2025年6月6日にNetflixで公開された映画『ストロー:絶望の淵で』
貧困に喘ぐシングルマザーは愛する娘のために奮闘するが、それは孤独な戦いだった。
1人の女性に次々と起こる不運、そして絶望を描く。
- 主演:タラジ・P・ヘンソン『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』『ドリーム』
- 監督:タイラー・ペリー『ゴーン・ガール』『ドント・ルック・アップ』

ツイてない日は無になって過ごしているbeersyです!
誰かに誤解されたり勘違いされて、悲しい気持ちになった事はありませんか?
本作は、意図せず色々な事件に巻き込まれてしまうシングルマザーのお話。
最後はハッピーエンドなのかな〜なんて気軽に観たら…いやはや、本当に救いようがない作品でした。
この記事では、Netflix映画『ストロー:絶望の淵で』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします!
『ストロー:絶望の淵で』の評価&感想
- 感動度
- 5
- 脳トレ度
- 4
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 5
- 話題性
- 4
自身も貧困時代を生き抜き、ここまで上り詰めたというタイラー・ペリーが監督を務めた本作。
「ストロー(Straw)」は英語で「藁」。
「藁をも掴むほど絶望している」「最後の藁」といった意味が込められているそうです。
まさに主役のジャニヤは、どん底の貧困生活をしているシングルマザー。
しかも娘のアリアちゃんは持病持ち。薬代もとにかくかかる。
家賃は払えずお湯が出ない。仕事でも上司・同僚・客にドヤされて…。
観ていて本当にしんどくなるストーリです。離脱した方も多いのではないでしょうか。
余裕がないからこそ起こる様々な出来事。後半までは、ずーっと負のループです。
けれど、だんだんとほんの少しだけ光が見えて、驚くべき事実が発覚し、観終えた後心はしんどく切なくて辛いですが、なぜかそこまでのダメージはない。
もちろん凹んでいる時に観る映画ではないですが、なんだか不思議な余韻が残りました。
そして特筆すべきは、主演のタラジ・P・ヘンソン。
本作は、彼女の迫真の演技のおかげで輝いたと言えるでしょう。
周りのキャストも素晴らしい。支店長・ニコール役のシェリー・シェパードは特に印象的でした。
ずっしり重いけれど、社会問題に真正面から切り込んだ本作は、多くの人の心を揺さぶる事でしょう。ぜひ観てみていただきたい一作です!
以下より重要なネタバレを含みます。
『ストロー:絶望の淵で』のネタバレ
負の連鎖
ジャニヤ・ウィルキンソン(タラジ・P・ヘンソン)は、8歳で持病を持つアリアと貧しい暮らしをしており、学校の昼食代も滞納していた。
給料日、ジャニヤはアリアに必ず昼食代を持って行くと約束し、職場であるスーパーに出勤すると学校から呼び出しが。
店長には30分で戻れと言われたが、学校に虐待を疑われアリアは保護されてしまう。
アリアは先日、風呂場で滑って転び背中にアザを作っていたのだ。
絶望の中、ジャニヤは車で戻ろうとするが、渋滞を避けるため曲がろうとした際、直進して来た車とぶつかりそうになる。
幸い事故にはならなかったが、その車は男性が乗っており、激怒して反対車線を走りジャニヤの車にぶつかって来た。
女性警官が駆け付け、ジャニヤはぶつかられたと説明するが、その男性は非番の警官で女性警官と親しかったため、女性警官は免許の期限が切れていたジャナイアの切符を切り、車をレッカーで取り上げる。
男性は「覚えてろ。次に会ったら合法的に殺してやる!」と叫んでいた。
ーー
ジャニヤは徒歩でやっとスーパーに戻るが、店長にクビを言い渡されてしまう。
さらに自宅に戻ると、家賃を滞納していたために大家が荷物を全て外に出していた。
ジャニヤは、アリアが学校の課題で作った光る装置などを持って、再びスーパーへ。
店長に小切手で給料を渡して欲しいと言うが、店長は会社の規則だから郵送すると言って、断固として給料を渡さなかった。
すると突然強盗が現れ、ジャニヤのネームプレートを見て名前を呼び、銃を向ける。
店長は金庫から金を出すが、ジャニヤは「娘のお金よ!」と言って給料分を取ろうとした。
そして強盗と揉み合ううちに、ジャニヤは銃を奪い強盗の1人を撃ってしまう。
店長は、強盗がジャニヤの名前を言ったため仲間だと思い、「従業員が男達と強盗を企て、銃を使った」と警察に通報。
呆けていたジャニヤは「違う…」と言ってパニックになり、店長をも撃ってしまった。
ーー
通報を受け、スーパーに警察が駆けつける。
防犯カメラから、男性刑事はジャニヤが金欲しさに計画したのだろうと言うが、レイモンド刑事(テヤナ・テイラー)は「彼女は最初被害者だったが、給料が欲しかっただけなのではないか。そしてパニックになり、店長を殺してしまったのでは無いか」と考えた。

