そんなBGMと音楽サブスクについて困っている人に向けて、
この記事では、『音楽サブスクの商用利用』について解説していきます。
結論から言ってしまうと、SpotifyやApple Music、Amazon Musicなどの音楽サブスクは個人用のサービスなので、店舗やオフィスなどでは使えません!
各サービスの利用規約を確認すれば個人以外での利用はできないことがわかりますが、今回は弁護士監修のもと音楽サブスクと商用利用についてご紹介です。
監修者
水口 瑛介
弁護士(アーティファクト法律事務所)
音楽家のための無料法律相談サービスを提供するMusic Lawyers Collective 「Law and Theory」 を設立し、2022年まで代表を務める。アーティスト、レーベル、音楽関係企業などをクライアントとする案件を多く手がける。
弁護士に聞いた!音楽サブスクの商用利用について
SpotifyやApple Music、Amazon Musicなどの音楽サブスクを利用すれば、スマホ1台で世界中の音楽を再生できます。
個人的に利用するのであれば、CDやMP3、MDなどの時代からとても便利な世界になっていますが、利用方法(特に商用利用)には十分注意しないといけません。
そこでこの記事では、音楽サブスクの商用利用やBGM再生について音楽関係の案件を数多く手掛けている弁護士に解説をしてもらいました!
監修者
水口 瑛介
弁護士(アーティファクト法律事務所)
音楽家のための無料法律相談サービスを提供するMusic Lawyers Collective 「Law and Theory」 を設立し、2022年まで代表を務める。アーティスト、レーベル、音楽関係企業などをクライアントとする案件を多く手がける。
SpotifyやApple Music、Youtubeは、誰もがすぐに使えるサービスですが、お店や施設などで使ってもいいのでしょうか?
各プラットフォームの利用規約において、個人で楽しむ以外の目的での利用が禁止されていることが多いです。
Spotifyの場合(以下すべてSpotifyを例に回答)、利用規約において、個人利用及び非商業利用のみができるとされています。つまり、個人利用でない態様の利用や、商業利用はできないということになります。
では、音楽サブスクの「個人利用」と「非商業利用」とは、具体的にどのようなシチュエーションが当てはまるのでしょうか。
Spotifyの利用規約には「個人利用」及び「非商業利用」が許されると書かれていますが、この「個人利用」や「商業利用」の定義は書かれていません。
もっとも、ユーザーガイドラインに禁止行為が書かれており、これが解釈のヒントになるでしょう。
例えば、「複製」「上演」「公衆への提供」などが禁止されていることが明確に記載されていることから、不特定または多数の人に音楽を聞かせるという態様は許されていないと考えられるかと思います。
(筆者柱脚)Spotifyだけでなく、Apple MusicやAmazon Music、Youtube Music、Youtubeなどのサービスは、個人的な利用や非商用の目的でのみ利用できると利用規約に記載されています(👉 音楽サブスクの商用利用を調査)
また、Spotifyを使って「収益化」することは許されていません。
これらの記載に照らせば、以下のように解釈するのが自然かと思います。
- 「個人利用」:契約者自身が楽しむ目的で音楽を聴く行為に加え、これと実質的に同視できる行為(家族や友人など特定の少人数で音楽を聴く行為など)
- 「商業利用」:Spotifyを使って楽曲を再生するなどし、収益を得る行為
「非商業利用」とは、これ以外の行為ということですね。
自分一人で聴くことはもちろん良いですし、友達や家族と聴くこともこれによりお金をとらないのであれば良いのではないかと考えられ、これが具体的なシチュエーションではないかと思います。
逆に、使用できないシチュエーションはどんなことが当てはまりますか?
