1994年7月16日公開 映画『平成狸合戦ぽんぽこ』
スタジオジブリの長編アニメーション。
開発が進む多摩市・多摩ニュータウンを舞台に、そこに住む狸たちが開発をやめさせようと、化学(ばけがく/伝統的変化術)を使って、人間に抗う物語。
高畑勲監督が原作・脚本・監督の3役を務めた初のオリジナル作品で、初めてCGが使用されました。
和楽器や民族楽器など様々な楽器を使用しアジアの民謡を取り入れ、独自のスタイルを確立している「上々颱風/シャンシャンタイフーン」(紅龍&ひまわりシスターズ)が音楽を担当。
(アーティスト名の「八草楽団」は、上々颱風が映画のために作ったグループだと思われます)
この記事では、映画『平成狸合戦ぽんぽこ』で流れる23曲をシーン別に抜粋してご紹介します。
※以下ネタバレ有り
『平成狸合戦ぽんぽこ』で流れる曲とは?
オープニング
「たーぬきさんたーぬきさん遊ぼじゃないか♪」と流れたあとに、タイトルシーンで一瞬流れるテーマ曲。
「そいやっさー!」という掛け声は、この作品ならではの音源でしょう♪
独特な楽器が奏でる「和」を基調とした民族音楽的なこのメロディは、なんだか癖になりますね。
以下がメインテーマ「元気節」です。
狸が暮らしを追われているシーン
狸が暮らしを追われているシーンで流れた曲は、八草楽団の『たぬきの暮らし』です。
人間が山を切り開いたため、狸が住処を追われているというナレーションが流れるシーン。
冒頭から、映画のコンセプト「自然界と人間の共存の難しさ」が見えて来ますね。
ジブリではこのコンセプトで作られた作品が他にもありますが(もののけ姫やナウシカなど)、今作は狸を題材としているので、とても身近に感じられる作品だと思います。
ここでは、優しさと切なさが感じられるピアノ独奏が流れました。
狸たちが、おろく婆に化学を教わるシーン
狸たちが、おろく婆に化学を教わるシーンで流れた曲は、八草楽団の『化学復興』です。
山を崩して行く人間に対抗するため、狸たちをまとめる重鎮・火の玉のおろくに、若い狸たちが変化術を教わるシーン。
サッカーボールや、人間にまで変身し切磋琢磨する狸たち。可愛いのですが、人間に対抗するためなのだと思うと、少々切なくもなります。
ここで流れるのは、お祭りを連想させる明るいお囃子。
変化術を習っている狸たちがレベル分けされるシーン
変化術を習っている狸たちがレベル分けされるシーンで流れた曲は、八草楽団の『お囃子せっせっせ』です。
術を教わった狸たちの、変化術の成功度合いが比べられるシーン。
うまく変化出来る者もいれば、もちろん落ちこぼれもいるわけで…。人間界の仕事でもそうですが、狸界でも一筋縄では行かない変化の難しさが露呈して行きます。
ここでは「せっせっせーのよいよいよい」のお囃子バージョンが流れます。
疲労により、狸の変化が解かれてしまうシーン
疲労により、狸の変化が解かれてしまうシーンで流れた曲は、八草楽団の『お囃子とおりゃんせ』です。
ものすごい気力と体力を使う変化術。人間の姿になっていたベテランの狸が、疲労で倒れて狸に戻ってしまうシーン。
すかさず栄養ドリンクを飲むのがなんとも痛々しい!まぁ、これは人間も同じですけれど…。
横断歩道を渡るシーンがあったので、「とおりゃんせ」なのでしょうか。こちらもお囃子バージョンが流れます。
権太が、故郷が無くなってしまったのを見るシーン
権太が、故郷が無くなってしまったのを見るシーンで流れた曲は、八草楽団の『風雲急の舞』です。
血気盛んな"強硬派"のリーダー格・権太が、自身の故郷が無くなり人間を激しく恨んで行くシーン。
このキャラクターは今作の重要狸でもありますが、演じるのはシンガーソングライター・俳優の泉谷しげるさん。
荒々しい話し方は、ご本人そのままと言って良いほどピッタリ!
ここでは、太鼓と笛、力強い掛け声のみの、激しいメロディが流れます。
狸たちの人間への仕返しが成功し、喜びに沸くシーン
狸たちの人間への仕返しが成功し、喜びに沸くシーンで流れた曲は、八草楽団の『ぽんぽこ狸囃子』です。
冷静な正吉と強硬派の権太がタッグを組み、開発業者のトラックに事故を起こさせ、死人が出るほどの荒々しい仕返しが成功。
亡くなった人間のために黙祷を捧げるも、嬉しくてお祭り騒ぎになるシーン。
狸を応援したいのですが、ここまでやるかと少々驚きました。この作品は、終始複雑な気持ちにさせるんですよね…。
ここでは、琉球音楽を取り入れた、お祭りにふさわしい賑やかなお囃子が流れます。
狸たちが権太を担ぐシーン
狸たちが権太を担ぐシーンで流れた曲は、童謡の『証城寺の狸囃子』です。
仕返しで活躍した権太を、狸たちが担ぎ讃えるシーン。
しかし、開発を止めないというニュースに驚き、権太は落とされてしまい全治一年の大怪我を負う事に。全ての狸が不憫でなりません!
