1910年前後の時代背景を舞台に、セリーの挑戦と成長を描く『カラーパープル』。男女差別や人種差別といった重厚なテーマを通じて、観る者の心に深く響く作品です。
ミュージカル映画ならではの華やかな歌とダンスは、時に厳しい現実を和らげ、セリーの内面を照らし出しますよ。作品の魅力と感想などを紹介しています。
どんな映画?おすすめポイントを紹介!
カラーパープル
- 未体験
- 3
- 感情移入
- 5
- 再鑑賞
- 4
- 予測不可
- 4
- サウンド
- 5
セリーの人生を心して見ていくことになる映画!ミュージカルだからこそ伝わってくる感情もありますよ!
評価は年間100作品以上を鑑賞する執筆者こでぃもの実体験をもとにしています。
ストーリー
ストーリーはセリー中心に進み、彼女を応援したくなる物語になっています。
男女差別、人種差別といったテーマも感じさせる1910年前後の時代設定は思わず目を背けたくなることもあるでしょうね…。
それでもセリーの様子を見守っていって欲しい映画!見終わった後は「色々と考えさせられたな」と思うことでしょう。
演出
ミュージカル映画ならではの歌とダンスが楽しめる演出が見どころ!セリーが育った町を案内するかのように歌とダンスが始まる序盤、シュグが帰ってきてざわめきたつ町の人達など、大人数で描くミュージカルシーンはすごかったですね。
もちろん、シュグが酒場で魅惑的に『Push Da Button』を歌ったり、セリーがすべての思いを歌に乗せるようにしたりするのも良かったです。
その作品ならではの切り口
ミュージカルと共に男女・人種差別を考えさせるストーリーが描かれるのは今作ならでは。
劣悪な環境で過ごすセリーの思いが伝わってくる『She Be Mine』という歌のシーン、ソフィアの強さと絶望を感じさせる『Hell No! (Reprise)』という歌のシーンなどなど。
個々の考えや思いがミュージカルによって伝わってくるのがポイントですよ。
おすすめポイント
男女差別や人種差別といった問題を直視しなければならないことから、シリアスなヒューマンドラマとも言えるでしょう。一方で、ミュージカルシーンがあるため、重くなりすぎずに見れるのがポイントですね。
「もっと明るく楽しめるかと思った」とはならない可能性はあるので、じっくりと作品を楽しみたい人におすすめです。歌とダンスも映画館で観ると迫力が違いますよ!
ミュージカル映画『カラーパープル』で流れる18曲をシーンごと解説!
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以下より重要なネタバレを含みます。
ネタバレありで解説!
セリーとネティ
セリーは妹のネティと父親と暮らしており、10代にも関わらず結婚先が決まっていました。ミスタと名乗る男が父親に交渉し、セリーを嫁にして家事を任せます。
そこに家から逃げ出してきたネティが訪ね、ミスタに一晩泊まらせてもらいますが…なんと彼はネティを襲い、抵抗した彼女を追い出しました。二度と顔を見せるなと釘を刺されたネティはセリーへ手紙を送ると約束しますが…セリーに手紙は来ず、数年が経過するのです。
ある日、ミスタの息子のハーポが妊娠したソフィアを連れて来ます。ミスタは結婚は許さないと言いますが、勝気なソフィアは全く気に留めません。ハーポは実家のすぐそばの沼地の上に家を建て、生まれた子供と共に暮らしていましたが…従順じゃないソフィアに手を挙げたことをキッカケに、子供を連れた彼女が出ていってしまうのです。
セリーとネティ姉妹の仲睦まじさが伝わってくる映画の冒頭では『Huckleberry Pie』という歌、2人で散歩しながら励ますように『Keep It Movin'』という歌を歌うのが印象的ですね。
一方で、男性陣もカッコ良く歌う!『Workin'』をハーポたちが歌いながら家を建てていくのですが、ステップを踏みつつノコギリなどを使うのが楽し気でした。
ミュージカルと合わせて深みのある物語に引き込まれますね。
シュグとセリー
ハーポは空き家を改装して酒場にし、ブルース歌手のシュグを呼ぶことに。彼女はミスタとの間に子をもうけた仲で、ハーポのために歌うと言います。セリーは家に来たシュグに食事を提供し、背中を流すことも…そうして彼女と仲を深め、ドレスを貰って酒場に行くことになりました。
