2013年11月1日公開の映画『42 〜世界を変えた男〜』。
- 主演/ジャッキー・ロビンソン役:チャドウィック・ボーズマン
- ブランチ・リッキー役:ハリソン・フォード
- 監督:ブライアン・ヘルゲランド
- 音楽:マーク・アイシャム
アメリカの大リーグ全球団の永久欠番「42」。
人種差別が渦巻く時代に懸命なプレーで人々の心を動かした、初の黒人メジャーリーガー「ジャッキー・ロビンソン」の伝記映画。
彼をきっかけに、様々な黒人選手が球界で活躍する事となりました。
この記事では、映画『42 〜世界を変えた男〜』で流れる12曲をご紹介します。
※以下ネタバレ有り
『42 〜世界を変えた男〜』で流れる曲とは?
オープニング
オープニングで流れる曲は、Wynonie Harrisの『Good Rockin' Tonight』です。
ウィノニー・ハリスは、アメリカのR&B歌手。代表曲は「Good Rockin' Tonight」「Wynonie's Boogie」など。
黒人記者がタイプライターを打ちながら、戦後の野球界を語るオープニング。
今では考えられない、差別法が存在した時代…。かなりヘビーな内容ですが、実話なのでとても勉強になります。
ここで流れるのは、あのエルヴィスが幼少期にハマり、ロックンロールの前身と言われたウィノニー・ハリスの楽曲。
ジャッキー達のバスがガソリンスタンドに寄るシーン
ジャッキー達のバスがガソリンスタンドに寄るシーンで流れる曲は、Spade Cooleyの『SHAME ON YOU』です。
スペード・クーリーは、アメリカのウエスタン・スウィング・ミュージシャン。代表曲は「SHAME ON YOU」「STEEL GUITAR RAG」など。
今作の主役・ジャッキーが遠征バスから登場。トイレを借りようとするも、黒人には使わせないと断られるシーン。
今観ると、本当になんで?としか思えない理屈。怒ったジャッキーに別でガソリンを入れると言われ、逆ギレする店主にイライラしました。
そんな店主のうしろで呑気に流れているのは、ウエスタン・スウィングの王と言われたスペード・クーリーの代表曲。
ジャッキーがレイチェルと結婚するシーン
ジャッキーがレイチェルと結婚するシーンで流れる曲は、Artie Shaw & His Orchestraの『Moonglow』です。
アーティ・ショウは、アメリカのジャズ・クラリネット奏者。作曲・著述家でもありました。
「やり返さない勇気を持った選手になれ」と鼓舞され、ドジャースに入団する事を決意したジャッキー。
大金が入る事となり、恋人のレイチェルに結婚を申し込むシーン。
偉大なる人は苦労も多いので、側には支えてくれるパートナーが必要ですよね!
逆に離婚も多いイメージですが、このお二人は末長くジャッキー最期の時まで一緒にいたそうです。
幸せそうな二人を静かに盛り上げるスウィング・ジャズが、とっても心地良いシーン。
ドジャースがデイトナの春季キャンプで練習をしているシーン
ドジャースがデイトナの春季キャンプで練習をしているシーンで流れる曲は、Melora Hardinの『Begin The Beguine』です。
メロラ・ハーディンは、アメリカの女優。この曲は、映画『THE ROCKETEER』の挿入曲。
ドジャースの面々がゆるりと練習をしているシーン。
「お見合いしたなぁ」と笑っているのは、ジャッキーにとってのキーマンとなるピー・ウィー・リース。
演じているのは『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』のショーン役・ルーカス・ブラックです!
ゆるい雰囲気がなんとなく好きなのですが、あまり露出のない俳優さんなんですよね…もったいない。
ここでは、リラックスしながら練習をするチームにマッチした、優しいジャズが流れます。
ジャッキーがパナマの春季キャンプへ旅立つシーン
ジャッキーがパナマの春季キャンプへ旅立つシーンで流れる曲は、Billie Holidayの『BLover Man』です。
ビリー・ホリデイは、アメリカのジャズ歌手。 代表曲は「Lover Man」「Good Morning Heartache」など。
可愛い赤ちゃんが産まれ幸せの真っ只中ですが、パナマへと旅立つジャッキーが心配なレイチェル。
どこへ行っても差別や偏見が酷く、それでも結果を出すジャッキーには驚きですよね!
