2019年8月30日公開の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットの初共演で話題となったタランティーノ9作目の監督映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(通称ワンハリ)は、シャロン・テート殺害事件をベースに60年代ハリウッドを描いた作品です。興行収入3億ドル超え、日本国内興行収入では11億円越えを達成し、ブラッド・ピットは念願のアカデミー賞受賞を果たしました。
この記事では、映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で流れた全挿入曲49曲をシーン毎にご紹介します!
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で流れた曲とは?
オープニングシーン
Roy Head & The Traits - Treat Her Right
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のオープニングシーンで流れている音楽は、Roy Head & The Traits(ロイ・ヘッド&ザ・トレイツ)の『Treat Her Right』です。
1941年米・テキサス州生まれのロイ・ヘッドを中心に結成されたロイ・ヘッド&ザ・トレイツ。ロカビリーとR&Bを融合させたスタイルで人気を博しました。
『Treat Her Right』は1965年にリリースされた1stシングルに収録された曲です。全米ヒットチャートで2週連続2位を記録し、年間チャートでは95位を記録した人気曲です。
リックの車のエンジンがかかり、オープニングシーンへ。シャロン・テートが夫と共にアメリカにやって来た空港のシーンで流れるのがロイ・ヘッド&ザ・トレイツの『Treat Her Right』です。ブルーアイドソウルシンガーや白いジェームズ・ブラウンと呼ばれたロイ・ヘッドのソウルな歌声が60年代の空気感を漂わせてくれます!
※以下ネタバレ注意 「I wanna tell you a story, Every man oughta know(君に話して聞かせたい、全ての男が知るべき話を)」という歌詞で始まる『Treat Her Right』、最後ま観てから聴くと、より心にジーンと響く歌詞ですね…。
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リックが出演しているテレビ番組で流れる音楽
Bernard Herrmann - The Rock
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』リックが出演しているテレビ番組『賞金稼ぎの掟』で流れる音楽は、Bernard Herrmann(バーナード・ハーマン)の『The Rock』です。
1911年米・ニューヨーク生まれのバーナード・ハーマンは、『めまい』や『北北西に進路を取れ』などのヒッチコック作品などのサスペンス映画音楽で知られる作曲家です。
タランティーノ作品では、バーナード・ハーマンが作曲した『密室の恐怖実験』(1968年)の「Georgie's Theme」が『キル・ビル』や『デス・プルーフ in グラインドハウス』で引用されています。
映画冒頭やアル・パチーノ演じるマーヴィン・シュワーズとの会話内に出てくるリック主演の人気TV西部劇『賞金稼ぎの掟』。実際の人気TVドラマ『西部の男 パラディン』(1957〜63年)が元ネタと思われ、BGMもそのまま引用されています。
また、ブラッド・ピット演じるクリフのモデルとなったと考えられているのが、『西部の男 パラディン』でスタントマンを努めたハル・ニーダムです。バート・レイノルズのスタントマンを長年努めたことでも知られています。 『賞金稼ぎの掟』のシーン自体は短いですが、レザボア・ドッグスの耳切りダンスでお馴染みのマイケル・マドセンなど、タランティーノ作品常連俳優が出ているので、要チェックです!!