店舗でBGMとして使用したり、動画配信のBGMとして使用したり、イベントでSEとして使用したりすることは「個人利用」でも「非商業利用」でもないため、禁止されていると考えられるでしょう。
JASRACが管理する楽曲については、医療施設や福祉施設での利用など例外的な場合に著作権使用料が免除されています。
つまり、このような場所での利用の場合には、音楽サブスクを利用しても良いということになるのでしょうか。
JASRACが使用許諾の手続きを免除しているか否かと、Spotifyの利用規約で許されているか否かとは、全く別の次元の話になります。
JASRACの手続きは、楽曲の著作権の利用に関するものです。JASRACから楽曲の利用について許諾を受けた場合であっても、Spotifyから個人以外の利用について許諾をとったことにはなりません。
つまり、
利用規約で許可されていない方法でサービスを使った場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
Spotifyの利用規約違反ということになり、Spotifyから利用契約を解除されてしまう(Spotifyが利用できなくなる)可能性があります。
音楽サブスクの商用利用について
各音楽サブスクの利用規約やユーザーガイドラインを筆者が実際に確認したところ、主要な音楽サブスクはすべて「個人利用」や「非商用目的」での利用に限定されていました。
- Spotify
- Apple Music
- Amazon Music Prime
- Amazon Music Unlimited
- Youtube
- Youtube Music
- 楽天ミュージック
- LINE MUSIC
- AWA
- うたパス
- dヒッツ
Spotifyの商用利用
商用利用NG利用規約でご案内している通り、Spotifyは個人での利用のみを対象としており、商用で使うことはできません。ラジオ局、バー、レストラン、店舗、ダンススタジオなど、商用の場所で Spotify を放送することはできません。
Spotify公式サイト:仕事先や学校で、Spotifyを使用することはできますか?
Spotifyでは、無料プランや有料プラン関係なく、店舗やお店でBGMとしてSpotifyから音楽を流すのは禁止されています。
Apple Musicの商用利用
商用利用NGお客様は、個人的、非商用目的での使用に限って本サービスと本コンテンツを利用することができます
Apple がコンテンツをお客様に提供しても、それは何らかの商用目的の、または販売促進の使用権をお客様に譲渡したことになりません。また、著作権所有者が持つ何らかの権利を与えたり、放棄したりするものではありません。
Apple Music公式サイト:Apple メディアサービス利用規約
Apple Musicは、お店や店舗でApple Musicから音楽をBGMとして流すのを禁止しています。
Amazon Music Unlimited、Amazon Music Primeの商用利用
商用利用NGお客様は、お客様個人の非商用的な娯楽目的に限り、本サービス等を利用することができます。
お客様は、第三者のまたはその代理としてコンテンツの保管、移転もしくは配信、自らのコンテンツアプリやサービスの運営、また、本サービス等の一部を再販売するために、本サービス等を利用してはなりません。
アマゾンは、本契約に従うことを条件として、お客様個人の非商用的な娯楽目的に限り、購入音楽、ミュージックサービス音楽、保管音楽および本サービス等を通じてアクセスを提供するその他の音楽コンテンツを使用する非独占的で、譲渡不能な権利をお客様に対し付与します。
Amazon Music公式サイト:Amazon ミュージック利用規約
Amazon Musicは、Amazon Music PrimeとAmazon Music Unlimitedともにお店や店舗でBGMとして音楽を流すことはできません。
Youtube、Youtube Musicの商用利用
商用利用NG
許可と制限事項
お客様は、本契約および適用される法律を遵守する限り、本サービスにアクセスして利用できます。お客様は個人的で、非営利目的の用途でコンテンツを視聴できます。また、埋め込み型 YouTube プレーヤーに YouTube 動画を表示させることもできます。
Youtube Musicは、Youtubeの利用規約に則っているので店舗やお店でのBGMは禁止されています。
楽天ミュージックの商用利用
商用利用NG第10条(禁止事項)
1. お客さまは本サービスの利用に当たり、次の各号のいずれかに当たる行為を行ってはなりません。
