2016年12月9日公開の映画『ラ・ラ・ランド』。
世界中を沸かせた、『セッション』のデミアン・チャゼル監督のミュージカル映画。ロサンゼルスを舞台にして、女優志望のミア(エマ・ストーン)とピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)の恋愛や夢について描かれています。
『ラ・ラ・ランド』というタイトルには、夢を叶えたい人々が集まる街である「ロサンゼルス」と「現実から逃避した精神状態」の2つの意味があるそうです。プロローグの冬の部から、エピローグの5年後の冬まで、季節ごとに部が分けられて物語が進んでいきます。
この記事では、映画『ラ・ラ・ランド』で流れた音楽8曲をご紹介します。
『ラ・ラ・ランド』で流れた曲とは?
主題歌
Another Day of Sun
『ラ・ラ・ランド』の主題歌は、ラ・ラ・ランド・キャストの『Another Day of Sun』です。
冒頭の渋滞シーンで流れるこの曲は、バックコーラスが何重にも重ねられ、95人構成のオーケストラと40人の合唱団が収録に参加しました。明るいメロディと、前向きな歌詞がこれから始まる物語を一気に盛り上げています。
夢と恋愛がテーマの『ラ・ラ・ランド』。色々な映画に共通することだとは思いますが、特にこの作品では何度観ても新しい発見がある気がします。
筆者は必ずラストのシーンで泣いてしまうのですが、また最初から観てこの曲が始まると不思議とリセットされて、初めて観るような感覚になります。まさに「Another Day of Sun」。新しい一日が始まる気持ちになるのです。
渋滞の憂鬱さを晴らすような明るいメロディと、次々と踊りだすキャスト達。ミュージカルが苦手という方も一気に引き込まれてしまうのではないのでしょうか。
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ルームメイト3人がミアをパーティーへ誘うシーン
Emma Stone, Callie Hernandez, Jessica Rothe, Sonoya Mizuno - Someone in the Crowd
『ラ・ラ・ランド』のルームメイト3人がミアをパーティーへ誘うシーンで使われている音楽は、エマ・ストーン、キャリー・ヘルナンデス、ジェシカ・ローテ、ソノヤ・ミズノの『Someone in the Crowd』です。
明るい曲調と軽快なテンポで、聴いているこちらもつい一緒に踊りたくなるような曲です。4人が会話を交えながら歌っているのも、ミュージカル作品ならでは。後半はゆっくりとしたテンポになりミアのソロになります。
女優を目指して何度もオーディションを受けても落ちてばかりのミア。そんなミアをみてルームメイトの3人が「偶然の出会いにチャンスがあるかも」とパーティーへと誘います。
4人でダンスをするシーンやパーティーでのシーン、ミアが一人で歌うシーンがあり、1つの曲とは思えないようなボリュームと緩急があり聞き入ってしまいます!
この曲で耳に残る旋律は、映画の中で何度か挿入歌として出てくるので印象的です。映画の中盤、婚約パーティーでセバスチャンがピアノを弾くシーンではスロー・アレンジされていて、そちらも素敵です。
筆者は夢にあふれるこの曲がとても好きで、一時期目覚ましの音楽にしていた程です!
プールパーティでセバスチャンが演奏するシーン
a-ha - Take on Me
プールパーティでセバスチャンが演奏するシーンで流れた曲は、アーハの『Take on Me』です。
作品中ではアメリカのソロミュージシャンであるD.A.ウォラックが歌っていますが、オリジナル版はノルウェーのシンセポップ・バンド、アーハの楽曲です。1984年にリリースされ、翌年には全英シングルチャートで最高位2位を獲得しました。
冒頭の渋滞シーンと、ジャズバーでのシーンに続き、三度目の偶然の出会いをするこのシーン。セバスチャンはどのシーンも決して素敵な人やかっこいい人とは言えず、ミアがセバスチャンを見つけた時の表情からも伺えます。でも、恋は意外とこんな場面から始まるものなのかもしれませんね。
「春」の部がこの曲の明るく特徴的な前奏から始まることで、物語と2人の恋が進んでいくワクワク感が増す気がします!
プールパーティでミアがリクエストした曲
A Flock Of Seagulls - I Ran
プールパーティでミアがリクエストした曲は、フロッグ・オブ・シーガルズの『I Ran』です。
こちらも作品中ではアメリカのソロミュージシャンであるD.A.ウォラックが歌っています。映画ではキーが少し変わっていますが、ヒット曲なだけあり、聴いているだけで自然と身体がリズムに乗ってしまうような曲です。
この場面でセバスチャンは自分のやりたいジャズとは全く違うジャンルの音楽を演奏しています。リクエストしたミアはノリノリで踊りながら「君みたいな子に出会うなんて」という歌詞に対して口パクで「わたし?」と自分を指さすのも可愛らしく、初めから2人の相性が良さそうだなと感じる場面でもあります!
(以下ネタバレあり)
最後は結ばれることなく終わってしまうミアとセバスチャンですが、2人それぞれの夢を叶えるためには2人の出会いは「運命」だったと言えるなあと筆者は思っています。このすごくロマンチック、というわけではないある意味普通の再会が、現実の世界でもあり得そうで多くの人の心に響くのかな…と考えてしまいます。
改めて、このプールバーティでのシーンは、2人の恋が始まるきっかけへとつながる大事なシーンですね!
