2013年11月23日公開 映画『かぐや姫の物語』。
平安時代前期の『竹取物語』を原作とした、スタジオジブリの長編アニメーション映画。
1999年の映画『ホーホケキョ となりの山田くん』以来14年ぶりの高畑督作品で、これが遺作となりました。
竹の中から誕生したかぐや姫が、どのように地球で過ごしたか、なぜ月から来たのか、そしてなぜ帰らなければならなくなったのか…という物語が、原作をもとにオリジナルストーリーも折り混ぜて描かれています。
この記事では、映画『かぐや姫の物語』のサントラから抜粋した17曲をシーン別にご紹介します。
※以下ネタバレ有り
『かぐや姫の物語』で流れる曲とは?
かぐや姫や子どもたちが歌うシーン
かぐや姫や子どもたちが歌うシーンなど、多くのシーンで流れる曲は、久石譲の『わらべ唄』です。
作中、姫が得意の琴を弾くシーンや、子どもたちが遊びながら歌うシーン、媼が歌うシーンなどたくさんの場面で使用されます。
昔からありそうな唄なので調べたら、なんと、この唄の作詞・作曲は、高畑勲監督だそうです!本当に才能のあるお方でしたね。
サントラの中では、最後の「琴の調べ」「天女の歌」のメロディがこの「わらべ唄」で、他にもオープニングや作中のインストで久石譲さんがアレンジしています♪
かぐや姫がタケノコから出て来るシーン
かぐや姫がタケノコから出て来るシーンで流れた曲は、久石譲の『小さき姫』です。
タケノコが翁の前で突如伸び、中から小さな赤ちゃんが登場するシーン。
翁の声優は俳優の地井武男さん。優しく、しゃがれた声が魅力的でしたが、完成目前で亡くなってしましました。
そのため、仕上げの数カットを俳優の三宅裕司さんが演じたそうです!違和感が全く無く、調べるまでわかりませんでした;
OP〜スタッフクレジットで流れる「はじまり」のピアノのメロディを基調とした、静かで神秘的な楽曲。
翁と媼がかぐや姫を保護するシーン
翁と媼がかぐや姫を保護するシーンで流れた曲は、久石譲の『生きる喜び』です。
翁が赤ちゃんを連れて帰り、布でくるめたり抱っこして保護するシーン。
オタオタする翁に、媼が的確に指示を出しているのが頼もしい!翁がそうじゃそうじゃと単純過ぎるのにはほっこり。
媼は今作の主要キャラですが、原作ではほとんど出ておらず、大半は本作のオリジナルだそうです。
笛と弾むような弦楽器のメロディが明るく、赤ちゃんの誕生にピッタリな楽曲。
翁と媼がかぐや姫を育てるシーン
翁と媼がかぐや姫を育てるシーンで流れた曲は、久石譲の『芽生え』です。
媼が母乳で育て、不思議なことにかぐや姫の成長が早く、ニコニコ笑って元気に育って行くシーン。
無条件に可愛い赤ちゃん時代が描かれていますが、アニメーションがとても優しいタッチで癒されます。
笛と低音の管楽器がもたらす「和」のハーモニーが美しい楽曲。
かぐや姫がタケノコと呼ばれ、元気に育って行くシーン
かぐや姫がタケノコと呼ばれ、元気に育って行くシーンで流れた曲は、久石譲の『タケノコ』です。
仕事をする翁と嫗の横で、寝返りをしたりたっちをしたり、元気に動き回っているシーン。近所の子どもたちが「タケノコ」とからかいに来ます。
おしりがプリンプリンで可愛い!すっぽんぽんなのが気になりますが、昔はこうして育てていたのですね…文明の利器に感謝…。
終始静かで、笛が奏でるリズミカルな楽曲。
村の生活が描かれているシーン
村の生活が描かれているシーンで流れた曲は、久石譲の『山里』です。
雨が降っている日はおうちで出来る仕事をしたり、晴れれば梅を収穫したりと、村の生活が緻密に描かれているシーン。
近所の男子・捨丸(演/高良健吾)の家は漆塗りのお椀造りをしており、その様子も観られます。漆塗ってこんな昔からあった手法なのですね!
ここでは、久石さんらしいピアノメインの優しく美しい楽曲が流れます。
かぐや姫が新居ではしゃぐシーン
かぐや姫が新居ではしゃぐシーンで流れた曲は、久石譲の『手習い』です。
突然新居に移り住むことになり、今までには無かった綺麗な着物や広い家にはしゃぐシーン。
ここで姫の教育係である女官・相模が登場。こちらは今作のオリジナルキャラですが、声優を女優の高畑淳子さんが演じ、とっても濃くて印象に残るキャラとなっています!
