2025年3月21日にNetflixで公開された韓国映画『啓示』
神の啓示により危ない橋を渡って行く信心深い牧師。
亡くなった妹の幻影に蝕まれている女刑事。
そして怪物のような犯罪者ー。
3人が複雑に絡み合う、韓国のサスペンス・スリラームービー。

近年、韓国の俳優さんにハマっているbeersyです!
演技力が凄まじい韓国の俳優さん達ですが、本作のリュ・ジュンヨルも素晴らしかった。
狂気の世界ですが、そこまでホラーではないのでビビリには安心の一本!
この記事では、Netflix韓国映画『啓示』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします!
『啓示』の評価&感想
- 感動度
- 3
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 4
- 話題性
- 4
監督は、『新感染』『地獄が呼んでいる』『寄生獣 ザ・グレイ』などを手がけるヨン・サンホ。
今回は『ROMA/ローマ』『ゼロ・グラビティ』『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のアルフォンソ・キュアロンがエグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ねています。
かなりダークでホラー満載の映画なのかと思いましたが、ストーリーはとにかく渋い!
エンタメ感は無く、常に重苦しい空気が漂っています。
その中で注目すべき点は、主役のミンチャン。
彼が様々な啓示に気付き、危うく変貌していく姿がなんともスリリングでした。
このあたりは、冒頭でも書きましたがリュ・ジュンヨルの演技が光っています!
もう1人の主人公・ヨニを演じるのは『賢い医師生活』シリーズのシン・ヒョンビン。
そして狂気の犯罪者を演じているのは、映画『かわいい男』の個性的な俳優シン・ミンジェ。
この三人、ある共通点が浮かび上がって来るので、そこを考察しながら視聴するのも楽しめるポイントだと思います。
ただ、終盤に近づくにつれ、もう少し捻りが欲しかったような気も…。
題材は面白いのですが、ストーリーのパンチの少なさを俳優陣がカバーしている印象でした。
というか、この作品はとにかく演技を観て欲しいです!!
以下より重要なネタバレを含みます。
『啓示』のネタバレ
クォン・ヤンレという男
ある男が女子中学生のシン・アヨンを尾行している。
アヨンは教会に逃げ込んだが、男は中まで付いて来て虚な目でアヨンを見ている。
その教会の牧師であるソン・ミンチャンは、新しい信者を招き入れるため奮闘している。
しかし妻のシヨンが不倫していると探偵から報告され、絶望していた。
ミンチャンは、教会に新しく男性が来たためなんとか信者にしようと、お茶を出し名前を聞き出す。
アヨンを付けていたその男は「クォン・ヤンレ」と名乗ったが、電子足輪(電子監視)が付けられており、ミンチャンは彼が前科者だと知った。
ーー
ミンチャンは地方に飛ばされた身だったが、敬愛しているチョン牧師が「空の人教会」という巨大な教会を建設していると知る。
シヨンは、長年チョンの下に支えて来たミンチャンが、そこの主任牧師に選ばれるのだと言って喜んだ。
しかしミンチャンがチョンのもとへ行くと、彼が自分の息子を選ぼうとしていると気付く。
酷い仕打ちに耐えきれず、ミンチャンは涙を流した。
そんな時、シヨンから電話が来て「ヨヌ(娘)の保育園に男が来て、ヨヌを連れて行ったらしい」と言われる。
その日のお迎えを頼まれていた事を忘れていたミンチャンは、ふとクォン・ヤンレの事を思い出し検索。
するとヤンレは性犯罪の前科2犯であり、この近辺に住んでいると知った。
ーー
豪雨の中、慌ててヤンレの家に行くと、ちょうどヤンレが車に荷物を運んでいるところだった。
彼は大きい袋やシャベルなどを積んでいたため、ミンチャンは「アイツに娘が誘拐された」と考え警察に電話。
「クォン・ヤンレがシャベルを持っている。死体を隠しに行くのかもしれない」と通報したが、途中でスマホの充電が切れてしまった。
車内で充電しつつ、尾行を開始する。
ーー
ヤンレが峠に到着した際、ミンチャンが気付かれ、揉み合いになる。
すると、足を滑らせたヤンレは、頭を岩にぶつけて死んでしまった。
パニックになったミンチャンが救急車を呼ぼうとすると、シヨンからの着信が入り「ヨヌが見つかった。子供達が遊びたいと言うから、お友達のパパが連れて帰っただけだった」と言われる。