リックが出演した『マクラスキー 14の拳』内の音楽
Elmer Bernstein - The Killing
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のリックが出演した『マクラスキー 14の拳』内で流れている音楽は、Elmer Bernstein(エルマー・バーンスタイン)の『The Killing』です。
父親はウクライナ人、母親がハンガリー人のエルマー・バーンスタインは東欧ユダヤ系移民として1922年アメリカNYで生まれました。 (『ウエストサイド物語』で有名な指揮者のレナード・バーンスタインとの血縁関係はありません。)
『ゴーストバスターズ』や『アラバマ物語』で知られ、アカデミー賞に14回ノミネートされ、1967年ミュージカル映画『モダン・ミリー』でアカデミー作曲賞を受賞しました。
リックの主演映画『マクラスキー 14の拳』内で流れている音楽はエルマー・バーンスタインの『The Killing』です。この曲はヒッチコックのスパイ映画『引き裂かれたカーテン』(1966) のために作られたのですがヒッチコックが気に入らず使われることがなかった…という背景を持っています。作ったのに使われないなんてことがあるんですね…。
ナチスを焼き尽くす『マクラスキー 14の拳』はPaul Wendkosという実在の映画監督が撮影したという設定で、映画のモデルはロジャー・コーマン監督の『侵略戦線』(1964年)です。また、火炎放射器でナチスを焼き尽くすというのはタランティーノが大好きな映画、ロベール・アンリコ監督の『追想』(1975年)へのオマージュです。『追想』からの影響は『イングロリアス・バスターズ』でもかなり感じられましたね!
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リックがテレビ番組で歌を歌うシーン
Leonardo DiCaprio - The Green Door
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のリックがテレビ番組で歌を歌うシーンで流れている音楽は、Jim Lowe(ジム・ロウ)の『The Green Door』です。
1927年米・ミズーリ州生まれのジム・ロウは、DJやラジオパーソナリティーとして活動つつ、歌手活動をしてました。『The Green Door』は1956年にリリースされ、全米ヒットチャート1位を記録し、その後も数多くのアーティストにカバーされた名曲です。
1965年に米NBC放送で放映されていた歌番組『HULLABALOO』にリックが出演したシーンで歌っている曲は、ジム・ロウの『The Green Door』です。ディカプリオの歌声が楽しめる貴重なシーンです!
TVショー『HULLABALOO』は、莫大な予算を投じて毎週豪華ゲストが登場する人気歌番組だったそうです。(日本では「ゴーゴー、フラバルー」の題名がつけられていることもあります。)ビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインがロンドンの音楽事情を紹介するミニコーナーがあったりと、当時の音楽好きにとっては最高の番組だったようですね!
またこの曲は「ファミリー・インターナショナル」の名で知られるカルト教団のリーダー、デビッド・バーグが「(この曲の題名の)Green Doorは地獄への入り口の意味だ」といったことでも知られています。
ヒッピーの女の子達が歩いているシーン
The Manson Family - I'll Never Say Never to Always
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ヒッピーの女の子達が歩いているシーンで流れている音楽は、The Manson Family(マンソンファミリー)の『I'll Never Say Never to Always』です。
『I'll Never Say Never to Always』は本作品のキーともなっているマンソンファミリーによる曲です。マンソンファミリーの教祖、チャールズ・マンソンは音楽好きの一面も持ち、歌手としてデビューすることを目指していました。『The Family Jams』(1969)に収録されています。
ヒッピーの女の子達がゴミを漁りながら歩いている時に歌っている歌は、『I'll Never Say Never to Always』マンソンファミリーの教祖チャールズ・マンソンが作った歌です。1969年はベトナム戦争が膠着化し、「ラブアンドピース」のヒッピー文化が心の底から若者に支持されるようになってきていた時代です。
そこにつけ込んだカルト集団がマンソンファミリーというわけですが、こうやって改めて音楽をきくと、どこか切なく危うくて…タランティーノの見せ方に感服です。
クリフがヒッピーの女の子と目が合うシーン
Simon & Garfunkel - Mrs. Robinson