ハーポの酒場はシュグの歌で大盛り上がり。ソフィアが来たことでケンカ騒ぎが起きましたが、その間にシュグはセリーを連れて映画館へ。2人で夜を楽しみ、翌朝にはシュグは家を出ます。
セリーの元にソフィアが「出掛けよう」と誘いに来て、彼女の子供と共に町に出たセリー。すると、市長がソフィアに対し、メイドとして働かないかと声を掛けます。ソフィアはキッパリ断ろうとしますが…手を挙げてしまったことで留置所行きとなってしまいます。
人気歌手のシュグとまさか会えるとは!という感じのセリーの明るさを感じさせる束の間のシーンとなりましたね。ミスタから散々な扱いを受け、殴られることもあるセリー…そんな彼女がシュグと仲良くなっていくのが良かったです。
シュグの力量も、酒場で歌った『Push Da Button』から十分感じさせる!演出と合わせて見入ってしまうシーンとなりました。
キャッチ
セリーはソフィアの面会に毎週足を運び、数年後に釈放されたソフィア…前までの勝気な姿は面影もありませんでした。
そうして月日が流れる中、セリーはミスタの横行に我慢ができなくなっていきます。再びシュグが帰宅した際に、彼女と共に家を出るとミスタに言って大騒ぎに…ミスタはセリーの気迫に負け、彼女は家を出たのです。
シュグがセリーの誕生日を祝ったある日、父親の訃報が届いてセリーは葬儀に参列。その際に、本当の父親は別にいることがわかり、店を相続することに…裁縫の得意だった母を思い出し、セリーは女性には珍しいパンツの専門店を開店します。
その後、ネティの手紙がミスタの元に届いたことで、帰国の手続きを進めたミスタ。そうとは知らず、セリーは屋外でささやかなパーティを開いた際にネティが現れたことで涙を流します。ネティはセリーの生き別れの子たちと一緒で、感動の再会を果たして物語は幕を閉じます。
シュグのおかげでネティからの手紙を見つけたセリー。とても喜ぶ一方で、ミスタがずっと隠してきたことに怒りを覚えていましたね。
そうした感情が積み重なってミスタにこれまでの想いをぶつけた…ミスタも抵抗しますが、セリーにナイフを突きつけられて何もできなくなるのは壮観でした。
これをキッカケにソフィアが前の気概を取り戻し、セリーは新しくお店を始めるという明るい展開に!最後はセリーが家族と再会するというハッピーエンドとなり、『The Color Purple』をみんなで歌うのが印象的でした。
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今作に共通する家族とミュージカルをテーマにしたディズニー映画と、人種差別の問題をじっくり考える映画をそれぞれ紹介します!
ミラベルと魔法だらけの家
2021年公開の南米コロンビアを舞台にし、主人公の少女ミラベルが家族を守るために奔走する物語。姉妹や両親といった家族愛を感じさせる展開が多く、ミュージカルと合わせて明るく楽しめるディズニー作品です。
見どころは、家族の絆を深める心温まる物語と、息をのむような美しいミュージカルシーン!冒頭から明るく歌うミラベルたちに引き込まれますよ。
ミラベルの家族はみんな魔法が使えるのも華やか。姉たちも個性的な魔法が使える中、力強く歌う姿なづも印象的です。
普通の人でも特別な役割を持つことを教えてくれるような、全世代が楽しめる作品ですよ。
それでも夜は明ける
19世紀中頃のアメリカを舞台にした映画。自由黒人のソロモン・ノーサップが奴隷商人に誘拐され、12年間もの間奴隷として生きる実話を基にした作品です。スティーヴ・マックイーン監督が見せるリアルな描写と、主演のキウェテル・イジョフォーの熱演が光ります。共演は、マイケル・ファスベンダー、ベネディクト・カンバーバッチ、ブラッド・ピットです。
奴隷制度の残酷さを感じさせる一方で、人間の尊厳を考えさせる演出が印象的な作品!リアリティのある描き方の中でも、ソロモンが経験する苦難と彼の不屈の精神から多くのメッセージを受け取ることでしょう。
奴隷制度下での人間関係の複雑さと、それに立ち向かう勇気が描かれるため考えさせられる映画ですよ。