「自分の勘違いだったのか…」と呆然としたミンチャンだったが、鳴り響く雷に照らされた山が神に見える。
それを「神からの啓示だ」と思い、ヤンレの身体を崖から落とすのだった。

ミンチャンがかなりのポンコツで、視聴前のイメージとだいぶ違っていました。
しかし信心深く、心優しいのは本当なのでしょう。
そんな彼が人を殺めてしまった…。最悪の展開になりそうです。
それにしても、前科2犯の性犯罪者はもう世に出さないで欲しい。
神からのお告げ
刑事のイ・ヨニは、最愛の妹のヨンジュがヤンレに監禁・暴行された過去がある。
ヨンジュは自力で逃げ出したのだが、その後の裁判で精神科医が「ヤンレは幼少期酷い虐待に遭っており、その時に適切な治療を受けていればこんな人物にはならなかった」と証言し同情票を集め、刑罰が軽くなってしまった。
絶望したヨンジュは、自らの命を絶つ。
それからというもの、ヨニは妹を助けられなかったという罪悪感があり、ヨンジュに責められる悪夢や幻影を見ている。
父親は建築会社に勤務しており、ヨニを心配していたが、ヨニは「父さんが携わってる建物を見たいな」と言ってはぐらかした。
そんな中、ヤンレが足輪を外して逃走しており、同じ頃にアヨンの失踪届が出されたという事件が舞い込んで来る。
ヨニはこの事件の担当になり、まずは同僚と共に通報して来たミンチャンに会いに行った。
ーー
ミンチャンはヨニ達が来て動揺したが「自分の勘違いでした」と言って誤魔化す。
しかし、1人教会で懺悔をし耐えられなくなり、チョンに「告白する事があります」と連絡をした。
「会って話そう」と言われチョンの元へ行ったミンチャンだったが、彼から「ファンス(息子)が信徒の女性と不倫をしていた。それを掲示板に書かれてしまいどうしようもない。落ち着くまでファンスは海外に送るから、君に〝空の人教会〟の主任牧師を任せたい」と言われ愕然とする。
その際、またしても部屋の中が神に見え、これは「啓示」だと思い涙を流しながら「お受けします」と呟いた。
ーー
峠に放置されたヤンレの車が見つかり、ミンチャンはちょうど会っていたアヨンの母と共に現場へ向かう。
そしてつい刑事に「死体は見つかりましたか」と聞いてしまったが、ヤンレが事前に周辺の防犯カメラを壊しており、またドライブレコーダーも付いておらず、他の車のカメラも豪雨で視界不良、雨で全て流れただろうという事で、証拠が皆無だと言われる。
刑事の「あいつ、天に助けられたな」という言葉を聞きミンチャンは自信を持つが、ヨニは彼の「死体は見つかりましたか」という言葉に対して疑問を持った。
ーー
気が大きくなったミンチャンは、シヨンに不倫の事を問い詰めると「主任牧師はファンスになるらしいじゃない。あなたって本当にお人よしね!」と馬鹿にされる。
それを聞いたミンチャンは「言葉に気をつけろ。ファンスは姦淫をして海外宣教に行くんだ。〝空の人教会〟の主任牧師は僕になる。これは啓示だよ。神様は何でもお見通しだ。身を潔白にして受けなければならない」と囁く。
恐ろしくなったシヨンは観念し、「私は他の男と姦淫しました…」と泣いて懺悔した。
そしてその後、2人で老人ホームのボランティアに向かう。
ーー
道中、救急車が溝に嵌ってしまい、立ち往生しているのを見かけミンチャンが声をかけると、救急隊員は「ありがとうございます。もうすぐレッカーが来ますので」と返答する。
その後老人ホームに着くと、職員が「怪我だらけの男を助けたが、救急車が来ない」と言っており、ミンチャンは確認するため1人病室へ向かった。
するとやはりそこには、生きながらえていたヤンレが寝かされており「牧師に殺される…」とうなされている。
ミンチャンは「僕の意思では無く、神の御心なんだ」と言って車椅子で運び、自分の車に乗せ連れ去った。
そして「これは神の啓示だ」と言ってヤンレを廃ホテルに拘束したが、彼は「俺はお前の教会の女の子を誘拐した。まだ生きてるけど、俺を殺せばその子も死ぬぞ。警察を呼べ」と脅す。
ミンチャンはパニックを起こし、ヤンレの顔にテープを巻き付けて倉庫に閉じ込め、廃ホテルをあとにした。

え、あれでどうやって助かった?ヤンレは不死身?笑
徐々に言動がおかしく、そして表情が死んで行くミンチャン。
シヨンをじわじわと問い詰める姿は陰湿で、ゾワゾワしました。
ヨニは優秀な刑事なので、すぐに真実が分かってしまいそうですが、彼女もまた闇を抱えているので展開が読めません!