ここでは「私の恋人はどこにいるの?」と、夢見る少女の気持ちを歌った曲が流れます。
ドジャースのチームメイトが不満を話しているシーン
ドジャースのチームメイトが不満を話しているシーンで流れる曲は、LECUONA CUBAN BOYSの『PANAMA』です。
レクオーナ・キューバン・ボーイズは、キューバのオーケストラ。ルンバブームを巻き起こした立役者。
ドジャースのチームメイト数人が、ジャッキーとプレーするのを拒否するという嘆願書を書くシーン。
とにかく黒人を敵対視し、気に入らないメンバー。現代の日本でもあるとは思いますが、慣習とは時に恐ろしいものですね。
ここでは、キューバを代表するマンボが流れます。不穏な場面なのになんだか前向きになれるメロディで、「パ〜ナ〜マ〜♪」と歌いたくなりますよ!
ドジャースがパナマの春季キャンプで練習しているシーン
ドジャースがパナマの春季キャンプで練習しているシーンで流れる曲は、Alberto Socarrásの『Masabi』です。
アルベルト・ソカラスは、キューバ系アメリカ人のフルート奏者。キューバ音楽とジャズの両方を演奏し、キューバジャズバンドで活躍しました。
ジャッキーが、一塁手の練習をしているシーン。地元のボールボーイが可愛い!
懸命に努力している裏で、嘆願書への署名を集めるメンバー。しかし署名を拒否するメンバーも数人いて、この時代でも温度差があるのだなと思うカットでした。
こちらも陽気なマンボが流れており、ジャッキーを心から応援したくなります♪
バート・ショットンがドジャースの監督に就任するシーン
バート・ショットンがドジャースの監督に就任するシーンで流れる曲は、Nat King Coleの『Straighten Up And Fly Right』です。
ナット・キング・コールは、アメリカのジャズピアニスト・歌手。代表曲は「Unforgettable」「L-O-V-E」など。
映画『スウィングガールズ』では、「L-O-V-E」のカバーがエンディングに起用されました。
バートがリッキーのアツい要望に渋々応え、ドジャースの監督になりゆるっと選手達の前に登場するシーン。
「君たちの邪魔はしない」と話しますが、前監督のレオと違って、優しい監督なのでしょう。常に褒められて伸びたい筆者は、こういう指導者のほうが好き!笑
嘆願書を出したチームメイトの一人がトレードされるシーン
ハンク・ウィリアムズは、アメリカのシンガーソングライター、音楽家。カントリー音楽の歴史に残る人物。
嘆願書を扇動したカービー・ヒグビーが、トレードに出され控室を出て行くシーン。
なぜこの人だけなのかは分かりませんが(撤回しなかったのかな?)、とにかくスッキリしました。心なしかジャッキーの表情にも笑みが。
控室で流れている「その老いぼれ犬を退かせてくれよ、新しい犬が通るから」という歌詞が、この場面にピッタリです!
ジャッキーが「チャップマン監督が写真を撮りたがっている」と言われるシーン
ジャッキーが「チャップマン監督が写真を撮りたがっている」と言われるシーンで流れる曲は、Louis Jordanの『I'm Gonna Move to the Outskirts of Town』です。
ルイ・ジョーダンはアメリカの歌手、サックス奏者。「ジャンプ・ブルース」の代表的なアーティスト。
「チームが差別集団だと思われるのが困る」と言われ、チャップマンが渋々事態の鎮静化を図ろうとするシーン。
ここで撮られた写真は現在でも残っており、ジャッキー亡き後には公式に謝罪したようです。
でも謝るの超遅いし本当に言葉が酷過ぎて、なんだかなぁ…。(劇中の言葉よりも酷かったそうです)
参照:フィラデルフィア市 69年前の醜行をジャッキー・ロビンソンに謝罪
エンディング
エンディングで流れる曲は、Sister Wynona Carrの『The Ball Game』です。
ウィノナ・カーは、アメリカのゴスペル・R&B・ロックンロールのシンガーソングライター。代表曲は「Please Mr Jailer」など。
選手や監督などの「その後」が映し出されるシーン。これだけでは物足りなくて、自分でかなり調べました。笑
野球の事はよくわかりませんが、ジャッキーが成した事は本当に世界(特にアメリカ)を変えたのだと思います。
力強くハスキーな歌声が魅力的で、明るくリズミカルな楽曲が物語を締めました♪
エンドロール
エンドロールで流れる曲は、Count Basieの『Did You Ever See Jackie Robinson Hit That Ball?』です。
カウント・ベイシーは、アメリカのジャズピアノ奏者、スウィングジャズ、ビッグバンドの代表的バンドリーダー。
最後に流れる曲は、ジャッキーを讃えるスウィングジャズ。「YEAH〜!」と掛け声が入っているのが、試合っぽくて良き♪
この作品は、今は亡きチャドウィック・ボーズマンの勇姿と、ハリソン・フォードのシブイ演技が素晴らしく心にグっと来ました!
実際にあったサクセスストーリーではありますが、このような差別や偏見が完全に無くなる事を願うばかりです。