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クリフがヒッピーの女の子、プッシーキャットと目が合うシーンで流れている音楽は、Simon & Garfunkel(サイモン&ガーファンクル)の『Mrs. Robinson』です。
日本でも人気の高いフォーク・デュオ、サイモン&ガーファンクル。1964年にデビューし、70年にデュオとしての活動は一旦休止しポール・サイモンとアート・ガーファンクルそれぞれが活動するスタイルとなりました。
『Mrs. Robinson』は映画『卒業』(1967)のために書き下ろされた曲で、20世紀にアメリカのテレビやラジオで最もオンエアされた曲ランキングでは、第7位にランクインしています。
クリフが運転する車のラジオから流れてくる音楽はサイモン&ガーファンクルの『Mrs. Robinson』。ダスティン・ホフマン主演の青春映画『卒業』の劇中歌として知られ、リックが出演している西部劇とは全く違う系統の映画がこの頃から流行っていたことに気付かされます。
ちなみに、ミセス・ロビンソンは『卒業』の中で娘の彼氏を誘惑する母の名前です。つまり、プッシーキャットとクリフの関係を予感させる歌でもあるんですね。
リックの家に到着するシーン
Syd Dale - Ready For Action
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』リックとクリフの乗った車がリックの家に到着するシーンで流れている音楽は、Syd Dale(シド・デイル)の『Ready For Action』です。
1924年イギリス生まれのシド・デイルは、独学で作曲を学び、60年代から70年代にかけて膨大な数のテレビやラジオの音楽を作りました。ファンクな曲調のイージーリスニングを得意としていました。
クリフが運転する車がリックの家に着いたシーンでカーラジオから流れてくるCMで使われている音楽が、『Ready For Action』です。 (『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』サウンドトラックには『The Illustrated Man Advertisement/Ready for Action』の題名で収録されています。)
日本語字幕が入らないので、英語をよく聴かないとわからないのですが、ロッド・スタイガー主演『いれずみの男(The Illustrated Man)』(1969)年映画広告が流れています。『華氏451』で知られるレイ・ブラッドベリによるSF短編の映画です。リックの家の壁に立てかけてある看板とThe Illustrated Man(直訳すると「描かれた男」)をかけているのかな?と思います!
クリフがリックの家を出るシーン
Billy Stewart - Summertime
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クリフが自分の車に乗りリックの家を出るシーンで流れている音楽は、Billy Stewart(ビリー・スチュワート)による『Summertime』です。
ビリー・スチュワートは1937年、米・ワシントンD.Cで生まれのR&Bシンガー/ピアニストです。1962年リリースの『Reap What You So』などで一躍人気歌手となりましたが、1970年巡業中の自動車事故で帰らぬ人となりました。
クリフが自分の車に乗り換えて、リックの家を出るシーンで流れてくるのがビリー・スチュワートによる『Summertime』です。サマータイムはガーシュインが作曲した曲で、スタンダードナンバーとして知られているのですが…ビリー・スチュワートのサマータイムはかなり独特ですね…! ここから2分間、何が起こるわけでもないクリフが家に着くまでのドライブシーン。彩る音楽がクリフのキャラクターと1969年のLAの空気感を味わわせてくれます。
クリフがハリウッドの街中を車で走るシーン
Joe Cocker - The Letter
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クリフがハリウッドの街中を車で走るシーンで流れている音楽は、Joe Cocker(ジョー・コッカー)の『The Letter』です。
イギリス出身の歌手ジョー・コッカーは『With a Little Help from My Friends(邦題:心の友)』(1968)『She Came in Through the Bathroom Window』(1969)など、優れたビートルズのカバーを残した事で知られています。
クリフがLAの街中を車で走るシーンで流れている『The Letter』。オープンカーで走り抜けるクリフ…痺れますね!真っ直ぐ前を向きギアを変える様子を見ていると、マニュアルカーを運転したくなります…。
1969年といえば『ウッドストック・フェスティバル』なのですが、このシーンはまだ1969年2月8日の夜という設定なので、まだウッドストック前なんですよね。イギリス出身のジョー・コッカーはウッドストック・フェスティバルへの出演を機にアメリカで大ヒットするので、この頃はラジオでも「イギリスで人気の歌手」なんて紹介されていたのかな…なんて想像してしまいました!