ここでは狸たちが、日本の童謡「証城寺の狸囃子」を歌います。音源が無いので、筆者&我が家の子どもたちが大ファンの、だいすけお兄さんの動画を貼らせて頂きました。笑
女性に変化した狸が、警察官を驚かすシーン
女性に変化した狸が、警察官を驚かすシーンで流れた曲は、八草楽団の『招き猫のサンバ』です。
泣いている女性に声をかけたおまわりさん。しかしこちらを向いた女性はのっぺらぼう!ホラーなシーンです。
交番に戻ると同僚ものっぺらぼうで、親切なおまわりさんなのに、トラウマものだし超気の毒でした。笑
ここでは、ホラーなシーンを笑えるシーンに変えてしまう、コミカルなサンバが流れます。
正吉とおキヨが子どもに化けて、開発業者を驚かすシーン
正吉とおキヨが子どもに化けて、開発業者を驚かすシーンで流れた曲は、八草楽団の『双子の星「星めぐりの唄」』です。
座敷わらしのような子ども二人に化けて、夜に事務所を荒らすという、こちらもトラウマになるであろうシーン。
二人の初々しくてほっこりする雰囲気、今作の中でも一番好きです!野々村真さんと石田ゆり子さんの声に癒される。
ここでは、オルゴールのような優しいお囃子が流れます。
狸たちが冬に備え準備するシーン
狸たちが冬に備え準備するシーンで流れた曲は、八草楽団の『冬ごもり』です。
狸たちがたくさん食べて蓄え、厳しい冬に備えるシーン。
彼らは冬眠をしない動物なのですね!ドングリなどを巣穴に隠して穴ごもり。人間もコタツごもりしたいです…。
ここでは、冷たさを感じる高音のメロディーがゆっくりと流れます。
春を迎え、正吉とおキヨに子どもが産まれるシーン
春を迎え、正吉とおキヨに子どもが産まれるシーンで流れた曲は、八草楽団の『春のよろこび』です。
発情期が到来し狸たちが浮かれ、正吉とおキヨも愛し合い可愛らしい子どもたちが産まれるシーン。
順風満帆に家庭を築く正吉、やはり真面目で手堅いキャラ。ジブリの主役としては、少々物足りなさを感じてしまいます。笑
「春のよろこび」は春を美しく表現した楽曲で、小鳥のさえずりなどを使用したテンポの良いメロディが魅力的。
玉三郎が小春に泣きつかれるシーン
玉三郎が小春に泣きつかれるシーンで流れた曲は、八草楽団の『望郷 阿波ー東京ー佐渡』です。
玉三郎の子どもを産んだ金長狸の娘・小春が、故郷へと戻らなければならない玉三郎に、ここに残って欲しいと懇願するシーン。
イケメン狸・玉三郎を演じているのは、アニメ『シティーハンター』『キン肉マン』などで有名な神谷明さん。まごう事なきイケメンの声です。
ここでは、盆踊りの定番曲である「東京音頭」のお囃子バージョンが流れます。
四国の長老たちが、玉三郎と共に多摩へ来るシーン
四国の長老たちが、玉三郎と共に多摩へ来るシーンで流れた曲は、八草楽団の『たぬきのマンボ』です。
ド派手なじじ狸三人組・太三朗禿狸、隠神刑部、六代目金長が到来するシーン。
今なら写真撮られてバズってそうな、志茂田景樹もビックリのファッション。登場シーンからこのスリーアミーゴスのファンになっちゃいました!
ここではそんな長老たちにピッタリな、ダイナミックなマンボが流れます。
妖怪大作戦を開始するシーン
妖怪大作戦を開始するシーンで流れた曲は、八草楽団の『出陣』です。
四国の長老たちの力を借り、妖怪に化け町中を練り歩くという「妖怪大作戦」が行われるシーン。
この作戦の最中には『おもひでぽろぽろ』のタエ子、『となりのトトロ』のトトロ、『魔女の宅急便』のキキ、『紅の豚』のポルコの飛行船が妖怪に混じって映ります!
