2020年01月10日に日本で公開された、映画『パラサイト 半地下の家族』
韓国では2019年5月30日に公開された、ダークコメディ、スリラー映画。
監督:ポン・ジュノ(『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』『母なる証明』など)
ーー
全員無職、半地下の部屋で暮らす貧しい一家が、ある大豪邸で仕事をする事になる。
しかしその豪邸には、秘密があった。
ーー
第72回カンヌ国際映画祭で、韓国映画初となるパルム・ドールを受賞。
第92回アカデミー賞では6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4部門を受賞しました。
最近どっぷり韓国ドラマにハマっているbeersyです!
非英語作品の作品賞受賞という事で、史上初の快挙を成し遂げた本作。
韓国ドラマばかり観ていた筆者ですが、この高評価には納得でした!
この記事では、映画『パラサイト 半地下の家族』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介します!
『パラサイト 半地下の家族』の評価&感想
- 感動度
- 3
- 脳トレ度
- 4
- 再鑑賞度
- 4
- サプライズ度
- 5
- 話題性
- 5
前評判が凄すぎて、錚々たる賞を総なめにしたのは納得いかない!という人も多いようですが、筆者は確かに深い作品だと思いました。
どの国にもある貧富の格差に焦点を当てた本作は、ただのダークコメディではなく考察や深読みが出来ます。
途中まではクスっとするのですが、中盤以降は驚きの連続。
ハラハラした上で、「なぜこうなった?」と考えさせられました。
俳優陣も有名な方ばかりなので、演技力が抜群!
映画好きならばぜひ観ていただきたい作品です。
以下より重要なネタバレを含みます。
『パラサイト 半地下の家族』の主要キャスト
キム家
ギテク/ソン・ガンホ(キム家の主だが無職。温和な性格でゆるゆる。仕事も転々としていた)
チュンスク/チャン・ヘジン(ギテクの妻。元ハンマー投げ選手として、メダルも獲得している。家事スキルが高く頭も良い)
ギウ/チェ・ウシク(長男。勉強は出来るが、長く浪人している。気弱な青年に見えるが、実はやり手)
ギジョン/パク・ソダム(長女でギウの妹。PC操作やデザイン技術に長けているが、美大の浪人生)
パク家
ドンイク/イ・ソンギュン(IT企業の社長で、豪邸の主。品があるが少々天然なところもある)
ヨンギョ/チョ・ヨジョン(天然美人妻。今回とにかく騙されてて可愛い)
ダヘ/チョン・ジソ(受験勉強中の高校2年生。ギウやギウの友人に好かれるモテ女子高生)
ダソン/チョン・ヒョンジュン(インディアンごっこ好き。実はしっかりしている様子)
ムングァン/イ・ジョンウン(パク家が来る前から豪邸に務めている家政婦。全てにおいてのスキルが高い)
『パラサイト 半地下の家族』のネタバレ
キム家の侵略
暗くてボロボロの、半地下アパート。
食卓に虫が出たり近隣のWIFIを盗んだりなど、半地下に住む貧しいキム一家は全員無職であり、ピザ屋の箱の組み立ての内職をして暮らしていた。
ある日、息子・ギウの友人で裕福なミニョクが、開運アイテムの山水景石を持って現れる。
その石を一家にプレゼントした彼は、ギウに「俺が留学に行っている間、パク・ダヘという女子高生の家庭教師をして欲しい。彼女が大学に入ったら、付き合うつもりだ」と明かした。
ダヘの家は豪邸で、自分がいない間に変な虫が付かないよう、信頼のおける友人・ギウに仕事を託したいと言う。
ギウは浪人生のため、妹のギジョンに名門大学の入学証明書を偽造してもらい、「ケビン」と名乗ってパク邸を訪問する事になった。
ーー
ギウが訪れたパク邸はかなりの豪邸で、家政婦のムングァンは「パク家が来る前、有名な建築家が自分で建築し住んでいたところなのですよ」と紹介する。
ダヘの母であるヨンギョは「ミニョク先生以下なら雇う気はない」と言ったが、ギウの指導を見てその能力を認め、月・水・金それぞれ二時間、高額な報酬で契約した。
ギウがヨンギョに見送られ帰ろうとすると、壁に貼ってある独特な絵を紹介される。
