2025年4月18日にNetflixで公開された映画『iHostage』
2022年3月31日、オランダのアムステルダムで実際に起きた「アップルストア人質立てこもり事件」から着想を得て制作された作品。
なぜ、男はこのストアを選んだのかー。
オランダのクライム・スリラームービー。

長年Macなどのアップル製品にお世話になっているbeersyです!
本作は、オシャレな街にあるアップルストアで起こった立てこもり事件を、少々アレンジして映画化。
あまり期待せずに観たのですが、ドキドキしっぱなしでスリル満点でした!
この記事では、Netflix映画『iHostage』を鑑賞した筆者の感想やあらすじ、ネタバレ解説をご紹介いたします!
『iHostage』の評価&感想
- 感動度
- 3
- 脳トレ度
- 3
- 再鑑賞度
- 3
- サプライズ度
- 3
- 話題性
- 3
司法や警察に深い恨みを持った犯人が、アップルストアに立てこもった事件。
その裏では何が起きていたのか、犯人と人質はどのような会話をしていたのか…事実から着想を得て作られた作品です。
映画でこんなに緊張するのですから、実際は本当に恐ろしかったでしょうね。
本作は特にアクションなどは無く、緊張感がありながらも淡々と進んで行くので、人によっては退屈と思うかもしれません。
しかし筆者は、この構成のほうがリアルに感じられましたし、登場人物達の表情や心情を汲み取りやすかったと思いました。
犯人はなぜこのような事件を起こしたのか?
彼の内に秘めたものを考察しながら観ると、面白いと思いますよ!
実際の映像(ドキュメンタリー)がありましたので、興味がある方はチラ見してみてください。
以下より重要なネタバレを含みます。
『iHostage』のネタバレ
不運
アムステルダムに到着したブルガリア人男性のイリアンは、AirPods(イヤホン)を失くしアップルストアへ向かった。
店員から購入していたところ、1人の男が入店し銃を出す。
客と店員は外へ逃げたが、奥にいたイリアンは店内に残ってしまった。
備品庫には店員1人と客が3人隠れていたが、そちらは社員証でロックされており犯人は気付いていない。
上階には40〜50人もの人が取り残されている。
男は「交渉人を呼べ!」と言ってイリアンを人質にとり、外に居合わせた警官にジャケットの中を見せ、身体に爆弾を巻きつけている事、起爆装置を持っている事を見せつけた。
警察は緊急事態とし、特殊部隊と爆弾処理班などを配備。
さらに交渉人として、リンという女性が駆けつけた。
ーー
イリアンは心臓病を患っており、1日3回服薬せねばならない。
それを男に伝えると、親切に飲ませてくれた。
少々説得を試みたものの、男は「黙っていろ」と言って立てこもりを止める事は無かった。
犯人の要求は、ビットコイン(暗号通貨)で2億ユーロと逃走用の車、そして安全に高速道路に乗れる事。
彼が自撮りした写真から、身体の爆発物は「訓練用」と書かれており、偽物らしい事が分かったが、バッグの中に何が入っているかは分からないため、突入する事はためらわれた。

出稼ぎに来てAirPods失くして、買えたと思ったら立てこもりの人質になるなんて、イリアンはとにかくツイてないですね。
しかも心臓病を抱えている…。
犯人の目的は分かりませんが、計画性は無さそう。
交渉
このアップルストアでは、21時になると店内の照明が落ち、人感センサーが反応して警報を鳴らすと言う。
それはアメリカ本社で管理されており、自分達では何も出来ない。
倉庫に3人の客と一緒に隠れているスタッフ・ミンガスが、そう電話で警察に伝えると、リンがすぐさまその事を犯人に伝え「私達は何もしないわ。落ち着いて」と訴える。
しかし犯人は慌ててイリアンの頭に銃を突きつけ、警戒しながら暗くなる瞬間を迎えた。
ーー
店内の照明は落とされたが、しばらくすると再度点き警報も鳴らない。
アップル本社が対応したらしく、リンが犯人に嘘を言った事になってしまった。
犯人は怒ったが、再度リンが電話をかけ優しく名前を聞くと「ダブルAと呼べ」と言う。
リンは徐々に心を開き始めた彼と、会話を続けた。
ーー
上階にいる客の誰かが、SNSに現在の状況をアップしてしまう。
警察は即刻プロバイダーに連絡をしたり、その書き込んだ者を特定した。
それは自称「指導者」というインフルエンサーの仕業であり、投稿の削除を拒んだが警官のファン・ザンテンが電話で一喝。
危機を感じたファンは、ミンガスに脱出用の見取り図を書いてもらう。
そして特殊部隊が上階に忍び込み、40〜50人の人々を救出する作戦を計画した。
その間、リンはダブルAに「なぜこの騒ぎを起こしたのか」と聞き、時間を稼ぐ。
彼は「警察・検察・法の全てが俺を虐げて来たからだ。だから大金で別の場所へ行く。誰も俺の事なんか気にかけない」と派き捨てた。
リンが「あなたを助けたい。死なせたく無いわ」と寄り添うように言うと、ダブルAは「…俺はアマールだ」とついに名前を教える。
すぐさま調べると、犯人の正体はアムステルダム生まれシリア系の「アマール・アジャール」で、軽犯罪歴が精神疾患の病歴のある人物だと判明。
同時に、上階の人々は特殊部隊の誘導によって無事に救出された。