こういった遊び心がくすぐられるのも、ジブリ作品ならではの魅力ですよね♪
出陣する際には、太鼓をメインとした、リズミカルで迫力のある楽曲が流れます。
妖怪大作戦を開始するシーン
妖怪大作戦を開始するシーンで流れた曲は、八草楽団の『玄妙不可思議音楽』です。
恐ろしくも幻想的な妖怪大作戦。術を限界まで使っていた隠神刑部が、力尽きて倒れてしまう。
隠神刑部が命を掛けて行った術でしたが、結局はパレードとしか思われず作戦は失敗に終わる…とても心苦しく切ないシーンでした。
作戦の最中に流れるのは、ちょっと背筋が凍るような静かなメロディです。
狸たちが作戦の成功を確信し喜ぶシーン
狸たちが作戦の成功を確信し喜ぶシーンで流れた曲は、八草楽団の『ぽんぽこ狸囃子』です。
狸たちの人間への仕返しが成功し、喜びに沸くシーンでも使用されています。
玉三郎たちが、ワンダーランドの社長からお金を盗むシーン
玉三郎たちが、ワンダーランドの社長からお金を盗むシーンで流れた曲は、八草楽団の『招き猫のサンバ』です。
女性に変化した狸が、警察官を驚かすシーンでも使用されています。
権太が捨て身の作戦を結構するシーン
権太が捨て身の作戦を結構するシーンで流れた曲は、八草楽団の『疾風三味線(平成狸合戦ぽんぽこ)』です。
勝てる見込みのない機動隊を倒すべく、権太が玉砕覚悟で戦いに行くシーン。
もはや誰も止められない、荒々しいけれど一番に山を愛していたのは権太ではないでしょうか。果敢に挑む狸たちの無事を祈らずにはいられません…!
太鼓と三味線を使った、静かながらも激しい曲が流れます。
権太一派が機動隊と戦うシーン
権太一派が機動隊と戦うシーンで流れた曲は、八草楽団の『蓮華草~権太の玉砕(平成狸合戦ぽんぽこ)』です。
権太たちが、自身の金玉袋を使って機動隊に攻撃するシーン。
権太意外と奮闘してる!?と思ったのもつかの間、発砲音が流れ音楽が突然消えるのが切ない。
また、金玉袋をボッコボコにされるこのシーン、男性は真っ青になる描写なのではないでしょうか!?
ここで流れるのは、レクイエムのような、哀愁と力強さのある楽曲。
戻って来た文太が号泣するシーン
戻って来た文太が号泣するシーンで流れた曲は、八草楽団の『哀歌(平成狸合戦ぽんぽこ)』です。
団三郎狸を探す旅に出ていた文太が、山の変わりようを嘆き号泣。そして正吉が、山を蘇らせようと提案するシーン。
わたくし涙腺弱々オバ、ここで文太と共に号泣。「化かされているのは狸の方じゃないのか」というセリフが心に突き刺さります。
ちなみに、文太を演じるのは名バイプレイヤーの村田雄浩さん。さすがの演技力!!
ここでは、悲しいメロディを奏でるピアノメインの、静かな楽曲が流れます。
正吉たちが山を蘇らせるシーン
正吉たちが山を蘇らせるシーンで流れた曲は、八草楽団の『底流ー昔を今になすよしもがな(平成狸合戦ぽんぽこ)』です。
生き残った狸たちが、山や集落を復活させる術を使うシーン。
力を合わせ、緑だけではなく、田んぼや井戸、お地蔵様など美しい田舎の風景を蘇らせます。素晴らしいシーンなのに、切なくて悲しい。
静かなメロディですが、神秘的で壮大に感じる楽曲が流れます。
狸たちの「その後」が語られるシーン
狸たちの「その後」が語られるシーンで流れた曲は、八草楽団の『たぬきはいま・・・(エピローグ)(平成狸合戦ぽんぽこ)』です。
その後、正吉たちのいた山は住宅地に。事故で死ぬ狸や、人間として生きる狸たちのことが正吉のナレーションで語られるシーン。
結局、狸たちの敗北なのでしょうか。それとも、人間として生きる彼らに騙されている時点で、人間の負けなのでしょうか。
たくさんのことを考えさせられるクライマックスでした!
ここで流れるのは、狸たちを慰めるかのような、哀愁のあるピアノメインの優しい楽曲。
エンディング〜エンドロール
エンディング〜エンドロールで流れた曲は、上々颱風の『いつでも誰かが』です。
エンディングでは、正吉が宴会をしている狸たちを見付け、ぽん吉(演/林家こぶ平)たちと再会。
散り散りになった狸たちですが、きっとどこかで生きている。そんな生命の強さを感じるエンディングでした!
「いつでも誰かが きっとそばにいる 思い出しておくれ すてきなその名を」
やっぱり悲しい物語ではありましたが、この歌詞に励まされました♪
テーマソング
この作品のテーマ曲は、上々颱風の『アジアこの街で』です。
作中では流れませんが「ぽんぽこ愛のテーマ」として発表されました。
「泣かないで歌っておくれ…涙よ星になれ」という歌詞が繰り返されますが、これは「ちょっと悲しい物語だけれど、楽しんで欲しい」という願いが込められているような気がします。
明るくて楽しい気分にさせてくれる曲なので、ぜひこちらも聴いてみてくださいね♪
サウンドトラック
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イメージアルバム
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