それは息子のダソンが描いたものだったが「彼は言う事を聞かない子で、これまで何人もの美術の先生が辞めて行った」とヨンギョがボヤいた。
そこでギウは、美大の浪人だが才能のある妹・ギジョンを「僕の後輩で、帰国子女のジェシカ先生です」と紹介する。
ギジョンはヨンギョに「私は美術心理学、絵画療法を勉強中です。ダソンは一年生の時、何かがありましたか?彼の心のブラックボックスを私と一緒に開けましょう」とそれらしい事を言って信用させ、月・火・木・金それぞれ二時間、こちらも高額な報酬で契約した。
ーー
ギジョンは、夜遅くなったからとパク家のベンツで送ってもらう事になった。
「家まで送ります」としつこく言い寄って来る、パク家の専属運転手を利用しようと思い付いたギジョンは、後部座席に脱いだパンティーを仕込む。
後日、パク家の主であるドンイクがそれを見つけ、運転手がカーセックスをし、さらにコカインを使用しているのではないか!?と推測した。
変な噂を立てられては困ると言い、パク家は慌てて運転手を解雇する。
偶然を装いそれを聞いたギジョンは「親戚に、ベンツに慣れた腕の良い運転手がいます」と言って、今度はギテクを紹介した。
ーー
さらにキム家は、建築家の代から家政婦を務めているムングァンに目を付ける。
一家は協力し、彼女の重度の桃アレルギーを利用して、結核患者であるとヨンギョに信じ込ませた。
そしてギテクは「有能な家政婦がいなくなった」とボヤくドンイクに、チュンスクを紹介する。
かくして、キム家の4人全員がパク家に雇われる事になった。
天然で、人を信じやすく騙されやすいヨンギョだったが、息子のダソンだけは「4人とも同じ臭いがする」と気付く。
4人は石鹸や柔軟剤を変えようかと話し合うが、地下特有の臭いはごまかせなかった。
キム家がこんなにもハイスペックなのに、無職で学校にも通えない事に驚きました。
日本もだいぶしんどくなって来ましたが、韓国での生活も厳しそうですね…。
でも騙されまくるヨンギョは可愛い。
パク邸の秘密
ダソンの誕生日。
パク家はキャンプに行くため、家の事をチュンスクに任せて出発した。
キム家の4人は豪邸に居座り、我が家のように食い散らかしてくつろぐ。
しかし突然インターホンが鳴り、ムングァンが「地下に忘れ物をしてしまったので、取らせて欲しい」と言って訪ねて来た。
怪訝に思いながらも家に入れると、驚く事に彼女はキッチンの後ろにある隠し扉を開け、薄暗い地下室へと入って行く。
そして、中々帰って来ないムングァンをチュンスクが探しに行くと、地下は部屋のようになっており、ムングァンが夫に食べ物を与えていた。
実はパク邸には、以前住んでいた建築家が密かに地下室を作っており、ムングァンは借金取りから逃げている夫・グンセをそこに匿っていたのだ。
そのグンセの生き甲斐は、ドンイク達が部屋を歩くたび、その場所に設置されたライトを手動で灯す事。
もちろんその事をパク家が知るはずもなく、電気が付くのは人感センサーだと思っている。
ーー
「黙っていて欲しい」と懇願するムングァンを無視し、チュンスクが警察を呼ぼうとしたところ、様子を伺っていたキム家がバランスを崩して倒れ込んで来た。
そこでギウが、ついギテクを「父さん」と呼んでしまった事により、ムングァンは彼らが家族である事に気付く。
しかもその場を動画に収められてしまい、形勢は逆転。キム家はムングァン夫婦に弱みを握られてしまった。
しかし、隙を付いてキム家がムングァン夫婦を攻撃する。
すると突然電話が鳴り、チュンスクが出ると、ヨンギョが「大雨でキャンプが出来なくなったから、家に帰ってるわ。あと8分後に着く予定」と言った。
パク家は大慌てでムングァン夫婦を地下に追いやり、物凄い速さで片付けをして、チュンスクは何事も無かったかのようにふるまった。
その際ムングァンは、地下に蹴落とされたため頭に重傷を負う。
他の3人は脱出するまでソファーの下に隠れていたが、ドンイクが「キム運転手は、技術は高いが臭いがする。煮洗いした布巾の臭い。地下鉄の乗客特有の臭いだ」と言っているのを聞き、ギテクは自分の臭いを嗅いだ。
ーー
なんとかパク家を脱出したギテク達が帰ろうとすると、豪雨によって街中が水浸しになっている。
半地下の彼らの住処も天井近くまで浸水しており、色々なものがダメになってしまった。