3人の心に潜む悪
ヨニが、ミンチャンの靴や車に泥が付いていた事、老人ホームに彼の妻がいた事など、数々のおかしな点からミンチャンが犯人だと目星を付ける。
そして廃ホテルに行き、ヤンレを見つけた。
すぐに同僚に連絡を入れようとするが、またヨンジュの幻影が現れ「殺して」と囁かれる。
ヨニが銃を向けて葛藤し「アヨンはどこだ!」と聞いていると、ミンチャンが現れヨニを殴った。
ミンチャンはヨニをもテープで拘束し「やはり神のお告げだ。刑事さんはコイツに殺されて、コイツはこの建物から落ちて死ぬんです」と言って襲い掛かろうとする。
ヨニは、アヨンはまだ生きてるから、ヤンレを生かし居場所を探したいと頼むが、ミンチャンは「アヨンはもう死んでます。でなければ、ヤンレを殺す意味が無くなる。神は間違わない」と言って聞く耳を持たない。
しかし隙をついてヨニは拘束を解き、ミンチャンと揉み合いになった。
ヤンレは拘束されながらも動き、落ちていたノコギリをヨニに渡すなどして加勢しようとしたが、窓から転落する。
ヨニが足のテープを掴み助けようとしたが、彼は「あの子は、一ツ目の怪物が喰ったんだ」と言って落ちて行った。
ヤンレは死亡し、ミンチャンは逮捕されるが、アヨンの居場所は分からなくなる。
ーー
ヤンレは峠を通って、以前働いていた再開発4地区に行こうとしていた事が判明。
しかしそこは広大な土地であり、全てを調査するには3日かかる。
警察が睨んだ通り、アヨンは再開発4地区の中の廃墟の中にいたが、今まさに重機で取り壊そうとしていた。
ヨニは、精神科医の元へ行きヤンレの幼少期の絵などを見る。
医師はミンチャンの事を「彼は典型的なアポフェニアです。単なる偶然から関連性や意味を見出す。ただの自然現象を特別なものだと信じてしまうんです」と分析。
また、ヨニがまたしても幻影を見て発作を起こす姿を見て、励ましの言葉をかけ「何がヤンレを怪物にしたのか、しっかりと見落としていないか探しましょう」と語った。
すると、ヨニに父から連絡が入り「今からオクルスという、一ツ目窓の家を解体するところだ。昔はよく家に使われてたんだよ」と言われハッとする。
すぐさま同僚に連絡を入れ、再開発4地区の一ツ目窓の建物を探すように伝えた。
そして同僚が地図上でその場所を見つけ、ヨニはパトカーで急行。
建物はミシミシと音を立てていたが、無事にアヨンを発見し助け出す事に成功した。
ーー
ヨニは刑務所の中にいるミンチャンに会いに行き、アヨンは生きたまま助かったと伝える。
ミンチャンは「そんなはずはない」と動揺したが、ヨニに「誰があなたに〝アヨンは死んだ〟と言ったんですか?」と言われ、何も言えなくなった。
ーー
ミンチャンが独房に戻ると、またしても壁のシミが神のように見える。
それを雑巾で擦ると、少々邪悪な姿に変貌して来た。
ミンチャンは涙を流しながら、壁を擦り続けていた。

ミンチャンの中に潜んでおり、凶行を神の啓示のせいにした「悪」。
ヨンジュに対する罪悪感で、自分を「悪」にしていたヨニ。
幼少期の凄惨な虐待が引き金となって「怪物(悪)」が棲みついたヤンレ。
神を1番信じていたミンチャンが狂ってしまったのは、盲目になり過ぎる信仰心への皮肉のようにも思えました。
ラストにキリスト様のような影が、悪魔のような姿に変わったような気がしたのですが、皆さんはいかがでしたか…?
それぞれに与えられた「啓示」
どう解釈し、どう受け止めて向き合って行くかは自分次第ですね!
『啓示』が好きな人にオススメのドラマ
映画『啓示』が好きな人にオススメの、サスペンス・スリラー映画をピックアップ!
殺人者のパラドックス
不思議な力が働き、次々と犯罪を犯して行く平凡な青年と、それを執拗に追い続ける啓示のお話。
常に緊張感がありますが、韓国らしいエンタメ要素もあってクセになる作品です!
(あと刑事役のソン・ソックが渋くて素敵!)