが始まると、沙織里は次第に受け答えが出来なくなり、一旦撮影がストップする。
すると、沙織里のスマホに突然警察から電話がかかって来て、美羽が保護されたと言う。
沙織里と豊は歓喜し、砂田も力が抜けたように笑顔を見せた。
そして、感動の再会の瞬間を撮影しようと砂田も同行して警察署へ行くと、なんとその電話がイタズラだったと判明。
沙織里は嗚咽を漏らし、崩れ落ちて失禁したため、砂田は撮影を止めた。
ーー
その後、砂田は懇意にしている村岡という担当刑事に「なんで違法カジノの事、教えてくれなかったんですか」と言うと、村岡は「今は胴元を捕まえるために動いてるんだから、余計な事を報道するな。だから変な輩が出て来るんだよ」と迷惑そうに言う。
砂田が「事実を報道しようとしているだけです」と反論すると、村岡は「その事実が面白いんだろ?」と蔑んだ。
砂田はこれ以上の過激な報道を反対するものの、上司達は「美羽ちゃん、行方不明から半年」というテレビ番組を制作し、圭吾の違法カジノの話を放送した。
ーー
沙織里はネットに食いついて誹謗中傷を読み漁り、「見なきゃいいじゃん」と諭す豊に当たる。
言い合いになって、流石の豊も辟易し、二人の仲は険悪になっていた。
また、沙織里は美羽の特集の放送を見て、圭吾のカジノ行きを知り「お前のせいだ」などと酷い言葉を何度もメールで送りつける。
一方の圭吾は、報道後に仕事を辞めた。
事件の日、圭吾は職場の先輩に誘われて美羽を一人で帰し、違法カジノに行っていた。
誘った先輩は、圭吾に「俺のせいなのに、お前ばかり責められてごめん」と言って、罪悪感と責任を感じ涙を流す。
また、圭吾の家は特定され、近所の不良に絡まれたり、窓ガラスが割られるといった嫌がらせも始まった。
ーー
その後も世の中は回り、報道番組の記者達は様々なニュースを提供する。
災害、不慮の事故、アイドルの快挙など…。
砂田は、ただ目の前のニュースを淡々と取材していた。
イタズラ電話のシーンは、かなりの衝撃を受けました。石原さんあんな声出るんだ…。
しかし、こういった事は実際にあるのでしょうね。
不幸な人を叩いて何が楽しいのか。
何が正義なのか。
村岡の「事実が面白いんだろ」という言葉が、全てを物語っていると思いました。
前を向いて
2年後。
沙織里は相変わらずビラを配り続けている。
しかし豊は、資金繰りが難しくなり印刷部数を変更した。
それでも印刷屋の店主は「困るでしょう」と言って、今までの部数を刷ってくれる。
自治会でも、多くの協力者がビラ配りに参加していた。
ーー
ある日、小学2年生の女の子・宇野さくらちゃんが失踪したという、美羽の失踪に似ている事件が起こった。
沙織里は「この子が美羽のところにいるかもしれない」と取り乱して警察に行くが、村岡は「今のところその線は薄いです」と言い、豊も「それは違うと思う」と諭す。
それでも沙織里は諦めきれず、砂田に連絡を入れるが「誘拐したのは、母親の元交際相手という線で動いています」と言われた。
しかし砂田は「美羽さんの報道の件、誠に申し訳ありませんでした。報道は時として間違ってしまいます。でも、美羽さんの無事を願う気持ちに偽りはありません」と謝罪し、涙を浮かべた。
ーー
沙織里はさくらちゃんの失踪が他人事に思えず、美羽の事件と共に、さくらちゃんの情報提供も募り始める。
するとその後、さくらちゃんは無事に保護された。
やはり、母親の元交際相手が犯人で「連絡を無視された腹いせに、困らせてやった」と供述したらしい。
報道を観た沙織里は、泣きながら「ごめん、私間違ってたね。でもこの子が無事で良かった…良かったね…」と声を振るわせる。
豊も涙を浮かべながら「お前…すごいよ…」と言って微笑んだ。
ーー
圭吾は仕事中、車からマスクをした小学生を下ろす男を見つけ、不審に思い家を覗き込む。
するとすぐさま通報され、その家の息子に殴られてしまった。
沙織里が身元引き受け人として警察に呼ばれ、村岡と話す。
圭吾は、「美羽の時に自分が目撃した車に似ていて、もしかしたらと思って覗いた」と言っているらしい。
しかしその目撃証言は、以前圭吾の口から出た出まかせだったため、沙織里は首を傾げる。
村岡は「人間は追い詰められると、自分の嘘が本当に思えてしまうのでしょうかね」と呟いた。
ーー
釈放された圭吾は、初めて沙織里にきちんと謝罪する。
あの日から圭吾は、美羽の動画を見ては涙しており、心の底から美羽を可愛がっていたのだ。
沙織里は「今さら何なのよ!」と叫び、二人は車内で咽び泣いた。
ーー
ーー
いつものように沙織里と豊がビラを配っていると、保護されたさくらちゃんと母親が現れ「さくらの時に、お世話になったと聞きました。私達にも何か出来る事があれば教えてください」と言われる。
沙織里は驚きつつも、さくらちゃんの顔を見て「良かったですね。ありがとうございます!」と微笑み、豊も嬉しくて涙を流した。
少し前向きになった豊は、弁護士に「誹謗中傷をした人物を特定して訴えたい」と相談する。
砂田は、沙織里と豊が被害に遭った「ネットの誹謗中傷」について特集を組み放送した。
ーー
沙織里は、学校に登校する子供達を見守る、信号での旗持ちをする事になった。
一人の女の子が振り向くと、沙織里は笑顔で唇をぶうっと振るわせる。
それは、美羽がよくしていた可愛い癖だった。
ツラ!!ずっとツライ!!!
子どもを見るだけでもしんどいだろうに、見守ろうと思って行動に移せた沙織里は本当に強い。
そして、報道だけで無く先入観についても考えさせられるストーリーでした。
圭吾はミキサー車を動かす仕事をしていましたが、最初は「この人怪しいじゃん。まさか、コンクリートで埋めた!?」などと考えてしまいましたので…。
本作が伝えたい事は、筆者の頭では全て受け止めきれないくらい、深く重いものでした。
そして、やっぱりどんな時でも子どもの安全を考えねばならないと再確認。
本当は、そんな物騒な世の中にはなって欲しく無いんですけどね…。
『ミッシング』が好きな人にオススメの映画
映画『ミッシング』のような、社会派映画をピックアップ!
手紙
強盗殺人の加害者とその家族、そして被害者家族の苦悩が描かれた、小説家・東野圭吾先生原作の映画。
こちらもずーーっと辛い映画ですが、なぜか目が離せず最後は号泣!
山田孝之さん、玉山鉄二さん、沢尻エリカさん、吹石一恵さんなど、多くの実力派俳優さん達が出演しています。