「山里」をベースにした、控えめながらも豪華な楽曲。
かぐや姫が暴言を聞き、逃げるシーン
かぐや姫が暴言を聞き、逃げるシーンで流れた曲は、久石譲の『絶望』です。
名付け親の宴にて、翁が暴言を吐かれているのを見てしまいショックを受け、家を飛び出すシーン。
激しく憤慨し襖を突き破り走るかぐや姫。優しいタッチのイラストなのに、ものすごい躍動感のあるシーンでとても印象に残りました。
ここで流れる曲も、おどろおどろしい迫力のある楽曲です。
かぐや姫が雪の中で行き倒れるシーン
かぐや姫が雪の中で行き倒れるシーンで流れた曲は、久石譲の『春のめぐり』です。
無我夢中で逃げた後、村を彷徨いボロボロになるシーン。
綺麗な着物を着て華やかに暮らしていた姫が、とんでもなくみすぼらしくなってしまう。
雪の中をただ一人、涙を流し眠るように目を閉じた瞬間には心が締め付けられました。
「手習い」同様、「山里」をベースにした曲ですが、深々と降り積もる雪をイメージした切なさも感じられる楽曲です。
かぐや姫が「高貴の姫君」として身なりを整えるシーン
かぐや姫が「高貴の姫君」として身なりを整えるシーンで流れた曲は、久石譲の『運命(さだめ)』です。
目が覚めると元の場所に戻っており、これが運命なのだと感じた姫が、観念した様子で身なりを整えるシーン。
眉毛を抜いたりお歯黒を塗ったり。「夫に貞節を尽くす」ための身なりだそうですが、このようにしても姫の美しさは損なわれませんでした。
ここでは、切なく悲しい雰囲気の楽曲が流れます。
かぐや姫が花見に行くシーン
かぐや姫が花見に行くシーンで流れた曲は、久石譲の『春のワルツ』です。
媼や侍女の女童と共に花見に出かけ、桜の下ではしゃぎながら踊るシーン。
ここでは、花や草木、風景が美しく、心打たれるアニメーションが堪能出来ます。淡いカラーとゆるやかなタッチに癒されますよ!
「タケノコ」のメロディを基調としており、オーケストラで壮大に仕上げている楽曲。
捨丸が泥棒の容疑で殴られるシーン
捨丸が泥棒の容疑で殴られるシーンで流れた曲は、久石譲の『里への想い』です。
かぐや姫は、幼い子どもとぶつかるも平伏する村人にショックを受け、花見を切り上げます。その帰路の途中に捨丸と再会しますが、結局話せず去るシーン。
泥棒と言われフルボッコにされる捨丸を、どうすることも出来ずに見送り悲しむんですよね。姫が、地球上での嫌な部分をたくさん見てしまう場面でした。
「里への想い」は、そんな姫の心情を表現した悲しい楽曲。自身の言った事で石上中納言が亡くなり、悲嘆し荒れるシーンでも流れます。
かぐや姫が故郷へ戻り、捨丸と再会するシーン
かぐや姫が故郷へ戻り、捨丸と再会するシーンで流れた曲は、久石譲の『飛翔』です。
捨丸と再会し、どこかへ逃げようと言われ、二人で空を飛ぶシーン。突然のファンタジー感にいささか戸惑いました。笑
吹っ切れた爽やかな表情で抱き合い、想いが通じ合った二人はとても幸せそうですが、
捨丸にはすでに子どもがいるという現実も、かぐや姫への罰だったのかもしれません。ちなみにこの描写は原作にはないそうです。
ここでは今作1番の盛り上がりを見せる、壮大なオーケストラが流れます。
天人たちがかぐや姫を迎えに来るシーン
天人たちがかぐや姫を迎えに来るシーンで流れた曲は、久石譲の『天人の音楽Ⅰ』です。
臨戦態勢で臨む地球人の元に、天人たちご一行が舞い降りるシーン。
矢も効かず、神の手の振りひとつでみんな眠らされ…終始無表情の天人たちが怖すぎる!!
明るくリズミカルな曲なのに、思わずゾワっとしてしまうシーンでした。曲にちょっと人の声が入ってるのも怖い。
ちなみに、久石さんのオリジナルアルバムにアレンジ版が収録されているので、ぜひ聴いてみてください♪ こちらは怖くないです!笑
かぐや姫が、翁・媼と別れるシーン
かぐや姫が、翁・媼と別れるシーンで流れた曲は、久石譲の『別離(わかれ)』です。
抵抗むなしく、ついにお別れの時が来てしまうシーン。
ここまで全ては出来レースだったのかと思うと、いたたまれません。翁と媼の心の叫びに、胸が苦しくなりました。
女官が有無を言わさず羽衣を着せてしまうのも、なんとも胸糞悪い終わり方で。かぐや姫への罰とはいえ、もうちょっとお慈悲を…と思いました。
OPの「はじまり」をベースにしたメロディで、ピアノとオーケストラが美しい静かな楽曲です。
エンディング
エンディングで流れた曲は、久石譲の『月』です。
かぐや姫が連れられ月に向かっている最中、記憶を無くしたはずなのに、地球を見て涙を流すシーン。
これは、それほどまでに地球での思い出が強く残り涙が流れたのか、記憶はないものの何故か涙が流れてしまったのか、様々な考察が出来るエンディングでした!
ラストの「月」は「はじまり」のメロディから「わらべ歌」をオーケストラにした壮大な楽曲。
8年にも渡る制作期間、総制作費50億が投じられた今作。ジブリっぽくはないものの、高畑監督の熱意が最後まで伝わって来る名作でした。
エンドロール
エンドロールで流れた曲は、二階堂和美の『いのちの記憶』です。
二階堂和美は、僧侶の資格を持つシンガーソングライター。CMソングを多く手掛けています。
高畑監督の強い要望により、今作の主題歌を担当しました。
ちょっと悲しい物語を観た暗い気持ちを、柔らかく優しい歌声で慰めてくれる楽曲です♪
サウンドトラック
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