(1) 全部または一部を問わず、本サービスにおいて提供する情報(コンテンツを含む)について、当社の許可を受けないで利用(複製、譲渡、頒布、送信、送信可能化、改変、翻案、翻訳、貸与、またはこれらの目的で利用又は使用するために保管する行為を含みます)すること
(2) コンテンツの複製防止機能を解除すること。
(3) 日本国外において本サービスを利用すること。
(4) 本サービスを商用目的で利用すること。
(5) 本サービスの他の利用者、第三者または当社に対し、不利益や損害を与える行為(成りすましを含む)、その法令上または契約上の権利を侵害する行為、またはそのおそれがある行為をすること
(6) 本サービスの運営を妨げる行為、またはそのおそれがある行為をすること
(7) 著作権法その他の法令、裁判所の判決、行政措置もしくは公序良俗に反する行為、またはそのおそれがある行為をすること
(8) 本規約等に反する行為をすること
(9) 上記各号に定める行為を助長すること
(10) その他当社が不適切と判断する行為をすること
商用目的で楽天ミュージックを利用すること、また複製や送信などの利用方法も禁止事項として記載されています。
LINE MUSICの商用利用
商用利用NGお客様は、本サービスで提供されるコンテンツを私的使用目的の範囲に限って使用できるものとし、商用、販売、再販、その他私的使用目的外での使用は一切認められません。
LINE MUSIC公式サイト:LINE MUSIC利用規約
LINE MUSICは、お店や店舗でLINE MUSICからBGMとして音楽を再生することを禁止しています。
AWAの商用利用
商用利用NG第13条(禁止事項)
本サービスを利用して自己または第三者の営利を目的とした活動、およびその準備を目的とした活動
AWA公式サイト:AWA利用規約
AWAは、禁止事項としてAWAからBGMとしてお店や店舗で音楽を流すことを禁止している。
うたパスの商用利用
商用利用NG第11条(禁止行為)
本規約でKDDIが別途許諾している場合以外に、営利・非営利に拘らず、楽曲ファイル等の複製、頒布、貸与、譲渡、公衆送信、送信可能化若しくは上映を行い、又は第三者をして行わせること
うたパス公式サイト:うたパス利用規約
うたパスは、禁止行為としてお店や店舗でBGMとして音楽を再生することを禁止しています。
dヒッツの商用利用
商用利用NGお客さまは対象コンテンツ等を、本条において明示的に許諾された範囲で、個人的かつ非商業的な利用に限り使用することができるものとし、営利目的のために利用または使用してはなりません。
dヒッツ公式サイト:dヒッツ利用規約
dヒッツは、お店や店舗でBGMとしてdヒッツから音楽を流すことができません。
店舗やオフィスなどでBGMを流す方法
音楽サブスク(SpotifyやApple Musicなど)はお店や施設など商業的な利用が禁止されていますが、BGMとして音楽を流すには以下3つの方法があります。
- BGMサービスを使う
- 権利者に許可を申請する
- フリーBGMを使用する
おすすめの方法は『BGMサービスを使う』ことです!
手間なく料金を抑えて音楽をBGMで再生できるため、BGMを流すなら「音楽サブスク」ではなく、「BGMサービス」です!
【2024年版】おすすめ店舗BGMサービス11個を比較!料金や著作権も解説!
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BGMサービスを使う
BGMサービスとは、店舗やオフィスなど商業的な利用でBGMが流せる音楽を流せるサービスです。
『商用利用できる音楽サブスク』といったイメージ。
メリット
- 著作権の処理をする必要がない
- 定額で音楽を流し放題できる
- BGM再生に特化した機能がある
- iPhoneやAndroid、タブレットからアプリで再生ができる
デメリット
- サービスがたくさんあるため、流したい場所や業態に合わせて選択する必要がある。
おすすめのBGMサービス
- モンスターチャンネル
- OTORAKU
料金を重視するなら:モンスターチャンネル
料金を抑えつつも、豊富なプレイリストから音楽をBGMとして流せるのが『モンスター・チャンネル』。
サービス名 | モンスター・チャンネル |
運営会社 | モンスターラボミュージック |
初期費用 | 0円 |
料金(税込み) |
|
再生端末 | デバイスフリー |
利用開始まで | 当日 |
最低利用期間 |
|
著作権処理 | 不要 |
設置工事 | 不要 |
聴ける曲 | 全ジャンル(インディー楽曲メイン) |
タイマー機能 | 〇 |
クロスフェード機能 | × |
無料トライアル | 初月無料(1年プラン、2年プラン) |
おすすめポイント
多種多様な業態に合わせたプレイリストが豊富に用意されており、BGMサービスの中では料金が抑えられた設定なので、長期的に見てコスパが良いのが特徴!