クリフが高速道路を走るシーン
Bob Seger - Ramblin' Gamblin' Man
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クリフが高速道路を走るシーンで流れている音楽は、Bob Seger(ボブ・シーガー)の『Ramblin' Gamblin' Man』です。
ボブ・シーガーはアメリカで爆発的な人気を誇ったロックミュージシャン/シンガーソングライターです。トータルセールスは7,500万枚以上と言われています。
『Ramblin' Gamblin' Man』はボブ・シーガーが1969年に「ボブ・シーガー・システム」名義で出した2枚目のシングル曲です。
クリフがら高速道路を飛ばし、パノラマ市に向かうシーンで流れている陽気な曲は『Ramblin' Gamblin' Man』です。全米ヒットチャート17位を記録し、ボブ・シーガーの名をアメリカ全土に広めた曲と言われています。
実はこの『Ramblin' Gamblin' Man』でギターとバックボーカルを担当しているのが、のちに『Eagles』のリーダーとなるグレン・フライだとか。THE アメリカン・ロックンロールなサウンドに仕上がるわけですね!
クリフがドライブインシアターに向かうシーン
The Village Callers - Hector
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クリフがドライブインシアターに向かうシーンで流れている音楽は、The Village Callers(ヴィレッジ・カラーズ)の『Hector』です。
ヴィレッジ・カラーズはチカーノ(メキシコ系アメリカ人)により1960年代に米・カリフォルニアの東ロサンジェルスで結成されたラテン系ロックバンドです。
彼らの名マネージャーの名前を題名にした『Hector』は高い人気を誇りましたが、残念ながら1968年ロサンジェルスのクラブ『PLUSH BUNNY』で行われたライブ音源しか残っていません。
クリフが高速を降り、ドライブインシアターに向かうシーンでカーラジオから流れてくる音楽はヴィレッジ・カラーズの『Hector』です。 広い知名度はないものの、60年代西海岸では人気があったチカーノバンドなので、クリフが聞いているKHJ(LAに実在したラジオ局)の番組ではよく流れていたようです。
ちなみに、『Hector』はBeastie BoysやCypress Hill、De La Soulなどのサンプリング元ネタ曲としてHIPHOP好きの間では有名な曲でもあります!
ドライブインシアターで流れてくる音楽
Keith Mansfield - Funky Fanfare
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ドライブインシアターで流れてくる音楽は、Keith Mansfield(キース・マンスフィールド)の『Funky Fanfare』です。
キース・マンスフィールドは1941年イギリス生まれの作曲家です。ライブラリーミュージックと言われるTV CMやBGM用の曲やジングルを膨大な数作曲しました。
日本のテレビやラジオでも時々使われているようです。
このシーン、『キル・ビル』や『デス・プルーフ in グラインドハウス』を観た方なら「おっ!!」と思われるかもしれませんね!
クリフが入ったドライブインシアターで流れてくる『Funky Fanfare』は、映画館で映画が始まる前の広告が終わり本編が始まる前に流れていた音楽です。短いながら耳に残る曲ですね! ちなみに、クリフが観ていた映画はフランク・シナトラ主演の『セメントの女』(1968)とチューズデイ・ウェルド主演の『可愛い毒草』(1968)というサスペンス映画2本のようです。
ドライブインシアターって映画の中でしか見た事ないですが…なんだか良さげですよね!
クリフがエンジンを切るシーン
Aretha Franklin - The House That Jack Built
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クリフがエンジンを切るシーンで流れている音楽は、Aretha Franklin(アレサ・フランクリン)の『The House That Jack Built』です。
アレサ・フランクリンは1942年、米・メンフィス生まれ、デトロイト育ちの伝説的ソウルシンガーです。『I Never Loved a Man (The Way I Love You )』『Respect』などの代表曲が良く知られています。
クリフが自宅に着くタイミングでラジオから流れてきた音楽はアレサ・フランクリンの『The House That Jack Built』です。クイーン・オブ・ソウルと言われたアレサ・フランクリン、最近ではジェニファー・ハドソン主演の伝記映画『リスペクト』(2021)も話題でしたね!
