1971年6月26日公開の映画『小さな恋のメロディ』
日本で大ヒットを記録した、今でもなお愛され続ける不屈の名作です。ダニエルはマーク・レスターが、メロディはトレイシー・ハイドが演じました。全編にわたりビー・ジーズの音楽が使用され、オリジナル・サウンドトラックは日本でも大ヒットを記録しました。
この記事では、映画『小さな恋のメロディ』で流れた音楽14曲をご紹介します。
『小さな恋のメロディ』で流れた曲とは?
オープニングシーン
The Bee Gees - Morning of My Life
オープニングシーンで流れた曲は、The Bee Geesの『Morning of My Life』です。
ロンドンに朝がやってくる映像と共に流れるこの曲は、1965年にビー・ジーズのバリー・ギブが書いた曲です。ここではビー・ジーズが1970年に録音したバージョンが使用されました。この曲は『小さな恋のメロディ』のタイトルでも知られています。
ビー・ジーズはイギリスのマン島に生まれたバリーと双子の弟ロビンとモーリスのギブ3兄弟によるグループです。2000年代まで長きにわたり活躍し、2億枚以上のレコードセールを記録しました。
メロディが父親のいるパブにむかうシーン
The Bee Gees - Melody Fair
メロディが父親のいるパブにむかうシーンで流れた曲は、The Bee Geesの『Melody Fair』です。
メロディは、家からこっそり衣類を持ち出し、物売りのおじさんに金魚と交換してもらいました。金魚が入ったガラス瓶を持ってご機嫌で街を歩きます。
ビー・ジーズが1969年にリリースしたLP2枚組のアルバム『オデッサ』の収録曲で、1971年にこの映画の主題歌に起用されました。映画が大ヒットした日本では『若葉のころ』とのカップリングでのシングルカット盤がリリースされ、オリコンチャートで3位を記録する大ヒットとなりました。
生徒たちが休み時間を楽しむシーン
Richard Hewson Orchestra with Children from Corona School - Spicks and Specks
生徒たちが休み時間を楽しむシーンで流れた曲は、Richard Hewson Orchestra with Children from Corona Schoolの『Spicks and Specks』です。
宗教の授業が終わり、子供たちが教室を飛び出すところから曲がスタートします。子供たちは、サッカー、トランプ、おしゃべり、たばこ(!)など、おもいおもいに楽しい休み時間を過ごしています。
ここで合奏曲風アレンジで演奏されているのは、ビー・ジーズのオーストラリア時代の最大のヒット曲で1966年にリリースされた『Spicks and Specks』です。彼らを名実共にオーストラリアのトップ・アーティストにのし上げた要因とも言える曲で、2ndアルバム『Spicks and Specks』(1966)に収録されています。ビー・ジーズは、翌年渡英し、ワールド・デビューを果たすことになります。
ダニエルとトムの放課後のシーン
The Bee Gees - Give Your Best
ダニエルとトムの放課後のシーンで流れた曲は、The Bee Geesの『Give Your Best』です。
ダニエルとトムはバスに乗り、ロンドンでも一番の繁華街ウェスト・エンドに遊びに行きます。この曲は、ビー・ジーズが1969年にリリースしたLP2枚組のアルバム『オデッサ』に収録されています。
ビー・ジーズの活躍を収めたドキュメンタリー映画『ビー・ジーズ 栄光の軌跡(原題 Bee Gees : How Can You Mend A Broken Heart)』が2020年にアメリカで製作され、日本では2022年に公開されました。
この曲は、ダニエルとメロディが学校をさぼり遊園地で遊んでいるシーンでも使われています。
全校集会で歌われる讃美歌
John Dykes - Holy, holy, holy! Lord God Almighty!
全校集会で歌われる讃美歌は、John Dykesの『Holy, holy, holy! Lord God Almighty!』です。
トムが始めた伝言ゲームで、メロディがダニエルの自分への気持ちを知るシーンです。
イギリスの五大賛美歌作家の一人レジナルド・ヒーバーの詩を使い、作曲家ジョン・ダイクスが1861年に作曲した曲で、別名は『Nicaea』です。イギリス国王を首長とするイギリス国教会が母体の聖公会の讃美歌集に収録され、後に全世界に讃美歌として広まりました。
映画で校長先生は「65番」といっていましたが、日本では、讃美歌集(1954年版)66番で、邦題は『聖なる、聖なる、聖なるかな』とされています。
メロディーとダニエルが一緒に演奏する曲
Traditional - Frère Jacques
メロディーとダニエルが一緒に演奏する曲は、『Frère Jacques』です。
映画冒頭では、金魚と個室にとじこもったメロディーがリコーダーでこの曲を練習していましたね。音楽室では、メロディーのリコーダーに合わせて、ダニエルがチェロを演奏し、楽しい時間を過ごします!
世界各地でよく知られたフランスの民謡で、地域の言語による様々な歌詞で、輪唱形式で歌われることが多いカノン風の作品です。日本では、仏題をカタカナに置き換えた『フレール・ジャック』のほか、英題の『Are You Sleeping?』、また手遊び歌として知られる童謡『グーチョキパーでなにつくろう』としても知られています。
メロディが観ているTVで流れている曲
Richard Hewson - Romance Theme in F
メロディが観ているTVで流れている曲は、Richard Hewsonの『Romance Theme in F』です。
クリーニングを取ってくるのを忘れたメロディが、「あの男のせいよ」と意味深なことを言い祖母と母親をびっくりさせます。見ていたメロドラマの影響でしょうか…。
イギリスの音楽プロデューサー、リチャード・ヒューソンとゴードン・グレイが映画のために書き下ろした曲で、邦題『Fのロマンス・テーマ』としてサントラ盤に収録されています。
『小さな恋のメロディ』のサントラ盤は、日本のチャートで1位になり、世界中で25万部を売り上げたそうです!