セバスチャンとミアがグリフィス・パークで踊るシーン
Emma Stone, Ryan Gosling - A Lovely Night
『ラ・ラ・ランド』のセバスチャンとミアがグリフィス・パークで踊るシーンで使われている音楽は、エマ・ストーンとライアン・ゴズリングの『A Lovely Night』という楽曲です。
ミアとセバスチャンの掛け合いで曲が始まり、後半はダンスシーンにあわせて曲のみとなり、スピード感も増していきます。ロマンチックで、おしゃれな曲です。
『ラ・ラ・ランド』と言ったらこのシーン!と思う方も多いのではないでしょうか?美しい景色と、ミアとセバスチャンの息ぴったりなダンスが話題になりましたね。
冒頭の渋滞シーンを含め、3回目で初めて言葉を交わしたミアとセバスチャン。セバスチャンの歌から始まり、最初は「恋の気配はない」とお互い言い合っていますが、2人の声が重なると「恋が始まりそうならどんなにロマンチックか」と語り合っています。何と言っても、2人の動きが音楽にぴったり合っていて印象的なシーンです。曲が後半に進むにつれ、2人の波長が合っていくこともわかりますね。
6分に及ぶシーンがカット無しで撮影されたようです。曲の素晴らしさもさることながら、ダンスにも目が離せません!
同棲するセバスチャンとミアがデュエットするシーン
Ryan Gosling, Emma Stone- City of Stars
『ラ・ラ・ランド』の同棲するセバスチャンとミアがデュエットするシーンで使われている音楽は、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーンの『City of Stars』という楽曲です。
長調と短調を行き来するようなこの曲は、「春」の部でもセバスチャンが埠頭で一人歌い、エンドクレジットでもミアがハミングで歌っています。同棲し2人でデュエットする「夏」の部のこのシーンでのこの曲は、2人の関係の良さが表れています。
2人が楽しそうに、ところどころ笑い合いながら歌っていて羨ましさも覚えるほどです!夢に向かってそれぞれ努力をする2人ですが、この曲の時点ではお互いの存在が夢への後押しになり、とても良い関係なのがわかります。愛があれば何があっても大丈夫、そんなメッセージが込められているのでしょうか。
この曲を境に、2人の夢がまた一気に進んでいくことになります。そして、すれ違いも…。そんな展開への伏線にもなっているなと筆者は思っています。
ちなみに、ライアン・ゴズリングのピアノ演奏は手元のクローズアップシーンもすべて本人による演奏だそうです。3ヶ月の練習期間でこれほどのクオリティとは、彼のプロ根性を感じますね!
キースのバンドの演奏シーン
John Legend - Start A Fire
『ラ・ラ・ランド』のキースのバンドの演奏シーンで使われている音楽は、John Legend(ジョン・レジェンド)の『Start A Fire』という楽曲です。
前半はバラード、後半はポップな曲調で2度楽しめるような、聴きどころがある曲です。レジェンドの伸びのある歌声が活かされており、盛り上がるライブシーンにぴったりの曲です!
物語の中でジョン・レジェンド演じるキースがリーダーを務める「ザ・メッセンジャーズ」というバンド。セバスチャンはそのバンドでキーボードを担当しています。「Start A Fire」はバンドを一躍有名にした曲。実際の制作にも、レジェンドが参加しています。
冒頭はセバスチャンのピアノソロから始まるバラード調で、一見すると夢を叶えたかのように見えるセバスチャン。ライブを見に来ていたミアと目を合わせ、楽しそうな様子も伺えます。しかし途中から現代のバンドらしい演奏に変わり、本当にやりたいジャズ演奏とは全くジャンルの違う演奏をしています。ミアはこの時どんな気持ちだったのでしょうか?想像を巡らせながら聴くと、より作品が面白く感じられます!
ミアがオーディションでおばと夢追い人について語るシーン
Emma Stone - Audition(The Fools Who Dream)
『ラ・ラ・ランド』のミアがオーディションでおばと夢追い人について語るシーンで流れる音楽は、エマ・ストーンの『Audition(The Fools Who Dream)』という楽曲です。
「秋」の部で流れるこの曲。ミアがオーディションで、パリにいたおばの話を語りながら歌が始まります。前半はシンプルなピアノの伴奏ですが、後半に行くにつれ壮大な曲になっていきます。アカデミー賞を含む7つの映画祭でノミネートされた素晴らしい楽曲です。
オーディションで「語り部になって話して」と言われるシーン。ミアが女優を目指すきっかけとなったおばの話と、どこか自分を重ねて表現している姿が印象的です。
作曲者のハーウィッツは、この曲が一番のお気に入りと話しています。他の曲では、曲へつながる議論をたくさん行うなど試行錯誤があったようですが、この曲では全く何も聞かず、純粋に作曲したそうです。
エマ・ストーンの歌声も力強く、この曲にぴったりです。エマはブロードウェイ・ミュージカルに数多く出演しているだけあって、レベルの高い歌声と表現力ですね。『ラ・ラ・ランド』ではアカデミー主演女優賞など数々の賞を受賞しています!さらに、この曲は事前収録の音源ではなく撮影時に実際に歌ったものなので、迫力があります!
筆者の感想
何度観ても違う感想を持ったり、新たな気づきがあったりするのは映画の醍醐味とも言えますが、『ラ・ラ・ランド』は特にそんな作品で、観る人やタイミングによって様々な捉え方ができるのではないかと思います。
実際ラストの展開については、作品が公開された当時は筆者も友人とああでもない、こうでもないと色々と話が膨らんだのを覚えています。ハッピーエンドにもバッドエンドにも捉えられることで、より作品が話題になったのかなとも思います。
作品のおもしろさだけでなく、さすがはミュージカル映画。どの楽曲も耳に残る名曲ばかりです。一曲一曲を紐解いていくと、登場人物たちの感情が表れていたり伏線を見つけたりすることができ、物語の深みが増します。楽曲を振り返る中で、また何度も観たいと思う作品だなと感じました。
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