『The House That Jack Built』はイギリスの伝承歌・マザーグースの「ジャックの立てた家」という積み上げ歌から取った題名です。同名のホラー映画もあったので、物騒な歌なのかと思ってしまいました…!
クリフが帰宅したシーン
Robert Goulet - MacArthur Park
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クリフが帰宅したシーンで流れている音楽は、Robert Goulet(ロバート・グーレ)の『MacArthur Park』です。
ロバート・グーレは1933年米・マサチューセッツ州生まれの俳優です。ブロードウェイでも活躍し、1962年にはグラミー賞、1968年にはトニー賞を受賞しました。
『MacArthur Park』はジミー・ウェッブが1968年に発表した曲で、アイルランド人俳優のRichard Harrisによるカバーは全米ヒットチャート2位を記録しました。
クリフが帰宅したシーンでテレビから流れてくる音楽はロバート・グーレの『MacArthur Park』です。テレビを付けっぱなしで出かけたのかなと気になってしまいますが、愛犬ブランディのために付けている可能性もありそうですね!
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は第72回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されています。残念ながら、最高賞のパルム・ドールの受賞は敵いませんでしたが…実はクリフの愛犬ブランディ役のアメリカン・ピット・ブル・テリア、「サユリ」はパルム・ドッグ賞(優秀な演技を披露した犬に贈られる賞)を受賞しました!
クリフがご飯の用意をするシーン
Lalo Schifrin - Mannix
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クリフがご飯の用意をするシーンで流れている音楽は、Lalo Schifrin(ラロ・シフリン)の『Mannix』です。
ラロ・シフリンは1932年アルゼンチン生まれの映画音楽作曲家です。クリント・イーストウッド主演の人気アクション映画『ダーティハリー』(1971)ブルース・リー主演のカンフー映画『燃えよドラゴン』(1973)のテーマ音楽など、数多くの映画音楽を手がけました。
クリフがブランディのご飯と自分の夕ご飯を用意するシーン、テレビでは人気アクションドラマ『マニックス』が放映されています。しっかりいい子にして待ってるブランディがとっても可愛いですよね!
『マニックス』は、ミッション・インポッシブルの元となった『スパイ大作戦』と同時期に放映されていたドラマです。どちらのテーマ曲もラロ・シフリンにより作曲されています。この頃の映画やテレビ特有のアバンギャルドな雰囲気がオシャレで良いですね。
鼻を鳴らしたブランディが叱られるシーン
Chad & Jeremy - Paxton Quigley's Had The Course
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』鼻を鳴らしたブランディが叱られるシーンで流れる音楽は、 Chad & Jeremy(チャド・アンド・ジェレミー)の『Paxton Quigley's Had The Course』です。
チャド・アンド・ジェレミーは1960年代に活躍していたイギリス出身のデュオグループです。フォークロックの先駆け的サウンドがアメリカで人気を博しました。 デビュー曲の『Yesterday's Gone』(1963)はイギリス・アメリカ両国でヒットを記録しました。
クリフが鼻を鳴らしたブランディを叱るシーンでテレビから流れる音楽は、チャド&ジェレミーの『Paxton Quigley's Had The Course』です。ポップでキュートな音楽ですね!
クリフが開けているドックフード缶詰『Wolf's Tooth』は、新しいタランティーノのオリジナルブランドのようです。特に凶暴な犬用と記されていて、アライグマ、鳥とネズミ味があるみたいです…。美味しくなさそうですが、ブランディは美味しそうに食べてました!とっても可愛かったですね!