ダンスパーティシーン
Richard Hewson - Working on it Night and Day
ダンスパーティシーンで流れた曲は、Richard Hewsonの『Working on it Night and Day』です。
学校のホールでダンスパーティが開かれています。教師と生徒の親睦が目的らしく、先生方は積極的に生徒に話しかけています。
この曲も、リチャード・ヒューソンとゴードン・グレイが映画のために書き下ろした曲で、バリー・ヒューソンという歌手が歌っているようです。邦題『一日中踊ろう』としてサントラ盤に収録されています。
運動会のシーン
The Bee Gees - To Love Somebody
運動会のシーンで流れた曲は、The Bee Geesの『To Love Somebody』です。
すっかりメロディに魅了されたダニエル。運動会では、彼女の顔を思い浮かべ夢中に走った結果、一等に!
この曲は、ビージーズが1967年にリリースした曲で、アルバム『 Bee Gees' 1st 』(1967)に収録されています。もともとは、ビー・ジーズのバリーとロビンが、米・R&B歌手オーティス・レディングのために書き下ろした曲でしたが、レディングが航空機事故で死亡し、レコーディングはされませんでした。
ダニエルとメロディが一緒に帰るシーン
The Bee Gees - First of May
ダニエルとメロディが一緒に帰るシーンで流れた曲は、The Bee Geesの『First of May』です。
尻叩きの罰を受けたダニエルが、待っていたトムを残し、メロディと二人で学校を出て墓地に寄り道するシーンで流れています。
邦題『若葉のころ』でしられるこの曲は、ビー・ジーズが1969年にリリースしたLP2枚組のアルバム『オデッサ』の収録曲、シングル盤としても発売されました。
ダニエルが一瞬で心を奪われてしまったメロディのバレエの練習のシーンでも使われていました。
メロディの父親が歌う曲
Ralph Reader - Crest of a Wave
メロディの父親が歌う曲は、Ralph Readerの『Crest of a Wave』です。
メロディがダニエルを家に連れてきて家族に紹介するシーンです。メロディのお父さんは、ボーイスカウトの思い出話をし、歌い出します!ちなみに、英国はボーイスカウト発祥の地です。
この曲は、1937年に公開された英国ミュージカル映画『The Gang Show』で使われた人気曲です。この映画はロンドンのウェスト・エンド・シアターで活躍したラルフ・リーダーのショーを映画化したもので、集会場のリース期限が切れたボーイスカウト隊が資金調達のためにバラエティ番組を上演する様子が描かれていました。
ダニエルとメロディが海岸で遊ぶシーン
Richard Hewson - Seaside Banjo
ダニエルとメロディが海岸で遊ぶシーンで流れた曲は、Richard Hewsonの『Seaside Banjo』です。
ダニエルとメロディは学校をさぼり、電車でブライトン・ビーチへ遊びに行きます。遊園地で楽しんだ二人はその後水着に着替え海に入ります。
この曲は『シーサイド・バンジョー』の邦題でサントラ盤に収録されています。
自ら楽曲を提供し、サントラではオーケストラを率いたリチャード・ヒューソンは、ポール・マッカートニー・プロデュースでデビューしたメリー・ホプキンの『グッドバイ』(1969)のストリングスアレンジをするなど、ポールの信頼するアレンジャーで、ビートルズのアルバム『レット・イット・ビー』の収録曲のアレンジも手掛けたそうです。
先生たちが高架下の廃墟に向かうシーン
Richard Hewson - Teachers Chase
先生たちが高架下の廃墟に向かうシーンで流れた曲は、Richard Hewsonの『Teachers Chase』です。
爆弾作り少年ダッズから、生徒たちが二人の結婚式を行っていることを聞き出した先生たちは現場にスクールバスを走らせます。そして、ダッズはそのことをみんなに知らせに走ります!
邦題『先生を追いかけろ』としてサントラ盤に収録されています。
2022年に、コロナ禍で1年延期された映画公開50周年イベントが行われ、主演のマーク・レスターとトレイシー・ハイドが来日し映画ファンを喜ばせました!
ダニエルとメロディがトロッコで走り去るシーン
Crosby, Stills, Nash & Young - Teach Your Children
ダニエルとメロディがトロッコで走り去るシーンで流れた曲は、Crosby, Stills, Nash & Youngの『Teach Your Children』です。
エンデイングで使われた曲は、クロスビー・スティルス・ナッシュ & ヤング(略称:CSNY)のメンバー、グラハム・ナッシュがホリーズのメンバーだった1968年に書いた曲で、CSNYの1stアルバム『デジャ・ヴ』(1970)に収録され、シングルカット盤もリリースされました。
CSNYは、フォーク・ロック界の有名ミュージシャンが集結したスーパーグループとして1968年にアメリカ・ロサンゼルスで結成されました。主に1960年代末から1970年代初頭にかけて活躍し、その後も様々な派生形態をとって活動していました。