iPhoneやAndroid、iPad、Fireタブレットなど様々なデバイスのアプリに対応しているため、Bluetooth接続や有線接続で簡単に流せるのもメリットです。
楽曲の人気度ではなく、雰囲気を出すためにBGMを活用し、料金を抑えて使いたいなら『モンスター・チャンネル』おすすめです!
楽曲を重視するなら:OTORAKU
USENが運営する気軽にBGMサービスを利用できる『OTORAKU』。
サービス名 | OTORAKU |
運営会社 | USEN |
初期費用(税込み) | 3,300円 |
料金(税込み) |
|
再生端末 |
|
利用開始まで | 最短翌日 |
最低利用期間 |
|
著作権処理 | 不要 |
設置工事 | 不要 |
聴ける曲 | 全ジャンル |
タイマー機能 | 〇 |
クロスフェード機能 | × |
無料トライアル | 7日間 |
おすすめポイント
OTORAKUの最大の特徴は、流せる曲の幅が圧倒的に広いこと。
J-Popから洋楽、クラシック、アンビエント、カフェ、ボサノバなど、誰もが知る人気曲から細かいジャンルまで網羅しているため、その場にあった音楽は見つけやすいでしょう。
しかし、その分料金が高くなっており、利用期間にも縛りがあるのは注意が必要。
とことん流せる曲にこだわりたいなら『OTORAKU』おすすめです!
著作権者に許可を得る
2つ目の方法は、音楽の権利者や監理団体に許可を得て、CDやダウンロード購入した音源を再生する方法です。
音楽の権利者に直接許可を取るのは現実的ではないため、JASRACに申請手続きをするのが一般的。
JASRACによる曲の使用料一覧 各種施設でのBGM / JASRAC
水口弁護士が仰っていたとおり、JASRACに申請をしたからといって音楽サブスクでBGMをかけるのはサービス側の利用規約で禁止されているためNG!
CDやダウンロード購入した楽曲を再生する方法となるでしょう。
しかし、BGMでかけたい音楽を1曲1曲問い合わせたり、JASRAC管理外の音楽があったり、内容が複雑だったりと手間がかかって大変なデメリともあります。
お店や施設でBGMをかけたいのであれば、手間やコストを考えると『BGMサービス』がおすすめです!
【2024年版】おすすめ店舗BGMサービス11個を比較!料金や著作権も解説!
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フリーBGMを使用する
著作権フリーの音源を使用すれば、商用利用でも、商業的な場所でもBGMとして音楽を再生できます。
しかし、再生できる音楽には限りがあり、クオリティ面や知名度、人気度などは劣ることもあるので、よく視聴してから利用するのがオススメ!
メリット
- 著作権の処理がいらない
- 無料で使えるサービスもある
デメリット
- 長時間再生し続けるには、自分で音源を作成しないといけない
- 音源の数がとても少ない
- リピート再生で雰囲気が崩れることも
おすすめのBGMサービス
おすすめのBGMサービスは以下です。
お店でしっかりと雰囲気づくりをしたり、時間帯や季節、イベントなどに合わせてBGMを再生するには、やはりBGMサービスを使うのが最もおすすめです!
【2024年版】おすすめ店舗BGMサービス11個を比較!料金や著作権も解説!
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そんな方は、まずBGMの選曲ポイントからチェックしてみてください!
音楽の専門家であるNPO法人ミュージックソムリエ協会の方にBGMの選曲方法をお聞きしました。
音で彩る空間|業態・シーン別 店舗向けBGMの選曲ガイド
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