犯人の正体が分かりました。とても身勝手な理由で立てこもっていますが、彼を産んだ社会にも警笛が鳴らされているように感じます。
イリアンがアマールを説得しようと発した言葉(酷い仕打ちを受けているのは分かる。政府は税金ばかり取り上げる…など)が、まさにそうだと思いました。
それにしても、イリアンもミンガスもとても冷静で勇敢ですね!
幕引き
隣のビルからアマールに銃を向けている隊員が、ミスをしてレーザーの光を彼の身体に当ててしまう。
アマールはパニックを起こして、「男の交渉人を呼べ!」と叫んだ。
そこで、リンの同僚が通話を続ける事になったが、リンは隣で助言しアマールの気を沈めようとする。
しかし彼は起爆装置を手に持ち、カウントダウンを始めた。
リンが咄嗟に「逃走用の車は何がいい?」と同僚に聞かせると、アマールは「黒いリムジンだ」と告げ装置を戻した。
ーー
アマールに炭酸ジュースを差し出されたイリアンが、「心臓に悪いから水を頼んでくれ」と言うので、アマールは渋々リンの同僚に伝える。
そこで警察は、ロボットに水を積んでアップルストアの前まで運ばせた。
アマールとイリアンが店のドアに近づくと、緊迫した空気が流れる。
イリアンは拘束された手を伸ばすが、中々取れず「取れない」と告げ、アマールは銃を置いて彼に繋いでいる綱を手から離し、拾おうとする。
その瞬間、イリアンは一目散に走って逃げ出した。
ーー
慌てたアマールはイリアンを追いかける。
するとそこへ、特殊部隊2人が乗った車が突進しアマールを跳ね飛ばした。
アマールはピクリともせず、爆弾処理班は爆発物に警戒しながら近づく。
幸いにもアップルストアが爆発する事はなく、ミンガス達は無事に救出された。
またイリアンにも怪我はなく、泊まっていたホテルへ戻る。
そして事の発端となったAirPodsで音楽を聴き、ベッドに横たわって涙を流した。
ーー
〜エピローグ〜
犯人は重傷を負い病院に搬送されたが、翌日死亡。
2022年3月31日、人質と備品庫の4人はアムステルダムから「英雄バッジ」を授与された。
4ヶ月の捜査を終えた警察は、犯人を撥ねた特殊部隊隊員の行動は「合法だった」として不起訴に。
犯人の動機は明らかにならないまま、この事件は幕を下ろした。

アマールの目的は分からぬままでしたが、世界の最先端を行くアップルストアを標的にした事、イリアンの言う事を素直に聞いていた事、そして計画性のない極めて稚拙な犯行である事から、彼はお金よりも人を殺めるよりも、自分自身を認めて欲しかったのでは無いかと思いました。
だからこそ、なんだか切なさみたいなものが残る結末で、リンが浮かない表情をしていたのも頷けます。(もちろん凶悪犯である事に変わりはないですが)
結果、1人も犠牲者が出なかったのは素晴らしい事です!特にミンガスはもっと褒めて欲しい!!
『iHostage』が好きな人にオススメの映画
映画『iHostage』が好きな人に、オススメの映画をピックアップ!
15時17分、パリ行き
2015年に実際に起きた無差別テロをもとにした緊張感のある作品。
巨匠 クリント・イーストウッド監督が手掛けています!
しかも、なんと主役の3人をご本人達が演じており、大きな話題となりました。
実際に目の前に銃を持った男がいたら…。若き英雄達をご堪能ください!