そして体育館へ避難する事になり、途方に暮れる。
まさかの!地下に住人がいたとは。かなり驚きました。
ムングァンは死んでしまいそうですが、キム家の事もバレてしまうのでしょうか。
ダークコメディムービーが、だんだんとサスペンス寄りになって来ました。
衝撃の結末
翌日、改めてダソンの誕生日パーティーをしようと考えたパク家は、何も知らずキム家をそれぞれ招待する。
家が滅茶苦茶になってしまったギテクは、ヨンギョのセレブらしい買い物の仕方や、「今日は晴天でPM2.5もゼロ。昨日の大雨のおかげよ。ガーデンパーティーをするわ」と言う言葉を聞いて、苛立ちを募らせた。
一方精神的に追い詰められたギウは、地下に縛って来た夫婦を殺そうと思い立ち、山水景石を持って地下室へ行く。
しかし、拘束を解いていたグンセが待ち構えており、ギウは上に戻ってキッチンに逃げたものの、石で殴られてしまった。
ーー
そのままグンセは、キッチンにあった包丁を持ってガーデンパーティー会場へ。
ギジョンを見つけると、迷いなく包丁で胸を刺した。
続けてチュンスクを襲おうとしたので、チュンスクはトンカチを持って応戦する。
ギテクがギジョンの傷を抑えながら周りを見ると、血だらけになったギウを背負うダヘの姿を見付けた。
ーー
妻は怪我を負いながら、必死でグンセと戦っている。
そんな中、ドンイクは「キム!車のキーを渡せ!!」と命令して来た。
ギテクが呆然としながらキーを投げると、チュンスクとグンセの下に落ちてしまう。
その時、チュンスクがバーベキュー串でグンセを刺した。
彼は倒れ込み、目の前に現れたドンイクを見て「社長…」と呟き笑った。
彼が誰なのか分からないドンイクは、そのままグンセの下からキーを取ろうとするが、臭いが嫌なのか鼻を摘んで顔をしかめる。
それを見たギテクは逆上し、包丁を拾い上げてドンイクを刺してしまった。
血だらけになった自分の家族とドンイク、失神したヨンギョ、逃げ惑うセレブな招待客達、そして早くも蝿がたかり始めたグンセの死体を見渡したギテクは、一目散に逃げ出した。
ーー
キム家は、私文書偽造、住居侵入、傷害致死罪で逮捕されるが、ギジョンは亡くなり、ギテクは逃亡したままで警察に追われていた。
しかしギウは一命を取り留め、しかも正当防衛が認められて執行猶予が付く。
高級住宅での無差別殺傷事件は、世間で大きく話題となったが「当事者のホームレスがその場で死んだため、動機などの解明は困難を極める。また、キム容疑者は監視カメラから消えており、捜査は難航している」とされていた。
逮捕を免れたギウは刑事に尾行されながらも、残されたチュンスクと2人、浸水したあの半地下の部屋を掃除し再び住んでいる。
ーー
ギテクは、空き家となったパク邸の地下に潜んでいた。
死んでいたムングァンを庭に葬り、ギウがいつか気付くかもしれないと願い、グンセが使っていた電気のスイッチを押してモールス信号を灯す。
しばらくして、何も知らない外国人がパク邸に移り住んだ時も、夜中に電気を押し続けた。
それを発見したギウは「自分で大金を稼ぎ、いつか元パク邸を購入して父を救い出す」という計画を立てる。
その日まで、父には元気でいて欲しいと願っていた。
驚きの連続で、空いた口が塞がりませんでした。
一見人の良さそうなドンイクが「臭い」に対する嫌悪を丸出しにした事で、いつも温和だったギテクがブチ切れるという、なんともやり切れない結末。
また、ギウは計画を実行出来たのか…。
成功したシーンが想像の中でしか描かれなかったのは、やはり「現実はそんなに甘くない」と示唆されているようにも思えました。
しかし不思議なのは、本作は誰も救われないストーリーなのに、なぜか温かみも感じるような気が…。
きっとそれは、3つの家族が互いに思いやっている描写があったからでしょうね。
それぞれの「幸せ」が描かれていたため、なんとなく誰も責めたくない、という気持ちになりました。
『パラサイト 半地下の家族』が好きな人にオススメの映画
映画『パラサイト 半地下の家族』のような、家族に焦点をあてた作品をピックアップ!
万引き家族
第71回カンヌ国際映画祭 最高賞 パルム・ドール受賞作品。
パラサイトよりも温かみのある、家族や犯罪をテーマにしたストーリーです!