シャロンとポランスキーのカーラジオから流れる音楽
Deep Purple - Hush
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』シャロンとポランスキーのカーラジオから流れる音楽は、Deep Purple(ディープ・パープル)の『Hush』です。
ディープ・パープルは1968年にデビューしたイングランドのハードロック・バンドで、日本で人気の高いロックバンドの一つです。
1968年にリリースされたデビューアルバム『Shades of Deep Purple』に収録された『Hush』は全米ヒットチャート4位を記録しました。
イギリスからアメリカにやってきたシャロン・テートとポランスキー。彼らの車で流れている音楽は初のアメリカツアーを終えたばかりのDeep Purpleのヒット曲『Hush』です。
シャロンの夫であるロマン・ポランスキーは、前年にミア・ファロー主演のホラー映画『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)を大ヒットさせたばかり。人気絶頂期の映画監督です。 1967年にイギリスで製作した映画『吸血鬼』でシャロン・テートと出会い、婚約・結婚に至りました。
薄暗い夜道を走る車内で「She's the best girl that I ever had(彼女は今まで会った子の中で一番だ)」という歌詞に合わせて映し出されるシャロン・テートの美しさにハッとさせられました。
プレイボーイマンションでのパーティーシーン
Buchanan Brothers - Son Of A Lovin' Man
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』プレイボーイマンションでのパーティーシーンで流れている音楽は、Buchanan Brothers(ブキャナン・ブラザーズ )の『Son Of A Lovin' Man』です。
ブキャナン・ブラザーズはTerry Cashman(テリー・カシマン)という音楽プロデューサーを中心に集まった三人組のグループです。テリー・カシマンは『Talkin' Baseball』の作曲者として知られています。
蝶ネクタイのうさぎマークで知られる雑誌『プレイボーイ』の創刊者ヒュー・ヘフナーが夜な夜なパーティーを繰り広げていたプレイボーイマンションのシーン。車を降りてシャロンが合流したのは、スティーブ・マックイーン、ミシェル・フィリップス、ジェイ・シブリングの三人組です。
スティーブ・マックイーンが作品内で丁寧にシャロンとポランスキー、ジェイ・シブリングの関係性を紹介してくれています。ジェイ・シブリングはスティーブ・マックイーンのヘアメイクを担当していました。 ちなみに、このシーンの撮影は実際にプレイボーイマンションで行われ、ダンスの振り付けはジェイ・シブリングとシャロン・テートの友人だったToni Basilが考えたそうです。
クリフがリックをスタジオに送るシーン
Bristol-Myers - Tanya Tanning Butter Advertisement
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クリフがリックをスタジオに送るシーンで流れている音楽は、KHJのラジオ広告『Tanya Tanning Butter Advertisement』です。
Tanya Tanning Butterは60年代にアメリカで売られていたサンオイル(日焼けを促すオイル)のような商品です。速くしっかり日焼けできると広告でも歌っています。
クリフがリックを乗せてスタジオに向かうシーンで流れている音楽はKHJのラジオ広告『Tanya Tanning Butter Advertisement』です。伸びやかな女性の声が耳に残りますね!サントラにも収録されています。
タランティーノと音楽監督のメアリー・ラモスは、映画で使用するサウンドトラックを選ぶために、1969年に実際に流れていたKHJ-AMラジオ音声を14時間分聴き、映画に使えるものをセレクトしていったそうです。
クリフがリックを撮影に送りだすシーン
The Box Tops - Choo Choo Train
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』クリフがリックをスタジオに送るシーンで流れている音楽は、The Box Tops(ボックス・トップス)の『Choo Choo Train』です。
ボックス・トップスは1967年米・メンフィスで結成された5人組白人ソウル・グループです。『The Letter』(1967)『Cry Like a Baby』(1968)などのヒット曲で知られています。
ビッグ・スターのリードボーカル、アレックス・チルトンが最初に在籍していたグループでもあります。
クリフがリックを仕事場に送り出すシーンで聴いている音楽は人気バンド、ボックス・トップスの『Choo Choo Train』です。
前日の夜、クリフがカーラジオで聴いていたジョー・コッカーの『The Letter』は、ボックス・トップスのヒット曲のカバーなんですよ!日本ではRCサクセション(忌野清志郎)がカバーしていますね。 渋い歌声を聞かせてくれるアレックス・チルトン、この頃まだ16歳だとか…びっくりです!