目も当てられないほど酷い出来事が次々と…。
スーパーの同僚の女性だけは味方でいてくれますが、救いが無さ過ぎますよね。
店長もそこまで怒る?白人警官も最低ですし情けが無い。(確かに急にハンドルを切ったジャニヤも悪いけども)
前半だとは思えないほどの、負の連鎖でした。
私は強盗じゃない
ジャニヤは小切手を持って銀行へ行くが、身分証が無いと換金出来ないと言われる。
そこで銃を出し「換金して!」と叫ぶと、怯えた銀行員が大金を差し出そうとした。
しかしジャニヤは「私は給料分のお金を換金して欲しいだけよ!」と訴える。
ジャニヤと顔馴染みの支店長・ニコール(シェリー・シェパード)は、彼女が持っているアリアが作った装置を爆弾と勘違いし、警察に電話で事情を説明。
銀行の前には無数のパトカーや機動隊、テレビ局の報道陣が集まり、騒然となった。
そして銀行の中のテレビに、ジャニヤに車をぶつけた男性警官と、切符を切った女性警官が銃を銀行に向けている姿が映し出される。
ジャニヤは「合法的に殺す」と脅された事を思い出し、怯えて銀行に立てこもってしまった。
銀行内にはニコールと銀行員2名、高齢の女性が残っており、銀行員の1人が、ジャニヤの目を盗んでスマホを設置し生配信を始める。
ーー
レイモンドが電話で交渉を始め、ジャニヤは少しずつ打ち解ける。
実は、レイモンドもアリアと同じ境遇で育ち、また自分もシングルマザーだったのだ。
ジャニヤは、自分は病気の娘を必死で育てている事や、今日起こった全ての事を話して「私は強盗じゃない」と、レイモンドに強く訴えた。
その姿を見て心を打たれた視聴者達が、大勢で銀行の前に詰め寄って「ジャニヤを解放せよ」というデモを始める。
また、ニコールも彼女に同情し、味方となって優しく語りかけた。
それでもジャニヤは、男性警官が帰らないと出ては行けない、娘のために死ぬわけにはいかないと訴える。

ジャニヤが訴えるシーン、固唾を飲んで見守っていました。
全てうまくいかない、味方もいない。
ずっと孤独も判断つかず、大きな大事件となってしまいました。
しかし、レイモンドや共感した人々が動き出してくれて、心がちょっぴり救われます。
ホームレスのおじいちゃんの「応援してるぞ」という言葉にはウルっと来ましたね。
ラストはとにかく笑顔を見せて欲しい。こんなにも祈りながら観る作品も珍しい。笑
最悪な1日の終わり
レイモンドは、ジャニヤを脅迫した男性警官と、切符を切った女性警官を突き止める。
その証言から、ジャニヤが言っている事が本当だと判明した。
しかし突然FBIが現れ、「時間がかかり過ぎている。デモまで起きて制御出来ていない」と言ってレイモンドを交渉から外し、強引に解決しようとする。
それによりジャニヤはまたしてもパニックを起こしてしまったが、レイモンドが再びジャナイアに電話をかけ話を始め、ニコールも「出たら絶対に力になるから、娘さんに会うために一緒に出ましょう」と説得して外に出ようとした。
するとジャニヤのスマホに、母からの着信が入り「FBIが家に来てる。どうして強盗なんか」と言う。
ジャニヤは「強盗じゃ無い!」と叫ぶが、母は続けて「あの子は昨夜死んだのよ。発作が起きて病院に行ったでしょう…」と声を震わせた。
ーー
実は、アリアは持病の発作で亡くなっていた。
しかしジャニヤはそれを受け入れられず、ずっと幻覚を見ていたのだ。
ジャニヤは全てを思い出し、涙を流して天を見上げた。
ニコールは彼女を憐れみ、優しく手を差し伸ばす。
銀行のドアを開け、手を挙げながら進むとレイモンドが出迎えて手錠をかけた。
ジャニヤはニコールに「ありがとう」と言い、ニコールはゆっくりと頷く。
パトカーで連行される彼女を、無数の人々が声を上げ送り出すのだった。

まるで英雄かのように声援を浴びるジャニヤ。
ラスト、影になった彼女の表情はどのようなものだったのでしょうか。
周りを見渡す彼女は、どこか上の空で他人事のように思っていそうでした。
やってしまった罪は重いですが、あのムカつく店長にも家族はいたんだよな…と思うとなんともしんどい。
救いがない中、レイモンドやニコールなど、多くの人が味方になってくれて安堵しました。
最悪の結末(銃殺される幻覚)にならず、ニコールが手を差し伸べてくれて本当に良かった。
けれど同時に、きっとこの後ジャニヤはアリアちゃんの死と向き合わなければならなくて、それは今日のどの不運よりも辛く、険しい道である事は確かだと思います。
ノンフィクションを観ているかのようなリアルさで、心から彼女の幸せを願いました。
『ストロー:絶望の淵で』が好きな人にオススメの映画
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ミッシング
こちらも救いようのない映画で、メンタルが安定している時に観るべきですが、とにかく石原さとみさんの表現が素晴らしかった!
役作りから熱く取り組んだそうで、その想いがひしひしと伝わって来ました。
でも本当に辛いお話です。特にお子さんがいる方はご注意を…。
記事はこちら☞映画『ミッシング』をネタバレ解説!